- 更新日 : 2024年11月22日
青色申告をするメリットはなに?白色申告との違いとあわせて解説【個人事業主向け】
個人事業主が確定申告をする方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は白色申告に比べて、特別控除が受けられることや専従者給与を必要経費に算入できるなど、さまざまな優遇措置があるという点で違いがあります。これらを上手に利用することで、課税対策はもちろんのこと、労務対策なども考えていけます。ここでは青色申告のメリット・デメリットについて説明します。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
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目次
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青色申告と白色申告の違いは?
青色申告制度とは、一定の要件を満たしている不動産所得、事業所得、山林所得のある人が、さまざまな特典を得られる制度のことです。この制度を利用した申告を青色申告といいます。また、それ以外の申告を白色申告といいます。
青色申告をするための要件や、青色申告と白色申告の違いについては、次のページで詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
青色申告のメリット
まず、青色申告のメリットについて見ていきましょう。
メリット1. 青色申告特別控除
青色申告をするうえで最大のメリットといってもよいのが、青色申告特別控除です。
青色申告控除とは、青色申告をするだけで最高で65万円の控除が受けられるというものです。
65万円控除の適用を受けるには、複式簿記などによる記帳など、さまざまな要件を満たす必要があります。それ以外の場合は55万円の控除や10万円の控除があります。
青色申告特別控除については、以下の記事で詳しく解説しています。
メリット2. 純損失の繰越控除と繰戻し還付
事業所得や不動産所得で赤字が発生した場合は、その赤字を翌年度以降3年間繰り越すことが可能です。繰り越した赤字は翌年以降の黒字から差し引くことができます。
また、今年度が赤字で前年度が黒字だった場合は、今年度の純損失額赤字を前年度の黒字から繰り戻して控除し、前年度分の税金の還付を受けることもできます。
メリット3.家事関連費の必要経費算入
家事関連費とは、簡単にいうと家事に関連のある経費のことです。例えば、事業でも家事でも使っている水道光熱費などです。家事関連費は、事業に必要な部分を明らかにし、明確な基準のもと事業費を計算することによって経費にすることができます。
白色申告の場合も家事関連費の経費算入は認められていますが、主たる部分が業務での使用(おおむね、その経費を事業で使っていること)でないかぎり、経費にはできません。
メリット4.青色事業専従者給与の必要経費算入
個人事業では、原則親族に対する給与は経費にできません。しかし、青色申告で一定の要件を満たしている場合は、青色事業専従者給与として経費にすることができます(白色申告の場合は、事業専従者控除として一定額の控除があります)。
一定の要件とは以下の3つです。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者または親族であること
- その年の12月31日で15歳以上であり、かつ学生ではないこと
- その年1年間に6ヶ月以上、事業に従事していること
なお、青色事業専従者控除については、以下の記事で詳しく解説しています。
メリット5.減価償却の特例
1つあたりの取得価格が10万円以上の固定資産などを取得した場合は、その取得価格を一括で経費にせず、毎年少しずつ経費にしていく必要があります。これを減価償却といいます。
しかし青色申告している場合は、取得価格が30万円未満であれば、取得した年に一括で経費に計上できます(年間合計300万円まで)。
メリット6.貸倒引当金の設定
「貸倒引当金」とは、代金の回収が不能になるかもしれないリスクに備えるために設定するものです。
簡単にいうと、未回収となるであろう債権の金額を計算し、その分を本年度の所得から減らすことができる制度です。無事に代金が回収された場合は、次年度の決算時に貸倒引当金の戻入処理を行い、所得に加えます。
白色申告でも貸倒引当金を設定できますが、貸し倒れることが確実と思われる場合に限ります。
メリット7.棚卸資産の低価法による評価の選択
期末に販売商品などが残っている場合には、商品の棚卸しを行う必要があります。商品の棚卸しでは期末時点の商品の金額を計算しますが、一般的には原価(最終仕入原価法などで計算)で期末商品の価格を計算します。
青色申告の場合は、事前に税務署へ届出手続きを行う必要がありますが、低価法により期末商品の価格を計算することもできます。
低価法とは、原価と時価を比較し低い価格で期末商品の価格を計算するというものです。低価法で計算したほうが、売上原価が高くなり、利益を抑えることができます。
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青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは、白色申告よりも手間がかかるということです。青色申告をするときに申請が必要であったり、普段の帳簿付けでは正規の簿記の原則に従って会計処理を行ったりするなど、白色申告に比べて条件があります。また、書類の不備などがあれば許可が取り消される可能性もあります。
専従者給与の節税効果シミュレーション
この場合の節税効果を、青色申告をした場合と、そうでない場合で計算してみましょう。
白色申告で専従者控除を受けた場合の所得税
青色申告で専従者給与を経費として計上した場合の所得税
つまり、所得税だけでも92万4,500-39万6,500=52万8,000円の節税ができるわけです。
ただし、専従者給与を経費に計上すると扶養控除は受けられなくなり、配偶者は所得税等がかかります。一概に青色申告の専従者給与で節税ができるとはいえず、売上規模と専従者の役割、給与金額のバランスを見極めることが重要になってきます。
(※)2020年分以降、所得2,400万円以下で控除額48万円
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個人事業主の確定申告には青色申告がおすすめ
個人事業主の青色申告は、白色申告に比べ手間がかかるなどのデメリットがあります。しかし、それ以上に納税者が有利となる特典が多くあります。その特典の多くは、節税につながるものです。個人事業主で確定申告をする場合は、青色申告をしたほうが良いでしょう。
なお、青色申告については以下の記事でくわしく解説しています。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
青色申告制度とどんな制度ですか?
青色申告制度とは、一定の要件を満たしている不動産所得、事業所得、山林所得のある人が、さまざまな特典を得られる制度のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告にはどのようなメリットがありますか?
青色申告特別控除や損失の繰越控除などのメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告にはどのようなデメリットがありますか?
白色申告よりも手間がかかるなどのデメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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