- 更新日 : 2025年10月21日
喪中はがきは取引先に送るべき?個人事業主が迷わない対応マナーや文例を解説
個人事業主として喪中の期間における、取引先への対応に迷う方は少なくありません。年末年始の挨拶状として年賀状や喪中はがきをどのように扱うかは、ビジネスマナーの観点からも慎重に判断する必要があります。
本記事では、法人・個人問わず取引先に喪中はがきを送るべきかどうかの基準、送る場合のマナーや書き方、確定申告との関連などを解説します。
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目次
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個人事業主は取引先に喪中はがきを送るべき?
個人事業主が喪中の際、取引先に対して喪中はがきを送るべきかどうかは判断が分かれやすいテーマです。ビジネス関係においては喪中の概念が適用されないことが多く、通常は例年通り年賀状を出すのが一般的です。ただし、取引先の属性や関係性、さらには相手が同じく個人事業主である場合などには例外的な対応が適切になることもあります。
法人宛の年賀状は通常通り送って問題ない
法人や企業に対しては、基本的に喪中はがきを送る必要はないと言えます。法人や企業には個人の喪中がそのまま業務に影響する文化はなく、年始の挨拶も通常通り行われるのが一般的です。したがって、年賀状を欠く理由にはならず、例年通りの形式で年始のご挨拶を行うのが適切です。
毎年年賀状をやり取りしている取引先に対し、突然送らなかった場合には違和感や不信感を与えることもあります。個人の事情よりもビジネスマナーとしての継続性が重視され、喪中であっても年賀状を出す対応が一般的です。ただし、文言などは後述するように、配慮するようにしましょう。
家族経営や親しい取引先には例外もある
取引先が家族ぐるみで深く関わる相手や、葬儀に参列してくれたような特別な関係である場合には、喪中はがきを送ることが適切な対応となることもあります。こうしたケースでは形式的なビジネスマナーよりも、個人としての感謝や配慮を重視すべき場面といえるでしょう。
ただし、相手に余計な気遣いをさせてしまう可能性がある点には注意が必要です。喪中はがきを送ることで、相手が「年賀状を出していいかどうか」迷ってしまうこともあるため、寒中見舞いでのご挨拶という選択肢も検討しましょう。
相手が個人事業主である場合は関係性を考慮する
取引先が同じ個人事業主である場合には、対応は一層慎重さが求められます。相手が個人で活動しており、業務と私生活の境界が曖昧な場合には、あなたの喪中を配慮して年賀状を控えるという判断をされる可能性があります。
このような状況では、あなたからあらかじめ喪中はがきを送ることで相手の判断を助けるという意味で、差し出す意義が生じます。ただし、あくまで相手との関係性を見極めた上での判断が重要です。業務的な付き合いのみであれば、例年通りの年賀状でも差し支えありませんが、私的な関係性が強ければ、欠礼の意思を伝えることが自然な対応になるでしょう。
喪中はがきを出す場合のマナーと書き方は?
取引先に喪中はがきを出す場合は、送付相手の選定から文面、時期や方法まで慎重な配慮が必要です。ビジネス関係への送付は本来例外的な対応ですが、出すと決めた場合は、相手に気を遣わせず失礼のない形式で送ることが大切です。
喪中はがきを送る相手と範囲
前述のとおり、喪中はがきは本来、親族や親しい友人に送るものであり、ビジネス関係者に対しては、関係が深い相手に限定すべきです。たとえば、訃報をすでに知っている取引先や、個人的な親交がある担当者が対象になります。
宛名は個人名を明記することが望ましく、自宅宛てが基本ですが、勤務先しか知らない場合でも「〇〇会社 △△様」のように担当者名を入れましょう。会社宛てに漠然と出すのは避け、あくまでもその担当者個人に差し出すよう、丁寧な印象を与える書き方を意識します。差出人には氏名を記載し、屋号を添えるかどうかは関係性によって判断します。
喪中はがきの文例と書き方のポイント
文面は定型があり、冒頭で年始の挨拶を控える旨を伝え、続いて誰がいつ亡くなったかを簡潔に記載します。さらに、旧年中の感謝と今後の変わらぬ付き合いをお願いする内容で締めくくるのが一般的です。
<例文>
去る○年○月、父〇〇が永眠いたしました。
旧年中に賜りましたご厚情に深謝申し上げますとともに、
本年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます。
句読点は打たず、忌み言葉や華美な表現を避け、伝統的な書式に沿うことが求められます。
喪中はがきを送る時期と方法
喪中はがきは、相手が年賀状の準備を始める前に届くのが理想です。11月中旬から12月初旬に送付し、日本郵便の年賀状受付(例年12月15日)前には届くようにします。遅れると相手がすでに年賀状を出している可能性があり、配慮に欠けた印象を与えかねません。
通常の郵便はがきで送れますが、弔事用切手を使用すると丁寧さが伝わります。はがきを自作する場合はモノトーンで整え、印刷ミスや誤記がないか事前に確認しましょう。
また、近年では日常的にメールでやり取りをしている相手に対しては、メールで喪中の旨を伝えるケースも増えています。その際も12月上旬までに、「喪中につき年始のご挨拶を控えさせていただきます」と簡潔に伝えるようにしましょう。年明け最初の連絡でも賀詞を避けることが配慮になります。
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喪中でも年賀状を出す際の注意点は?
