- 更新日 : 2023年8月30日
契約社員の副業・掛け持ちの基礎知識!20万円以下でできる副業は?
一般に、契約社員とは「契約期間が定められた社員」のことで、契約社員は雇用主との間で有期の雇用契約を締結するのが一般的です。
契約社員は時間的に可能であれば、掛け持ちやダブルワークはできるのでしょうか?また、副業などをする場合には確定申告が必須なのでしょうか?この記事では契約社員の副業や掛け持ちについて解説します。
目次
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契約社員の副業は法律上問題はない
副業とは、本業以外に行う仕事のことで、副業をするメリットとして収入を増やすことやスキルを磨くことなどが挙げられます。さて、契約社員の場合の副業はどうでしょうか?
会社の就業規則は要確認!
基本的に、契約社員、正社員を問わず会社が副業を認めれば、副業をすることは可能です。政府は令和4年7月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、副業をした労働者については、「長時間労働、企業への労務提供上の支障や業務上の秘密の漏洩等を招かないよう留意しつつ、雇用されない働き方も含め、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である」として、基本的に推奨する考え方です。
引用:副業・兼業|厚生労働省、副業・兼業の促進に関するガイドライン
したがって、勤務している会社が副業を許可していれば、会社員が副業をすることに問題はありません。しかしながら、合理的な理由で副業を禁止し、就業規定に記載されている場合もありますので、まずは就業規則を確かめましょう。
契約社員の副業を禁止する会社の主な理由
副業を認めていない会社であっても全面禁止ではないケースもありますし、個別相談ができる場合もあります。しかしながら、会社として副業を認めていない場合、その理由には次のようなことが考えられます。
- 本業のパフォーマンス低下の恐れ
従業員が副業に時間やエネルギーを使いすぎると、本業の仕事に集中できなくなったり、疲労がたまったりする可能性があります。
本業の業種や規模などにもよりますが、会社の業績や評価、風評などに影響を与える結果となります。
- 競合他社との利益相反の可能性
副業を本業と同じ業界や分野でする場合は、さまざまな問題が想定されます。副業先と本業先の間に競争関係や利害関係が存在する可能性があり、情報漏洩や利益誘導などの不正行為につながる危険性をはらんでいます。
- 法律違反などの可能性
副業をする場合、労働時間や休日などの労働条件に注意しなければなりません。
労働基準法では、副業も含めて1日の労働時間は原則8時間以内と定められています。先述の副業・兼業の促進に関するガイドラインにおいても「労働基準法の労働時間規制、労働安全衛生法の安全衛生規制等を潜脱するような形態や、合理的な理由なく労働条件等を労働者の不利益に変更するような形態で行われる副業・兼業は、認められず」という記載があります。労基法を守るために偽装請負にするなどの悪質なケースが発生しないとも限りません。
副業禁止の詳細については、こちらの記事もご参照下さい。
そもそも契約社員とはどんな契約形態?
冒頭で少し述べましたが、契約社員とは、契約期間が定められた社員であり、雇用主との間で有期雇用契約を締結するのが一般的です。有期雇用契約とは、事業主と労働者とが6カ月、1年間、3年間など期限のある労働契約を結ぶ契約を言います。
労働基準法第14条には次のようにあります。
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年を超える期間について締結してはならない。
なお、専門的な知識や技術などを必要とする場合には、有期労働期間の上限が3年でなくて5年とされます。
呼び方として契約社員ではなく、パートタイマーやアルバイトという扱いであっても、有期労働契約を締結している場合は、すべて有期契約労働者となります。
有期労働契約については、平成25年に労働契約法が改正され、有期契約労働者について「無期転換ルール」が定められました。無期転換ルールとは、同一の会社で有期労働契約の更新が5年を超えた場合、 契約社員などの有期契約労働者からの申込みによって、無期労働契約に転換されるルールです。
ここで、「有期契約労働者からの申込みによる」という部分が重要です。労働者の意思が必要なのです。例えば、最初の契約期間が1年である場合、5回目の更新後の1年間に労働者は無期転換に申し込む権利が発生します。この場合、会社側は断ることができず、6年目からは無期労働契約となります。
参考:無期転換の概要 契約社員、アルバイトなどの方|厚生労働省
契約社員が副業するメリット
契約社員に限定されたものではなく、パートタイマーやアルバイトの方にも通じることですが、副業のメリットについていくつか挙げておきます。
- 収入源の増加
契約社員は正社員に比べて給与や福利厚生が充実していない場合が多いため、副業でそれを補うことができます。
- スキルや知識の向上
契約社員は有期期間における更新の不安やキャリアの停滞を感じることがあるかもしれませんが、副業で自分の価値を高めることができます。
- 興味や関心に沿った仕事の選択
本業に満足できない場合、副業で自分のやりたいことを実現することができ、将来の可能性をシミュレーションすることができます。
契約社員が副業するデメリット
こちらも上記同様、契約社員に限定されたものではありませんが、副業のデメリットについていくつか挙げておきます。
- 時間や体力の負担増
多くの場合、本業に忙殺されてしまい、副業にも十分な時間やエネルギーを割くことが難しいかもしれません。更新時期が来るまでは本業に専念したほうが精神的にも体力的にもよいというケースもあります。
- 本業のパフォーマンスやモチベーションへの悪影響
本業に対する責任感や熱意を失うことなく、副業とのバランスを取ることが必要です。副業を始めたからといって、今まで本業で発揮していたパフォーマンスを劣化させることのないようにしなければなりません。
- 本業の会社や同僚とのトラブルリスク
本業の会社の規定や同僚の理解を得ることなく、勝手な自己判断で副業を隠して行うことは避けるべきでしょう。本業で副業が禁止されていないかどうかは事前に確認すべきです。
契約社員の副業に関するよくある疑問
市役所などから会社に連携される住民税が高額となることで、副業が「バレる」ことがあるのはよく聞く話です。また、本業との利益相反や確定申告の課題もあります。
あとで後悔することのないよう、副業を始める前にその副業の及ぼす影響範囲をよく考えておきましょう。
副業すると会社にバレる?
