• 更新日 : 2025年3月3日

個人事業主が外注費を支払うケースは?源泉徴収や仕訳について解説

個人事業主が外注費を支払う際、雇用関係にあたるか業務委託にあたるかの判断は重要です。給与と外注費の違いや、源泉徴収・仕訳のポイントを理解しておかないと、追徴課税などのリスクが生じるおそれもあります。

本記事では、個人事業主が外注費を支払うケースや給与との違い、源泉徴収の要否、勘定科目・仕訳方法について解説します。

広告

なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。

チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。

この記事を読む方におすすめ 青色申告1から簡単ガイド
内容を見る 無料登録でもらう

税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。

広告
来年の確定申告をオンラインで、簡単に

マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。

取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに記帳・書類を作成。来年の確定申告は余裕を持って対応できます。

PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。

マネーフォワード クラウド確定申告
詳細を見る 無料で使ってみる

外注費とは

外注費とは、自社や自身(個人事業主)が行う業務の一部を外部に委託し、その対価として支払う費用のことです。外注を行う場合は一般的に請負契約や業務委託契約を締結し、成果物やサービスに対する報酬を支払います。たとえば、ホームページの制作やシステム開発、原稿の執筆、あるいは清掃業務やコールセンター業務などが該当します。

個人事業主にとって外注費を活用するメリットは、業務負担の軽減や専門性の高いスキルの活用などが挙げられます。

給与との違い

給与は雇用契約に基づき、勤務時間や場所などが明確に定められ、雇用主が指揮命令を行う労務提供に対して支払われるものです。個人事業主として労働者を雇用する場合は、社会保険への加入や給与所得の源泉徴収を行う義務が生じます。

一方、外注費は請負契約や業務委託契約に基づき、完成した成果物や特定の業務提供に対して支払われる報酬です。報酬を受ける側(外注先)は通常、独立した立場で働くため、雇用契約に伴う社会保険などは原則として不要になります。

ただし、外注先が個人であっても、原稿料や作曲料、デザイン料など特定の報酬については所得税法による源泉徴収義務が発生する場合があります。つまり、「雇用契約に基づかない=源泉徴収がまったく不要」ではない点に注意が必要です。

外注費と給与どちらで処理するかの判断基準

外注費と給与の境界は、明確に定義されていません。しかし、以下に挙げる要素を総合的に勘案し、雇用関係があるかどうかを判断する必要があります。もし、実質的に「給与」とみなされる働き方であると判断されれば、源泉徴収や社会保険加入義務を怠っていた場合に追徴課税のリスクなどが生じるおそれがあります。

時間的拘束の有無

外注費で処理される場合、納期や成果物の仕様は指示されるものの、作業時間や場所については受注者の裁量に委ねられます。逆に、雇用契約(給与)であれば、勤務開始時間や就業場所が指定され、時間管理が行われるのが通常です。受注者に対する時間的拘束が強ければ強いほど、給与として扱われる可能性が高まると考えられます。

指揮監督関係の有無

外注先に対しては「いつまでに、どのような成果物を提出するか」を示す程度が原則であり、作業手順や進め方など詳細な部分まで管理・監督しません。これに対し、給与となる場合は、勤務態度や作業手順などを雇用主が指示し、業務の進行を継続的に管理・監督する関係が生じます。指揮監督関係が強く認められる場合は、給与扱いになる可能性が高いといえるでしょう。

報酬の性質(成果物への対価か労務提供への対価か)

外注費は、完成した成果や業務委託の成果物が評価対象となり、それに応じて対価を支払う形です。納品物が完成しなければ報酬が支払われない、あるいは途中でやり直しや修正が必要となる場合もあります。

一方、給与は労働時間を提供したことに対する賃金として支払われ、時間外労働があれば残業手当などの追加報酬が発生します。

業務遂行における材料や道具の負担

外注の場合、業務に必要なパソコン・ソフトウェア・文房具などを受注者自身が用意し、関連費用も原則として受注者が負担します。

それに対して雇用契約では、雇用主が業務に必要な設備や備品を整備し、労働者はそれを使用して働くのが一般的です。誰が業務に必要なものを負担しているかも判断基準のひとつといえます。

業務の代替性の有無

外注では、受注者が自身のスタッフを使って業務を行ったり、第三者へ再委託を行ったりすることも可能です。しかし、給与は本人が働くことが前提であり、原則として業務を他者に代行させることはできません。こうした業務の代替性の有無も、外注費と給与を区別するうえで重要です。

