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  • 更新日 : 2021年8月13日

【個人事業主向け】消費税の確定申告と計算方法について詳しく解説

【個人事業主向け】消費税の確定申告と計算方法について詳しく解説

商品やサービスを提供する事業者は、消費者から受け取った消費税を確定申告する必要があります。ただし、すべての事業者に申告義務があるわけではありません。一定の要件にあてはまる事業者は申告の義務がなく、免税事業者と呼ばれます。そこで本記事では、消費税の確定申告義務がある事業者とそうでない事業者の違いについて説明。さらに、消費税の計算方法、確定申告の必要書類や書き方、節税の方法などについて紹介します。

消費税の確定申告義務があるのはどんな人?

消費税とは、税金を負担する者と納める者が異なる間接税にあたります。商品やサービスの対価とともに預かった1年分の消費税を翌年に確定申告しなければなりません。

確定申告はすべての事業者が対象ではなく、基準期間の売上が一定の金額を超えている場合のみ申告義務があります。ここでは、申告義務の要件について見ていきましょう。

消費税の確定申告義務の要件

消費税の確定申告義務がある事業者を「課税事業者」と呼び、確定申告義務のない事業者は「免税事業者」と呼ばれます。課税事業者にあたるのは、「基準期間」もしくは「特定期間」のいずれかの売上高が1,000万円を超えている場合です。

基準期間と特定期間は、次の通り個人事業主と法人で異なります。

(個人事業主)

  • 基準期間:前々年度の1月1日から12月31日まで
  • 特定期間:前年の1月1日から6月30日まで

(法人)

  • 基準期間:前々年の事業年度
  • 特定期間:前年の事業年度開始の日以後6カ月間

課税事業者に該当する場合「消費税課税事業者選択届出書」の適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに、納税地を管轄する税務署に提出します。

免税事業者になる場合

基準期間と特定期間のいずれかの売上が1,000万円を超えていない場合は、消費税を確定申告する義務のない「免税事業者」になります。

また、会社を設立した1年目は基準期間と特定期間がないため、課税事業者とはなりません。ただし、資本金が1,000万円以上の会社を設立した場合は売上に関わらず、課税事業者になる点に注意しましょう。

設立2年目では、特定期間に1,000万円を超える売上がある場合は課税事業者になります。

消費税の計算方法

課税事業者にあたる場合、確定申告する際の計算方法について把握しておかなければなりません。消費税の計算方法は、次の2種類があります。

2つの違いは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下かどうかです。どちらの計算式を選ぶかによって納付額に違いが出る場合があるため、内容をしっかり確認してから選ぶ必要があります。

それぞれの内容について、見ていきましょう。

原則課税方式

原則課税方式は、売上に含まれている消費税から、事業者が仕入や経費で支払った消費税を差し引いて計算します。計算式は、次の通りです。

消費税額=(1年間の売上金額(税抜)× 10%)-(1年間の仕入や経費で支払った金額(税抜)× 10%)

例えば、1年の売上が500万円で仕入れや経費の合計が200万円の場合、計算式は次のようになります。

500万円×10%-200万円×10%=30万円

計算自体は難しいものではありませんが、取引のなかに非課税取引がある場合は除外して計算しなければならず、細かい取引が多い事業者の場合は負担が大きくなります。ただし、次に紹介する簡易課税方式の場合は、そのような手間がありません。

簡易課税方式

簡易課税方式は、基準期間の売上が5,000万円以下の場合のみ選べる計算方法です。計算式は、次のように求めます。

消費税額=(1年間の売上金額(税抜)× 10%)- {(1年間の売上金額(税抜)× 10%)×みなし仕入れ率}

仕入れの際に支払った消費税を計算する必要がなく、あらかじめ業種ごとに決められた「みなし仕入れ率」を使って計算します。

みなし仕入れ率は、次の通りです。

  • 卸売業:90%
  • 小売業:80%
  • 農業・漁業など:70%
  • 不動産業:40%
  • その他(飲食店業等):60%
  • サービス業等(運輸・通信業、金融・保険業、サービス業):50%

参考|国税庁 No.6509 簡易課税制度の事業区分

卸売業を営む事業者の売上が500万円だったときは、次のように求めます。

500万円×10%-500万円×10%×90%=5万円

簡易課税方式は非課税取引を分ける必要がないため、原則課税方式のような手間がかからない点がメリットです。ただし、大きな金額の消費税を支払ったときも「みなし仕入れ率」で計算するため、納税額が高くなる可能性があります。

消費税の確定申告に必要な書類と書き方

消費税の確定申告に必要な書類は原則課税方式と簡易課税方式とで異なり、それぞれに違う添付書類もあります。ここでは書類の入手方法や、書類の書き方について紹介しましょう。

原則課税方式の必要書類

原則課税方式で必要になる書類は、次の2点です。

    • 消費税及び地方消費税確定申告書(一般用)
    • 付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表

消費税及び地方消費税確定申告書(一般用) 付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表
参考:国税庁「消費税及び地方消費税申告書」「付表2

