• 更新日 : 2025年8月8日

個人事業主が自動引き落としを導入するには?仕組み・費用・手続きを解説

自動引き落とし(口座振替)は、顧客からの定期的な代金回収を効率化したい個人事業主にとって、有力な選択肢のひとつです。本記事では、自動引き落としの基本的な仕組みから、導入方法、手数料や初期費用の相場、他の決済手段との比較を解説します。さらに、経理処理や確定申告時の注意点についても触れ、実務面での負担を減らすポイントを整理します。

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自動引き落とし(口座振替)とは

自動引き落とし(口座振替)とは、あらかじめ決められた日に顧客の預金口座から代金を自動で引き落とし、事業者の口座へ振り替える決済方法です。電気料金やガス料金、家賃、習い事の月謝など、定期的な支払いを自動処理できるため、支払う側は払い忘れの心配がなく、受け取る側の事業者もスムーズに資金回収できます。口座振替は銀行口座さえあれば利用できる仕組みで、「口座引き落とし」「口座自動振替」などとも呼ばれます。

この仕組みでは、事前に顧客から口座振替の承諾(金融機関への届け出等)が得られれば、毎月決まった引落日に指定口座から自動で代金が引き落とされます。引落日はサービス提供者(事業者)が設定し、当日になると事業者側から金融機関に引き落とし依頼がかけられます。銀行は口座残高を確認し、残高不足でなければ指定金額を事業者の口座へ振り込みます。このように一度手続きを設定すれば以降の支払い処理が自動化されるのが口座振替の大きな特徴です。

個人事業主が自動引き落としを導入するメリット

自動引き落としは、顧客から継続的に代金を回収する必要がある個人事業主にとって、非常に有効な決済手段です。導入することで、事業者側・顧客側の双方にとって利便性が高く、トラブルや作業負担の軽減にもつながります。

事業者にとってのメリット

自動引き落としを導入することで、定期的な請求業務が自動化され、毎月の資金回収が確実かつ安定します。手作業による請求書発行や入金確認、催促業務などの手間が削減され、集金にかかる時間と人件費を抑えることができます。また、銀行振込にありがちな支払忘れによる未入金のリスクを軽減でき、キャッシュフローの見通しが立てやすくなります。振込手数料が発生しないため、顧客にとっても導入のハードルが低く、長期的に安定した収益確保にもつながります。

顧客にとってのメリット

顧客側のメリットとしては、支払いの都度振込や現金払いをする手間がなくなる点が挙げられます。毎月決まった金額を支払うようなサービスでは、自動引き落としを設定しておくことで、払い忘れによる延滞やサービス停止の心配がなくなります。さらに、銀行窓口やATMに出向く必要がなくなり、支払いにかかる時間の節約にもなります。一度口座情報を登録すれば継続的に決済が行われ、金融機関のシステムを通じた処理となるため、情報漏えいのリスクも抑えられます。セキュリティと利便性の両立が図れる点が魅力です。

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個人事業主が知っておきたい自動引き落としの注意点

自動引き落としは便利な仕組みですが、導入・運用には事前の準備やコスト、運用面でのリスクにも目を向ける必要があります。事業者と顧客の双方が留意すべき点を確認しておきましょう。

事業者の注意点

自動引き落としを導入するには、顧客に依頼書を記入してもらい、金融機関に届け出るなどの準備が必要です。一部の金融機関等ではオンラインで手続きできる場合もあります。書類の不備があると手続きが滞り、開始が遅れることもあります。また、残高不足や口座情報の誤りで引き落としに失敗した場合は、再連絡や再請求などの対応に追われる可能性があります。加えて、口座振替システムの利用料や引落データ作成におけるセキュリティ対策の費用がかかるため、管理負担やコストが増える点も見過ごせません。導入にあたっては、サービス内容をよく比較し、信頼性の高い業者を選ぶことが欠かせません。

顧客側の注意点

顧客にとっても、自動で引き落とされる仕組みは利便性が高い反面、引落日や金額を把握していないと「知らないうちにお金が引き落とされた」と感じる原因になります。残高不足があると支払いが完了しないため、口座の資金管理にも注意が必要です。また、メインで使う銀行口座を変更した場合、振替先口座の登録情報を更新しなければならず、これを怠ると支払いミスや延滞の原因になります。顧客にも一定の注意と管理が求められる点を説明し、理解を得ることが円滑な運用につながります。

個人事業主が自動引き落としを導入する方法

自動引き落とし(口座振替)を導入したい個人事業主には、大きく2つの方法があります。ひとつは銀行と直接契約する方法、もうひとつは決済代行会社を利用する方法です。それぞれに手続きや運用の特徴があるため、適した方法を選ぶことが大切です。