副業すると会社にバレる可能性は当然ゼロではありません。
そもそも「会社にバレる?」という考え方は、本業では副業を禁止しているにもかかわらず、副業をしたいというケースです。
本業での副業禁止に納得がいかない場合には、会社にその理由を聞いてみましょう。納得を得られるかもしれません。副業禁止に納得はしても、副業を始めるのであれば自己責任となります。
会社にバレる、バレないなどの考え方を捨て、すっきりと仕事をすることが大切でしょう。
なお、副業が会社でどのように発覚するかなどの詳細は以下のサイトをご参照下さい。
副業が会社にバレたときの罰則は?
副業禁止にもかかわらず、会社に副業していることがわかった場合の罰則はその会社によりさまざまです。口頭注意により済む場合もあるかもしれませんが、他の従業員との平等性を考慮して会社によっては厳しい処遇になることもあり得ます。
会社の就業規則には、罰則規定が設けられていることがありますので、副業を始める前に読んでおきましょう。
正社員の人が別の会社で契約社員の副業をすることは可能?
正社員の副業においては、その本業である会社が副業を認めておれば問題はありません。しかしながら、次のような問題をクリアする必要があります。
- 会社の規則や契約に違反しないこと
副業を制限したりする規則や契約がある場合は、よく確かめましょう。
また、会社の業務と競合するような副業は、利益相反や機密漏洩のリスクが高くなります。必ず会社の規則や契約を確認し、承認や報告を求めるなどの手続きを行うことが重要です。
- 本業のパフォーマンスや健康注意
「契約社員が副業するデメリット」の項でも述べましたが、本業のパフォーマンスや健康に悪影響を及ぼす可能性があるので、本業の質や量を確保し、過度な負担にならないようにバランスを取ることが必要です。
- 税金や社会保険などの手続きも必要になるケースも
2か所から給与所得を得ることになるため、原則として確定申告が必要です。その他社会保険などについても会社の規模や取扱いで不明なことがあれば、専門家に相談したり、情報収集したりすることも大切です。
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
副業が初めての場合どんな副業を選んだらよい?
会社員が初めて副業をする場合、その職種やスキル、興味などはさまざまですので具体的な職種を挙げることはできませんが、副業選択にあたってのポイントをいくつか見ていきましょう。
- 本業との相性を考える
副業をする場合は、本業との兼ね合いが重要です。本業のパフォーマンスなどに影響を与えないように調整する必要があります。また、本業と同じ分野を活かす副業については、競合や利益相反の問題に注意する必要があります。
- 収入とリスクのバランスを考える
副業の目的の一つは、収入増です。しかしながら、収入が高い副業ほど、リスクも高いことが多いといえます。自分の目標やリスク許容度に合わせて、収入とリスクのバランスを考える必要があります。
- 楽しみや満足感を考える
新たに時間と労力をかけるのですから、自分が本当にやりたいことや自分の興味に沿った副業をすることです。しかし、副業においても期限や品質などの要求にしっかり応える必要があります。
20万円以下に所得が収まるような副業はある?
副業の所得が20万円以下の場合には確定申告の必要がないため、副業の所得を20万円以下にしたいというケースがあります。ただし、この場合であっても医療費控除やふるさと納税の寄付金控除などを適用する場合には、確定申告をする必要があります。
さらに副業が給与所得の場合には、「従たる給与」ということで年末調整ができず、源泉税が調整されない状態です。確定申告すると控除額によっては、副業の給与から天引きされた源泉税が還付されることもあります。
したがって、確定申告をするのが面倒だから20万円以下の所得で副業をやりたいというのは、スキルに比して少しもったいない考え方かもしれません。
給与所得の場合、年間の所得が20万円以下ということは、年間の副業の給与が20万円以下ということです。月額16,500円程度であれば年間20万円以下になります。また、雑所得の場合には、収入から経費を引いた額が所得となります。したがって、事業とするまでもないような請負契約などで売上と仕入の差額を20万円以下にすると年間所得は20万円を切ります。
まずは試しに、本業以外で少しだけでも所得を得たいとする人などは、アンケート回答、データ入力、ライティングなどの作業をインターネット上で探してみるとよいでしょう。
契約社員が副業で確定申告するときのやり方
所得税の確定申告とは、その年の1月1日から12月31日まで生じた所得及び所得税を計算し、源泉徴収された税金との過不足を精算する手続きを言います。
本業も副業も給与所得である場合には、次の準備が必要です。
- 本業における年末調整した後の源泉徴収票
- 副業の源泉徴収票
- (医療費控除やふるさと納税などがある場合)各種添付資料など
確定申告は、その年の翌年2月15日から1カ月間の申告期間に行います。具体的な方法については、下記をご参照下さい。
副業によって可能性を広げよう
世の中が多様化する中、有期契約の契約社員で雇用に不安を抱えている方もいるかと思います。しかし、無期転換ルールもありますし、行政においても副業が推奨されています。
したがって、まずは副業OKである会社で契約社員となって手堅く給与を得つつ、自分のライフワークとしたい仕事を見つけるべく副業活動を少しずつ始めるといった方法がよいのではないでしょうか?

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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