• 更新日 : 2024年2月20日

入院費用は確定申告で医療費控除の対象になる?

入院費用は確定申告で医療費控除の対象になる?

病気やケガにより、やむを得ず入院することがあります。本人だけでなく、一緒に暮らす家族が入院することもあります。そのような場合、入院費用は確定申告において医療費控除の対象になるのでしょうか?

この記事では、入院費用の医療費控除について解説します。

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入院費用は医療費控除の対象になる?

一般に、病気やケガの治療のため、一定期間医療機関に入ることを「入院」といいます。医療機関でも病床のないところには入院できません。また、入院から退院がその日のうちに終了するものは「日帰り入院」と呼ばれます。

これらの入院費用は医療費控除の対象となるのでしょうか?

医療費控除とは、

  • 1月1日から12月31日の間に
  • 自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費を支払った場合に
  • その支払った医療費が一定額を超えるとき

 

に適用されるものです。

つまり、該当する人が入院した場合、その入院費用は医療費控除を受けることができます。
しかしながら、医療費控除の対象となるものには要件がありますので、よく見ていきましょう。

そもそも医療費控除とは

医療費控除とは、次のような制度です。

  • 1年間に支払った医療費合計が10万円以上
    (所得が200万円未満は、所得の5%超)の場合、
  • 確定申告において医療費控除の手続きをすれば、
  • 所得税の還付及び翌年度の住民税の減額が受けられる制度。

 

医療費控除で所得から控除される金額は、次のとおりです。

医療費控除で所得から控除される金額

医療費控除は「所得控除」の一つですので、所得金額をマイナスする働きがあります。医療費控除を受けると結果として所得税が減り、さらに翌年度の住民税の計算においても同様に減額する結果があります。

所得税の税率は累進課税であるため、所得によって税率が大きくなります。したがって、医療費控除で軽減される税額については適用される税率によって異なります。

なお、医療費控除についての詳細は、こちらの記事をご参照ください。

入院費用の中で医療費控除の対象になるもの

入院の前の診察費用、入院時の交通費、そして退院時に精算する入院費用は基本的に医療費控除の対象です。

基本的に、「入院の対価として医師の診療等を受けるために直接必要となる費用で、かつ、通常必要なもの」が医療費控除の対象となります。請求明細の中に医療費控除の対象外となるものはないか、よく見てみましょう。

【医療費控除の対象となる例】

事例備考
付添人を頼んだときの付添料療養上の世話を受けるための費用は医療費控除の対象になる
入院中に病院で支給される食事食事代は入院代に含まれるため医療費控除の対象になる
同様に入院費に含まれるシーツやまくらカバー等のクリーニング代も医療費控除の対象になる
入退院時の電車代、バス代患者を一人で通院させることが危険な場合、患者の通院費だけでなく付添人の交通費(通院のために通常必要なものに限る)
自力で歩行困難な場合における入退院時のタクシー代但し領収書等が必要

入院費用の中で医療費控除の対象外となるもの

国税庁のHPに、「入院に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかどうか」の事例がありますので、まとめると次のようになります。

【医療費控除の対象外となる例】

事例備考
容姿の美化などの目的で行う整形手術に伴う入院の費用ホクロの除去費用などは医療費控除の対象にならない。
入院にあたって購入する洗面具などの身の回り品医療費ではないため控除の対象にはならない。
医師や看護師に対するお礼診療の対価ではないため控除の対象にはならない。
その他、親族に支払う療養上の世話の対価も控除の対象にはならない。
本人又は家族の依頼によって個室に入院した場合などのベッドの差額医療費ではないため控除の対象にはならない。
出前やテイクアウトなどで支払った入院中の食事出前や外食などは、控除の対象にはならない。
親族が付き添う場合のその親族の食事代付添人の食事代で付添いの対価として、支払われるもの(一定のものに限る)は控除の対象となるが、親族は控除の対象外
パジャマ等のクリーニング代その他、入院時の散髪代や病室の花代、テレビなどのレンタル代などは控除の対象にはならない。
入退院時のマイカーのガソリン代など同様にマイカーの駐車場代、高速料金などは控除の対象にならない。
病院の都合によるホテルや旅館への宿泊費用ホテルや旅館の宿泊代は、控除の対象にならない。

