- 更新日 : 2025年8月28日
エアコン取り付け業の年収は?個人事業主の売上・経費・独立までの準備を解説
エアコン取り付け業は、技術を活かして比較的短期間で高収入を目指せる職種として注目されています。個人事業主として独立すれば、自分のペースで仕事量を調整できる反面、収入や経費管理、閑散期の対応など課題も多くなります。
本記事では、エアコン取り付け業で独立を考える方に向けて、年収の相場や売上構造、必要な資格や届け出、繁忙期と閑散期の収入差、従業員雇用の影響などを解説します。
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目次
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エアコン取り付け業の年収は?個人事業主の平均と相場
エアコン取り付け業で独立した個人事業主は、収入面で比較的高い水準を狙える職種です。ここでは、会社員との比較や年収分布の実態について解説します。
正社員と個人事業主の年収の違い
エアコン取り付け業界で働く会社員の平均年収はおおよそ420万円で、一般的なサラリーマンと同程度といえます。一方で、個人事業主として独立した場合、収入は自らの受注力に左右されるため、年収400万円台から1,000万円超まで幅広いのが実情です。電気工事士として独立した場合も、平均で約500万円以上と言われており、努力次第で会社員より高収入を目指すことが可能です。正社員は閑散期でも給与が安定している一方、個人事業主は仕事がなければ収入が下がるリスクがあります。ただし、繁忙期に集中して作業をこなせば、短期間で高収入を得るチャンスもあります。独立直後は年収500万円以下の人が多い傾向にありますが、経験や信頼の積み重ねにより安定した高収入も十分見込めます。
個人事業主の平均年収レンジと分布
個人事業主として活動するエアコン取り付け業者の多くは、年収500万〜1,000万円のレンジに集中しています。トップ層では2,000万円を超える売上を記録する事業者も存在します。
一方で、副業として行っている人や独立直後のケースでは100万円台の収入にとどまる場合もあり、同じ業種でも大きな差があります。高収入を実現している人は、高度な施工技術や国家資格を保有し、大型案件を安定的に受注している傾向が見られます。また、顧客との信頼関係を築き、リピーターや紹介によって仕事を増やしている点も共通しています。個人事業主にとって収入は完全に実力次第であるため、努力と継続が成果に直結する業界といえるでしょう。
エアコン取り付け業で独立する時に取得しておきたい資格
エアコン取り付け業で個人事業主として独立するには、法律上の工事要件を満たすために一定の資格が必要です。安全かつ合法に作業を行うためにも、必要な資格を把握しておくことが大切です。ここでは独立時に取得しておきたい資格を紹介します。
第二種電気工事士
エアコン取り付けに必須とされるのが「第二種電気工事士」です。エアコン本体の取付作業自体は資格がなくても可能ですが、電源に直接接続する「電源直結工事」やコンセントの新設・変更などを行うには、電気工事士の国家資格が求められます。第二種は一般家庭用の低圧電気(600V以下)に対応しており、エアコン工事には十分対応可能です。試験は筆記と実技に分かれ、年2回実施されます。合格後は都道府県に登録して免状の交付を受ける必要があります。
ガス溶接技能講習・フロン類取扱い関連の講習
エアコンの冷媒ガスに関わる作業を行うには、冷媒ガスに関する知識も求められます。法律上、フロンガスの回収や漏洩防止を適切に行う責任があるため、「フロン類回収技術者講習」や、業務用エアコンの場合は「第一種フロン類充填回収業者」の登録が必要となる場合もあります。さらに、溶接が必要な作業では「ガス溶接技能講習」の修了が条件となるケースもあります。
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エアコン取り付け業で独立する際に必要な届け出や手続き
エアコン取り付け業で個人事業主として独立するには、いくつかの行政手続きが必要です。まず、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。提出期限は開業から1か月以内で、併せて「青色申告承認申請書」を提出すれば、最大65万円の所得控除が受けられる青色申告が利用できます。
また、エアコン工事で電気配線を扱う場合には、「第二種電気工事士」の資格を取得し、都道府県への「電気工事業開始届出書」も必要です。工事規模によっては建設業許可(管工事業など)も検討されますが、小規模であれば不要な場合もあります。
加えて、業務用エアコンを扱う場合には、フロン排出抑制法に基づき「第一種フロン類充填回収業者」の登録が必要となることもあります。こうした届け出を漏れなく行うことで、法律に則った営業が可能となります。
エアコン取り付け業の個人事業主の売上の仕組み
エアコン取り付け業で個人事業主として独立した場合、売上がそのまま手取り収入になるわけではありません。ここでは、売上の仕組みについて解説します。
売上から所得への仕組み(利益率)
エアコン取り付け個人事業主の収入構造では、一般的に売上の6〜7割が手元に残る利益とされています。たとえば、年間売上が800万円の場合、必要経費を差し引いた後の実質的な所得は約480万〜560万円ほどとなる計算です。これは、エアコン設置に必要な部材の仕入れ、現場までの交通費、車両維持費などを含めると、およそ3〜4割が必要経費としてかかってくることを意味します。
電気工事の一人親方については、2024年の全建総連東京都連合会「賃金調査報告書」によると日当22,756円程度が平均とされています。例えば、月に20日働けば月収約46万円、年収換算で546万円程度が見込まれます。ただし、ここから燃料代や工具のメンテナンス費、保険料などを支払う必要があるため、最終的に手元に残る金額は売上全体の60%前後になることが多いです。