簡易原則課税方式の必要書類

簡易課税方式で必要になる書類は、次の2点です。

  • 消費税及び地方消費税確定申告書(簡易用)
  • 付表5 控除対象仕入税額の計算表

消費税及び地方消費税確定申告書(簡易用) 付表5 控除対象仕入税額の計算表
参考:国税庁「消費税及び地方消費税申告書」「付表5

書類の入手方法

入手する方法は、次の3種類です。

  1. 国税庁のサイトからダウンロードする
  2. 確定申告書作成コーナーにアクセスする
  3. 税務署窓口で入手する

1と3の方法では、必要書類の用紙を手に入れて手書きします。2の場合はネット上で入力し、プリントアウトして提出します。

書類の書き方

消費税の確定申告書は「課税標準額」「消費税額」「控除対象仕入税額」を計算し、合計を記入していきます。原則課税方式の確定申告書について説明しましょう。

(課税標準額)
税率を掛ける前の金額です。千円未満は切り捨て、売上金額に含まれている10%の消費税額を税抜きにして求めます。

(消費税額)
課税標準額に消費税率を掛け、売上金額の消費税額を計算します。なお、消費税申告書の項目のうち、①から⑯では、消費税額の国税部分だけを計算する部分です。10%の消費税額の7.8%が国税部分であり、残りの2.2%が地方消費税のため、7.8%で計算することになるので注意しましょう。

(控除対象仕入税額)
仕入金額の消費税を計算します。経費に含まれる消費税額も控除の対象となるため、忘れないようにしましょう。給料賃金や租税公課など消費税が含まれないものや、非課税取引のぶんを差し引いた金額に、7.8%をかけて計算します。

消費税の確定申告はいつまでにすればよい?

消費税の確定申告は納税地を所轄する税務署に提出しますが、所得税の確定申告書を提出する期間とは異なるため注意しましょう。

法人の場合は決算期末から2ヶ月以内に、個人事業主は翌年3月31日までに提出します。なお、課税期間は届出により、3カ月ごとまたは1カ月ごとに分けることが可能です。

個人事業主が課税期間を3カ月ごとに分ける場合は1月1日から、1カ月ごとに分ける場合には1月1日から区分した各期間に消費税を計算して提出します。法人が課税期間を分ける場合には、事業年度の初日から3カ月または1カ月ごとに分け、それぞれの期間が課税対象です。

簡易課税制度を用いれば節税も可能?

消費税の計算方法は、原則課税方式と簡易課税方式のどちらを選ぶかによって、納税額に差が出てきます。節税のためには、どちらのほうが得になるかを考えて選ぶ必要があります。それぞれの方式を選択した場合の納税額はどのようになるのか、見ていきましょう。

簡易課税方式で節税になる場合

原則課税方式の場合、実際に支払った消費税額を差し引くため、損得の問題は発生しません。一方、簡易課税方式は実際に支払った消費税額ではなく、仕入れなどにかかる消費税をみなしの税率で計算します。そのため、仕入れなどにかかる消費税額が少なく、みなし税率で計算した方が大きくなる場合は節税が可能です。

例えば、売上の消費税額が700万円、仕入れなどにかかる消費税額が200万円の場合、サービス業であれば次のような計算になります。
 

原則課税方式の場合の納税額 : 700 – 200 = 500
 簡易課税方式の納税額 : 700 – 700×50% = 350

簡易課税方式の方が150万円節約できることになります。

簡易課税方式で損をする場合

一方、簡易課税方式で納税額が多くなる場合もあります。

前述の例で、仕入れなどにかかる消費税額が400万円になった場合、計算は次のようになります。

 原則課税方式の場合の納税額 : 700 – 400 = 300
 簡易課税方式の納税額 : 700 – 700×50% = 350

簡易課税方式の方が50万円高く納税することになります。そのため、仕入れや経費の出費が多い場合は注意が必要です。

簡易課税方式は一度選択をすると、原則的に2年間は変更できません。今後、仕入れが多くなる可能性がある、将来大きな設備投資の予定があるという場合は、原則課税方式を選ぶ方がよいでしょう。

免税事業者は消費税を請求できる?

消費税の納税義務のない免税業者は、納めなくてよい消費税を消費者に請求できるかどうかが気になる点です。本来であれば国に納めるべき税金を事業者が受け取ってよいという点は、疑問に思う場合もあるでしょう。

しかし、免税事業者の取引で受け取った消費税については、消費税法には規定がありません。そのため、納税義務がない場合でも消費者に消費税を請求することができます。

消費者から消費税を受け取れなければ、仕入れ時に支払う消費税は自己負担しなければならないでしょう。仕入れで支払った消費税額よりも受け取るほうが多い場合、消費税で儲けるという結果になり妥当ではないと思う人もいるかもしれません。

しかし、それを認めているものが免税制度です。また、事業をしていれば支払った消費税額より受け取る消費税額が下回ることもありますが、課税事業者はその差額を還付請求できます。免税事業者は回収できないため、必ずしも免税事業者が得をする制度というわけではありません。

消費税の計算方法は適切に選択しよう

消費税の納付義務はすべての事業者に課せられるわけではなく、基準期間もしくは特定期間の売上額によって課税事業者と免税事業者に分けられます。納付義務がある場合の計算方法は2種類あり、どちらにするかにより納付額が異なるため、慎重に選ばなければなりません。事業計画を立て、適切な納税ができるような計算方法を選択しましょう。

よくある質問

消費税の確定申告義務がある人はどんな人?

基準期間と特定期間のいずれかの課税売上高が1,000万円を超える場合に、消費税の申告義務があります。詳しくはこちらをご覧ください。

消費税の計算方法は?

原則課税方式と簡易課税方式の2種類があります。詳しくはこちらをご覧ください。

消費税の確定申告はいつまで?

個人事業主は翌年の1月1日~3月31日の間に行います。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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