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  • 更新日 : 2020年10月30日

確定申告時に受けられる国民健康保険料の控除額

今回は確定申告時に受けることができる国民健康保険料の控除額について解説します。
例えばあなたが自営業を営む個人事業主であったり、年度内に退職した人の場合、または転職活動中の人は国民健康保険被保険者に該当するため、国民健康保険料を支払うことになります。この国民健康保険料は、確定申告の際に控除を受けられる可能性があります。

控除を受けるために「確定申告が必要な場合」と「申告をしなくてもいい場合」

確定申告をする人全員が、国民健康保険の控除を申告する必要がある訳ではありません。申告が必要かどうかは、年末調整をしたかどうかで判断することになります。

控除を受けられるかどうかを知る方法

年末調整というのはわかりやすく言うと「会社があなたの代わりに確定申告をすること」です。例えば会社で健康保険(社会保険)の被保険者になっている方が年末調整で自身の社会保険料控除を受けていても、生計を一にする親族(両親など)の国民健康保険料を支払っていれば年末調整で国民健康保険料の控除を受けることができます。

1/1〜3/31は国民健康保険で、4/1から会社の健康保険に切り替えた場合

年度途中でフリーターから社会人になった場合など、国民健康保険から健康保険に切り替えた人が該当します。所得税の計算期間は1/1〜12/31と定まっており、一般的な会計年度4/1〜3/31とズレることが考えられます。そのため、国民健康保険から健康保険に切り替えた場合、イレギュラーな対応が必要になります。

・年末調整の際に、会社にやってもらう

前職(フリーター)の源泉徴収票を人事関連の部署に渡せば、給与収入に関しては源泉徴収簿で現職(会社)の給与データと合算して、年末調整を行ってくれます。

しかし、前職では年末調整をしていない(することができない)ので国民健康保険料の控除は源泉徴収票に記載されていません。したがって現職の年末調整の際に国民健康保険料の控除を忘れずに申告しなければなりません。なお『社会保険料控除』の欄に記載する金額は領収書や通帳から自身で集計した金額を記載すればよく、生命保険料控除証明書のような証明書類の添付は必要ありません。

またそれ以外に、あなたが国民年金や国民年金基金を支払っていた場合には、『給与所得者の保険料控除申告書及び配偶者特別控除の申告書』内にある『社会保険料控除』という欄に、以下を記載することで年末調整のときに控除申告を会社にお願いすることができます。こちらは支払金額の証明書類を添付する必要があります。

[社会保険の種類:国民年金]
[保険料支払先の名称:日本年金機構]
[保険料を負担することになっている人:あなたの氏名]
[あなたとの続柄:本人]
[本年中に支払った保険料の金額:納入した合算金額]

・年末調整時に、控除申告し忘れた場合

年末調整で国民健康保険料の控除をし忘れた場合には、会社からもらった源泉徴収票を持参して、確定申告をすることで、社会保険料控除の適用を改めて受けることができます。

退職後も、健康保険を任意継続していた場合

退職したあとも、健康保険の保養施設などを利用できるメリットがある『任意継続』を選択することもできます。

・退職後、会社に勤めていなければ、確定申告の社会保険料控除の適用対象となります。
・退職後、会社に勤めていれば、年末調整時に社会保険料控除として申告することができます。

介護保険料、国民年金基金、労働保険料…国民健康保険料以外に払ったものがある場合

国民健康保険料だけではなく、いわゆる「社会保険」と称されるものはほとんど、控除対象になります。介護保険料や雇用保険の被保険者として負担した労働保険料も、控除対象となります。

ただし、国民年金と国民年金基金も同様に控除できますが、証明書類が必要となります。言い換えれば、国民年金と国民年金基金以外の保険料は、自己申告の金額となります。

年末調整後、医療費控除や住宅ローン控除で確定申告をする場合

年末調整後に、医療費控除や住宅ローン控除を受けるために、確定申告する方も多いでしょう。源泉徴収票を添付して確定申告をすることになりますが、『社会保険料控除』という欄に年末調整で控除した社会保険料控除額を転記するのを忘れないでください。記載が漏れてしまうと医療費控除などで還付申告になるだったはずが逆に納税しなければならなくなった…ということにもなりかねません。

