- 更新日 : 2025年10月21日
スマホ2台持ちは個人事業主に必要?使い分けのメリットや経費処理のポイントを解説
個人事業主にとって、スマートフォンの使い分けは業務効率やプライバシー管理、経費処理に大きく関わる重要なテーマです。仕事とプライベートの連絡先を分けたい、顧客対応をスマートにしたい、確定申告を簡単に済ませたいというニーズに応える手段が「スマホ2台持ち」です。
本記事では、2台持ちの利点と注意点、代替手段、税務上の扱いなどを解説します。
目次
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スマホ2台持ちとは?
「スマホ2台持ち」とは、1人でスマートフォンを2台所有し、用途によって使い分けることです。個人事業主の場合、多くは1台を仕事用、もう1台をプライベート用として運用します。仕事用の電話番号とプライベート用の電話番号を別々に持ち、公私の連絡先を明確に分けるイメージです。1台のスマホに仕事も私生活も集約すると連絡先やデータが混在しがちですが、2台に分ければ「物理的分離」として公私を明確に切り分けられます。
スマホ2台持ちはどんな個人事業主におすすめ?
スマホ2台持ちはすべての個人事業主に必要とは限りませんが、仕事と私生活の境界を明確にしたい方や、業務効率を高めたい方には効果的な手段です。以下のような目的や業態を持つ個人事業主には、2台持ちを導入するメリットが大きいと考えられます。
顧客との直接対応が多い業種
日々顧客や取引先と連絡を取り合う業種では、スマホ2台持ちが有効です。営業職、講師、コンサルタントなど、電話やLINEなどでダイレクトな連絡が必要な業務では、仕事用スマホを分けておくことでプライベートな番号を相手に公開せずに済みます。また、営業時間外に仕事用スマホをオフにすれば、不要な連絡を減らして業務とプライベートの線引きがしやすくなります。
ワークライフバランスを重視する個人事業主
私用スマホと仕事用スマホを物理的に分けることは、オン・オフの切り替えに効果的です。子育て中のフリーランスや、自由な時間を大切にしたいライフスタイルを重視する人にとって、仕事から完全に離れる時間を確保することは重要です。1台ですべてをこなしていると、通知が止まらず気が休まらないというケースもあります。
経費処理や確定申告を簡素化したい人
スマホを2台に分けることで、通信費の公私按分を明確にできます。1台しかない場合には、業務使用分を割合で割り出して計算する必要があり、確定申告の際に手間がかかります。仕事用のスマホが業務専用で私的利用がないと客観的に示せる場合には、その回線の通信費や端末代は基本的に全額経費計上が可能となり、帳簿記録や証拠資料の管理も楽になります。
セキュリティ対策を重視する事業者
業務で顧客情報や商用データを取り扱う場合、私用スマホと共有していると万一の紛失や不正アクセスのリスクが高まります。仕事専用スマホであれば、必要なセキュリティ対策を施し、重要なデータを限定して管理できます。業種によっては、法人スマホのような体制を整えることで、クライアントからの信頼にもつながるでしょう。
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個人事業主がスマホ2台持ちするメリットは?
スマホを2台に分けることによって、業務効率や経理の管理、精神的なゆとりまで多くの利点が得られます。とくに個人で事業を営む人にとっては、公私の分離が曖昧になりやすいため、スマホの使い分けによってその境界を明確にできる点は非常に有効です。以下では4つの観点から、スマホ2台持ちのメリットを解説します。
仕事とプライベートを明確に分けられる
最大の利点は、業務と私生活の連絡手段を物理的に分離できることです。仕事用スマホを別に用意すれば、顧客や取引先にはそちらの番号だけを知らせる運用が可能になります。プライベート番号を開示する必要がなくなり、連絡の線引きがしやすくなります。
また、営業時間外や休日には仕事用スマホの電源を切る、通知をオフにするなどの運用によって、完全なオフタイムを確保しやすくなります。これにより、常に仕事に追われているというストレスが軽減され、結果的に仕事にも良い影響を与えます。チャットアプリや業務用メールを仕事用スマホに集約すれば、私用アプリの通知に邪魔されず、集中力の維持にもつながります。
経費として計上しやすく節税につながる
スマホ2台持ちのもう一つの大きなメリットは、経費処理のしやすさです。個人事業主は事業で使用する通信費やスマホ端末代を経費に計上できますが、1台しか持っていない場合は私用との使用割合を算出する「家事按分」が必要になります。これにより帳簿処理が複雑化し、根拠となるデータの整理も求められます。
一方で、2台のうち1台を業務専用とすることで、そのスマホにかかる通信費や端末代金は原則として全額を事業経費として計上可能です。確定申告における帳簿記録や証拠書類の準備も簡素化され、経理の負担が軽減されます。とくに青色申告を行っている場合、減価償却資産の特例などの制度を活用しやすくなり、結果として節税効果も期待できます。
