- 更新日 : 2025年8月8日
ビジネスキーパーは個人事業主でも加入できる!メリット・保険料・補償内容を解説
個人事業主にとって、突発的なトラブルや自然災害による損害は、事業継続に大きな影響を与える可能性があります。三井住友海上の「ビジネスキーパー」は、そうしたリスクに備えるための総合事業保険で、火災・風水害・盗難・賠償責任・休業損害など幅広い補償を一本でカバーできる点が特徴です。
本記事では、個人事業主がビジネスキーパーを選ぶ際に知っておきたい補償内容・契約条件・経費処理・利用事例を解説します。
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目次
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ビジネスキーパーは個人事業主も加入可能な総合事業保険
ビジネスキーパーは、三井住友海上が提供する総合事業保険です。店舗の火災や自然災害、事故による損害から営業休止中の損失補填まで、幅広い事業リスクに対応しており、個人事業主でも加入可能です。ここでは、基本概要と加入対象者について解説します。
総合補償型保険としての特長
ビジネスキーパーは、火災・風水害などの自然災害に加え、盗難や設備故障、第三者への賠償責任までを1つの契約でカバーできる点が特徴です。保険の範囲を事業形態に合わせて選べるため、店舗営業型・在宅型のどちらの業種でも活用できます。
個人事業主でも加入可能な柔軟設計
法人契約が中心の総合保険ですが、ビジネスキーパーは個人事業主やフリーランスも対象としています。自宅兼事務所や店舗を持つ小規模事業主でも、最低限の手続きで契約可能です。設備資産や商品在庫、看板などの損害にも対応しており、保険金によって事業再建の負担軽減が期待できます。
事業の継続を支えるリスク対策として有効
個人事業主は、突発的なトラブルがそのまま経営リスクに直結します。公的支援だけでは補えない部分を、ビジネスキーパーで補償することで、安定した事業運営が実現します。開業直後で資金余裕がない事業者にとっても、補償範囲を絞って保険料を抑える工夫が可能です。
個人事業主のビジネスキーパーの利用事例
三井住友海上のビジネスキーパーは、実際にどのような場面で個人事業主の事業運営を支えているのでしょうか。ここでは、具体的な利用シーンを通して有効性を紹介します。
飲食店火災による設備損失と休業の補償
小さな飲食店を経営している個人事業主が深夜に火災に遭った場合、厨房設備や内装の焼失という直接的な被害に加え、営業停止による売上減少という二重の損害を受ける可能性があります。こうした状況では、ビジネスキーパーの「財物損害補償」によって焼失した設備の再取得費用を補償し、「休業損害補償」によって営業停止期間中の利益喪失分が支払われます。さらに、延焼により近隣に被害が及んだ場合でも、「失火見舞費用」を見舞金にあてることができます。
店舗での転倒事故と賠償リスクへの対応
雑貨店や小売業を営む事業者のもとで、来店客が商品につまずいて転倒し、けがを負った場合には、治療費や慰謝料を求められる可能性があります。このようなケースでは、ビジネスキーパーの「賠償責任特約」により、発生した賠償金の支払いや示談交渉費用が保険でカバーされます。仮に事業者に明確な過失がなかったとしても、顧客対応として見舞金を支払うことは珍しくなく、そうした金銭的負担を軽減できるのは心強い点です。
感染症による休業と補償の適用
飲食業では、食中毒や感染症による営業停止が事業リスクとして常に存在します。たとえば、経営するカフェで食中毒が発生し、保健所から営業停止を命じられた場合、休業期間中の収入は失われます。しかし、ビジネスキーパーにはベーシック以上のプランにおいて、「食中毒・特定感染症による休業補償」が含まれており、こうした休業損失を保険でカバーすることが可能です。新型コロナウイルスをはじめ、今後も感染症リスクに直面することが予想される中、こうした補償は大きな安心材料となるでしょう。
盗難や自然災害による資産損害
