• 更新日 : 2026年1月22日

奨学金を受け取ったら確定申告は必要?

奨学金を受け取ると現金が振り込まれるため、「課税対象となる所得に該当し、所得税の確定申告が必要なのでは?」と思われる人もいるかと思います。奨学金は原則として所得税の課税対象とはならず、確定申告も不要ですが、奨学金の種類や支給目的によっては注意が必要なケースもあります。また、通常は贈与税の課税対象にもなりません。

この記事では奨学金について、貸与型奨学金と給付型奨学金に分けて、確定申告の要否や課税関係を解説していきます。

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貸与型奨学金と確定申告

貸与型奨学金とは、将来返済の義務が発生する奨学金のことをいいます。日本の奨学金の多くは、貸与型奨学金です。貸与型奨学金は、学校法人や自治体などさまざまな団体が募集を行っていますが、中でも広く利用されているのが公的機関の日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。JASSOの日本国内の奨学金は、第一種と第二種の2種類があります。

第一種は無利子型、第二種は有利子型です。第一種は原則として借りた額を返済すれば済みますが、第二種は利子付きで、借りた額よりも多く返済しなければなりません。

貸与型奨学金では、現金を受け取ることから課税関係が気になる人も多いですが、所得税の確定申告や贈与税の申告が必要なのか、見ていきましょう。

貸与型奨学金の場合、所得税の申告は必要なし

所得は、事業などといった収入から経費などを差し引いた、税務上の計算によって求められる金額で、いわば利益に近いものです。貸与型奨学金は、一時的には現金を受け入れるものの、将来的には返済しなければなりません。所得ではなく借入金であって、その性質は負債です。

所得税は、ある年度の1年間に生じた所得を申告するものであるため、返済義務のある負債は所得税の課税対象とはなりません。よって、貸与型奨学金を利用して団体から奨学金として入金があっても、その入金額を所得として申告する必要はありません。所得税の確定申告は不要です。

贈与税の申告は必要になるケースもある

贈与とは、誰かからものや金銭をもらい受けることです。貸与型奨学金は、返済が必要な借入金であって、贈与にはならないため、贈与税の申告は必要ありません。

また、贈与税の対象になるのは、個人から無償で財産の移転を受けた場合です。貸与型奨学金は返済義務のある借入金であり贈与には該当しません。加えて奨学金は多くの場合、団体から支給されるものである点も、贈与税が課されない理由の一つといえるでしょう。

ただし、奨学金の返済期間中に、家族などが返済を肩代わりした場合は注意が必要です。家族から金銭の贈与を受けて、その金銭で奨学金を返済したと認識されるため、肩代わりした額が年間110万円を超えるなど一定の条件に該当する場合には、贈与税を申告しなければならないケースもあります。

暦年課税(通常)の場合はすべての贈与額を合算して、年間で基礎控除の110万円を超えるような場合は贈与税の申告が必要です。

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給付型奨学金と確定申告

給付型奨学金は、支援団体が奨学金を対象者に給付するといったものです。貸与型奨学金とは異なり、返済の必要はありません。返済不要ということからもわかるように、給付型奨学金は、貸与型奨学金とは税金の計算上、異なる扱いになります。

給付型奨学金を受け取った場合、所得税の確定申告や贈与税の申告が必要になるのかを見ていきましょう。

所得税の申告

給付型奨学金は、返済義務のある貸与型奨学金とは違い、完全に返済の必要がない奨学金です。給付された額をそのまま受け取れます。つまり、奨学金を受け取った本人の所得のようにも見える性質の金銭といえるでしょう。

しかし、結論からいうと、給付型奨学金は、原則として所得税の課税対象にはなりません。これは、所得税法において「学資に充てられるため給付される金品」は非課税所得とされているためです。教育を受けるのに必要な給付金に課税するのは、納税者の実情にそぐわないと考えられています。

そのため、給付型奨学金を受け取った場合でも、所得税の確定申告を行う必要はありません。

ただし、勤務先などの法人から給付型奨学金(学資に充てられる費用)を受ける場合は注意が必要です。会社の使用人が受け取る学資に充てる費用については、支給基準や社内規程が明確で、公平に運用されている場合には、おおむね課税対象にならないと考えられますが、内容によっては給与に該当します。

