• 更新日 : 2021年6月2日

確定拠出年金とは?個人型(iDeCo)と企業型の違いや制度の活用法を解説

年金と聞くと国民年金や厚生年金が頭に浮かびますが、日本には確定拠出年金(401k)と呼ばれる2001年から運用が開始された個人型( iDeCo)や企業型(DC)の私的年金があります。確定拠出年金とは、加入者が月々に拠出した掛金で資産を運用して、将来の給付額を決定する制度です。

老後資金に対する不安の声は多く、私的年金制度への関心も年々高まっています。その一方で、導入目的や仕組みがよく分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、確定拠出年金の基礎知識や各制度との比較、利用するメリット・デメリット、iDeCo(イデコ)の始め方などをわかりやすく解説します。

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確定拠出年金制度とは

確定拠出年金(401k)とは、毎月拠出された一定の掛金とその運用収益の合計額で、将来の給付額が決定する年金制度のことです。加入者自身が掛金を拠出する個人型年金(iDeCo)と、事業主が掛金を拠出する企業型年金(DC)の2種類があります。

企業や加入者が拠出した掛金は加入者自ら商品を選択し資産運用するため、将来支給される年金額は、それぞれの運用結果で異なる点が特徴です。

日本の年金制度は国民年金や厚生年金がありますが、確定拠出年金は企業年金等に該当します。それぞれの年金制度や対象者について詳しく見ていきましょう。

年金制度における確定拠出年金制度の位置づけ

日本の年金制度は、3つに分類して構成されていることから「3階建て」と呼ばれています。

  • 1階:国民年金
  • 1階部分は、20歳以上の全国民が加入する国民年金です。基礎年金ともいわれており、加入期間の長さで支給金額が決まる仕組みになります。

    職業形態などによって、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者に分けられています。

  • 2階:厚生年金
  • 2階部分は、民間の会社員や公務員などが加入する年金制度です。強制加入のため、国民年金と厚生年金の両方に加入していることになります。

    ただし、自営業者・フリーランスは厚生年金には加入できません。将来受け取れる年金額を増加したい場合は、国民年金基金へ任意で加入できます。

  • 3階:私的年金(企業年金、個人年金)
  • 3階部分は、従業員を対象に企業が運営する企業年金制度が該当します。福利厚生のひとつとして、企業が導入するかは任意です。

    導入している企業であれば、厚生年金にさらに上乗せして年金が給付されます。また、公務員は年金払い退職給付が受けられる仕組みです。

これらの年金制度に加え、新たに「確定拠出年金」が公的年金を補完する位置づけで登場しました。

確定拠出年金制度を利用するメリット

確定拠出年金制度を利用すると、どのような利点があるのでしょうか。代表的なメリットを2つ紹介します。

メリット1.税制優遇

1つ目のメリットは、すべての掛金が所得税と住民税所得控除対象になることです。掛金の限度額は職業形態によって異なり、自営業の場合は毎月68,000円、民間企業に勤めている会社員の場合は毎月23,000円(※)になります。

確定給付型年金及び企業型確定拠出年金に加入していない場合に限る。

例えば、会社員Aさんが毎月23,000円を確定拠出年金とした場合、掛金23,000円×12ヶ月=年間27.6万円分が控除対象です。Aさんの年収が500万円とすると、所得税20%(27.6万円×20%=5.5万円)、住民税10%(27.6万円×10%=2.7万円)となるので年間8.2万円の税金が優遇されます。

自営業やフリーランスの方は、最大81.6万円の控除が利用できるため、所得税や住民税を軽減する効果を得られます。

メリット2.運用益が非課税

2つ目に、運用益が非課税であることがメリットとして挙げられるでしょう。通常、個人で運用した株式や投資信託の利益には、約20%の税金が課税されます。

しかし、確定拠出年金での運用期間中は利子や売却益、配当などの運用益に課税されません。つまり、一般の投資であれば税金として負担する金額をそのまま再投資できるので、効率的な運用が可能になります。

確定拠出年金制度を利用するデメリット

確定拠出年金制度にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在することを把握しておきましょう。ここでは、2つのデメリットを紹介します。

デメリット1.将来に受け取る給付額が未確定

1つ目は、将来受け取る給付額が未確定なことです。確定拠出年金制度は、掛金の拠出額は決まっていますが、将来支給される給付額は運用結果に左右されるため確定していません。

もし運用がうまくいかなかった場合、資産が減ってしまうリスク(元本割れ)を負う可能性があります。したがって、リスクの高い運用商品ばかりを選択せず、各商品の仕組みや特徴を理解した上でバランス良く投資することが大切です。