銀行と直接契約する方法

金融機関と直接契約して自社で振替の仕組みを構築する方法は、手数料を抑えたい場合に適しています。ただし、手続きがやや煩雑で、個人事業主では契約できない銀行もあるため、事前確認が必要です。

銀行への申し込みと審査

希望する銀行に口座振替サービスの申し込みを行い、所定の審査を受けます。金融機関によっては法人のみ対応している場合もあり、個人事業主では利用できないケースもあります。

顧客への依頼書配布と提出

審査通過後、銀行指定の「口座振替依頼書」を顧客に配付し、必要事項を記入・押印してもらいます。印鑑の相違や記入漏れがあると再提出となるため、提出前に内容を確認することが望ましいです。

銀行での登録処理

依頼書に問題がなければ、銀行側で登録手続きが行われます。登録完了までには通常1〜2か月程度かかります。

引き落としの開始と運用

登録が完了すれば、指定日に自動引き落としが実行されます。入金内容を確認し、自社で入金消込や帳簿づけを行い、会計処理に反映させます。

銀行と直接契約するメリット・デメリット

金融機関と直接契約して自動引き落としを導入する方法は、1件あたりの振替手数料が比較的安く、中間マージンが発生しにくい点がメリットです。反面、導入時の審査や手続きが複雑で、複数の銀行を利用する場合はそれぞれに申し込みが必要です。入金管理や会計処理も自社で対応する必要があるため、運用負担が大きくなります。コストを抑えたいが事務作業を厭わない個人事業主に適しています。

決済代行会社を利用する方法

決済代行サービスを活用する方法は、導入・運用が比較的簡単で、個人事業主にも利用しやすい仕組みです。手数料は銀行よりやや高めですが、サポートや対応力の高さが魅力です。

代行業者への申し込みと審査

契約したい決済代行業者に申し込みを行い、所定の審査を受けます。業者によっては法人限定や最低請求件数の条件があるため、契約前に個人事業主が対象かどうかを確認しておく必要があります。

顧客の情報登録(紙またはオンライン)

契約後は顧客の口座情報を登録します。紙の依頼書に記入してもらう方法に加え、近年はオンライン登録を導入している業者もあり、システム上で入力・承認を完結できます。

引き落としの実施と銀行連携

登録が完了すると、代行業者が各金融機関と連携して口座振替を実施します。広範囲の銀行に対応しており、顧客がどの銀行口座を使っていても引き落としできる利便性があります。

回収金の入金と管理

回収された資金はまとめて事業主の口座へ振り込まれます。振込のタイミングや手数料は業者によって異なりますが、請求状況や入金結果は専用のWebシステムで確認・管理することができます。

決済代行会社を利用するメリット・デメリット

決済代行サービスを利用する方法は、導入や運用の手間が大幅に軽減される点が大きなメリットです。1社との契約で多数の金融機関に対応でき、入金管理や督促も一元化されるため、事務作業が効率化します。顧客にとっても、普段使っている口座から引き落としできる利便性があります。一方で、初期費用や月額料金、振替手数料などのコストは銀行との直接契約より高くなる傾向があります。それでも手軽さと確実性を重視する個人事業主には適した選択肢です。

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自動引き落としの導入までにかかる期間と初期準備

自動引き落としをスムーズに導入するためには、開始までにかかる期間と必要な準備を事前に把握しておくことが重要です。契約方法によって所要期間が異なり、初期準備の質がその後の運用にも影響します。

導入までにかかる期間

金融機関と直接契約を行う場合、申請から実際の運用開始までに1〜2か月程度かかるのが一般的です。これは、銀行側の審査や登録作業に加えて、顧客から提出される口座振替依頼書の回収・確認作業にも時間を要するためです。一方で、決済代行サービスを利用する場合は、オンライン手続きを採用している業者も多く、スムーズに進めば数週間で導入が完了するケースもあります。スピード導入を希望する場合は、対応が早いことを強みとする代行業者を選ぶのが効果的です。

初期準備

まずは、顧客の氏名や住所、銀行口座情報など、振替手続きに必要な情報を整理し、誤りや不足がないよう確認しておきましょう。

また、顧客には自動引き落としの導入について事前に案内文を送り、同意を得る必要があります。特に紙の依頼書を郵送する場合は、返送の手間があるため、利便性や費用面のメリット(振込手数料不要など)を伝えることで、協力を得やすくなります。

さらに、銀行との直接契約であれば取引銀行の窓口担当者と、代行業者を使う場合は営業担当と、導入スケジュールや必要書類、提出期限などを事前に調整しておくと安心です。初回引き落とし希望日から逆算して、手続きが間に合うように準備を進めましょう。

