- 更新日 : 2025年8月8日
個人事業主が安定して案件を獲得するには?単価アップや契約トラブル回避の方法を解説
個人事業主として長く活躍するためには、継続的な案件の確保と安定した収入を得るための工夫が欠かせません。案件の探し方ひとつを取っても、クラウドソーシングから人脈紹介、SNSの活用まで多様な選択肢があります。また、契約時の注意点や報酬の交渉方法を理解しておくことで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。さらに、専門性を高めたり実績を見える形で発信したりすることで、より高単価な仕事につながる可能性も広がります。
この記事では、案件の獲得方法から単価アップのヒント、契約トラブルの回避法まで、実務に活かせるポイントを紹介します。
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目次
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個人事業主が案件を獲得する方法
個人事業主が新たな案件を獲得する方法には様々な手段があります。インターネットを活用する方法から、人脈を通じたものまで、自身に合った手段を見つける参考にしてください。ここでは代表的な案件獲得ルートを紹介します。
クラウドソーシングや求人サイトの活用
フリーランス向けのクラウドソーシングサイトでは、多様な案件が常時募集されており、自分のスキルに合った仕事をオンラインで探すことができます。代表的なサービスには「クラウドワークス」「ランサーズ」などが挙げられます。応募から契約までWeb上で完結できるため手軽で便利ですが、低単価の案件や競争も多いため、条件を見極めて選ぶ工夫が必要です。実績と信頼を積み重ねていけば、より高単価の直接依頼につながるチャンスも広がるでしょう。
企業への直接営業
企業や個人に自ら売り込む直接営業も、有力な案件獲得手段の一つです。自分の専門性や提案内容に自信を持って積極的にアプローチすることで、新たな取引先を開拓できます。営業経験が浅い初心者でも、試行錯誤を重ねる中でクライアントとの関係構築や自身の成長につながっていくでしょう。一度に成果が出なくても継続して働きかけるよう心がけましょう。
SNSやWebサイトを通じた情報発信
Twitter(X)やInstagram、Facebook、LinkedInなどのSNSや、自身のブログ・Webサイトを活用して集客する方法もあります。制作事例や専門知識を定期的に発信し続けることで、それを見た企業から声がかかることも期待できます。SNS上で寄せられたコメントやメッセージに丁寧に対応し、信頼を積み上げることが案件獲得につながります。また、公式サイトにサービス内容や過去の実績を整理して掲載しておくと、興味を持ったクライアントが詳細を確認しやすく、問い合わせにつながりやすくなるでしょう。
知人や過去の取引先からの紹介
知人や以前に取引したクライアントから案件を紹介してもらう方法は、信頼性が高く安定した仕事につながりやすい手法です。
紹介を受けた相手は、事前にあなたのスキルや人柄について聞いていることが多く、契約までの話が比較的スムーズに進みます。日頃から関係者との繋がりを大切にし、誠実な仕事を心がけることで次の案件に結びつきやすくなります。また、交流会やオンラインコミュニティなどに積極的に参加して人脈を広げておけば、思わぬ経路で案件が舞い込む可能性もあるでしょう。
フリーランスエージェントやマッチングサービスの利用
フリーランス専門のエージェントサービスに登録し、希望条件を伝えておくと、適切な案件を紹介してもらえるため、案件探しの負担を減らせます。この方法は営業が苦手な人や仕事探しに時間を割けない人にとって心強い方法です。ただし、エージェントによって得意分野や仲介手数料が異なるため、自分のスキルに合ったサービスや料金を選びましょう。エージェント経由の契約では報酬の一部が手数料として差し引かれる点も事前に確認しておきましょう。
個人事業主が案件獲得後に契約・報酬で気をつけるポイント
案件を獲得した後は、契約の締結や報酬の受け取りに関して注意すべき点があります。なお、2024年11月からフリーランス新法が施行され、フリーランスが安心して働けることを目的として、契約内容の明確化や適正な支払いが法律で義務付けられるようになりました。
契約内容は書面で明確に取り交わす