デメリット2.60歳まで原則で受給不可

2つ目は、資産は原則60歳まで受け取りができないことです。確定拠出年金は年金目的の資産積み立て制度のため、一定の要件を満たさないと、中途脱退や資産を取り崩すことができません。

基本的には、一度加入したら最後まで長く続けることになります。確定拠出年金を利用する場合、無理のない範囲で資金を長期的に積み立てていく必要があることを念頭に置いておきましょう。

よく混同される制度

確定拠出制度とよく混同されやすい制度に「確定給付企業年金」「退職金」があります。
それぞれ異なる要点は下記の通りです。

確定拠出制度
  • 拠出された一定の掛金とその運用収益の合計額で、将来の給付額が決定する年金制度

  • 個人型(加入者自身が掛金を拠出)と企業型(事業主が掛金を拠出する)の2種

  • 個人型であれば、企業に勤めていない方も加入対象

  • 加入者自ら商品を選択し資産運用するため、将来支給される年金額はそれぞれの運用結果で異なる

  • 個人口座による積立運用のため、会社の倒産などには影響しない
確定給付企業年金
  • 会社が拠出・運用・管理・給付までの責任を負う確定給付型の企業年金制度

  • 規約型(生命保険会社・信託会社等が管理・運用・給付を担う)と基金型(企業年金基金が管理・運用・給付を担う)の2種

  • 加入対象は、厚生年金の被保険者(第1号厚生年金被保険者及び第4号厚生年金被保険者に限る)

  • 約束した給付額が支給できるよう、年金資産の積立基準を設定

  • 外部機関による積立運用のため、基本的には受給権が保護されている(著しい業績悪化等による給付減額の可能性あり)

退職金
  • 法律で定められていないため、会社によっては支給がない

  • 勤めている会社の就業規則によってあらかじめ受取額が確定している

  • 会社の業績悪化や倒産の場合、減額や受け取れない可能性がある

個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)とは

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、企業に勤めていない方も加入できる、老後資金を目的とした年金制度です。加入者が掛金を拠出し、自ら金融商品を選択して運用・管理を行います。iDeCoは、掛金が全額所得控除されるため、課税所得が減り、当年分の所得税と翌年分の住民税の軽減につながります。

ただし、iDeCoは基本的に途中解約ができず、60歳まではお金を引き出せません。積み立てた資産は一時金または年金形式で受給可能です。なお、受け取る金額は運用結果や始めた年齢などによって、それぞれ異なります。

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企業型確定拠出年金(DC)とは

企業型確定拠出年金(DC)も、老後資金を目的とした年金制度です。企業が掛金を拠出し、従業員(加入者)が金融商品を選択して資産運用を行います。

積み立てた資産は、基本的に60歳まで解約をしない限りは引き出せません。定年退職を迎える年齢以降に、一時金(退職金)または年金形式で定められた金額を受け取る仕組みは、個人型と同様です。

ちなみに、企業型確定拠出年金への加入方法は企業によって異なり、自動的に加入される場合と任意の場合があります。また転職した場合、以前の会社から新しい会社の企業型DCへ移管することも可能です。

個人型と企業型の違い

「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「企業型確定拠出年金(DC)」の違いは、下記の通りです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)企業型確定拠出年金(DC)
加入対象者
  1. 自営業者等

  2. ※農業者年金の被保険者、国民年金保険料の免除対象者は除く
  3. 厚生年金の被保険者(公務員含む)

  4. ※企業型DCの加入者は除く(ただし規約に個人型への加入ができる旨を定められている場合は加入可能)
  5. 専業主婦(夫)等
実施企業の従業員
掛金の拠出加入者導入企業
※マッチング拠出を認めている企業の従業員は拠出可能
掛金の上限(月額)▽自営業者等:68,000円
※国民年金基金の加入者:両方の掛金を合計して68,000円が上限となる

▽厚生年金の被保険者
  • 確定給付型(注1)と企業型DCに未加入(公務員以外):23,000円

  • 確定給付型(注1)のみ、または確定給付型と企業型DCに加入:12,000円

  • 企業型DCのみ加入:20,000円

  • 公務員:12,000円


  • ▽専業主婦(夫)等:23,000円

    (注1)確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金などを指す
  • 確定給付企業年金や厚生年金基金など他の企業年金への加入なし:5万5000円

  • 他の企業年金への加入あり:2万7500円
税制の扱い
  • 非課税(拠出、運用益)

  • 掛金:所得控除の対象

  • 【受給時】
  • 公的年金等控除(年金)の対象


  • 退職所得控除(一時金)の対象
  • 非課税(拠出、運用益)

