• 更新日 : 2025年9月19日

個人事業主は開業資金の融資を受けられる?利用できる制度や審査のポイントを解説

これから個人事業を始めようと考えている方にとって、「開業資金をどう調達するか」は大きな課題の一つです。

本記事では、実績のない開業直後でも利用できる融資制度や、審査を通過するための事業計画書の書き方、自己資金の準備目安など、融資成功に向けた準備のポイントを解説しています。

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個人事業主は開業資金の融資を受けられる?

個人事業主は、たとえ売上実績がない開業直後の段階でも、条件を満たせば開業資金の融資を受けられる可能性があります。ただし、実績がないからこそ、事業計画の内容や準備状況が重視されます。融資審査では、開業動機や市場調査、売上見込み、資金使途、返済計画などが含まれる事業計画書の完成度が問われます。あわせて、一定の自己資金があるかといった点も確認されます。つまり、実績は不要でも「信頼を得られる準備」が不可欠です。金融機関にとって納得のいく事業設計が提示できれば、開業直後でも融資の道は開かれます。

個人事業主が融資を受けるための条件

個人事業主が融資を受けるには、金融機関に対して「返済可能な事業である」と示す必要があります。そのためには、信用につながる書類の準備や、経営状況が明確にわかる情報を整えておくことが不可欠です。主な審査条件を紹介します。

開業届を提出している

融資申請では、事前に税務署に「開業届」を提出することをおすすめします。これは事業を正式に始めている証明として扱われます。開業届は開業後1か月以内に提出するのが原則であり、書面の控えは必ず保管しておきましょう。

確定申告と納税の実績がある

開業から一定期間が経過している場合、直近の確定申告書をもとに事業の収益性や継続性を確かめられ、融資可能かどうか判断されます。金融機関によっては、2期分の確定申告書を求めることもあります。適正な申告と納税が行われていることは、経営者としての信頼性を証明するものです。未申告や納税遅延があると信用を損なうため注意が必要です。

現実的で具体的な事業計画書がある

融資審査では、事業の将来性や収益見込みを裏付ける「事業計画書」が重要視されます。計画書には、事業内容、目標売上、資金の使い道、返済の見込みなどを具体的に記載し、数字や根拠を示すことで説得力を持たせます。

内容が曖昧な場合や、現実離れした数値設定では評価が下がるため、慎重に作成しましょう。

一定の自己資金と良好な信用情報がある

たとえ制度上は自己資金が不要な場合でも、開業に必要な額の2~3割程度の自己資金を用意しておくことは、金融機関にとって安心材料になります。また、事業主本人の信用情報も審査対象です。クレジットカードやローンの延滞歴、税金や公共料金の未納などがあると、融資判断にマイナスの影響を与える可能性があるため、事前に確認・整理しておく必要があります。

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個人事業主が利用できる開業資金の融資制度

個人事業主が利用できる開業資金の融資には、国・自治体・民間それぞれの機関が提供する制度があります。融資限度額や金利、審査基準、申込条件は制度ごとに異なるため、自身の事業規模や資金ニーズに応じた選択が大切です。以下では、代表的な融資制度を紹介します。

日本政策金融公庫の開業資金融資(新規開業・スタートアップ支援資金)

日本政策金融公庫(日本公庫)は、個人事業主を含む中小企業や創業者の資金支援を目的とした政府系金融機関です。

なかでも「新規開業・スタートアップ支援資金」は、開業者向けの融資制度として知られています。対象は、これから開業する方や、開業後おおむね7年以内の個人事業主で、設備資金・運転資金に対応し、融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)です。

2024年4月の制度改正により、自己資金要件が撤廃されました。これにより、自己資金が少ない人でも融資の申し込みがしやすくなり、さらに無担保・無保証人での融資も可能となりました。

返済期間も柔軟で、設備資金は最長20年、運転資金は10年以内とされ、いずれも据置期間を最大5年まで設定できます。金利は金融情勢によって変動しますが、無担保かつ税務申告を2期終えていない人の基準利率は2.90%~4.30%の範囲です。また、女性、若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)などの条件を満たす場合は、利率が引き下げられる「特別利率」が適用されることがあります。

ただし、希望額すべてが借りられるとは限らず、事業計画の整合性や収支バランス、信用状況を見て融資額が決定されます。書類の不備や計画の甘さがあると、審査に落ちる可能性もあるため、十分な準備が必要です。

参考:新規開業・スタートアップ支援資金

自治体の制度融資(信用保証協会付き融資)

制度融資は、地方自治体が信用保証協会および金融機関と連携して提供する融資制度です。個人事業主も対象で、民間の銀行単独では融資が難しいケースでも、信用保証協会が保証を行うことで借入が実現しやすくなります。いわば自治体が仲介役となり、信用保証付きで融資を支援する仕組みです。この制度のメリットは、利子補給制度があり、比較的低金利で利用できる点にあります。

一方で、制度融資は自治体・金融機関・保証協会と3者それぞれの審査を経るため、融資実行までに時間がかかる傾向があります。申し込みから資金受取までに2か月ほどかかり、迅速な資金調達を希望する場合には向いていません。利用を検討する際は、スケジュールに余裕を持って動くことが大切です。

申請の流れとしては、まず地元の自治体に相談し、保証協会付き融資の申し込みを行います。保証協会が事業者の信用保証を行い、そのうえで金融機関が融資を実行します。保証料は発生しますが、自治体によっては保証料の補助を行っていることもあるため、確認しておくと良いでしょう。