さらに、店舗への侵入盗による什器や商品の盗難、あるいは台風や暴風によって看板が飛ばされ破損したケースでも、財物損害補償が適用されます。修理や再購入にかかる費用を自己負担せずに済む点は、資金繰りに直結する個人事業主にとって大きなメリットです。
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ビジネスキーパーの補償内容と範囲
三井住友海上の「ビジネスキーパー」は、事業を営むうえで起こり得るさまざまな損害や賠償リスクに対応する総合保険です。
基本補償は財物と休業の2つに分かれており、必要に応じて特約を組み合わせることで、個人事業主にも柔軟な備えが可能です。
財物損害と休業損害の基本補償
基本補償のうち「財物損害」では、火災・風水害・盗難などにより建物や設備、商品などが損傷した場合に保険金が支払われます。これにより店舗や事務所の修理費、什器の買い替え費用などをカバーすることができます。また「休業損害」は災害や事故などにより営業が停止し、売上が減少した場合の補償です。営業再開までの期間、家賃や人件費など固定費がかかるなか、保険金によって資金繰りを安定させることができます。さらに食中毒や感染症による行政指導で休業を余儀なくされた場合も、休業補償の対象となることがあります。
労災・業務災害の補償は対象外
ビジネスキーパーは物的損害や賠償責任への備えを主とする保険であり、従業員や事業主自身のケガについては対象外です。事業主本人が業務中にケガを負った場合は、民間の傷害保険や労災保険の特別加入制度を併用する必要があります。2024年11月からはフリーランス向けの公的労災保険制度も拡充されました。ビジネスキーパーとこれらの制度を併用することで、事業資産と人的リスクの両面から備えることが可能になります。
特約により賠償責任リスクにも対応
ビジネスキーパーは、賠償責任に関する補償も特約によって追加可能です。たとえば「賠償責任補償特約」では、来店者の転倒事故や取引先での器物損壊といったケースでの賠償金を補償します。また、製品やサービスが原因で損害を与えた場合に備える「生産物賠償責任特約」や、顧客から預かった物を破損してしまった場合の「受託物賠償責任補償特約」も用意されています。
加えて、借用中の建物を火災などで損傷した場合の「借家人賠償責任・修理費用補償特約」や、延焼により近隣に迷惑をかけた際の「借家人賠償責任・修理費用補償(火災等限定)特約」も付加できます。これらを組み合わせることで、事業主が直面するかもしれないトラブルに広く備えることができます。
ただし、特約を多く付ければその分保険料も上がるため、自分の業種・業態に応じて本当に必要な補償を選択することが大切です。ビジネスキーパーはその柔軟性によって、個人事業主にも使いやすい保険といえるでしょう。
ビジネスキーパーの保険料と契約条件
三井住友海上の「ビジネスキーパー」は補償内容の選択肢が多く、契約条件も柔軟に設計されています。そのため、個人事業主が自分の事業規模やリスクに合わせたプランを選ぶには、保険料の構成要素や契約ルールを理解することが大切です。
保険料の決まり方と目安
ビジネスキーパーの保険料は、定額制ではなく複数の要素をもとに算出されます。基本的には補償プラン(エコノミー、ベーシック、ワイド、ワイドPlus)の選択、保険金額、建物の構造や築年数、所在地の災害リスクなどが反映されます。たとえば、火災に強い耐火構造の建物であれば、木造建物よりも保険料は安くなる傾向があります。また、河川の近くや海沿いといった水害リスクの高い地域では、水災補償を加えることで保険料が高くなることがあります。
三井住友海上が公表するモデルケースでは、鉄骨造の事務所ビル(建物評価額1億円、設備什器1,000万円、休業補償30日)を想定した場合、年間保険料はエコノミープランで約29万円、ワイドPlusプランで約125万円とされています。もっとも、これは大規模物件の場合であり、個人事業主が対象とするテナントオフィスや小売店舗であれば、保険料は年数万円台から始まる場合も多くあります。
保険料を抑えるポイントとして、建物を所有せず賃貸物件で営業している場合は、建物補償を除外することが可能です。あわせて、休業損害補償の金額や日数設定、賠償責任特約の有無などを調整することで、無理のない保険料で実効性のある補償が得られます。
