• 更新日 : 2025年3月5日

税金が払えない個人事業主が最初にすべきことは?滞納リスクや対策を解説

個人事業主にとって、税金が払えなくなる理由は数多くあります。所得税、住民税国民健康保険料(税)をはじめ、事業の資金繰り、外部環境の変化による思わぬ出費など、個人事業の運営には多くのリスクがあるのです。この記事では、個人事業主が税金を払えずに困ったときのリスクや対応策について解説します。

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税金が払えない…個人事業主のよくある理由

個人事業主が税金の支払いに困る理由として、代表的な4つのケースを見てみましょう。なお、これらが重なることもよくあるため、その場合はより総合的な対策が必要です。

売上と必要経費の管理不足

資金繰りの管理ができておらず、納税資金が不足するケースはよく見られます。確定申告の時期に税額を把握して、蓄えがないことに気づくパターンです。

事業の運営に起因するもの

顧客の変化や競合店の出現などによる収入の減少、新商品やサービスの不振などです。取引先からの入金遅延により、予定していた資金が確保できないこともあります。さらに、設備投資や人件費の増加により、手元資金が予定よりも少ないケースもあります。

知識や経験不足によるもの

税務に関する情報や知識不足により、適切な節税対策ができていないことがあります。例えば、青色申告でなく、白色申告を続けている場合などです。また、会計帳簿の記帳が不十分で、必要経費として計上できる項目を見逃していたり、独自の判断で税務処理を行っていたりするケースなども考えられます。

外部環境の変化によるもの

予期せぬ経済情勢の悪化や、災害による事業への影響などです。例えば、電気が使えず営業ができなかったり、天候によって経営が成り立たなくなったりするケースがあります。さらには、原材料費や燃料費の高騰などによる利益率の悪化なども挙げられます。

個人事業主が支払う税金には何がある?

ここで改めて、個人事業主の支払うべき税金について確認しておきましょう。

なお、税金の課税方法には「申告納税方式」(納税者が自分の所得・税額を申告をして納付する方式)と「賦課課税方式」(行政が税額を決定して通知する方式)があります。このうち、申告納税方式の税金は申告と納付が必要なため、気をつけましょう。

1. 所得税(申告納税方式)

所得税は、1年間におけるその個人のすべての所得に対して課税される国税です。所得が多いほど税率が上がる「超過累進課税制度」(5%〜45%)が採用されています。

なお、所得税を納付する際は、2037年12月31日まで通常の所得税に上乗せして復興特別所得税があり、税率は所得税額に対し2.1%です。

2. 個人住民税(賦課課税方式)

住民税には、都道府県民税と市区町村民税があります。前年の所得に対して課税される地方税で、それぞれ所得に応じた所得割と均等割で構成されます。住民税は税額が決定し市役所等から税額等が通知され、原則として翌年度の6月から翌年5月まで全部で12回に分けて納付します。

個人住民税には標準税率がありますが、実際は標準課税を踏まえて都道府県や市町村が判断して税率を定めています。

標準税率備考
所得割10%道府県民税4%、市町村民税6%
均等割4,000円令和6年から均等割と併せて森林環境税(国税)が1,000円徴収される。

参考:地方税制度 個人住民税|総務省

3. 個人事業税(賦課課税方式)

個人事業税は、事業を営む個人に課される都道府県税です。法定業種に対して課税され、対象業種ごとに税率が決まっています。(3%〜5%)

参考:地方税制度 個人事業税|総務省

4. 国民健康保険税(国民健康保険料)(賦課課税方式)

国民健康保険税(国民健康保険料)は、国民健康保険の加入者が市区町村に支払う社会保険税(料)です。法律上は、「保険料」より「保険税」が上位の債権となるため、市町村によっては「税」としているところがあります。

国民健康保険税と国民健康保険料は、所得割、資産割、均等割、平等割等から算定されます。最終的に市町村の条例で金額や納期が定められますが、保険料率は実施する自治体によってさまざまです。一例として、令和7年の東京都は下記をご参照ください。