収入を安定的に増やすためには、作業件数を増やすだけではなく、経費を効率よく管理し、利益率を高めることが重要です。同じ売上500万円であっても、経費が200万円の場合と100万円で済む場合では、所得は大きく異なります。支出の見直しは、個人事業主にとって収入向上のために欠かせません。
エアコン取り付け業の個人事業主の主な経費
エアコン取り付け業を営む個人事業主が実際に負担する主な経費は多岐にわたります。以下に、代表的な費用項目を紹介します。
材料費
エアコンの設置には配管や電線、化粧カバー、ボルトなどの部材が必要です。1件あたり数千円から1万円前後の材料費がかかるため、施工件数が増えるほど材料費も比例して上昇します。
機器代
顧客からエアコン本体を支給される場合にはこの費用はかかりませんが、自身が機器を仕入れて施工する場合、その仕入れ原価が発生します。家電量販店等と提携して工事を請け負う場合はこの費用を持たないケースもありますが、完全に独立した販売・設置スタイルを取ると大きなコストになることがあります。
交通費・車両維持費
現場までの移動に伴うガソリン代、高速道路料金、駐車料金などが該当します。また、作業車両の維持にも費用がかかり、保険料、タイヤやオイルの交換費、車検なども経費に含まれます。エリアを広範囲に移動する場合や、山間部などアクセスが困難な地域ではこの負担が増える傾向にあります。
工具・設備投資
開業時には真空ポンプやドリル、電動工具、脚立といった基本装備が必要で、初期投資だけで50〜100万円かかることもあります。使用頻度が高く消耗も早いため、修理や買い替えといった継続的な費用も発生します。新しい施工技術や業務の拡大に伴い、新機材の導入を検討することもあるでしょう。
人件費・外注費
基本的に一人で作業を行う場合には発生しませんが、繁忙期に助手を雇ったり、作業を他の職人に外注したりする場合は人件費が必要になります。短期的なアルバイトや業務委託を活用することが多く、案件の規模や工期によって支払い額は異なります。
保険料・安全対策費
作業中の事故に備えて、個人事業主でも労災保険への特別加入や損害賠償保険への加入を検討する必要があります。年額数万円の出費になりますが、万が一の際の備えとして重要です。加入に際しては、まずは都道府県労働局に問い合わせてみましょう。特に高所作業や電気工事を伴う業務では、こうしたリスク管理も経費として適切に考慮されます。
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エアコン取り付け業の繁忙期と閑散期の収入差
エアコン取り付け業は、季節による収入差が大きい業種です。夏場は冷房需要の急増により仕事量が急増し、収入の大部分をこの時期に稼ぐ構造となっています。一方、秋から春にかけては案件が減り、収入が大きく落ち込むこともあるため、閑散期の対応が重要です。
繁忙期(夏季)の収入と仕事量
5月から9月は冷房の設置需要が最も高く、7月〜8月は繁忙のピークです。また、引っ越しシーズンである3月~4月にも需要は増えます。この時期には1日で複数件の工事をこなすことが可能となり、日収5万円以上、月収100万円超を実現する個人事業主も少なくありません。実際、年間売上の6〜7割を夏だけで稼ぐ例もあります。
たとえば1件あたり平均利益1.1万円の案件を1日5件こなせば、月24日の稼働で約130万円の利益になります。特にフリーランスで直接顧客を抱えている場合は、受注単価が高く、1ヶ月に100万円〜300万円を売り上げるケースもあります。
ただし、繁忙期の収入は天候に左右されやすく、冷夏の年には依頼が減ることもあります。一方で猛暑になると体力的に厳しくなるため、オフシーズン中に体調を整えておくなどの準備が大切です。
閑散期(冬季)の収入と仕事確保
秋から春にかけては冷房の需要が減少し、ルームエアコンの設置工事は減る傾向にあります。この閑散期の収入減を補うにはいくつかの工夫が必要です。
ひとつは、暖房用エアコンの設置や業務用エアコン工事の受注です。商業施設や法人向け案件は季節に関係なく発生するため、こうした顧客との関係構築が安定収入につながります。
また、エアコンクリーニングやメンテナンスなど、関連サービスを提供するのも効果的です。特に分解洗浄などのサービスは需要があり、取り付け業と組み合わせて年間を通じた売上確保が見込めます。
そのほか、新築やリフォーム案件に対応する、内装業や電気工事など他業種と併営するなども手段の一つです。季節によって業種を切り替える個人事業主も多く見られます。
このように、エアコン取り付け業は繁忙期にしっかり稼ぎつつ、閑散期には柔軟なサービス提供や営業努力によって収入の平準化を図ることで、年間を通じた安定経営が可能となります。
エアコン取り付け業で従業員を雇った場合の年収への影響
エアコン取り付け業で事業が軌道に乗り、依頼件数が自分ひとりでは対応しきれなくなった場合、従業員の雇用を検討する段階に入ります。従業員を雇えば受注件数を増やせて、売上の拡大が見込めますが、その分人件費や保険料などの固定費が発生します。
たとえば1人で月100万円の売上を上げていたところに、従業員を加えて月150万円の売上を達成しても、従業員の給与や経費を引いた利益が以前より減る可能性もあるため、費用対効果の精査が重要です。
従業員の雇用を検討すべきケースは、繁忙期に受注を断っている、工期が遅延している、作業量が体力的に限界に近づいているといった状況です。このような時期に人手を増やせば、売上の機会損失を防ぎ、長期的な成長にもつながります。ただし、安定した受注基盤があることが前提となるため、雇用は慎重に判断する必要があります。
エアコン取り付け業で安定収入を目指そう
エアコン取り付け業は、実力次第で高収入が期待できる一方、季節変動や経費管理など独立開業ならではの課題も伴います。必要な資格や届け出を整え、繁忙期の稼ぎを最大化しつつ、閑散期の対策も講じることで、年間を通じた安定経営が実現します。丁寧な準備と継続的な努力を重ね、自分の強みを活かした経営スタイルを築いていきましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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