例えば、会社の役員が支給を受ける場合などです。公平性がなく不透明な支給は認められません。給与となれば、給与所得として所得税の申告が必要なこともあるため、注意しましょう。

贈与税の申告

給付型奨学金に関しては、贈与税の課税対象になるかどうかは、給付の性質や税法上の非課税規定に該当するかどうかで判断されます。

【贈与税の対象にならないケース】
相続税法に定められている特定公益信託から学資に充てるため給付される奨学金については、贈与税は課されません。

一方、会社などの法人からの給付型奨学金は贈与税の対象とはならず、所得税の課税関係が問題となります。

【贈与税の対象になるケース】
給付型奨学金が贈与税の課税対象になるのは、個人などから無償で奨学金の給付を受け、その給付が相続税法上の非課税規定に該当しない場合です。

ただし、実際に贈与税の申告が必要かどうかは1年間に給付された額で決まります。このような場合、暦年課税において基礎控除額110万円を超えて支給を受けたときは贈与税の申告が必要です。

奨学金の返済に充てるための給付を受けた場合

奨学金を借りたものの、就職後に奨学金を返済できるほどの余裕がなく、返済に困窮してしまうケースもあります。奨学金については、社会問題として取り上げられることも増えました。

このような問題を解消するために、自治体や企業では、奨学金の返済に充てるための金銭を支給するケースも増えています。こういった奨学金返済のために受け取ったお金は申告しなければならないのでしょうか。

まず、自治体から奨学金の返済に充てるための給付を受け取った場合です。このケースでは、学校卒業後に県内の企業に就職して一定期間働くことで、貸与した奨学金の返済を免除する形がよく見られます。

実質的には給付型奨学金に近い形に見えますが、卒業後に一定期間就業することを条件とした返済免除については学資としての給付とはいえず、課税関係が問題となるケースもあります。

このため、免除された奨学金が常に非課税となるわけではありません。課税対象とならない場合には、所得税の確定申告は必要ありません。

ほかにも、企業が使用人の奨学金返済のために金品を支給するケースもあるでしょう。先の見出しでも少し触れましたが、通常の給与に加算して支給する場合、原則として給与所得として課税されます。

ただし、福利厚生として社会通念上相当と認められる方法で、対象となる使用人に公正に支給される場合には、課税されないケースもあります。

特に、役員の奨学金返済のために支給する場合など、条件に当てはまらない支給は、役員報酬(給与)として取り扱うことになるため、注意しましょう。

そもそも確定申告が必要なケース

奨学金を受け取ったときに確定申告が必要かどうかを解説してきましたが、奨学金で確定申告が必要かどうかに関係なく、そもそも確定申告自体が必要な人もいます。確定申告が必要なケースは、以下のような条件に該当する場合です。

  • 会社員でほかにアルバイトをしていて、年末調整を受けないアルバイトの収入が年間20万円を超えるとき
  • 会社員でほかに副業をしていて、副業の所得(収入-経費)が年間20万円を超えるとき
  • 自営業者で、収入から経費を差し引いた結果、事業所得などの所得があるとき
  • 退職所得の受給に関する申告書を提出しておらず、源泉徴収を受けていない退職所得があるとき
  • 公的年金等の収入が年間400万円を超え、確定申告不要制度の対象とならないとき

所得税の確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

例外はあるものの奨学金には基本課税されない

ここまで、奨学金を受け取ったとき所得税の確定申告は必要か、贈与税の申告は必要か、貸与型と給付型に分けて説明してきました。一部支給方法や支給者との関係によって課税対象となる例外はあるものの、基本的には奨学金を受け取っても課税されないため、確定申告の必要はありません。

【参考】国税庁|確定申告が必要な方
【参考】国税庁|贈与税がかかる場合

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よくある質問

貸与型奨学金とは何ですか?

将来返済の義務が発生する奨学金のことを貸与型奨学金といいます。詳しくはこちらをご覧ください。

貸与型奨学金を得ている場合、贈与税の申告は必要ですか?

必要ありません。理由は貸与型奨学金が、返済の必要な借入金であって、贈与にはならないからです。詳しくはこちらをご覧ください。

そもそも確定申告が必要なのは、どんな場合なのですか?

確定申告が必要なのは、一定の基準を満たしている場合です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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