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  • 更新日 : 2021年6月4日

特定口座とは?源泉徴収あり・なしの違いや確定申告との関係を解説

特定口座とは?源泉徴収あり・なしの違いや確定申告との関係を解説

株式の取得や譲渡、配当金の受け取りをはじめ、さまざまな金融商品を取り扱える証券会社の口座には、特定口座(源泉徴収あり・なし)、一般口座、NISA口座(つみたてNISA口座、ジュニアNISA口座など)という種類があります。このうち、特定口座とはどのような口座なのでしょうか。確定申告の有無や損益通算、特定口座特有の特定口座年間取引報告書など、特定口座について詳細を解説します。

特定口座とは

証券会社で開設できる口座の種類に「特定口座」といわれるものがあります。特定口座とは、申告分離課税の対象となる上場株式等の譲渡損益を管理できる口座のことで、納税者の申告・納税手続きの負担を軽減するために設けられています。特定口座で管理できるものは、申告分離課税の対象になるもののうち、以下のような特定の金融商品です。

  • 上場株式
  • 上場新株予約権(将来の株式取得の権利)
  • 上場新株予約権付社債
  • 上場ETF(上場投資信託)、上場ETN(上場投資証券)
  • 上場REIT(上場不動産投資信託)
  • 外国市場の株式や新株予約権
  • 国債、地方債、外国国債などの公社債
  • 公募株式投信
  • 公募公社債投信
  • など

特定口座の種類

特定口座は、源泉徴収ありと源泉徴収なしの2種類に分かれます。ここではそれぞれの特定口座の概要や、そのほかの証券口座について簡単に解説します。

源泉徴収ありの特定口座

源泉徴収ありの特定口座は「源泉徴収口座」ともいわれます。特定口座で管理する上場株式等の譲渡で損益が発生する度に、所得税及び復興特別所得税と住民税の徴収、あるいは返還が行われる特徴をもった口座です。証券会社は、徴収した年間の税金を、納税義務者に代わって納付します。

源泉徴収ありの特定口座では上場株式等の譲渡損益以外に、源泉徴収の対象である上場株式の配当や公社債の利子などを受け入れることができます。

源泉徴収なしの特定口座

源泉徴収なしの特定口座は「簡易申告口座」ともいわれます。この場合、特定口座内で上場株式等の譲渡損益が出ても源泉徴収されないため、納税者自らが確定申告により納税しなくてはなりません。ただし、納税者が取引を一から計算する必要はなく、証券会社から発行される特定口座年間取引報告書によって簡便に確定申告ができます。

特定口座以外の口座について

上場株式等を管理する口座には、特定口座以外に「一般口座」や「NISA口座」があります。

一般口座とは、特定口座では管理できないような非上場株式や先物・オプション取引、FX取引等による損益をまとめて管理できる口座です。さまざまな金融商品を管理できますが、特定口座のような源泉徴収制度や簡易申告制度はありません。

NISA口座とは、一般NISAやつみたてNISA、ジュニアNISAのような金融商品で得た利益が非課税になる、税制優遇のために設けられた口座です。通常、上場株式等の譲渡など金融商品の取引で得た利益は課税されますが、NISA口座内での取引については毎年一定額までが課税対象になりません。

特定口座の選び方

特定口座の開設は、1証券会社あたり1つとなるため、源泉徴収ありと源泉徴収なしのいずれかを選択する必要があります(複数の証券会社にてそれぞれ開設することは可能です)。

そこで、源泉徴収あり・源泉徴収なしの特定口座のメリットとデメリットを以下のようにまとめました。この内容から、どちらを選択するべきか考えてみましょう。

 メリットデメリット
源泉徴収あり・取引の都度、証券会社から税金が徴収または還付される
所得控除の判定で必要な配偶者などの合計所得に、譲渡益を含めなくても良い
・そのままだと損失の繰越控除や他の口座と損益通算ができない
・確定申告不要な20万円以下の所得も源泉徴収の対象になる
源泉徴収なし・確定申告不要な20万円以下の所得について源泉徴収されない・所得控除の判定で必要な配偶者などの合計所得に、譲渡益を含めなくてはならない

手続きが面倒なら「源泉徴収あり」

どちらの特定口座でも手続きは簡便化されるものの、源泉徴収なしの場合は確定申告が必要です。確定申告などの一連の手続きが面倒で、税金の処理を証券会社に任せたいなら、源泉徴収ありの特定口座が向いています。ただし譲渡損失が大きい場合は、確定申告をしないと損失の繰越控除などができず、結果として所得税を多く払うことになる点に注意が必要です。

所得控除の判定が気になるなら「源泉徴収あり」

源泉徴収ありの特定口座を選択し確定申告をしない場合、配偶者控除扶養控除における配偶者や扶養親族の合計所得の判定に、譲渡益を含めなくても良いとされます。扶養する配偶者や親族が上場株式等の取引を行うようなケースでは、源泉徴収ありを選択した方が良いでしょう。

給与所得者や年金所得者で年間取引額が少ない人は「源泉徴収なし」

給与収入2,000万円以下など年末調整で所得税の納税が完結する給与所得者や、公的年金等の収入が400万円以下の年金受給者であれば、それ以外の所得20万円以下については確定申告不要となっています。

しかし、源泉徴収ありの特定口座は取引の度に徴収や還付が行われますので、譲渡益が20万円以下であっても課税されます。年間の取引額が少なく譲渡益が20万円以下となる見込みの場合は、源泉徴収なしを選択し確定申告した方が得になるでしょう。

