• 更新日 : 2023年12月15日

青色申告者が損失申告で赤字(純損失)を3年間繰越控除するには?

個人は赤字の場合は原則、確定申告をする必要がありません。しかし、個人事業主青色申告をしている場合は、損失申告をすることで、事業の赤字を他の所得の黒字と損益通算できたり、翌年以降の3年間に赤字を繰越しできたり(純損失の繰越控除)します。
ここでは、確定申告書第四表の書き方なども含め、青色申告者は赤字が出た場合にどう処理すればよいか解説します。

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青色申告者は赤字でも確定申告すべき?

所得税では、赤字の場合は確定申告をする必要がありません。ただ「必要がない」というだけで、確定申告をするかどうかは納税者が選択できます。
確定申告をしなくて良いのに、わざわざするのは手間がかかると考える人も多いでしょう。
しかし、青色申告者は手間のことを考えても、赤字でも確定申告をしたほうが良いです。それは、確定申告をしたほうが得になることが多いからです。次からは、損失申告をすることで、どのような特典があるのかを見ていきましょう。

損失申告とは

損失申告とは、簡単にいうと赤字の申告のことです。青色申告者が確定申告(損失申告)を行うと、次の特典を受けることができます。

①損益通算ができる

損益通算とは、事業などの損失を他の所得の黒字と相殺できることです。例えば、事業所得で100万円の赤字、給与所得で100万円の黒字が出ている場合、事業所得の赤字と給与所得の黒字を相殺すると所得が0円になり、事業所得だけでなく、給与所得も税金がかからなくなります。
ただし、損益通算ができる損失は事業所得、不動産所得、譲渡所得で一定のもの、山林所得から生じたものに限定されます。

②3年間の繰越控除ができる

損益通算をしても赤字が残る場合は、翌年以降3年間に赤字を繰り越すことができます。繰り越した赤字は、翌年以降3年間の黒字と相殺できます。
例えば、今年の事業所得の赤字が100万円、翌年の事業所得の黒字が150万円の場合、損失申告をしておけば、翌年は黒字150万円-前年の繰越損失100万円=50万円に対してのみ税金が課されることになります。

③純損失の繰戻還付が受けられる

純損失の繰戻還付とは、本年度の赤字を翌年ではなく、前年に繰戻し、前年度の支払済みの税金の還付を受けるというものです。
純損失の繰戻還付を受けるためには「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」の提出が必要です。

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申告書第四表(損失申告書)の書き方は?

損失申告をする場合には、確定申告書第一表、第二表の他に、確定申告書第四表(一)(二)を作成する必要があります。また、損失の繰越年度と翌年度では記載箇所が異なります。それぞれの年度の記載方法を見ていきましょう。

(例)令和4年に100万円の損失が発生、損益通算はなし。令和5年に80万円の黒字が出たので、前年の赤字を相殺する場合

【確定申告書第四表(一)(二)に記載 令和4年分(損失発生)】

申告書第四表(損失申告書)の書き方

令和5年分申告書第四表(損失申告用)2ページ

【令和5年分(黒字分を前年分の赤字と相殺)】

令和5年分申告書第四表(損失申告用)2ページ 損失の相殺

  • 令和4年分(損失発生)
  • 確定申告書第四表(一)(二)に記載が必要です。

    1. 第四表(一)①②に本年度の損失金額をそのまま記載します。この場合は損益通算なしなので、②にはすべて同じ数字が入ります。
    2. ③に損失の合計額を記載します。
    3. ③の金額を第四表(二)の④に記載します。
  • 令和5年分(黒字分を前年分の赤字と相殺)
  • 確定申告書第四表(二)に記載が必要です。

    1. 令和4年分の第四表(二)の④の金額を、令和5年分の第四表(二)の⑤に記載します。
    2. 令和5年分の黒字の金額を⑥に記載します。
    3. ⑤から⑥を引き、翌年分以降に繰り越す損失がある場合は⑦に記載します。

損失申告の手続きを忘れた場合

損失の繰越控除の申告を期限内にし忘れた場合であっても、青色申告の要件を満たす場合には、期限後申告によって、繰越控除の適用を受けることができます。
しかしそうはいうものの、期限内の提出を心掛けることが皆様にとって、一番のメリットにつながると考えられます。

損失申告ができない損失もある

上記で計算方法などを紹介しましたが、なんでも赤字であれば適用されるわけではなく、適用されないケースもあります。下記が一例になります。

  1. 青色申告をしていない場合
  2. 利子所得
  3. 雑所得
  4. 給与所得
  5. 一時所得
  6. 配当所得
  7. 退職所得
  8. 事業用を除いた競走馬や貴金属など、生活に必要ではないと認められるものの資産について生じた赤字
  9. 課税所得のものに生じた赤字
  10. 先物取引にかかる雑所得等の金額の計算上に生じた赤字

青色申告者は赤字でも翌年以降のために確定申告しましょう

赤字の場合は原則確定申告をする必要はありませんが、確定申告をすることで損益通算や純損失の繰越控除などを適用することができ、納付する税金が減少、節税となります。青色申告者は、赤字であっても確定申告をするようにしましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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よくある質問

損失申告とは何ですか。

損失申告とは、簡単にいうと赤字の申告のことです。青色申告者が確定申告(損失申告)を行うと、一定の特典を受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。

損失申告をすることで、どのような特典がありますか。

損益通算・3年間の繰越控除・純損失の繰戻還付を受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。

損失申告をするために必要な書類は何ですか。

損失申告をするには、確定申告書第一表、第二表の他に、確定申告書第四表(一)(二)を作成する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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