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  • 作成日 : 2017年2月13日
  • 更新日 : 2020年9月17日

中小企業経営者が知っておくべき小規模企業共済制度とは?

小規模企業共済制度」は比較的小さなビジネスを行っている中小企業にとっては、必ず知っておきたい制度です。

ここでは制度の前提となる中小企業および小規模企業として認められるための事業規模のルールや、この制度の加入資格や加入方法、メリットやデメリットについて解説します。

中小企業・小規模企業の事業規模

まずは中小企業基本法上の「中小企業」及び「小規模企業」の定義について解説します。

同法上では中小企業は「製造業その他」「卸売業」「小売業」「サービス業」の4つの業種分類と、資本金の額又は出資の総額」と「常時使用する従業員の数」で定義づけられています。

製造業その他については資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社か、常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人が中小企業とされます。

卸売業の場合は前者が1億円以下の会社または後者が100人以下の会社及び個人、小売業の場合は前者が5千万円以下の会社または後者が50人以下の会社及び個人が中小企業です。サービス業では前者が5千万円以下の会社または後者が100人以下の会社及び個人を中小企業に分類します。

これに対して小規模企業は「製造業その他」「商業・サービス業」の2つの業種分類と、従業員の数だけで定義されています。製造業その他の場合は従業員20人以下、商業・サービス業では5人以下の場合に小規模企業に分類されます。

(参考:中小企業基本法の中小企業の定義と小規模企業の定義|中小企業庁

以下で解説する小規模企業共済制度における「小規模企業」とは主にこの中小企業基本法上の小規模企業を対象としています。

小規模企業共済制度とは?

小規模企業共済制度の概要

小規模企業共済制度は小規模企業の経営者や役員が、個人事業をたたむときや役員を退職したときなどのために、生活資金などのためのお金を積み立てられる共済制度です。

制度として50年もの歴史を持ち、平成28年3月時点で約166万人の個人事業主・共同経営者・小規模企業の役員が在籍しています。運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が、小規模企業共済法に基づいて行っているため、安心感と確実性が担保されています。

小規模企業共済制度の加入資格

小規模企業共済に加入するには加入資格を満たす必要があります。中小企業基本法上の小規模企業の経営者か役員であれば加入資格を満たしていますが、それ以外にも加入資格を満たしている場合があります。

中小機構ホームページに記載されている以下の6項目をご確認ください。

1.建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
2.商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
3.事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
4.常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
5.常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
6.上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

(出典:加入資格|中小機構

なお「共同経営者」は事業経営において重要な意思決定または資金負担をしており、かつ事業を経営するにあたって報酬を受けている人を指します。また各項目にある「常時使用する従業員」には家族従業員・臨時従業員・共同経営者(2人まで)は含まれないので注意しましょう。

小規模企業共済制度の加入の流れ

小規模企業共済に加入するには次の5つのステップを踏む必要があります。

STEP1
必要書類を入手契約申込み書や口座振替申出書のほか、事業形態に応じた提示書類が必要です。
STEP2
書類に必要事項を記入中小機構の記入見本を参考に記入します。
STEP3
振替口座の確認及び
加入申込
商工会などの委託団体、都市銀行などの代理店などの窓口で手続きをします。
STEP4
中小機構への送付窓口に提出した書類等は金融機関から中小機構に送付されます。
STEP5
共済手帳の受取約40日の審査期間を経て、共済手帳を受け取ります。

(出典:小規模企業共済加入手続き|中小機構

小規模企業共済制度のメリットとデメリット

小規模企業共済制度の2つの節税効果

小規模企業共済では大きく分けて2つの節税効果を受けられます。

1つ目は共済の掛金を払い込む際の節税効果です。この時の掛金は全額を所得控除として申告できるため、月額1,000円~7万円の範囲(500円単位)から自由に設定し、節税に役立てることができます。

2つ目は共済金を受け取る時の節税効果です。一括受取の場合は退職所得として、分割受取の場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、退職所得控除などの控除制度の適用が受けられます。なお、小規模企業共済の共済金の受け取りは、それぞれの人生設計に合わせて一括か分割(10年・15年)、もしくは一括と分割の併用という3種類の方法から任意で選択が可能です。

事業資金貸付制度

共済加入者は加入者が払い込んだ掛金の範囲内で、無担保・無保証人の事業資金等の貸付を受けることもできます。この事業資金貸付制度は次の7つのタイプが用意されています。

名称
貸付資格要件
一般貸付け資格判定時(4月末日及び10月末日)までに12ヶ月以上の掛金納付実績があるなど 
緊急経営安定貸付け直近の3ヶ月間または6ヶ月間で前年度同期比売上が5%以上減少しており、今後も減少が見込まれるなど
傷病災害時貸付け疾病・負傷により5日以上の入院について証明が受けられるなど
福祉対応貸付け加入者または同居親族が65歳以上の高齢者か身体障害者であるなど
創業転業時・新規事業展開等貸付け新規開業・転業を行う意思について、商工会等の団体から確認を受けているなど
事業承継貸付け商工会等の団体から、事業承継の事実もしくは意思の確認を受けているなど
廃業準備貸付け一般貸付けの資格を取得しており、かつ中小機構に1年以内に次の計画を行うことを申告して確認を受けている
・個人事業主の場合は「廃業届の提出(複数の事業を含む場合は全ての事業)」の計画
・会社役員の場合は「法人の解散(共済加入にかかわる法人の解散)」の計画

(参考:契約者貸付制度について|中小機構

デメリットはほとんどない

小規模企業共済制度のデメリットですが、実はほとんどありません。

例えば本制度には掛金納付月数が240ヶ月(20年未満)の場合、払い込んだ金額よりも受け取れる共済金が減ってしまう「元本割れリスク」があります。しかしこれはあくまで任意で解約した場合です。「個人事業を廃業した」「加入者が死亡した」「病気や怪我などで役員を退任した」などの理由があれば、理由に応じて額の増減はあるものの、元本割れリスクはなくなります。

また払込時に節税できても、受取時に課税されるため節税効果がないと言われることもありますが、これは前述の通り別の控除制度を利用できるので大きなデメリットにはなりません。したがって小規模企業共済制度にはこれといったデメリットがないと言えるのです。

まとめ

小さな規模の企業では自社で退職金などを用意するのが難しい場合も少なくありません。残念ながら中小企業基本法上の中小企業は加入できませんが、小規模企業共済への加入資格を満たしている小規模企業は、この制度を有効活用してみてはいかがでしょうか。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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