自動引き落としと他の決済手段の比較

自動引き落としの導入を検討する際は、他の決済方法との違いや特性を比較することが大切です。それぞれの決済手段のコストや運用負担、顧客側の利便性を把握し、自社に合った方法を選びましょう。

銀行振込

銀行振込は、顧客に請求書を送り、指定口座に振り込んでもらう一般的な方法です。振込手数料は顧客負担となることが多く、1回あたり数百円かかります。毎回手続きが必要なため、顧客にとっては面倒で、支払い忘れのリスクもあります。事業者側も入金確認や消込作業が必要となり、業務負担が大きくなりがちです。ただし、単発での支払いには手軽で、導入のハードルが低い点はメリットです。

クレジットカード決済

クレジットカード決済は、自動課金が可能で支払い忘れを防げるほか、顧客側の利便性も高い方法です。ポイント付与などの特典もあり、利用者には人気があります。一方、事業者にとっては3〜5%程度の決済手数料が発生し、特に高額取引ではコストが大きくなります。また、クレジットカードを持たない顧客層には利用してもらえないという制限もあります。

現金払い

現金での集金は、手数料がかからない点では有利ですが、集金・入金にかかる時間や人手のコスト、未払い時の対応など、管理負担が非常に大きい方法です。現金を扱うことによる防犯上のリスクもあり、定期的な集金には不向きです。顧客満足度の観点からも、キャッシュレス手段との併用が望まれます。

QRコード決済

スマートフォンを利用したQRコード決済は、若年層を中心に広く普及しています。事業者側の手数料は1〜3%程度で、クレジットカードと同程度です。少額取引に強く、手軽さも魅力ですが、都度の支払い操作が必要なため、自動引き落としのような完全自動化には対応してないものもあります。すべてのQRコード決済について定期課金向きではないものの、サブスクや会費収集など小規模な用途には有効です。

自動引き落とし利用時の帳簿処理と確定申告上のポイント

自動引き落としを導入すると、売上の入金処理や帳簿付けに関しても特有の対応が必要になります。個人事業主として適切な経理処理を行うために、売上の計上時期や手数料の取り扱い、帳簿管理の基本を確認しておきましょう。

売上の計上は発生主義で処理する

口座振替による入金であっても、売上はサービスや商品の提供が完了した時点で計上するのが一般的です。たとえば、10月に提供したサービスの代金を11月に引き落とした場合、売上自体は10月に計上し、同時に売掛金を計上する必要があります。そして11月に入金された際に、売掛金を回収する処理を行います。

これは「発生主義」に基づく処理方法であり、現金主義で申告する白色申告者などを除けば、多くの個人事業主に求められる基本的な考え方です。月をまたぐ入金が発生しやすい自動引き落としでは、未収金の管理や記帳ミスが起きないよう、取引発生日ベースでの帳簿付けを徹底する必要があります。

手数料の仕訳と経費区分

自動引き落としに関わる手数料(振替手数料、振込手数料、月額利用料など)は、すべて必要経費として計上できます。会計上の勘定科目は「支払手数料」を使うのが一般的で、少額の場合には「雑費」として処理することも可能です。

例えば、1万円の売上に対して200円の手数料が発生し、実際の入金額が9,800円だった場合は、売上高1万円、入金9,800円、支払手数料200円として仕訳します。このように、売上は手数料差引前の金額で記録し、手数料は別の経費として処理するのが適切です。科目の使い分けは明確にし、年度を通じて一貫性のある記帳を行いましょう。

通帳記帳と口座管理

自動引き落としで得た入金は、必ず通帳記帳やネットバンキングの明細と帳簿を照合し、記載漏れや金額の不一致がないかを確認します。特に未入金や二重入金といったトラブルが発生していないか、定期的にチェックすることが重要です。

また、事業用とプライベート用の口座を明確に分けておくことも、帳簿管理を正確に行うためのポイントです。自動引き落としの導入後は事業用口座の入出金が増える傾向にあるため、経理処理の手間を省き、公私混同を防ぐためにも、専用口座での管理をおすすめします。帳簿上の整合性を保つことで、確定申告時の準備もスムーズになります。

自動引き落としを導入して、安定した資金回収を実現しよう

自動引き落とし(口座振替)は、継続的な代金回収が必要な個人事業主にとって、信頼性と効率性を兼ね備えた決済手段です。手作業の請求や集金が不要になり、顧客も支払いの手間が省けます。導入方法には銀行との直接契約と決済代行会社の利用があり、費用や手続きに違いがあります。帳簿処理や確定申告においても適切な管理が求められますが、事前準備を整えることで負担は大きく軽減されます。事業の安定運営に役立つ仕組みとして、導入を検討してみましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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