契約の条件と注意点
ビジネスキーパーは基本的に1年単位で契約・更新されます。契約時には、建物・設備・商品などの補償対象ごとに評価額を設定し、適正な保険金額を見積もることが求められます。評価額が過少だと、損害時に保険金が一部しか支払われない場合があるため、正確な資産額をもとに契約することが大切です。
また、注意したい点として、ビジネスキーパーは「財物損害補償」に加入していないと、その他の特約(賠償責任補償や借家人賠償補償など)を追加することができません。たとえば、休業損害だけを契約する場合は、賠償関連の特約は付加できない仕組みです。このため、設備や商品への補償を最低限でもつけることで、補償範囲を広げやすくなります。
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ビジネスキーパーの経費計上と確定申告の扱い
三井住友海上のビジネスキーパーは、保険料の支払いに加えて、税務処理上のメリットもある点が注目されています。ここでは、個人事業主が加入した際の経理処理と確定申告における扱いについて解説します。
保険料は経費計上できる
保険料は、事業活動に付随するリスク管理費用として「必要経費」に含めることができます。確定申告では、青色申告・白色申告のどちらであっても、勘定科目は「損害保険料」として帳簿に記載し、事業所得から差し引くことが可能です。年間保険料が数万円から十数万円程度であっても、課税所得の圧縮につながるため、実質的な節税効果を期待できます。規模の小さい事業主にとって、こうした経費処理による負担軽減は大きな意味を持ちます。
保険金受取時の税務上の取扱い
一方で、ビジネスキーパーによって実際に保険金を受け取った場合は、その性質に応じた税務処理が求められます。たとえば、火災などで設備が焼失し、その修繕・再取得に保険金が支払われた場合、これは損失補填であり、原則として課税対象にはなりません。支出と保険金の受け取りが相殺されるため、収支として中立な処理になります。
これに対し、営業休止中に受け取る「休業損害補償金」は、もともと得られるはずだった事業収益の代替であるため、事業所得として課税対象となります。売上の一部とみなされるため、他の収入と合算し、必要経費を控除した上で申告する必要があります。ごく稀に保険金が実際の損害額を上回る場合には、その超過分が「雑収入」的な扱いとなり課税対象となる可能性があります。
ビジネスキーパーの申込方法
ビジネスキーパーへの加入を検討する際は、三井住友海上の代理店や担当者に相談して見積もりを取るのが一般的です。個人事業主向けとはいえ商品の性質上ネット上でそのまま加入手続きまで完結するものではないため、まずは取扱代理店に問い合わせてください。保険代理店経由であれば、事業内容や規模に応じたリスク診断を受けながら最適な補償プランの提案を受けられます。申し込み時には事業の業種・業態、所在地、建物や設備の概要(構造・面積・時価額など)、従業員数や年間売上高(休業補償額算定の参考)などを聞かれることがあります。見積もりを比較検討した上で補償内容と保険料に納得できれば、正式に申込書を交わして契約成立となります。契約後は保険証券が発行されますので、内容を確認し大切に保管しておきましょう。
ビジネスキーパーは個人事業主の事業継続を支える総合保険
三井住友海上が提供する「ビジネスキーパー」は、火災・自然災害・休業損害・賠償責任などを包括的に補償する総合事業保険です。個人事業主やフリーランスでも加入できる柔軟な設計が特徴で、小規模事業者の突発的なリスクに備える手段として活用されています。
保険料は事業規模や補償内容によって変動しますが、経費として計上できるため節税効果も期待できます。万一の際には、資産の損害や営業停止による売上減少を補うことで、個人事業主の事業継続と早期再建を力強く支えてくれる存在となるでしょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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