個人事業主が外注費を支払うケース

個人事業主が外注費を支払うケースとしては、多様な業務委託の事例が挙げられます。よくあるケースとしては、以下のとおりです。

  • デザイン制作:ウェブサイトやパッケージのデザインなどを専門家に依頼
  • システム開発・プログラミング:独自のシステムやアプリケーションの開発を外部に委託
  • 原稿執筆・コンテンツ制作:雑誌やウェブ記事などの執筆をライターへ依頼
  • 清掃業務委託:オフィスや店舗の清掃を専門会社に発注
  • コールセンター業務:顧客対応の電話受け付けを外部企業にアウトソーシング

これらはいずれも、雇用関係ではなく成果物や提供業務に対する対価を支払う外注費の事例といえます。業務委託を活用することで、専門性の高い技術を効率良く利用できたり、人件費を抑えられたりする点がメリットです。

広告
個人事業主の"経費"、うまく活用できていますか?

マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。

税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。

個人事業主が知っておくべき経費大辞典

内容はこちら 無料登録でもらう

個人事業主の外注費には源泉徴収が必要?

個人事業主が外注費を支払う際、必ずしも源泉徴収が必要になるわけではありません。外注先が法人(株式会社や合同会社など)であれば、原則として源泉徴収は不要です。

一方、外注先が個人で、しかも所得税法上の源泉徴収が課される業務(例:原稿料、作曲料、デザイン料、講演料など)に該当する場合は、源泉徴収義務者が支払うときに源泉徴収を行わなければなりません。

源泉徴収義務者とは

源泉徴収義務者とは、所得税法上、給与や報酬などを支払う際に、所得税(および復興特別所得税)を源泉徴収し、国に納付する義務を負う者を指します。通常、法人は源泉徴収義務者となりますが、個人事業主であっても、一人でも従業員を雇用していれば源泉徴収義務者として扱われます。

個人事業主でも源泉徴収義務者になるケースもあるため、外注先への支払いが「源泉徴収が必要な報酬」に該当する場合は、適切に税額を控除したうえで納付を行わなければなりません。

個人事業主の外注費の勘定科目と仕訳

個人事業主が、外注費を支払った際の勘定科目と仕訳例を紹介します。

勘定科目

個人事業主が外注費を支払う場合は、外注費や外注工賃、業務委託費などの勘定科目を使うことが一般的です。さらに、源泉徴収が発生した場合は、一時的に所得税を控除して国に納付する必要があるため、預り金勘定を活用します。

仕訳

外注先が法人の場合と個人の場合(源泉徴収が必要な場合)とで、仕訳の仕方は異なります。法人へ業務委託費として10万円(税込)を支払った際の仕訳は、以下のようになります。

借方貸方摘要
外注費100,000円普通預金100,000円業務委託費

源泉徴収が必要な個人事業主のライターに原稿制作を報酬10万円(税込)で依頼した場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方摘要
外注費100,000円普通預金89,790円原稿料
預り金10,210円源泉所得税

預り金となった源泉所得税は、発注元が外注先の個人事業主の所得税として納税することになります。

広告
"法人成り"を検討してみませんか?

マネーフォワード クラウド会社設立は、個人事業主が法人成りを検討したほうがよいタイミングをまとめた「法人化を検討すべき7つのタイミング」を無料で用意しております。

創業支援に強い税理士監修で、ポイントがまとまったお得な1冊となっていますので、ぜひ将来を見据えた情報収集でご活用ください。

法人化を検討すべき7つのタイミング

内容はこちら 無料登録でもらう

個人事業主が弁護士や税理士に支払う費用は外注費になる?

個人事業主が弁護士や税理士、公認会計士、司法書士などの専門家と顧問契約やスポット契約を結んだ場合、支払う報酬は一般的に「支払手数料」勘定で処理します。

これらの専門家には、法律で定められた一定の報酬形態があり(所得税法第204条など)、その報酬は源泉徴収対象となるのが原則です。

参考:国税庁 第5 報酬・料金等の源泉徴収事務

外注先によって仕訳や源泉徴収の扱いは異なる

個人事業主の外注費の支払いについて、外注費とみなされるか、あるいは給与扱いとなるかは、時間的拘束や指揮監督関係、報酬の性質など複数の要素を総合的に判断する必要があります。また、法人か個人か、報酬の種類は何かによっても源泉徴収義務の有無が変わる点にも注意しましょう。

さらに士業への支払いは外注費ではなく支払手数料で処理するなど、細かいルールもあるため、不安があれば専門家への相談も検討することをおすすめします。

広告
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

右矢印アイコン もっと読む

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事

広告