- 更新日 : 2025年9月9日
税務調査が10年以上来ないのはなぜ?個人事業主・フリーランス向けに解説
個人事業主として事業を営んでいるのに税務調査が10年以上来ないと、かえって不安になるかもしれません。税務調査の連絡がないのは、申告内容が適切である可能性が高いですが、永久に来ない保証はありません。
この記事では、なぜ個人の税務調査が来ないのか、その具体的な理由と税金の時効、そして今後も安心して事業を続けるための対策を分かりやすく解説します。
目次
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税務調査が10年以上来ないのはなぜ?
個人事業主の元へ税務調査が10年以上来ないことは、決して珍しいことではありません。国税庁の発表によると、個人事業主に対する実地調査の件数は、毎年申告者数全体の約1%です。
税務調査の対象は、申告漏れなどのリスクが高い納税者から優先的に選ばれます。国税庁は、KSK(国税総合管理)システムという全国の納税者の申告データを一元管理するデータベースを使い、申告内容に疑わしい点がある納税者をリストアップします。
そのため、申告内容が適切で事業規模も比較的小さい個人事業主は、調査の優先順位が低くなり、結果的に長年調査が来ないケースが多くなるのです。
税務調査が10年以上来ない個人事業主の特徴は?
税務調査が10年以上来ない個人事業主は、申告内容が適切で、調査の優先順位が低いと判断されている可能性が高いです。税務署は、追徴課税を多く見込める、つまり大きな申告漏れがありそうな納税者を優先して調査するためです。
長年、税務調査の連絡がない個人事業主やフリーランスには、一般的に以下のような特徴が見られます。
- 年間売上高が1,000万円以下
売上規模が小さいと、万が一申告漏れがあっても追徴税額は少額になる傾向があり、調査の費用対効果が低いと判断されやすいです。 - 申告内容に不審な点がない
前年比での売上や経費の変動が少なく、同業種の平均的な経費率から大きく外れていないなど、申告内容が安定的だと疑われにくくなります。 - 税理士が申告に関与している
税理士が作成した申告書は、国税庁でも一定の信頼性があるとみなされる傾向があります。 - 取引が現金商売ではない
売上や経費のほとんどが銀行振込で、お金の流れが通帳で明確に追える事業は、ごまかしが難しく透明性が高いと判断されます。 - 適正な会計処理を行っている
会計ソフトを導入し、青色申告特別控除の要件を満たす帳簿を作成している場合、経理の信頼性が高まります。
逆に、売上が急増した年、多額の資産を売却した年、現金商売で売上の実態が把握しにくい事業などは、調査対象に選ばれやすくなる傾向があります。
税務調査が10年以上来ないと時効になる?
「10年経てば申告内容は時効で調査されなくなる」という考えは誤りです。税金の時効、正しくは「除斥期間」と呼ばれる権利を行使できる期間は、原則5年、悪質な場合は7年と法律で定められています。
税務署が申告漏れなどを指摘して税金を課すことができる期間は、国税通則法という法律で規定されており、この期間を過ぎると税務署は課税処分を行えません。
| 申告内容 | 除斥期間 | カウント開始日 |
|---|---|---|
| 通常の申告漏れ・計算誤り | 5年 | 法定申告期限の翌日 |
| 意図的な所得隠しなど (不正行為) | 7年 | 法定申告期限の翌日 |
| そもそも申告していない (無申告) | 5年 | 法定申告期限の翌日 |
例えば、2024年分(令和6年分)の所得税の確定申告(法定申告期限は2025年3月15日)の場合、時効のカウントは2025年3月16日から始まります。
- 通常の申告漏れの場合:2030年3月15日まで調査の可能性があります。
- 脱税と判断された場合:2032年3月15日まで調査の可能性があります。
つまり、10年前や20年前の申告は、それが悪質な脱税だったとしても、すでに7年の除斥期間が過ぎているため、原則として課税処分の対象にはなりません。
過去の申告内容に不安がある場合の対処法は?
もし過去の申告内容に誤りや漏れがあることに気づいた場合、税務署から指摘される前に自主的に修正申告または期限後申告を行うことが最善の対策です。自ら正しい内容に訂正することで、ペナルティを最小限に抑えられます。
自主的に申告すれば、ペナルティである過少申告加算税や無申告加算税が軽くなる制度があります。調査通知を受けてから修正するよりも、課されるペナルティは格段に軽くなります。
- 申告内容の見直しと証拠書類の確認
過去の申告書や帳簿、領収書・請求書などを再度確認し、売上の計上漏れや架空経費などがないかチェックします。 - 修正申告または期限後申告の準備
誤りが見つかったら、正しい内容で申告書を再作成します。- 修正申告:提出した申告書の税額が少なかった場合の手続きです。
- 期限後申告:申告期限内に申告していなかった場合の手続きです。
- 自主的な申告によるペナルティの軽減
- 税務調査前に自主的に修正申告した場合、過少申告加算税は原則不適用(免除に近い扱い)となります。
- 無申告加算税は原則15%ですが、税務調査前に自主的に期限後申告した場合は5%に軽減されます。税務調査を受けた後に期限後申告をした場合は、納付すべき税額が50万円超300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%となります。
自分で手続きするのが不安な場合は、税務の専門家である税理士に相談しましょう。正確な申告書の作成だけでなく、税務署とのやり取りも代理で行ってもらえるため、安心して問題を解決できます。
今後も税務調査の対象にならないための対策は?
税務調査を100%回避する方法はありませんが、正確な記帳や税理士関与により対象となる可能性を下げることはできます。
1. 日々の記帳を正確かつタイムリーに行う
会計ソフトなどを活用し、毎日の取引をその都度入力する習慣をつけましょう。銀行口座やクレジットカードを連携させれば、多くの取引が自動で記帳され、入力漏れやミスを防げます。
2. 領収書や請求書などの証拠書類を整理・保管する
売上に関する請求書や経費に関する領収書は、日付順や取引先別に整理し、いつでも取り出せるようにしておきましょう。また、電子帳簿保存法のルールに従い、電子データで受け取ったものはデータのまま保存することが重要です。
3. 確定申告前にセルフチェックを行う
確定申告書を提出する前に、以下の点をご自身でチェックする習慣をつけましょう。
- 売上の計上漏れはないか
- 個人的な支出を経費にしていないか
- 経費率が前年や同業他社と比べて極端に高くないか
- 勘定科目に不自然な点はないか
4. 税理士に関与してもらう
費用はかかりますが、税理士に顧問や確定申告を依頼することは、最も確実な税務調査対策です。申告書の信頼性が向上するだけでなく、日々の経理処理に関する的確な助言も受けられ、事業に専念できるという大きなメリットがあります。
税務調査のリスクを引き続き最小限に抑えましょう
税務調査が10年以上来ないのは、あなたの申告が適切である証拠かもしれません。しかし、それは絶対的な安全を保証するものではありません。税金の時効は原則5年(悪質な場合は7年)であり、この期間内は常に調査の可能性があることを忘れないでください。
今後も税務調査のリスクを最小限に抑えるには、日頃からの正確な記帳と証拠書類の保管が何よりも大切です。もし過去の申告に少しでも不安があれば、手遅れになる前に専門家である税理士に相談することをおすすめします。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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