バックアップ端末として機能する
スマホは業務の中核を担うツールであると同時に、機器としての脆弱性もあります。突然のバッテリー切れ、通信障害、故障や紛失といった事態は、業務への影響が大きくなる恐れがあります。スマホが2台あれば、こうした不測の事態に対するリスクヘッジが可能になります。
たとえば、仕事用のスマホの電源が切れてしまっても、プライベート用スマホで連絡を取ったり、必要なアプリにアクセスしたりできます。また、仕事中に通話しながらもう一方のスマホで調べ物をしたり、メモを取ったりといった同時作業も可能になるため、実務上の利便性も向上します。
信用性の向上とセキュリティ対策にも有効
ビジネス専用の電話番号を持っていることは、取引相手から見たときの印象にも関わってきます。名刺や公式サイトに、専用の電話番号やメールアドレスが記載されていれば、「この人は事業をきちんと運営している」という信頼感を得やすくなります。
また、セキュリティ面でも2台持ちは有効です。業務用スマホを独立させておけば、私用アプリによるセキュリティリスクや、家族の誤操作による情報漏えいのリスクを避けられます。MDM(モバイルデバイス管理)を導入すれば、仕事用スマホのアプリ制限や遠隔ロックなどの機能も活用でき、情報管理の体制もより堅牢になります。
個人事業主がスマホ2台持ちするデメリットは?
スマホを2台持つことには多くのメリットがある一方で、現実的にはいくつかの負担や不便も生じます。以下に代表的なデメリットを整理します。
コストが増える
2台運用にすれば、端末代金や通信費が単純に2倍になります。新たにスマホを購入する場合は本体価格が発生し、月額の通話料やデータ通信費も仕事用に追加でかかります。大手キャリアを使うと負担は大きくなりますが、格安SIMを使えばある程度抑えることは可能です。それでも1台よりも費用がかかるのは避けられません。初期費用や月々の支払いに対して、それだけの業務上の価値があるかを慎重に判断すべきです。
管理の手間が増える
スマホが2台になると、荷物も操作も増えます。外出時には充電器やモバイルバッテリーなどの周辺機器も含めて携帯物が増え、煩わしさを感じることもあるでしょう。また、連絡先やアプリ、通知の設定などを2台で管理するのは手間がかかります。写真やファイルの保存先も分散するため、データの一元管理が難しくなります。クラウド同期などで対応はできますが、1台に比べて煩雑になるのは避けられません。
紛失や故障のリスクが増す
2台あるということは、落とす・忘れる・盗まれるといったリスクが倍になるということでもあります。仕事用のスマホに顧客データや業務ファイルが入っている場合、それを紛失すると信用問題に発展する可能性もあるため、セキュリティ対策がより重要になります。また、OSのアップデートやセキュリティ管理も2台分必要となるため、常に最新の状態に保つ手間も倍増します。
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スマホ2台持ちの契約をする手順は?
ここでは、初めて2台目のスマホを契約する場合の基本的な流れを解説します。
ステップ1:どちらを仕事用にするかを決める
最初に考えるべきなのは、現在使っているスマホを私用にして、新たに仕事用を追加するのか、あるいは今のスマホを業務専用にして私用を新たに用意するかという点です。すでに使っているスマホが個人利用に最適化されているなら、2台目はビジネス専用として新規契約する方が運用しやすくなります。
ステップ2:契約するキャリアやプランを選ぶ
次に、2台目のスマホをどの通信事業者で契約するかを検討します。大手キャリアで契約すれば通話品質や通信の安定性が高くなりますが、コストがかかります。一方、仕事用のスマホは使用頻度が低めであれば、月額料金が安価な格安SIM(MVNO)を活用するのも有効です。用途に合わせて、通話・SMSの有無、データ容量などを最適化したプランを選びましょう。
ステップ3:スマホ端末を購入または用意する
契約と並行して2台目のスマートフォン本体が必要になります。端末を新規購入する場合は、コストや使いやすさを考慮して、業務用途に適したモデルを選びます。コストを抑えたい場合は、SIMフリーの中古スマホや、すでに手元にある端末を活用することも可能です。ただし、契約するSIMカードの通信方式(4G・5G)やサイズ、対応周波数に注意してください。
ステップ4:新規契約と設定を行う
契約する通信会社の店舗、またはオンラインショップからSIMカードを申し込み、スマホに挿入して設定を行います。開通後は、仕事用の連絡先や業務アプリ、メール設定などを新しいスマホに整備し、プライベートと明確に分けた運用ができるようにしましょう。
スマホ1台で仕事とプライベートを両立する方法は?
