扶養範囲内を超えた場合は?専業主婦の確定申告を年収・働き方別に解説

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専業主婦が当面は夫の扶養の範囲内で働こうと思った場合、パートやアルバイトのほかアフェリエイトなど収入を得る方法は複数あります。また、働き方に応じて、税金や社会保険にかかる費用が大きく変わります。この記事では、専業主婦が働く場合に必要となる確定申告をパターン別に解説します。将来のキャリアアップも視野に入れつつご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

専業主婦の後、就業するというパターン

令和元年度の男女共同参画白書によりますと、女性にとって望ましい結婚や就業の在り方のうち、「結婚し、子どもを持つが仕事も続ける(43%)」、「結婚し子どもを持つが、結婚あるいは出産の機会に一旦退職し、子育て後に再び仕事を持つ(36%)」と合計8割が働くことを意識した回答となっています。

また、女性の就業パターンのひとつとして、2人に1人は第一子出産に際に離職。その後出産・育児等のブランクを経て再就職をしています。育児や介護等においては主婦が主力となっているという現実はありますが、その後多くの人が就業するカタチとなっています。

いざ働き始めると家庭との両立が大きな課題となってきますが、限られた時間の中で稼ぎ出した収入をムダにしたくないという思いは誰にでもあります。

そこで夫の扶養範囲で働くかどうかが重要な問題となるのです。

主婦に立ちはだかるさまざまな年収の壁とは?

夫がサラリーマンであり、これから働き始めようとする専業主婦の方の場合は、以下のような年収の壁があります。

妻の年収関係する支出備考
100万円以上妻の住民税
103万円以上妻の所得税夫の所得控除に配偶者控除の適用限界ライン
106万円以上妻の社会保険501人以上の企業等要件により、協会けんぽや厚生年金保険料が発生する
130万円以上妻の社会保険上記の要件以外のとき、国保や国民年金保険料が発生する
150万円以上夫の所得控除に配偶者特別控除の適用がある(満額)
201万円超
夫の所得控除に配偶者特別控除の適用なし

「夫の扶養の範囲内で働きたい」という場合、これらのうちどの範囲を選ぶかにより税金や社会保険料の取り扱いが変わります。順に解説しましょう。

100万円、103万円

年収が100万円以上になると住民税が課税されます。これは給与所得控除の65万円と基礎控除35万円(自治体によって異なります)を差し引いた所得が住民税課税対象となるためです。

また、年収が103万円以上になりますと所得税も課税されるようになります。そして、夫の所得控除として配偶者控除が受けられるのも年収103万円までです。なお、2020年度の確定申告からは、夫の所得控除として配偶者控除が受けられる壁が113万円になる見込みです。

なお、自治体によって年収98万円を超えると住民税の均等割が発生する場合があり、その時は98万円の壁となります。

150万円、201万円

年収103万円を超えても夫の所得控除として、「配偶者特別控除」が適用されますが、年収150万円以上201万円にかけて徐々に控除額が減っていきます。

なお、配偶者控除や配偶者特別控除には夫の年収に適用限度額がありますので注意しましょう。 これら4つの壁では、妻の税金が増えたり、夫の所得控除額が変わったりしますが、負担する税金はそれほど多い額にはなりません。所得195万円以下の所得税率は5%です。

106万円、130万円

ここまでは税金に関する壁でした。ここからは社会保険の壁についてご紹介します。社会保険は収入により負担額が大きく変わるためより注意が必要です。

企業は従業員501人以上の会社等一定の条件を満たすと厚生年金保険・健康保険に加入します。妻の勤務先が厚生年金保険・健康保険に加入していて、月に8.8万円以上の賃金(年収106万円)を得ている場合、妻も厚生年金と会社の健康保険に加入することになります。

例:年収120万円の場合では、厚生年金、健康保険の合計で月額1.4万円程度負担増

一方、妻の勤務先が上記以外の会社であれば、年収130万円以上で夫の社会保険上の扶養から外れるため、自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。

例:年収140万円の場合では、国民健康保険料と国民年金を合わせて月2.6万円程度となり、収入に対し約23%の負担が増えます。

「パート」と「アルバイト」、「フリーランス」と「個人事業主」どう違う?

普段なんとなく使っている呼び方である「パート」と「アルバイト」、「フリーランス」と「個人事業主」について考えてみます。

パートとアルバイト

フルタイムで働く正社員と区別して使われることが多いですが、アルバイトとパートは労働基準法の上では区別がありません。

どちらも「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」という法律のなかで、「一週間の所定労働時間が通常の労働者に比し短い労働者」と定義されています。納税などにおいては特にパートとアルバイトを区別せず「給与所得者」として扱います。

フリーランスと個人事業主

「フリーランス」とは、会社や組織に所属せず、個人で仕事を請け負っている人です。
また、「個人事業主」とは、法人を設立せず、個人で事業を営んでいる人を指します。

フリーランスは、デザイナーやIT技術者、コンサル系の仕事を請け負っている場合が多く、フリーランスの中には個人事業主の人も法人を設立している人もいます。

税務の世界ではフリーランスかどうかはあまり重要でなく、自ら事業をしている場合は所得税または法人税の対象です。

したがって、個人事業主は所得税の確定申告を、法人であれば法人税の確定申告をする必要があります。

主婦の確定申告とは?

最後に、専業主婦が年末調整と確定申告をするにあたって留意すべきことを解説します。

年末調整

給与収入のみの人は、会社の年末調整で完結する場合が大半です。年末調整も確定申告も1年間の所得税の清算なので、会社で年末調整を行っている人は原則、確定申告が不要です。ただし医療費控除などはタイミングの関係で年末調整ではできないため、確定申告が必要です。

また、給与収入のみの人でも2か所以上から給与の支払を受けている人や、年の途中でパートを辞めて年収が103万円以下になった等などの場合にも年末調整はできません。確定申告によって払い過ぎた所得税を取り戻しましょう。

確定申告

パート以外に所得が20万円を超える副業がある場合や、個人事業主として自営を始めた場合などは、確定申告が必要です。これは還付ではなく納付のため、必ず提出書類や期限を確認し、申告納付をしましょう。

住宅ローン控除の初回や、医療費控除などは夫の所得で確定申告をすることがほとんどだと思います。医療費控除などは、所得が多い人が受けた方が得になるのが一般的といえます。

確定申告の一例として、パート以外にも給与所得がある場合について解説します。

原則としては主となるパートをしているが、他からも給与を受けている人は片方の年末調整だけしか終わっていません。下の源泉徴収票をみてみましょう。

(出典)国税庁:令和年度分給与所得の源泉徴収票

源泉徴収票の下方に乙欄に〇があれば、天引きされる所得税が源泉徴収税額表の乙欄で計算されているということで年末調整されません。
確定申告によって支払っていない税金は正しく支払い、支払い過ぎの税金は還付を受けましょう。

確定申告書の作成方法は、国税庁のホームページ、「確定申告書作成コーナー」などで詳細な説明があるほか、最寄りの税務署の(国税局電話相談センター)に電話で問合せできます。また、確定申告期間であれば、申告相談窓口として市役所などで窓口が開設されていることがありますので積極的に活用しましょう。

専業主婦の確定申告は金額ごとの壁に注意しましょう

専業主婦が働く場合に税法上どこが収入の壁になるのかをはじめ、パートとアルバイトの用語などについてご紹介しました。年末調整と確定申告については、国税庁のページでもわかりやすく解説されているため、自分が納めるべき税額を調べたり働き方を検討したりする場合に活用してみましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / フィナンシャルプランナー AFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。その後、システム会社に転職。
システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。
2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。



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