  • 掛金(従業員の拠出分):所得控除の対象

  • 【受給時】
  • 公的年金等控除(年金)の対象

  • 退職所得控除(一時金)の対象

参考:確定拠出年金制度の概要

確定拠出年金と確定給付企業年金の違い

確定給付企業年金は、厚生年金基金が見直され、新たな企業年金として制定されました。企業型確定拠出年金と大きく異なる点は、運用がうまくいかなかった場合でも、一定の受取金額が確約していることです。

ただし、いずれも年齢や退職時期、転職有無などの運用実績で異なるため、将来の受取金額は一定ではありません。また、いずれも中途脱解約は可能ですが、要件は非常に厳しいため注意しましょう。その他の違いについては、以下の表でご確認ください。

確定拠出年金確定給付企業年金
実施主体
  • 個人型:国民年金基金連合会

  • 企業型:事業主
企業年金基金または事業主
掛金の拠出事業主、個人事業主
※加入者が同意した場合は加入者拠出が可能
会社が倒産した場合社外(個人口座)積立なので、保全される外部で積立管理されているので、保全される
※著しい企業業績の悪化等によっては給付減額の可能性あり
積立資金の運用・管理運用:加入者
管理:国民年金連合会
  • 規約型:外部(生命保険会社・信託会社など)

  • 基金型:企業年金基金
将来の受給額拠出額と運用実績の合計による拠出額と運用実績の合計にも左右されるが、一定の金額は確約されている

確定拠出年金と退職金の違い

「確定拠出年金」と「退職金」の大きな違いは主導権です。企業と個人のどちらが握るかという点が異なります。「確定拠出年金」と「退職金」の違いは下表の通りです。

確定拠出年金退職金
掛金の拠出事業主、個人実施企業
会社が倒産した場合社外(個人口座)積立なので、保全される内部留保として社内積立をした場合は保全されない可能性もある
積立資金の運用・管理加入者社外積立の場合、実施企業が決定
将来の受給額拠出額と運用実績の元利合計による社内規定により決まる
転職時の金額変動転職先に資産を移動可能年齢や勤続年数などを基に決めるため、金額は変動する

個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)を始めるには?

ここでは「個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)を始めるまで」を、5つのステップで紹介します。

iDeCo公式サイトでシミュレーション

iiDeCoの公式サイトでは簡単な質問に答えるだけで、自分が「加入できるかどうか」や「掛金の上限はいくらか」を無料で調べられます。

※企業型DC加入者:企業型年金規約において個人型への加入が認められている方に限る
※国民年金保険料を免除・猶予されている方:原則加入不可

掛金を設定

月々5,000円以上(1,000円単位)で、上限額の範囲で設定できます。基本的に途中で引き出せない資産運用のため、無理のない金額からスタートしましょう。掛金額は年に1回、金額を増減できます。また、停止や再開はいつでも可能です。

資産運用の基礎知識を把握

加入者自身の責任に基づき資産運用を行っていきます。ただし運用結果によって、60歳以降に受け取る給付額が変動するリスクがあることを把握しておきましょう。

自分に合う運用商品を選ぶ

運用商品は「元本確保商品」と「投資信託」の2分類あります。商品ごとに仕組みや特徴、リスクとリターンの関係などが異なるため、自分に合った運用商品を選ぶことが重要です。

iDeCoを取り扱う金融機関を通じて加入申し込み

iDeCoに加入する場合は、iDeCoを取り扱っている金融機関を通じて申し込みを行う必要があります。

確定拠出年金制度についてご理解いただけたでしょうか

ここまで確定拠出年金の基礎知識や各制度との比較、利用するメリット・デメリット、活用法などをお伝えしました。少子高齢化が進む日本でゆとりある老後を送るためには、公的年金だけでは足りないことが予測されています。

老後資金をつくる目的として新たに導入された確定拠出年金制度は、将来に備えて加入者が増えている人気の高い制度です。しかし、メリットばかりではなく、運用結果によって将来の給付額が減少することや、途中で資金を取り崩せないといったデメリットもあります。

本記事を参考に、確定拠出年金制度の仕組みや特徴を正しく理解し、資産形成の手段のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

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よくある質問

確定拠出年金制度とは

確定拠出年金(401k)とは、毎月拠出された一定の掛金とその運用収益の合計額で、将来の給付額が決定する年金制度のことです。

確定拠出年金制度を利用するメリットは?

「税制優遇」や「運用益が非課税」などが挙げられます。

確定拠出年金制度を利用するデメリットは?

「将来に受け取る給付額が未確定」や「60歳まで原則で受給不可」があげられます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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