株で損したら確定申告すべき! 損益通算と繰越控除で“節税”する方法

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2018年10月以降、冬の訪れとともに一気に冷え込んだ日経平均株価。2019年の大発会も大幅下落となり、投資家にとってはヒヤヒヤする新年の幕開けとなりました。「2018年を通して振り返ると、最終的に損した」という方もいるでしょう。株で損した方にぜひやってもらいたいのが確定申告です。実は、「上場株式」で損をした人は確定申告をすることで“節税”することができるのです。

「源泉徴収ありの特定口座」は確定申告が不要

まず、大前提として確定申告についておさらいしましょう。株式投資で利益が出たら原則として確定申告しなければなりませんね。会社員などの給与所得者の方は、わざわざ確定申告するのはちょっと面倒に感じるかもしれませんが、実は自分で確定申告しなくてもいい方法があります。

というのも、投資のための証券口座を開設する際に、「源泉徴収ありの特定口座」を選択すると、自分で確定申告する必要がなくなるのです。

特定口座には「源泉徴収あり(源泉徴収口座)」と「源泉徴収なし」の2種類があります。「源泉徴収あり」の特定口座だと、証券会社が税金を天引きしてくれるのです。一方、「源泉徴収なし」の特定口座だと、利益が出たら自分で確定申告しなければなりません。証券会社によっては「源泉徴収なし」を選べない場合もあるようですね。

源泉徴収ありの特定口座:
原則、確定申告は不要。利益が出たら、金融機関が税金を源泉徴収(天引き)してくれる

源泉徴収なしの特定口座:
利益が出たら自分で確定申告をする

特定口座は上手く利用すれば、初心者の投資にとって便利なものです。特定口座の賢い使い方や確定申告をしたほうが有利になるケース、不利になるケースなども合わせて確認できるといいですね。

>>源泉徴収される特定口座について詳しくチェック

株にかかる税金

口座による確定申告の有無が分かりましたが、具体的にどのような税金を申告するのでしょうか。株式投資には、「譲渡益にかかる課税(譲渡益課税)」と「配当金等にかかる課税」の2種類の税金がかかります。それぞれの税率を見てみましょう。

譲渡益にかかる税と税率

株を売却して利益が出たら、「源泉徴収ありの特定口座」の方は金融機関に源泉徴収され、「源泉徴収なしの特定口座」の方は確定申告をして税金を納めることになります。譲渡で得た所得に対し、次の税率分を申告・納税しなければなりません。

<上場株式の場合>

譲渡で得た所得 × 20.315%
※税率20.315%の内訳(所得税15%、住民税5%、所得税額の2.1%に相当する復興特別所得税0.315%)

<一般株式(非上場)の場合>

譲渡で得た所得 × 20.315%
※税率20.315%の内訳(所得税15%、住民税5%、所得税額の2.1%に相当する復興特別所得税0.315%)

株式等の譲渡所得金額の計算方法や確定申告に必要な書類は、次のリンク先で紹介しています。

>>株式等の譲渡所得等の申告方法はこちら

配当金等にかかる税と税率

株の利子や配当金にも課税されます。配当金が支払われる際に、「源泉徴収ありの特定口座」かどうかに関わらず金融機関に源泉徴収されます。

<上場株式の場合>

株式の利子等・配当等の所得 × 20.315%
※税率20.315%の内訳(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)

<一般株式の場合>
 
配当等の所得 × 20.42%
※税率20.42%の内訳(所得税および復興特別所得税20.42%、住民税なし)

株で損した人は、確定申告で「節税」できる

やっと本題ですが、株で儲けた人だけでなく、損した人も確定申告するべき理由は何なのでしょうか。

実は、上場株式を売却して損した場合、利益と損失を相殺できる「損益通算」と、株の損失を3年間繰り越してその間の利益と相殺できる「繰越控除」という特例があります。

この特例は確定申告をすることで適用され、しかも“節税”することができるのです。ただし、一般株式(非上場株式)は適用外なので注意しましょう。

利益と相殺できる「損益通算」

損益通算とは、上場株式の譲渡損失を、その年の利子・配当所得と相殺することができる制度です。

例えば、2018年の年間の損益が、<譲渡損失200万円><利子・配当所得10万円>とします。年間を通したら190万円の損失となります。

【2018年の年間の損益】
譲渡損失   :-200万円
利子・配当所得:+10万円

<-200万円> + <+10万円> = -190万円

まずは<利子・配当所得10万円>の利益があるため、この10万円に税率20.315%を掛けた20,315円が源泉徴収されます。

ですが、年間を通して190万円の損失となっているため、10万円の利益が相殺され、源泉徴収された20,315円が還付されます。これが損益通算による“節税”です。

>>損益通算をする方はこちらもチェック

複数の口座で「損益通算」できる

複数の証券会社の口座を運用している投資家の方も多いと思いますが、損益通算は複数の口座間でも適用できます。

例えば、A証券会社の口座で100万円の利益が出て、B証券会社の口座で100万円の損失が出たとします。この場合、両口座間で損益を相殺でき、A証券会社の利益に対して支払った税金が還付されます。

【A証券会社の上場株式】
利子・配当所得:+100万円

⇒源泉徴収される額は203,150円

【B証券会社の上場株式】
譲渡損失:-100万円

AとBの口座間で損益通算し、A証券会社の利益に対する源泉徴収203,150円が還付される

株の損失を3年間繰り越せる「繰越控除」

繰越控除とは、譲渡損失を翌年以降の3年間にわたり繰り越すことができる制度です。つまり、譲渡損失を翌3年間いっぱいは利益と相殺できるのです。

例えば、先ほどの<損益通算して年間損失190万円>の事例の場合、翌3年間は190万円超の利益をあげてからやっと課税がかされるようになります。

繰越控除の注意点

株で損をしたら、泣き寝入りする前に損益通算と繰越控除を利用したいところです。ただし、繰越控除は繰り越す年と翌3年間は毎年確定申告をしなければなりません。その間は株式を売却しなかった年も確定申告が必要になるので、忘れず申告をしましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

取材協力:深堀 宗敏(公認会計士 / 税理士)

公認会計士・税理士/深堀宗敏税理士事務所
PwC税理士法人にて申告書作成業務、M&A、オーナー企業の事業承継対策等に関する会計・税務コンサルティング業務に従事。深堀宗敏税理士事務所を開業。現在、税務実務経験とシステム開発の経験を生かし、クラウドサービスについてのアドバイスを会社のみならず、会計事務所に対して多数行なっている。
@FukahoriTaxnote@fukahori_tax



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