仕事の依頼を受ける際は、口頭やメッセージ上の約束だけに頼らず、必ず書面(電子メールや契約書など)で契約内容を取り交わしましょう。契約書には業務の具体的な内容、納期、報酬額、支払い時期・方法などを明記します。フリーランス新法でも、業務委託契約の内容を書面または電子記録で明確化することが義務付けられました。口約束のままでは業務内容や報酬の解釈が曖昧になり、報酬の支払い遅延や不当な追加要求などトラブルにつながりかねません。こうした事態を防ぐためにも、契約書面を交わしてお互いの合意事項を明確に残すことが不可欠です。不明確な点は契約前にしっかり確認し、納得できる形で契約を締結しましょう。
報酬額・支払い条件の確認
報酬の金額や支払い条件についても、契約前に必ず確認します。特に、報酬の支払日(いわゆる「支払サイト」)は重要なポイントです。企業との取引では「月末締め翌月末払い」など、納品から実際の入金まで数週間から1か月程度の期間が設けられるのが一般的です。フリーランス新法では、クライアントは納品を受け取ってから60日以内に報酬を支払う義務があり、極端な支払い遅延が防止されるようになりました。契約時には報酬額だけでなくいつ支払われるかを明記し、自分の資金繰りも考慮しておくと安心です。また、案件によっては報酬から所得税が源泉徴収される場合もあるため、その有無を確認し、手取り額(実際の受取額)を把握しておきましょう。必要経費(交通費や備品代など)がかかる仕事では、それらをクライアントが負担するかどうかも契約書で明確に定めておくことをおすすめします。
業務範囲や知的財産権の取り扱いを事前に取り決める
契約時には、依頼された業務の範囲(スコープ)を明確にしておくことも欠かせません。業務範囲を曖昧にしていると、後から「この作業もお願いしたい」といった追加要求を受け負ってしまう恐れがあります。契約前に自分が担当する範囲を明確に定義し、契約書に盛り込んでおきましょう。併せて、成果物の知的財産権(著作権など)の扱いについても事前に取り決めておく必要があります。例えばデザインや文章などの制作案件では、その著作権を納品後にクライアントへ譲渡するか、自分に留保するかを契約書で定めます。自分の制作物を後日ポートフォリオなどで公開したい場合、契約で著作権が相手方に移転する条件になっていると勝手に掲載できなくなるため注意が必要です。不利な契約条件を避けるためにも、疑問点は契約前に質問・交渉し、双方が合意できる形にしてから契約しましょう。
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個人事業主が案件の単価を上げるためにできること
個人事業主として活動していると、「もう少し単価の良い案件を受けたい」と感じる場面は少なくありません。継続的に高単価な仕事を受けるためには、実績を積むだけでなく、戦略的な工夫が求められます。以下では、実践しやすく効果が期待できる方法を紹介します。
提供するサービスの専門性を高める
単価の高い案件は、汎用的なスキルよりも専門性の高いスキルに対して発注される傾向があります。そのため、幅広い業務に手を出すよりも、自分の強みとなる分野を明確にし、特化したスキルや知識を深めることが有効です。たとえば「デザイン」ではなく「BtoB向けLPデザイン」のように、対象や目的がはっきりしているほど価値を認められやすくなります。専門分野に特化することで競合との差別化が図れ、結果として高単価案件の受注につながります。
実績や成果を見える形で提示する
高単価を提示するには、依頼主が「その価格に見合う成果が期待できる」と思える材料が必要です。これにはポートフォリオや事例紹介、クライアントの声などを活用し、過去の成果を具体的に提示することが効果的です。数字やデータで成果を示せれば、より説得力が増します。また、定期的に成果物を整理し、WebサイトやSNS、営業資料などに反映させておくと、新規案件の獲得にも役立ちます。
単価交渉に臨むための準備を整える
案件の条件設定時に「相手の言い値で受ける」のではなく、自ら適正な単価を設定して提案する姿勢も大切です。相場感を把握し、自身のスキルレベルと作業時間に応じた報酬基準を持っておくことで、交渉時に自信を持って話すことができます。また、単価だけでなく「納期が短い」「業務量が多い」など条件に応じて追加料金を提示することも、適正な価格設定の一環です。無理な条件で請け負わず、交渉相手と対等な立場で交渉する習慣をつけることが、長期的な価値向上につながります。
個人事業主の案件トラブル事例と対処法