民間銀行・信用金庫の融資(プロパー融資・ビジネスローン)

民間の銀行や信用金庫が独自に提供する融資も、個人事業主の開業資金調達手段として活用できます。これらは大きく「プロパー融資」と「ビジネスローン」の2つに分かれます。プロパー融資は、銀行が自らの判断で実行する融資であり、ビジネスローンよりは金利が低く、多額の融資も可能です。しかしその反面、審査基準は厳しく2週間~1か月以上かかる場合もあり、創業初期で売上実績や担保がない個人事業主にはハードルが高いのが実情です。担保や第三者保証人の提出を求められる可能性もあるため、事前の相談と準備が欠かせません。

一方、ビジネスローンは事業者向けの無担保・少額融資で、プロパー融資と比べて審査が緩やかでスピーディです。事業歴が浅い場合でも利用しやすく、開業初期のつなぎ資金として重宝されます。金利は高めに設定されており、融資限度額も数百万円程度と小規模ですが、スピード感を重視したい方に向いています。

自己資金の準備目安

近年、日本政策金融公庫をはじめとする制度融資では、自己資金の有無を絶対条件としないケースが増えています。たとえば、日本公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、2024年の制度改正により自己資金要件が撤廃され、自己資金ゼロでも申し込みが可能になりました。

しかし、制度上は不要でも、現実的には可能な限り自己資金を準備してから申し込むのが望ましいとされています。融資審査では、借入希望者がどれほど事業に本気で取り組んでいるかが重視されます。自ら資金を投じている事実は、金融機関にとって「返済意欲の高さ」と「資金管理能力」の指標となり、信用につながります。また、自己資金があることで借入額を抑えられ、返済負担も軽減されるため、事業の安定性にもつながります。

一般的には、融資希望額の2~3割を自己資金で用意しておくと、審査上プラスに働くとされています。500万円の融資を希望するなら、100万円~150万円の自己資金を用意しておくとよいでしょう。

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融資審査を通過する事業計画書の作成ポイント

事業計画書は、融資審査において「返済できる事業かどうか」を判断するための重要な資料です。ここでは、審査を通過するためのポイントを解説します。

事業内容・ビジネスモデルを明確にする

計画書では、提供する商品やサービスの内容を簡潔に説明します。「何を」「誰に」「どのように」提供するのか、収益の仕組みが一目でわかるように記載します。さらに、事業の目的や背景、自身の経歴・専門性なども盛り込み、事業に対する信頼性と熱意を伝えることが重要です。予定している取引先や取引条件がすでに決まっていれば、それも書きましょう。創業にあたって念入りな計画や準備をしてきたと捉えられます。

市場分析と差別化ポイントを示す

市場の需要や競合状況を把握しているかどうかは、計画の説得力を大きく左右します。業界の動向やターゲット層、競合との違いを明確に記載し、自社の優位性を示しましょう。ニーズに応えられる根拠や、今後の展開戦略が盛り込まれていれば、金融機関は返済能力の評価を上げる可能性が増えます。

売上予測・収支計画・資金使途を具体的に示す

最も重要なのは、数字に基づいた計画です。売上や利益の予測は3年程度を目安に作成し、売上の根拠や見込み客の数なども具体的に書きます。さらに、今回の融資で調達した資金の使い道(設備投資・仕入・広告など)と、返済スケジュールを明示することで、「無理のない返済」が可能であることをアピールできます。

融資以外の開業資金の調達方法

個人事業主の開業資金は、金融機関からの融資だけでなく、他の方法でも調達可能です。ここでは、クラウドファンディングと補助金・助成金という手段を紹介します。

クラウドファンディングで支援を募る

クラウドファンディングは、インターネット上で広く支援者を募る仕組みで、資金は基本的に返済不要です。プロジェクトに共感した支援者に対して、商品やサービスなどの返礼品を提供する形式が一般的で、集めた資金は開業資金や運転資金に充てられます。大きなメリットは、自己資金を増やすことなく資金を得られる点ですが、プロジェクトの内容に魅力がなければ支援が集まりにくく、事前に決めた目標を達成できなければ資金が得られない仕組み(All-or-Nothing型)もあります。

また、手数料や返礼品の準備にかかるコストも考慮が必要です。

補助金・助成金を活用する

補助金・助成金は、国や自治体などが提供する資金支援制度で、基本的に返済不要です。国の補助金として「小規模事業者持続化補助金」があります。また、これとは別に、各地方自治体が独自に「創業助成金」や「創業者支援補助金」といった名称で、創業者向けの補助金・助成金制度を設けています。

ただし、申請には手間がかかり、募集期間や書類作成、報告義務なども発生します。採択率に限りがあるため、必ず受け取れるとは限らず、交付まで時間もかかります。とはいえ、条件が合えば開業資金の一部として有効です。

融資と準備のバランスで着実な開業を目指そう

個人事業主として開業資金の融資を受けることは十分可能ですが、そのためには「実績の代わりに信用を積み重ねる準備」が不可欠です。

開業届や信用情報の整備に加えて、事業計画書の完成度や自己資金の有無が審査通過のポイントとなります。

さらに、日本政策金融公庫をはじめとする公的融資制度や、自治体・民間の各種融資の特徴を理解し、自身に合った制度を選ぶことが大切です。堅実な準備と正しい制度活用で、安定したスタートを切りましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

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