喪中の年でも、個人事業主として取引先に年賀状を出す場面はあり得ます。ここでは、ビジネス上のマナーを保ちながら喪中の気遣いを伝えるポイントを整理します。
相手が喪中を知らない場合は控えめな表現で対応する
相手がこちらの喪中を知らない場合は、通常通り年賀状を送って構いません。ただし、自分の気持ちに配慮し、賀詞を控えめにする方法もあります。
たとえば「謹賀新年」などの華やかな言葉を避け、「旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。」といった文章中心の挨拶にするのがよいでしょう。ビジネス用年賀状にはもともと賀詞を使わないことも多いため、この形であれば喪中でも無理なく対応できます。
相手が喪中を知っている場合は事前連絡や寒中見舞いで配慮する
相手があなたの喪中を知っている場合は、通常の年賀状を送ることは避けるべきです。訃報を知っている相手に対して年賀状を送ってしまうと、無神経と受け取られる可能性があります。
そのため、事前に電話やメールで「喪中につき新年のご挨拶は控えさせていただきます」と伝えるのが適切です。仮に相手から年賀状をいただいた場合には、松の内が明けてから寒中見舞いでお礼と近況を伝えると、丁寧な印象を保てます。
取引先から喪中はがきが届いた場合の対応は?
取引先から喪中はがき(年賀欠礼状)が届いた場合は、相手の意向を尊重し、年賀状を控えるのがビジネスマナーです。ただし、年始のご挨拶をまったく行わないというわけではなく、時期や形式を変えて丁寧に対応することが大切です。
年賀状は控え、寒中見舞いで丁寧に挨拶する
喪中はがきは「新年の祝賀を控えたい」という意思表示です。したがって、届いた側も年賀状を差し控えるのが基本的な礼儀とされています。
年賀状の代わりに、年明けの松の内(1月7日)を過ぎてから「寒中見舞い」として挨拶状を送ると丁寧な印象になります。「ご喪中につき年始のご挨拶は控えさせていただきました。本年も変わらぬお付き合いのほどお願い申し上げます」といった内容が適切です。
すでに弔意を表している場合は無理に再送する必要はありませんが、相手の喪に配慮した姿勢を文面や対応で示すことが大切です。
誤って年賀状を出してしまった場合の対応
うっかり喪中はがきを見落として年賀状を送ってしまった場合も、落ち着いて対処しましょう。多くの場合、先方から寒中見舞いなどで「喪中につき年始のご挨拶は…」と丁寧な返礼が届くことがあります。
その際は、自身も寒中見舞いで改めてお詫びの言葉とともに、弔意と旧年の感謝、本年のお付き合いの継続を伝えると、誠意が伝わります。
また、今後同様のことが起こらないよう、社内の年賀状送付リストに喪中情報を正確に反映させ、関係者と情報共有をしておくことも忘れないようにしましょう。
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身内に不幸があった年の確定申告で気をつけることは?
身内の不幸は精神的にも負担が大きいものですが、個人事業主にとっては税務上も見落とせない影響があります。故人の確定申告に関わる手続きや個人事業主の申告内容に変動が生じる可能性があるため、早めの確認と準備が重要です。
事業主本人が亡くなった場合は「準確定申告」が必要
個人事業主本人が亡くなった場合、その年分の所得税申告は「準確定申告」として相続人が代行します。これは、1月1日から死亡日までの所得を計算し、死亡を知った日の翌日から4か月以内に申告・納税を行う特別な手続きです。
たとえば12月末に亡くなった場合でも、通常の3月15日ではなく、死亡から4か月以内が申告期限となります。この申告を怠ると延滞税や加算税が発生する恐れがあるため、速やかな対応が求められます。
家族が亡くなった場合の扶養控除や配偶者控除の確認
事業主本人が存命で、扶養していた家族が亡くなった場合には、その年の控除対象に変化があるか確認しましょう。所得税法では、死亡時点の要件を満たしていれば、その年分について扶養控除や配偶者控除の適用が認められます。
年の途中で同居していた親や配偶者が亡くなった場合、扶養親族・配偶者としての条件(生計を一にし、所得が58万円以下など)を満たしていれば、その年に限り控除を受けられます。ただし、翌年以降は当然ながら対象外となります。扶養控除等申告書や確定申告書の記載内容に反映させることを忘れないようにしましょう。
税制改正による控除額の変更にも注意する
2025年(令和7年)以降の申告では、所得税の基礎控除や給与所得控除の引き上げ、特定親族特別控除の創設などの変更が施行されます。たとえば、基礎控除は一律10万円増額(48万円→58万円)され、加えて所得に応じた加算(最大+37万円)も設けられています。控除対象の判定にも影響が出る可能性があります。
身内の不幸で家族構成が変わった場合には、これらの変更が住民税や所得税の非課税判定などに影響することもあるため、改正内容を確認の上、必要に応じて専門家への相談を検討してください。
葬儀費用や香典返しは控除・経費にはならない
なお、葬儀にかかる費用や香典返しの支出は、所得税の医療費控除や事業経費の対象にはなりません。これらは私的な支出と見なされ、確定申告では控除できない点に注意が必要です。
ただし、相続税の申告においては、葬式費用の一部が非課税の対象になるケースもあるため、相続税との区別を明確にしておきましょう。
喪中対応に迷ったときは「相手との関係性」を軸に判断を
個人事業主が喪中となった場合、取引先への対応は画一的な正解があるわけではありません。基本的には法人や業務的な関係の取引先には通常通り年賀状を送り、親しい関係や相手が個人事業主である場合などは、喪中はがきや寒中見舞いによる配慮を検討するとよいでしょう。いずれのケースでも、ビジネスマナーと相手への思いやりを両立させることが最も大切です。迷った際は「この対応で相手が安心するかどうか」を判断基準とするのが有効です。

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