個人事業主として案件を受ける中で、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。報酬未払い、契約内容の食い違い、業務範囲の追加など、さまざまな問題が発生し得ます。ここでは、実際に起こりやすいトラブルの例と、効果的な対処法をご紹介します。
報酬が支払われない
最も深刻なトラブルの一つが「納品したにもかかわらず報酬が支払われない」というケースです。発注側の都合や一方的な評価を理由に、支払いを拒否される場合があります。こうした事態を防ぐには、契約時に支払条件を明記した書面を交わすことが前提です。万が一トラブルが発生した場合は、まずは丁寧に状況確認と支払いの意思を確認する連絡を行いましょう。それでも解決しない場合は、請求書や業務記録を証拠として残した上で、内容証明郵便の送付や、各自治体の労働相談窓口に相談する選択肢もあります。
契約内容と実際の業務が異なる
契約書で定めた内容とは異なる業務を求められることも、個人事業主の案件でしばしば見られるトラブルです。「追加作業なのに報酬は変わらない」といった問題は、業務範囲が曖昧なまま契約を進めた結果として発生します。こうしたリスクを避けるには、契約時に業務内容を具体的に記載し、「追加業務が発生した場合は別途相談する」と明記しておくことが重要です。業務開始後に不明点が出た場合も、その都度文面で確認・記録を残すことで、後々の証明に役立ちます。
一方的な納期変更やキャンセル
個人事業主の案件では、発注側からの都合による納期の短縮やキャンセルが突然行われることがあります。これにより予定していた作業時間が圧迫されたり、納品直前で案件が無効になったりといった事態に陥ることもあります。こうしたケースを想定して、契約書には「途中キャンセル時の違約金」や「納期変更時の対応条件」などを盛り込むと、精神的な負担を減らすことができます。契約前に「どのような事態が想定されるか」を話し合い、合意を得てからスタートすることが、安全に進行するための基本となります。
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個人事業主に人気の案件ジャンルと収益目安【2025年版】
個人事業主として活動するうえで、自分の業種でどのような案件が人気なのか、そしてどれくらいの収益が見込めるのかを把握することは、収入の安定化と成長に役立ちます。ここでは2025年時点で需要の高い業種を中心に、案件ジャンルの傾向と報酬水準の目安を解説します。
IT・エンジニア系
プログラミングやシステム開発、アプリケーション設計などを担うエンジニア系の個人事業主は、引き続き高い需要があります。特にWebサービスの構築や業務システムの改善に関する案件は増加傾向にあり、1件あたりの単価も比較的高水準です。月40万円〜60万円、完全リモート案件でも時給3,000円前後といった収益が見込まれます。最新技術への対応力やセキュリティ知識があると、より上位案件にアクセスしやすくなります。
デザイン・クリエイティブ系
グラフィックデザインやWebデザイン、動画制作といった分野は、企業の広報・マーケティング活動の拡大に伴ってニーズが高まっています。ランディングページやバナー制作の単価は1万円~5万円程度、動画編集は1本あたり2万円前後が一般的です。ただし、ポートフォリオや過去実績の内容によって単価は大きく変動します。長期的なクライアントとの契約に発展すれば、安定的な収入が期待できます。
ライティング・編集系
文章作成を中心に活動する個人事業主には、SEOライティング、取材記事、マニュアル作成など多様な案件があります。記事単価は文字単価1.0円~3.0円程度が相場ですが、専門性が高い分野(医療・金融・法律など)であれば、1記事あたり2万円以上の案件も少なくありません。コンテンツマーケティングやコラム連載といった継続型案件を受けられると、収益の予測もしやすくなります。
強みを活かした案件の獲得で高収入を実現しよう
個人事業主として成功するには、案件を継続的に獲得するだけでなく、契約や報酬の面でも確かな対策が必要です。自身に合った案件獲得手段を活用し、契約内容を明確に交わすことで、未払いなどのトラブルを防ぎやすくなります。また、スキルの専門性を高めたり、実績を積極的に発信したりすることで、単価アップも目指せます。日々の業務に戦略を持ち込んで、より安定した働き方を築いていきましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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