• 更新日 : 2025年10月21日

個人事業主も対象?反社チェックの方法やリスク回避策を解説

事業を営む中で、取引相手や自らの信用を守るためには「反社チェック」への理解と対応が欠かせません。反社会的勢力との関係が発覚すれば、信用失墜や契約破棄といった深刻なリスクにつながるため、企業だけでなくフリーランスも含めた個人事業主にとっても無関係ではいられない時代となっています。

本記事では、反社チェックの必要性や手法、リスク回避の対応策などを解説します。

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個人事業主との取引に反社チェックは必要?

個人事業主との取引であっても、反社チェックは法的・実務的な観点から必要です。反社会的勢力は、法人格を持たずに個人事業主としてビジネスに紛れ込むこともあり、表面的な肩書きだけでは識別が困難です。以下では、法律の観点とリスクから、チェックの必要性を解説します。

個人でも反社の可能性があるため確認が不可欠

個人事業主との契約においても、企業には反社会的勢力を排除する「社会的責任」が課されています。犯罪収益移転防止法は、金融機関などの特定事業者に対して本人確認や取引時確認を義務付けています。また、各都道府県の暴力団排除条例では、反社会的勢力に利益を供与しないことが事業者に求められており、相手方の確認が努力義務とされています。

また、暴力団排除条例では、企業や個人が反社会的勢力と取引を知りながら継続した場合、勧告や公表、防止命令といった行政上の措置や罰則を受ける可能性があります。さらに、取引相手が反社であると判明したにもかかわらず適切な対応を怠った場合には、民事上の損害賠償責任や信用毀損のリスクも生じ得ます。

契約書に反社会的勢力排除条項(いわゆる暴排条項)を盛り込んでおくことは有効な手段ですが、それ自体も「相手が反社でないことを事前に確認している」ことを前提としています。つまり、契約前の段階で適切なチェックを行っていなければ、法的な備えも不完全となるのです。

反社会的勢力と関係するリスク

反社会的勢力との関係が表面化すると、以下のような深刻な実害が発生することがあります。

  • 銀行口座の凍結や融資停止
  • 既存取引先からの契約解除
  • 取引先からの風評リスクによる信用低下
  • ネット炎上や報道被害
  • 訴訟や損害賠償請求

「反社との関係を知らなかった」では済まされず、事前の審査が甘かったこと自体が経営判断の過失と見なされることもあります。

また、反社と知らずに業務委託契約を結び、業務終了後に報酬の支払いや契約解除を巡って脅迫まがいの要求を受けるといったケースも少なくありません。フリーランス契約や一人法人との取引では、表面的な事業内容と実態がかけ離れていることもあり、簡易的な審査だけでは不十分です。

個人事業主に対する反社チェックの方法は?

ここでは、個人事業主との契約において行うべき代表的な反社チェックの方法を解説します。

本人確認と基本情報の収集

本人確認は反社チェックの出発点です。個人事業主の氏名や所在地などの情報は、公的な本人確認書類(運転免許証、パスポート、健康保険証、マイナンバーカードなど)を提示してもらい、実在性を確かめることが必要です。口頭確認やメール署名だけでは信頼性が担保されません。

また、クラウドソーシングやオンラインで完結する契約形態が増えている今、顔の見えない取引ほど本人確認の徹底が求められます。本人確認書類に加え、住所や電話番号の実在確認も並行して行うと、より確実です。

加えて、取引相手が知人や紹介であっても例外にせず、必ず同様の確認を実施すべきです。「知っている人だから大丈夫」という思い込みが、反社との予期せぬ接点を生む原因になりかねません。

インターネット・報道による風評リスクの調査

次に有効なのが、インターネット検索によるオープンソース情報の確認です。個人事業主の氏名や屋号に加え、「反社」「暴力団」「逮捕」「訴訟」「詐欺」「虚偽」などのワードを組み合わせて検索することで、反社関与を疑わせる情報やトラブル歴の有無を調査できます。

こうした検索では、匿名掲示板やSNSの書き込みなど信頼性の低い情報も含まれるため、複数のソースを照合し、事実関係の裏付けをとることが重要です。また、誹謗中傷と事実報道を区別する視点も必要です。

さらに、より信頼性の高い情報を得たい場合には、新聞記事アーカイブや業界専門誌のデータベースを活用するのが効果的です。日経テレコンでは逮捕に関する報道記事を検索でき、帝国データバンクは企業情報を中心に提供しています。