なぜなら、年末調整時に社会保険料はすでに控除されているので、確定申告のときに申請すると、二重申告となってしまうためです。

控除額の計算方法

それでは実際の数値を使って、どのくらい控除されて、減税効果があるのかを見ていきましょう。

控除額の計算方法

1/1〜3/31の国民健康保険分を社会保険料控除として「申告しなかった」場合

1.年間給与総額350万円だったと仮定します。
2.給与総額に対する徴収税額は10万円。
3.令和2年分以降の給与所得控除後の給与等の金額237万円(令和元年分以前は227万円)は、給与所得控除後の金額の算出表に当てはめて導きます。
4.給与から天引きされた健康保険の合計額40万円でした。
5.国民健康保険料申告による控除分は、申告し忘れたので0円とします。
6.基礎控除48万円(令和元年分以前は38万円)は誰にでも控除されるものです。
7.算出所得税額を求めます。237万円から控除するものすべてを減算します。
237万円 -(40万円+48万円)=149万円
(令和元年分以前であれば 227万円 -(40万円+38万円)=149万円)
8.この149万円を『国税庁:年末調整のための算出所得税額の速算表』に当てはめると、算出所得税額74,500円を導くことが出来ます。
9.この74,500円に102.1%を乗じたものが、本来納めるべき正しい納税額となります。
74,500×102.1%≒76,064円
10.本来の納税額から2の徴収税額10万円を減算したものが、納めすぎた税金すなわち取り戻せる金額となります。
76,000-100,000=-23,936円
※マイナスの数値になればなるほど、納めすぎた分として取り戻すことができます。

1/1〜3/31の国民健康保険分を社会保険料控除として「申告した」場合

1.年間給与総額350万円だったと仮定します。
2.給与総額に対する徴収税額は10万円。
3.令和2年分以降の給与所得控除後の給与等の金額237万円(令和元年分以前は227万円)は、給与所得控除後の金額の算出表に当てはめて導きます。
4.給与から天引きされた健康保険の合計額40万円でした。
5.国民健康保険料申告による控除分に、1/1〜3/31に納めた25万円を記入します。
6.基礎控除48万円(令和元年分以前は38万円)は誰にでも控除されるものです。
7.算出所得税額を求めます。237万円から控除するものすべてを減算します。
237万円-(40万円+25万円+48万円)=124万円
(令和元年分以前であれば 227万円 -(40万円+25万円+38万円)=124万円)
8.この124万円を『国税庁:年末調整のための算出所得税額の速算表』に当てはめると、算出所得税額62,000円を導くことが出来ます。
9.この62,000円に102.1%を乗じたものが、本来納めるべき正しい納税額となります。
62,000×102.1%≒63,302円
10.本来の納税額から2の徴収税額10万円を減算したものが、納めすぎた税金すなわち取り戻せる金額となります。
63,302-100,000=-36,698円

申告し忘れた場合の-23,936円と比較すると、申告したほうが12,762円還付される金額が多いことがわかります。

このように、7で減算するときの控除金額が多ければ多いほど、課税所得を抑えることができるので、税金が安くなることになります。控除できるものが多ければ多いほど納税額を減らすことができます。

まとめ

確定申告で納税となる場合の申告期限は令和2年分については2月17日から4月16日まで、還付申告の場合は確定申告の申告期限とは関係なく翌年の1月1日から5年間提出することができます。なお、令和元年分の確定申告については新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み、本来の申告期限である令和元年4月17日以降でも申告を受け付けています。注意点としては申告書の余白やe-Taxの「特記事項」欄に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」という旨を付記する必要があります。

確定申告で国民健康保険料の控除を受ける場合には、早めに金額確認等を行い、忘れずに申告するようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:高木 健太郎 (税理士)

税理士法人ナレッジラボ 代表社員
ナレッジラボでは、マネーフォワード クラウドシリーズを使いこなした会計サービスを提供しています。
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