参考:令和7年度 国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率について|東京都保健医療局、「令和7年度確定係数に基づく標準保険料率

5. 消費税(申告納税方式)

消費税は、商品やサービスの販売及び提供時に課される間接税(国税及び地方税)です。

個人事業主は、2年前の課税売上高が1,000万円を超えたら課税事業者になるほか、インボイス発行事業者になると消費税の申告・納税が必要です。

原則的な計算では、売上に係る消費税から仕入に係る消費税を引いた額を納税します。消費税の主な税率は次のとおりです。

標準税率軽減税率
消費税率7.8%6.24%
地方消費税率2.5%1.76%
合計10%8%

参考:消費税のしくみ|国税庁

6. 固定資産税・都市計画税(賦課課税方式)

固定資産税は、土地、建物、償却資産に対して課される市区町村税です。固定資産税と一緒に課税される都市計画税は、都市計画事業等のための目的税であり、市街化区域内の土地や建物に対して課される市町村税です。また、償却資産税は、土地や家屋以外の事業の用に供する固定資産に課税されます。

それぞれの標準税率は次のとおりですが、市町村等において必要に応じ、標準税率と異なる税率を定めることができます。

税金の種類標準税率
固定資産税1.4%
都市計画税0.3%以下
償却資産税1.4%

参考:地方税制度 固定資産税|総務省
参考:地方税制度 都市計画税|総務省
参考:固定資産税(償却資産)|東京都主税局

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税金が払えない…個人事業主が最初にすべきこと

税金が払えないかもしれないときには、落ち着いて次のことをしましょう。極力早めに着手するのが効果的です。

現状把握と整理

まず、直近の収入と支出の状況を把握するために、資金繰り予定表(現預金の出入りの計画表)を作成します。次に、それぞれの税金の種類や納税額、納期限を確認しましょう。その上で、保有する預貯金、有価証券、不動産などの状況を確認します。

事業だけの問題ではないため、家族にも協力してもらい、財産の棚卸しをしましょう。これらの手続きが複雑に感じる場合には、税理士等に相談するのも1つの方法です。

納税方針の検討

早めに税務署や市区町村等へ相談に行き、分割ができるものは申請を検討しましょう。納税猶予が受けられるものは納税猶予の申請、減免制度の適用ができるものがあれば利用を検討してください。

例えば、国税を一括で納付できない場合に利用できるのが「猶予制度」です。納期限から6カ月以内に申請することで納税を猶予することができます。

参考:納税に関する総合案内|国税庁、「国税の猶予制度」

根本的な対策の検討

そもそも税金の納付が困難となった理由を客観的に分析します。売上高の増大や経費削減など、手元資金が残るための対策を考え、必要であれば金融機関からの借入を検討します。

このとき、事業内容の見直しや事業規模の縮小なども検討しましょう。これらの作業には時間がかかるうえ、判断を誤れば事業そのものの継続が難しくなることもあります。金融機関から借入をするためには事業計画書等が求められるため、客観的な判断ができる中小企業診断士や税理士などに相談することも考えましょう。

税金が払えない個人事業主が検討する制度

先ほど紹介した納税猶予制度をはじめ、各種の救済制度をご紹介します。国税についての相談先は税務署となりますが、税金の種類や社会保険料によって、問い合わせの窓口が異なるため注意してください。

減免制度

減免とは、「軽減と免除」のことで、税金等の負担を軽くしたり除いたりすることです。例えば、災害による損害を受けた場合、所得税については次のいずれか有利な方法で減免を受けられる場合があります。

  • 確定申告において「所得税法」に定める雑損控除
  • 「災害減免法」に定める税金の軽減免除

さらに、所得税の予定納税については、減額申請ができるため、事前に「予定納税額の減額申請」を行うことで、予定納税額が減額されることがあります。

地方税については、市役所等に照会してみましょう。生活保護の有無、事業上の問題、災害による被害など税金が払えない理由に対応した必要書類を添えて、減免申請をする必要があります。

参考:Ⅲ‐1 所得税及び復興特別所得税の軽減又は免除|国税庁
参考:A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁

延納制度

延納とは、税金の納付が困難な場合に、納期限を過ぎてから納めることを認める制度です。例えば、所得税の延納は、納付すべき所得税の1/2以上を通常の納期限までに納付し、かつ、税務署に延納届出書を提出した場合、残額については5月31日まで延納が認められます。確定申告の際に「延納届出額」を記載します。

地方税においては、各自治体の市役所等に相談しましょう。一例として、東京都では最長1年間、徴収猶予が認められる場合があり、猶予期間内での分割納付などの納付方法があります。

参考:手順5 延納の届出|国税庁
参考:納税が困難な方に対する猶予制度について|東京都主税局

一般に、税金の納期限を原則として1年以内の期間に限り延期する制度があり、「納税猶予」といいます。納税猶予には、「納税の猶予」と「換価の猶予」があります。次に国税について解説します。

納税の猶予

災害により甚大な損失を受けたときや、災害、病気、事業の休廃業など、納付すべき税金を一時に納付できないと認められた場合には、納税を猶予することができます。納税の猶予には納税者の申請が必要となり、猶予が決まると延滞税が免除または軽減されます。

参考:No.9206 国税を期限内に納付できないとき|国税庁

換価の猶予

すでに税金が滞納となっている場合において、その納税者の財産を直ちに換価すると、事業継続や生活維持を困難にする可能性がある等のときには、換価を猶予することができます。換価の猶予により延滞税も軽減されます。

原則的な順序としては、先に「滞納処分による差押え*」までを行い、その後の換価を猶予することになります。換価の猶予は、納税者の申請または税務署長の職権に基づいて行われます。

*滞納処分による差押えとは、法律に基づき、税金等の滞納者の財産を強制的に差し押さえること

参考:G-9 換価の猶予の申請手続|国税庁第21条関係 滞納処分による差押え|国税庁

個人事業主が税金を滞納するとどうなる?

税金を滞納、放置すると、延滞税の発生、税金の督促、差押えなどが発生します。税金の納期限を過ぎても納税しない場合、まずは延滞税が発生します。例えば国税の場合には、納期限の翌日から納付日までの日数に応じて延滞税が課されます。2カ月以上経過すると、現行では「年8.7%」の税率です。

次に、納期限から50日以内に税務署から「督促状」が送られてきます。督促は、納付催告として「差押え」の前提要件となります。督促後一定期間が経っても納付がない場合には、「財産調査」を行った上、差押えが行われます。差押えによって換価(財産をお金に換えること)し、滞納した税金に配当し、残金があれば滞納者に交付されます。

国税の例を紹介しましたが、地方税や社会保険料についても国税と同様に延滞金が発生し、差押えなどの措置があります。税金の支払いに困っても、ただ滞納・放置することだけは回避しましょう。

個人事業主の資金が足りない時の緊急対応策

資金繰りがうまくいかず、一時的に税金が払えないときなどの緊急対応策として、まずは税務署や市役所へ相談に行くことをおすすめします。減免や延納が認められ、足りない資金をすぐに支払う必要がなくなれば緊急対応はできたと言えます。

金融機関から納税資金の融資を受けるのも、対応策の1つです。この場合には、税金の納付書などを準備し、融資を受けることになります。各銀行や信用金庫、信用組合などでは納税資金の融資も取り扱っているので、相談するとよいでしょう。

しかし、融資には審査があり、事業計画や資金繰り表などの求められた資料を提示する必要があります。したがって、「税金が払えない…個人事業主が最初にすべきこと」の項で説明した、現状の把握や根本的な対策の検討をしっかり行っておくことが大切です。

個人事業主は納税計画を立てておこう!

所得税や消費税だけでなく、社会保険料も含めて年間に支払う税金等を合計すると、個人事業主の納付すべき額は相当なものです。確定申告時期になって慌てるのではなく、日ごろから納税計画を立てておきましょう。

納税計画を立てるためには、先に事業の予測や資金繰り計画が必要です。計画的な事業運営から、納税資金を捻出できるようにしたいものです。

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