スマホを2台持つのは便利ですが、荷物が増える、管理が煩雑になるなどの理由から、1台で済ませたいという声もあります。そんな方には、1台のスマートフォンで2つの電話番号を使い分ける方法として、デュアルSIMとIP電話アプリの活用があります。
デュアルSIMで2回線を使い分ける
デュアルSIMとは、1台のスマホに2つのSIM(物理またはeSIM)を挿して、2つの電話番号・回線を同時に使える機能です。同時に使える範囲は機種や方式(DSDS/DSDV/DSDA)によって異なります。プライベート用には大手キャリア、仕事用には格安SIMを挿すことで、用途に応じたコスト最適化も可能です。
発着信時にはどちらの番号を使うか選択でき、SMSもそれぞれに届くため、公私の使い分けが明確になります。最近ではiPhoneや多くのAndroid端末がeSIM対応しており、1台での2番号運用がより手軽になっています。
注意点として、キャリアやプランによっては片方がデータ通信専用になる場合や、端末のバッテリー切れで両番号が使えなくなるリスクがありますが、2台持ちに比べて負担は軽減されます。
IP電話アプリで050番号を取得する
もう一つの方法は、IP電話アプリを使って050から始まる別番号を取得することです。「モバイルチョイス“050”」などのサービスを使えば、SIMを追加することなく、1台のスマホに業務専用番号を持つことができます。
IP電話は月額料金や通話料が安価で、Wi-Fiやモバイル通信があれば全国どこでも利用可能です。顧客対応や名刺用の連絡先として活用すれば、プライベート番号を公開せずに済みます。通話品質は通信環境に依存しますが、業務連絡用には十分対応可能です。
ただし、緊急通報には対応していない点や、通信が不安定な場所では通話に遅延や雑音が生じる可能性があるため、用途を限定して使うのが適しています。
スマホ2台持ちの場合の経費処理と確定申告はどうなる?
スマホを仕事用とプライベート用で分けて2台持ちする場合、それぞれの利用目的が明確になることで、税務処理や確定申告がシンプルになります。
データ通信料・通話料は「通信費」として全額計上可能
仕事専用のスマホ回線にかかる毎月の基本料金や通話料、データ通信料は、原則として全額を「通信費」として必要経費に計上できます。事業専用と明確に分けて使用している場合、按分(仕事と私用の比率を算出する手間)が不要になるため、処理が非常に簡単になります。
一方、1台のスマホで業務と私用を兼ねている場合には、使用割合を通話履歴や通信量から推計し、その比率で経費を按分する必要があります。この按分作業は正確な記録や根拠を求められるため、帳簿処理に手間がかかるうえ、税務調査でも説明の必要が生じやすくなります。
スマホ端末の購入費は金額により処理方法が異なる
スマートフォン本体の購入費については、その価格に応じて処理方法が変わります。
- 10万円未満の端末であれば、「消耗品費」として購入した年に全額を一括で経費計上可能です。
- 10万円以上になると、原則として「減価償却資産」に該当し、耐用年数にわたって分割して経費計上(償却)する必要があります。スマホの明確な法定耐用年数は定められていませんが、実務上はパソコンの4年を準用することが多く、通信機器として10年とする見解もあります。
「少額減価償却資産の特例」で一括償却が可能なケース
青色申告をしている一定の個人事業主や中小事業者であれば、「少額減価償却資産の特例」を活用できます。この制度を使えば、1台あたり30万円未満のスマホ端末について、年間合計300万円までであれば、その年に全額経費として一括で計上できます。
この特例は、令和6年度の税制改正により2026年3月31日までの取得分が対象となっており、高機能で価格の高いスマホを導入する際にも有効です。事前に適用要件を確認し、青色申告控除などとあわせて活用すれば、大きな節税効果が期待できます。
自分に合ったスマホの運用方法を選んで、事業をもっと効率的に
スマホ2台持ちは、個人事業主にとって公私の区別を明確にし、業務効率やセキュリティ、経費処理をスムーズにするうえで効果的な手段です。一方で、端末や通信費が増えることや、管理の煩雑さといったデメリットも伴います。そうした不安を感じる方には、デュアルSIMやIP電話を活用した“1台で2役”のスマートな運用も選択肢となるでしょう。自身の事業規模や働き方に応じて最適なスタイルを見つけることが、より快適で効率的な業務環境づくりにつながります。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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