- 更新日 : 2025年3月5日
個人事業主の住民票発行手数料で利用する勘定科目は?仕訳や注意点を解説
許認可の取得や車両の取得などで、個人事業主が市区町村から住民票を取得するケースがあります。事業に直接関係する住民票発行手数料は必要経費にできますが、今回は使用する勘定科目や仕訳の計上方法、計上する際の注意点などを解説します。
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目次
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住民票とは
はじめに、「住民票とはどのような書類か」「どのような場面で必要になるか」「どこで取得できるのか」などについて解説します。
住民票とは
住民票とは、住所や氏名などを公的に証明するための書類の1つです。自治体に登録されているこれらの個人情報が記載されており、用途に応じて「写し」や「除票」「不在住証明書」などの各種証明書を取得できます。
個人事業主が住民票を利用する場面
個人事業主が住民票を取得し利用する場面としては、許認可の取得や車両の取得、取引先との契約などが挙げられます。法人の場合は、法務局の「登記事項証明書」で会社の住所や商号名等を証明できますが、個人事業主の場合、登記手続きがないため代わりの書類として住民票が必要になります。
住民票の取得は各市区町村で行う
住民票の発行は、「住民基本台帳」を作成・管理している住所地の市区町村が行います。本人または同一生計親族、委任を受けた代理人(委任状が必要)などが、各種証明書の発行窓口で申請することが可能です。
個人事業主の住民票の発行手数料の勘定科目
住民票の発行手数料は、事業に直接関係するものであれば必要経費にできます。次に、住民票で使用する勘定科目について解説します。
一般的に租税公課が利用される
自治体のような官公庁で証明書を取得する場合、その手数料は一般的に「租税公課」として会計処理します。住民票の発行手数料は税金ではありませんが、国や地方公共団体に納付する税金以外の手数料などを「公課」と呼ぶことから、勘定科目として租税公課を使うことになります。
事業用ではなくプライベート用の財布・口座から支払った場合
時間や手間の都合上、個人事業主自身のプライベート用の財布や口座から住民票の発行手数料を支払うケースがあります。この場合、取得時に発行される市区町村の領収書を保管しておき、後日事業用の現金や口座から同額を出金して精算することで事業の必要経費にすることが可能です。
コンビニや郵便局で取得した場合
現在、コンビニや郵便局の提供するサービスとして「住民票」の発行手続きができるようになりました。コンビニや郵便局は証明書の発行を代行しているだけで、手数料の支払先はあくまでも市区町村です。会計処理をする際には、支払先の名称をコンビニ名や郵便局にしないように注意しましょう。
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個人事業主の住民票の発行手数料の仕訳
次に、住民票を発行する際の仕訳処理を具体的な例を挙げながら見ていきましょう。
例:市役所で住民票を取得し、手数料300円を現金で支払った
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 300円 | 現金 | 300円 |
例:市役所で住民票を取得する際、事業主が手数料300円を現金で立て替えた
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 300円 | 事業主借 | 300円 |
例:立て替えた手数料を後日、事業用現金で精算した
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 事業主借 | 300円 | 現金 | 300円 |
個人事業主の住民票の発行手数料を記帳する際の注意点
次に、個人事業主の方が住民票の発行手数料を記帳する際の注意点について列挙してみましょう。
事業の必要経費にできるのは事業に関係する場合のみ
事業所得の必要経費は「収入を得るために直接要する支出」でなければなりません。事業で使用する許認可や、事業用車両の取得費として支出するものは必要経費になりますが、例えば個人の相続税の申告用やプライベート用車両の取得費として支出したものは必要経費にならないため注意してください。
住民票の発行手数料は消費税法上の非課税取引
個人事業で消費税の本則課税方式を採用している場合、住民票の発行手数料は「非課税取引」として処理しなければなりません。発行手数料は本来サービスの提供を受けるため「課税取引」ですが、課税庁である官公庁が提供するサービスに課税するのは消費税の考え方になじまないため「非課税取引」に区分されています。
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個人事業主が「租税公課」の勘定科目で計上できる経費
住民票の他にも、租税公課の勘定科目で必要経費にできる支出を見ていきましょう。
固定資産税
事業用の土地や家屋、償却資産にかかる固定資産税は租税公課として必要経費にできます。ただし、土地や家屋などの一部(または全部)がプライベートと共用になっている場合、床面積の割合などを使ってプライベート部分を必要経費から外す(自己否認する)必要があります。
収入印紙
事業に関する契約書や領収書に貼る収入印紙は、印紙税として租税公課に該当し、必要経費にできます。
個人事業税
個人事業税が課税されている場合、支払った個人事業税は全額必要経費にできます。個人事業を廃止する場合には、課税されるのが廃止する年分の翌年になり、このままでは廃止年分の必要経費にできません。そこで、課税見込額を「見込事業税」として必要経費にすることが認められています。
住民票の発行手数料はプライベートとしっかり分けましょう
事業でもプライベートでも、住民税の発行をするケースはあります。発行の目的が事業に関するものか必ず検討し、収入を得るために要した手数料だけを必要経費に計上しましょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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