譲渡所得の改正の内容は?

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平成26年度税制改正で、所得税に関する条項がかなり細かく変わりました。

このうち、個人の株式等や土地・建物等を譲渡した場合の譲渡所得にかかわるおもな改正点として、総合譲渡所得、株式譲渡の特例、公社債等の範囲見直し、マンション敷地売却事業、居住用財産の特例、相続財産の特例があります。

それらの改正点に加え、譲渡所得の基本的なあらましについても解説します。

譲渡所得とは

ある種の資産を譲り渡した時に発生した所得を譲渡所得といいます。土地や権利を売り渡した際の売買収入、宝石や船舶などを譲った際に受け取った金銭や交換した物品などがその例です。

ただし、貸付金や売掛金などの金銭債権は含まれません。 資産の譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる行為です。

したがって、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資などがあります。また、次の場合にも資産の譲渡があったものとして課税されます。

1.法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡、限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するもの) により資産の移転があった場合には、時価で資産の譲渡があったものとみなします。

2.建物や構築物を所有するための「借地権」の設定などにより権利金などを受けた場合も、その権利金が土地の時価の2分の1を超える場合には、譲渡所得とされます。

ただし、「借地権」が地下または空間について上下の範囲を定めたものである場合には、4分の1を超える場合に譲渡所得とされます。

3.借地権、漁業権などの資産が収用などにより、一時に補償金などを受け取ったときは譲渡所得として課税されます。

4.1億円以上の有価証券等を所有している一定の居住者が国外転出等をする場合(平成27年7月1日以後)
 詳しくは国外転出をする場合の譲渡所得等の特例をご覧ください。(平成27年度税制改正にて創設)

課税方法

譲渡所得には、事業所得や給与所得といった他の所得と合計し、所得税法に規定された累進税率によって税額を計算する総合課税の対象になるものと、総合課税所得とは区別し、租税特別措置法に規定された税率によって計算する分離課税の対象になるものとがあります。譲渡した資産の種類別に課税方法は異なり、以下のようになります。

1.土地(借地権等の土地の上に存する権利を含む)・建物等の譲渡:分離課税(土地建物等)

2.株式等の譲渡

・短期所有地の譲渡とみなされるもの:分離課税(土地建物等)
・ゴルフ会員権の譲渡に類似するもの:総合課税
・上記以外の株式等に係る譲渡:分離課税(株式等)

3.上場カバードワラント(平成22年1月1日以後に譲渡するもの) の譲渡:分離課税(先物取引等)

4.店頭カバードワラント(平成24年1月1日以後に譲渡するもの) の譲渡:分離課税(先物取引等)

5.その他の資産の譲渡:総合課税

譲渡所得の平成26年度税制改正について

平成26年度税制改正で、個人が株式、土地・建物などを譲渡した場合に、以下の点が改正されました。

総合譲渡所得についての改正

譲渡損失と他の所得との損益通算を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)が追加されました。

株式譲渡にともなう金融商品取引業者の改正

株や投資信託での少額取引に適用される非課税措置はNISAといわれていますが、NISAの金融商品取引業者に関する規程などが改正されました。

これまでは、ひとつの金融商品取引業者のみに限られていましたが、NISA口座を開設する金融商品取引業者などを年単位で変更(非課税管理勘定の再設定)できるようになりました。

公社債等の範囲見直し

1.「上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例」が適用される特定公社債は、有価証券報告書等が社債発行日の前9カ月以内に提出された場合(以前は6カ月以内)に限ります。

平成27年12月31日以前に発行された公社債の範囲から同族会社に該当する会社が発行した社債が除外されました。

2.「一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例」の対象となる公社債の範囲から農林債が除外されました。

マンション敷地売却事業に関する改正

1.「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の対象としては、「マンション建替法」に基づく土地等の譲渡または分配金取得計画に基づく土地等の譲渡で、これらの事業に供されるものが追加されました。

2.「特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除」については、「通行障害既存耐震不適格建築物に該当する決議要除却認定マンションの敷地」である土地等に関して、「分配金取得計画に基づき分配金を取得するとき又はその土地等が売り渡し請求により買い取られるとき」が追加されました。

3.「資産の移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入」については、耐震基準を満たさないマンションを取り壊すなど、「法律を順守するがゆえにマンションや借家権等を失った場合」がやむをえない事由に追加されました。

居住用財産の特例に関する改正

1.「特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例」については、譲渡資産の対価の額が1億5千万円から1億円以下に引き下げられ、その適用期限は平成31年12月31日です。(平成30年5月31日現在)

2.「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」および「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」については、その適用期限は平成31年12月31日です。(平成30年5月31日現在)

相続財産の課税の特例に関する改正

1.「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」について、取得費に加算する金額が、その者が相続又は遺贈により取得した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡をした土地等に対応する相続税相当額とされました。

2.相続財産を譲渡した場合、譲渡所得の確定申告期限の翌日から相続税申告期限までの間に相続税申告書を提出した者は、提出日の翌日から2カ月以内に限り、更正の請求により上記の特例を受けることが可能になりました。

上記の改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産の譲渡について適用されます。

平成26年度の税制改正では、個人が株式等や土地・建物等を譲渡した場合に関わる多くの条項で、かなり細かな改正が行われています。

まず、株式等や土地・建物等の譲渡所得の基本をよく理解したうえで、おもな所得税制改正点をおさえていきましょう。

参考:
国税局HP「譲渡所得の申告期限」
国税局HP「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
国税局パンフレット「平成26年度税制改正のあらまし」

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監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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