チェックツールや専門機関の活用

精度の高い反社チェックを目指すなら、反社チェック専用のツールや専門機関を活用する方法が有効です。これらは、新聞・ニュース・登記情報・行政資料・反社リストなど数十万件以上のネガティブデータを基に照会でき、人的ミスや見落としを防ぎます。

氏名や屋号、代表者名を入力するだけで、該当のネガティブ情報を自動照合できるツールが多数存在します。多くの企業では、契約前のチェックだけでなく、契約後も定期的に継続スクリーニングを行う運用に移行しており、反社リスクを継続的に監視しています。

ツール導入に際しては、以下の観点を比較・検討すると良いでしょう。

  • データベースの更新頻度と情報源の信頼性
  • 個人事業主や外国人にも対応しているか
  • 検索精度(過去の判決・報道までカバーするか)
  • 契約形態(月額制・従量制など)

また、疑わしいケースや判断に迷う場合には、警察や都道府県の暴力団追放運動推進センター(暴追センター)に相談することも可能です。暴追センターでは、企業からの照会に応じて反社会的勢力の情報提供を行う制度があります。ただし、回答に時間がかかる場合があるため、通常の取引ではツールによる事前調査と組み合わせるのが現実的です。

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個人事業主に反社チェックをするタイミングは?

反社と関係のある個人と契約してしまった場合、自社の社会的信用が失墜し、法的リスクも高まります。以下では、反社チェックを行うべき適切なタイミングについて解説します。

契約締結前の初期段階でのチェック

契約書を締結する前、つまりビジネスの関係が正式に始まる前の段階で、必ず反社チェックを行うべきです。この段階では、本人確認書類や事業の実態、Webサイト、過去の取引歴などを調査し、反社との関係性がないかを確認します。金融業界や建設業界など、法令遵守が厳しく求められる業種では初期段階での確認が義務付けられている場合もあります。

定期的な見直しタイミング

一度反社チェックを行って終わりではなく、継続的な確認も必要です。取引が長期にわたる場合、年に1回や契約更新時など、定期的なタイミングで見直しを行いましょう。時間が経つことで、相手の状況が変化している可能性があるため、定期チェックはリスク管理において不可欠です。

取引内容や事業の変化があった場合

個人事業主が事業内容を変更する場合や、新たなビジネスに乗り出す場合も、再度の反社チェックが推奨されます。たとえば屋号の変更、業種転換、大型案件への参入などがあった場合、それに伴って新たな関係性が生じる可能性があります。こうした変化のタイミングで確認することで、事前にリスクを回避できます。

外部からの通報や風評があった場合

第三者から反社との関係性を示唆する通報や情報が寄せられた場合は、緊急で再チェックを行うべきです。真偽不明な情報であっても、企業としては迅速に対応し、万が一のリスクを排除する姿勢が求められます。メディア報道などがあった場合は、企業の対応スピードも問われます。

取引相手が反社会的勢力と判明・疑われた場合の対処法は?

反社チェックをすり抜けた取引相手が、契約後に反社会的勢力であると判明した場合には、迅速かつ慎重な対応が求められます。対応手順を解説します。

弁護士・警察など専門家への早期相談が第一

相手に反社の疑いが浮上したら、まず行うべきは弁護士や警察など専門家への相談です。取引先との契約内容や証拠の有無、契約解除の可能性、名誉毀損や損害賠償リスクへの対応など、法的な見地からの判断が不可欠となります。

また、脅迫や強要といった違法行為の兆候があれば、警察へ速やかに情報提供することで、自社の安全確保や被害防止につながります。これらの相談は記録として残すことで、将来のトラブル防止にも役立ちます。

契約解除は理由を明言せず慎重に進める

取引を中止する際には、「反社であるため契約を解除する」といった明確な理由を伝えることは避けるべきです。そのような発言が名誉毀損と受け取られたり、逆上を招いたりする可能性があるため、「御社の事業方針と合致しないため」「業務内容を見直すことになったため」など婉曲な表現を用い、角の立たない対応を心がけましょう。

また、やり取りは可能な限り書面やメールで行い、直接の対面や電話は避けることが推奨されます。記録を残すことで、後日何か問題が生じた際の証拠として活用でき、同時に社員や関係者の身の安全を守ることにもつながります。