特に希望がないならとりあえず「源泉徴収あり」

特定口座は、取引年ごとに源泉徴収あり・源泉徴収なしを選択できます。上場株式等の取引が初めてでまだ取引の全体像を見据えられないときなどは、口座内で納税が完結する源泉徴収ありの特定口座を選択すると、確定申告を忘れてしまうなどの心配がなく安心です。

特定口座と確定申告の関係

特定口座と確定申告の関係を簡単に示すと、以下の図のようになります。

特定口座と確定申告の関係

確定申告が必要なケース

確定申告が必要なケースは、源泉徴収なしの特定口座を開設し、1月1日から12月31日までの一年間の間に上場株式等の譲渡損益が生じたときです。源泉徴収なしの特定口座では、取引が確定しても証券会社から税額分が徴収されないため、口座の所有者自身が確定申告をする必要があります。

確定申告が不要なケース

上場株式等の譲渡があっても、源泉徴収ありの特定口座であれば確定申告は不要です。源泉徴収ありの口座では、譲渡の都度、証券会社から税額分の徴収や還付があり、間接的に納税したことになります。

このほか、一年間の間に上場株式等の譲渡がなければ損益が確定したことにならないため、確定申告は必要ありません。

確定申告をした方が良いケース

基本的に源泉徴収ありの特定口座なら確定申告は必要ありませんが、口座内で譲渡損失が譲渡益を上回っているときは確定申告をした方が良いといえます。

確定申告をすることで、ほかの証券会社の特定口座や一般口座の譲渡所得、上場株式等の利子所得や配当所得の金額と損益通算ができ、控除しきれない分は損失の繰越控除ができます。損失の繰越控除とは、翌年以後3年間にわたり、上場株式等の譲渡所得のほか、上場株式等の利子所得や配当所得から損失分を差し引くことをいいます。

特定口座年間取引報告書とは

特定口座年間取引報告書とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の上場株式等の譲渡や配当金の額と源泉徴収額から、納付税額または還付税額などを計算した書類で、証券会社が作成します。証券会社などの金融機関は、特定口座の保有者にこの書類を交付する必要があるほか、税務署への提出義務があります。

特定口座の保有者に交付される特定口座年間取引報告書の様式は証券会社ごとに少し異なりますが、記載されている項目は、証券会社が税務署に提出するものとだいたい同じです。ここでは証券会社が税務署に提出する国税庁の書類様式を見ながら、記載されている内容を簡単に解説します。以下の特定口座年間取引報告書は、証券会社が税務署に提出する書類の書式です。

特定口座年間取引報告書

【出典】[手続名]特定口座年間取引報告書(同合計表)|国税庁

特定口座年間取引報告書

【出典】[手続名]特定口座年間取引報告書(同合計表)|国税庁

まず、特定口座年間取引報告書の上部には、上場株式等の譲渡に関する計算が記載されます。確定申告にあたって確認したいのは、年間の譲渡所得等の金額が分かる赤枠で囲んだ部分と、源泉徴収税額があったときに記載される青枠の部分です。

特定口座年間取引報告書

【出典】[手続名]特定口座年間取引報告書(同合計表)|国税庁

書類の下部には、配当等の額や源泉徴収税額が記載され、最も下の方に特定口座内の税金の計算欄があります。赤枠で示した税金の計算の部分を押さえておきましょう。

特定口座と損益通算

この記事の中でも何度か登場した「損益通算」について、特定口座における損益通算とは何かもう少し詳しく解説していきます。

損益通算とは

損益通算とは、会計期間内に発生した利益から損失を差し引くことです。利益と損失を相殺することにより、損失の分だけ課税対象額が減ります。

特定口座での損益通算の仕組み

特定口座内で取引される上場株式等の譲渡所得は分離課税の対象で、事業所得などほかの所得とは分けて考えます。そのため、ほかの所得との損益通算はできません。株式等の譲渡で認められているのは、上場株式等や一般株式等の譲渡所得などとの通算です。

このうち特定口座が関係しているのは、上場株式等の譲渡所得などの通算になります。これは、保有する証券口座で生じた上場株式や公社債などの譲渡損益と、上場株式や公社債の利子所得・配当所得を損益通算することです。損益通算により、譲渡損失は利子所得や配当所得と相殺され、それでも差し引けなかった分が損失の繰越控除として、翌年以後3年間控除可能な額となります。

特定口座の仕組みを理解して正しく確定申告しよう

株式取引などを行いたいとき、証券会社で開設する口座の選択肢として特定口座があります。特定口座とは、納税者の確定申告などの負担をなくす、または軽減する効果がある口座です。特定口座には、口座内で納税関係が完結する源泉徴収ありの特定口座と、確定申告が必要な源泉徴収なしの特定口座があります。ただし源泉徴収ありでも、損益通算や損失の繰越の関係で確定申告した方が有利となることもありますので、年間の取引内容をよく確認しておきましょう。

確定申告については以下の記事で詳細を解説していますので、こちらもご覧ください。

よくある質問

特定口座とは?

上場株式等の譲渡損益を管理する口座で、源泉徴収ありのものと源泉徴収なしのものがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

特定口座で確定申告は必要?

源泉徴収ありの口座なら基本的に不要、源泉徴収なしの口座なら確定申告が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

特定口座年間取引報告書とは?

証券会社が発行する、特定口座内の年間取引で生じた譲渡損益や納税額などが記載された書類です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:高木 健太郎 (税理士)

税理士法人ナレッジラボ 代表社員
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