参考:医療費控除の対象となる入院費用の具体例|国税庁

なお、妊娠・出産に係る費用については、こちらの記事もご参照ください。

入院費用において、医療費控除を受けるための確定申告のやり方(方法)

入院に関して支払った費用について医療費控除を受けるには確定申告が必要です。
ここでは給与所得者が医療費控除を受けるための確定申告方法について説明しましょう。

<準備するもの>

  • 確定申告書
  • 医療費控除の明細書
  • 源泉徴収票(確定申告書の転記のために必要です)
  • 医療費の領収書やレシート(医療費のお知らせ)
  • 入院に係る交通費の領収書やメモ、タクシーの領収書など
  • 保険金、給付金などで補てんされた金額がわかるもの

手順1. 医療費のお知らせや領収書などを合計し、合計額が医療費控除の対象となるかを確認する。
源泉徴収票の下記赤枠の金額が200万円以上の場合は、合計額が10万円を超えていれば医療費控除の対象となります。

源泉徴収票の下記赤枠の金額が200万円以上の場合は、合計額が10万円を超えていればよい。

出典:[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁
【手書用】令和 年分 給与所得の源泉徴収票(令和5年分以後用)」を加工して作成

手順2. 源泉徴収票から確定申告書へ転記する。
確定申告書の「収入金額等」「所得金額等」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の欄にそれぞれ源泉徴収票から下図のように転記します。

確定申告-医療費控除

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】
[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁
【手書用】令和 年分 給与所得の源泉徴収票(令和5年分以後用)」を加工して作成

手順3. 医療費控除の明細書を作成し、確定申告書に所得控除額を記載する。
医療費の領収書やレシート、入院に係る交通費の領収書やメモ、タクシーの領収書などから医療費控除の明細書を作成します。

医療費控除の明細書は、こちらからダウンロードできます。

健保から送られる「医療費のお知らせ」などが、下記の「医療費通知」に該当するときは、医療費控除を受ける際の添付書類として利用できます。

医療費通知に該当する場合とは、次の事項の記載があるものです。

  1. 被保険者等の氏名
  2. 療養を受けた年月
  3. 療養を受けた者(後期高齢者医療広域連合からの場合を除く)
  4. 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
  5. 被保険者等が支払った医療費の額
  6. 保険者等の名称

"医療費控除の明細書を作成し、確定申告書に所得控除額を記載する。

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】
 年分 医療費控除の明細書」を加工して作成

手順4. 還付される税金や税金の受取場所(口座情報など)を記載し、確定申告書、医療費控除の明細書を税務署に提出する。
確定申告書は郵送やe-Taxでも提出できます。

入院費用において保険金を受け取る際の医療費控除の注意点

ここで、医療費控除における計算式をもう一度みてみましょう。

入院費用において保険金を受け取る際の医療費控除の注意点

医療費控除の計算においては、保険金などで補てんされる金額を控除して計算することになります。したがって、保険金部分について医療費控除は適用されません。

また、支払った医療費を超える補てん金を受けた場合には医療費控除は受けられませんが、次の場合には、病気Bについては医療費控除を受けることが可能です。

 

  • 病気Aに係る入院費用支払額(30万円)- 病気Aに係る保険金(45万円)
  • 病気Bに係る入院費用支払額(20万円)- 病気Bに係る保険金(なし)

 

この場合、病気Aについては入院費用を15万円上回る保険金を受けましたが、病気Bからその上回る部分を差し引く必要はなく、病気Bは医療費控除の対象になります。

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入院費用の医療費控除に関して理解を深め、正しく確定申告を行おう

入院すると、いろいろなことに影響があり生活費がかさんでしまうものです。
入院費用だけでなく、入院に係る交通費なども医療費控除の対象になりますので、こまめに領収書やメモをして、賢く節税しましょう。また、「医療費」の控除ですので、入院費用以外の医療費についても忘れずに合算してください。

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よくある質問

入院費用は医療費控除の対象となりますか?

自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費を支払った場合、医療費が一定額を超えるときに医療費控除の対象となります。したがって、これらに該当すれば入院費用は医療費控除の対象となります。詳しくはこちらをご覧ください。

入院費用について、医療費控除の対象になるものとならないものの違いはなんですか?

基本的に、「入院の対価として医師の診療等を受けるために直接必要となる費用で、かつ、通常必要なもの」が医療費控除の対象となります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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