契約書の暴排条項(反社条項)の有無がポイント

相手が反社であると判明した場合に備えて、契約書に暴力団排除条項(暴排条項)があるかどうかが重要なポイントになります。多くの暴排条項では、「相手が反社会的勢力であると判明した場合、催告なしで契約解除できる」と明記されています。

この条項があることで、一方的に契約を打ち切り、以後の接触や責任を回避する法的根拠となります。すでに契約締結済みの場合でも、反社疑惑が浮上した段階で契約書を再確認し、条項に基づいて弁護士とともに解除手続きを進めましょう。

もし暴排条項がなかった場合でも、「公序良俗違反」を根拠に契約の無効や解除を主張することは可能です。しかし、この場合は法的立証が難しくなることもあるため、弁護士の綿密な支援が不可欠です。

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フリーランス新法施行で個人事業主への反社チェック体制は強化された?

2024年11月に施行された「フリーランス新法」(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、個人事業主と企業との取引に大きな変化をもたらしました。フリーランス新法は反社チェックを法律上義務付けてはいませんが、契約書面化の普及により、実務上、反社チェックの導入が進んでいます。

契約義務の明確化で反社条項が標準化へ

新法により、企業(発注者)にはフリーランスとの契約内容を明示する義務が課され、書面やメールなどで明確な合意が必要となりました。これまで口頭契約や曖昧なやりとりで済ませていた取引にも、法的な整備が求められるようになったことから、契約書に「反社会的勢力排除条項(暴排条項)」を盛り込む動きが加速しています。

この条項は、契約相手が暴力団や反社会的勢力と判明した場合に、催告なしで契約を解除できるようにするもので、暴力団排除条例や企業のコンプライアンス方針とも一致する規定です。企業側は今や、フリーランスが反社でないことを確認する責任を明確に意識し、身元確認や誓約書の取得をセットで行う傾向が強まっています。

個人事業主が反社チェックのために準備すべきことは?

企業との取引が増えるにつれ、フリーランスや個人事業主にも「反社会的勢力ではないこと」を証明する対応が求められるようになりました。以下では、取引先から反社チェックを受ける際の準備について解説します。

本人確認書類をいつでも提示できる状態に

まず基本となるのが、身元を確認できる公的書類の準備です。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどは、個人事業主としての正当性と実在性を示すものとして活用されます。特に初めて取引する相手やオンライン契約では、本人確認が契約成立の前提となるケースが増えています。

また、場合によっては「住所確認書類(公共料金の領収書等)」や「開業届の写し」「個人事業主用の名刺やHP」など、事業の実体を示す追加書類を求められることもあります。こうした情報をまとめたフォルダを日頃から整理しておくと、スムーズな対応が可能になります。

反社排除誓約書の提出に応じる準備

企業との契約に際し、「自身および関係者が反社会的勢力に該当しないこと」を記載した反社排除誓約書(暴排誓約書)の提出を求められることがあります。これはコンプライアンスの一環であり、反社でないことを文書で確約するものです。

拒否や遅延は不審に見られる可能性があるため、定型の誓約書フォーマットを事前に用意しておくことも有効です。法的な表現に不安がある場合は、弁護士に相談のうえ作成しておくと安心です。

SNSや公開情報へのセルフチェック

近年では、取引先がSNSやウェブ検索を通じて相手の風評を調べることも一般的です。そのため、自らのSNSアカウントやブログ、YouTubeなどに不適切な投稿や言動がないかを定期的に見直すことも重要です。

過去の投稿が誤解を招く表現になっている場合や、反社的な内容や極端な思想を含む場合は、信用を損なう原因になります。ネット上の情報も“名刺の一部”と捉え、ビジネスにふさわしい内容に整理しておくことが求められます。

反社チェックは双方の信頼構築に不可欠

企業にとっては、反社排除は自社の社会的責任であり、取引先のスクリーニングはリスク管理の要です。一方でフリーランスも、反社チェックへの協力を通じて「信頼に足る取引相手」であることを証明する必要がある時代になりました。

今後は、反社条項の導入はもちろん、反社データベースを活用したスクリーニングや、定期的な再確認といった仕組みが個人事業主との取引にも当たり前になっていくでしょう。形式的な対応ではなく、日頃からセルフコンプライアンスを意識し、信用を損なう言動を避ける姿勢が求められます。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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