- 更新日 : 2025年2月7日
仮想通貨(暗号資産)取引で確定申告は必要?所得の区分や税金の計算方法も解説
仮想通貨(暗号資産)取引で利益が出た場合、一定の条件を満たすと確定申告が必要になります。
この記事では、仮想通貨取引で確定申告が必要な場合や所得の計算法、課税方式などについて紹介します。
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目次
仮想通貨(暗号資産)取引の利益は確定申告が必要?
仮想通貨(暗号資産)で利益を得た場合、所得として課税対象になるケースがあります。サラリーマンや公務員などの給与所得者は、仮想通貨(暗号資産)取引による利益が年間20万円を超える場合に確定申告が必要です。
また、利益が20万円以下の場合でも、給与所得や退職所得以外の所得金額との合計が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
一方、仮想通貨(暗号資産)の取引で損失が出て収支がマイナスになる場合や、給与所得や退職所得以外の所得金額との合計が年間20万円に満たない場合は、確定申告の必要はありません。
なお、この場合の20万円とは、仮想通貨(暗号資産)の取引によって得た金額から必要経費を差し引いた金額です。取引所から出金して銀行に振り込まれた金額ではないため注意しましょう。
個人事業主の場合は、仮想通貨(暗号資産)取引で得た所得額に関わらず、事業所得があれば確定申告が必要です。
仮想通貨(暗号資産)取引の利益を確定申告しないとどうなる?
仮想通貨(暗号資産)取引で利益が発生しているにもかかわらず、確定申告が遅れたり、税務調査で誤りがあることが判明すると、ペナルティがあります。まず、申告期限の翌日から納付した日までの日数に応じて、最大14.6%の「延滞税」が課せられます。
さらに、申告額が少なかった場合の「過少申告加算税」は最大15%、申告の遅れや申告の忘れの場合の「無申告加算税」は最大30%発生します。また、悪意を持って申告額を誤魔化したり、申告しなかった場合の「重加算税」は最大50%となります。
税務署は、仮想通貨(暗号資産)の取引所に情報の開示を求めることができます。取引情報を調べれば、誰がいくら利益を出しているか簡単にわかってしまいます。「バレない」と考えずに、まずは所得を計算して確定申告が必要どうか判断しましょう。
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仮想通貨(暗号資産)取引の所得の分類
仮想通貨(暗号資産)の所得は、一般的に雑所得に分類されます。特に、会社員や公務員など給与所得のある方が、副業で仮想通貨取引をしている場合は、ほとんど雑所得に該当します。
個人事業主で仮想通貨(暗号資産)の売買を主なビジネスとしている場合や、事業の支払い手段として大きな割合を占める場合は、事業所得に分類されることもあります。ただし、個人的な資産運用や副業としての売買であれば、雑所得として扱われるケースが多いです。
仮想通貨(暗号資産)取引で所得が発生するタイミング
仮想通貨(暗号資産)の所得が発生するタイミングは、次の3つです。いずれも取引所からの出金した時点ではなく、取引が完了した時点であることがポイントです。
仮想通貨(暗号資産)の売却時
保有している仮想通貨(暗号資産)を売却し、利益が確定したときに所得が発生します。たとえば、ビットコインを1万円で購入し、その後2万円で売却すると、差額の1万円が所得にあたります。
仮想通貨(暗号資産)を保有している状態で評価額が上がり、含み益が出たとしても所得には関係ありません。あくまでも売却時の損益が確定します。
売却益は、売却時の価額から取得時の価額を差し引いて算出します。取得時の価額には手数料など取得に必要な経費も含めて計算します。所得額の具体的な計算方法は次のとおりです。
仮想通貨(暗号資産)決済手段として利用した時
仮想通貨(暗号資産)を決済手段として利用した場合、仮想通貨を一度売却し、商品やサービスを購入したとみなされます。そのため、仮想通貨(暗号資産)を決済した時点で取得時の価額を上回っていれば、所得が発生します。
たとえば、ビットコインを1BTC = 100万円のときに購入し、1BTC = 120万円のときに商品を購入した場合、差額の20万円が所得となります。
仮想通貨(暗号資産)の決済時の所得額の計算方法は次のとおりです。
仮想通貨(暗号資産)同士を交換した時
仮想通貨(暗号資産)同士を交換する時も、仮想通貨を一度売却し、新たに別の仮想通貨を購入したとみなされます。
たとえば、ビットコインをイーサリアムに交換するとき、ビットコインの取得時の価額とビットコインの時価を比べて、差額がプラスであれば所得が発生します。
仮想通貨(暗号資産)同士を交換する時の所得額の計算方法は次のとおりです。実際に日本円に換金していなくとも、課税の対象となるため注意が必要です。
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仮想通貨(暗号資産)取引の課税方式
雑所得として計上される仮想通貨(暗号資産)の利益は、給与所得や事業所得などの他の所得と合算して「総合課税」の対象となります。
例えば、仮想通貨により300万円の所得を得て、かつ給与所得が500万円ある場合は、両者を足した800万円から控除額などを差し引いた金額に課税されます。
所得税は、所得が高くなれば税率も高くなる累進課税です。最高で45%、住民税と合わせると55%の税率になります。
仮想通貨(暗号資産)取引の所得は損益通算できない
仮想通貨取引で生じた損失は、損益通算できません。損失が出た場合でも給与所得や譲渡所得など他の区分の所得と相殺できないということです。これは、仮想通貨による所得が雑所得のためです。
雑所得は、他の区分所得とは通算できないという性質を持ちます。また、株取引で生じたの損失のように翌年以降に繰り越すこともできません。
仮想通貨(暗号資産)取引の税金の計算方法
仮想通貨(暗号資産)取引の所得額の計算方法は、移動平均法と総平均法のいずれかを選択できます。
計算方法を選択するには、仮想通貨(暗号資産)を取得した年の確定申告の期限までに、「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を税務署を提出する必要があります。
引用:A1-21 所得税の暗号資産の評価方法の届出手続|国税庁
購入の都度計算する「移動平均法」
移動平均法は、仮想通貨(暗号資産)を購入する都度、取得価額を計算する方法です。取引の度に計算する手間はかかりますが、実際の取引状況に近い形で取得価額を把握できます。年度の途中でも見積もりがすぐできる点がメリットです。
1年間まとめて計算する「総平均法」
総平均法は、1年間に購入した仮想通貨(暗号資産)の金額を合算して平均取得価額を算出する方法です。取引事業者より発行される年間取引報告書を、国税庁が用意する計算書に転記するだけで簡単に計算できます。ただし、年の途中で所得金額の見積もりをしづらい点がデメリットです。
仮想通貨(暗号資産)の計算書
仮想通貨(暗号資産)の所得の計算には、国税庁が提供する計算書のひな形を利用することができます。国税庁のホームページから無料でダウンロード可能なので、ぜひ活用してみてください。
仮想通貨(暗号資産)の確定申告では経費を計上できる
仮想通貨(暗号資産)の確定申告では、手数料のほか、仮想通貨取引に直接関係するセミナー費用やセミナー場所への交通費、書籍代、専用のPC代なども経費に計上できます。
また、通信費や家賃なども家事関連費との割合を明確にすることで計上できる場合もあります。
仮想通貨(暗号資産)の所得や税金を正しく計算しましょう
この記事では、仮想通貨(暗号資産)確定申告が必要となる条件や、所得額の計算方法、課税方式などを紹介しました。仕組みを理解せずに仮想通貨の取引をすると、必要以上の所得税を払うことになったり、うっかりミスでペナルティを課せられることもあります。正しい計算方法を理解して、正確な所得や税金を把握しておきましょう。
確定申告について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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よくある質問
仮想通貨取引の確定申告(青色申告)は必要?
利益が20万円を超える場合には必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
仮想通貨取引で所得が発生するタイミングは?
仮想通貨を売却、決済、交換をした時に所得が発生します。詳しくはこちらをご覧ください。
仮想通貨の税額の計算方法は?
移動平均法か総平均法のいずれかを選択して計算します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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