• 更新日 : 2025年8月28日

個人事業主の融資受け入れはいくらまで可能?制度別の上限目安や注意点を解説

個人事業主として融資の受け入れを検討する際、「いくらまで借りられるのか」は多くの人が抱える不安といえます。実際の借入額は制度上の限度額だけでなく、自己資金の割合や信用状況、事業計画の内容によって左右されます。

本記事では、平均的な借入額や審査で重視されるポイント、制度別の融資上限などを解説します。

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個人事業主の借入額はいくらまで?

個人事業主が借入を検討する際、「いくらまで借りられるのか」は多くの方が気になるポイントです。借入額は申請者の状況によって大きく異なりますが、各種調査や制度上の上限から、おおよその目安を把握することは可能です。ここでは、平均的な借入額と制度上の限度額について解説します。

平均的な借入額の目安

日本政策金融公庫の2024年度新規開業実態調査によると、開業時の金融機関等からの借入額は平均780万円、自己資金は平均293万円でした。この2つで約9割を占めており、開業時の資金調達は自己資金と借入が主な手段であることがわかります。ただし、780万円という平均値には高額借入と少額借入の両方が含まれており、実際の借入額は300万円から1,000万円程度に収まることが一般的とされています。

参考:新規開業に関する調査|日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」

また、「自己資金の約3倍」が融資上限の一つの目安とされることも多く、たとえば自己資金が300万円であれば、900万円程度の融資が現実的な範囲とされます。日本政策金融公庫では「創業資金総額から自己資金を差し引いた額」が融資額の基本的な目安とされており、仮に必要資金が800万円、自己資金が280万円であれば、差引の520万円が借入申請額の目安となります。一般的には、希望する借入額の3割程度の自己資金が求められると考えておくとよいでしょう。

制度上の融資限度額と実際の借入額の関係

融資制度には、それぞれ公式に定められた限度額があります。たとえば日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)と高く設定されています。また、「一般貸付」制度では上限が4,800万円(特定設備資金は7,200万円)となっています。

参考:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫一般貸付|日本政策金融公庫

とはいえ、これらの金額はあくまで制度上の「上限」であり、実際に借りられる金額は申請者の事業内容や信用状況など、審査によって大きく異なります。上限が1,000万円でも審査の結果として300万円の融資にとどまる例も珍しくありません。金融機関ごとの審査基準は非公開ですが、事業の収益見込み、自己資金比率、信用情報などを総合的に評価して融資額が決定されます。

個人事業主向け融資制度の種類と上限額

個人事業主が利用できる融資制度には、公的機関、民間金融機関、自治体の制度融資、さらに補助金・助成金といった選択肢があります。それぞれの制度に特徴があり、上限額や審査の難易度、手続きの流れも異なります。

日本政策金融公庫の融資

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、個人事業主にとって最も身近な公的融資先の一つです。先述のとおり、代表的な制度である「新規開業・スタートアップ支援資金」では、融資限度額が7,200万円(うち運転資金4,800万円)に設定されています。また、「一般貸付」も上限4,800万円(特定設備資金は7,200万円)まで利用可能です。

原則1年以上事業を営んでいる小規模事業者向けには、商工会議所等の推薦により無担保・無保証人で利用できる「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」もあります。

金利は低く、返済期間も長めに設定されていますが、審査には時間がかかるため早めの申請が望ましいといえるでしょう。

参考:マル経融資(小規模事業者経営改善資金)|日本政策金融公庫

商工組合中央金庫(商工中金)の融資

商工中金は中小企業支援を目的とした公的性格を持つ金融機関で、個人事業主でも一定条件を満たせば利用可能です。制度によって異なりますが、融資限度額は高めに設定されており、実行額が数千万円規模になるケースもあります。中小企業向けの融資だけでなく、業種別・地域別の支援メニューが用意されている点も特徴です。創業直後や民間銀行の利用が難しい場合でも、選択肢のひとつとして検討する価値があります。

民間金融機関の融資

都市銀行や地方銀行、信用金庫などでも個人事業主向けの事業融資は行われています。創業間もない段階では、実績不足や担保の欠如により少額の融資にとどまることが一般的です。ただし、信用金庫や信用組合など地域密着型の金融機関は比較的柔軟な対応が期待できます。

多くのケースで信用保証協会の保証を利用した「制度融資」が採用されており、この仕組みを通じて銀行融資のハードルを下げることが可能です。信用保証協会付き融資では、金融機関、自治体、保証協会の三者が連携し、事業者の信用力を補完する形で資金を提供します。たとえば、東京都の創業融資では、上限額が3,500万円に設定されており、保証料補助や金利優遇といった支援策も受けられる場合があります。こうした融資は全国の自治体ごとに内容が異なるため、まずは最寄りの商工会や保証協会に相談するのがよいでしょう。

参考:中小企業制度融資『創業』|東京都

自治体の制度融資と補助金の活用

地方自治体も独自の制度融資を設けており、低金利での融資や保証料の一部補助など、創業や事業拡大を支援する施策が充実しています。融資制度の詳細は自治体により異なりますが、事業所のある地域の制度を活用すれば、通常の融資よりも有利な条件で資金を確保できる可能性があります。

さらに、返済不要の資金支援として「小規模事業者持続化補助金」や「事業再構築補助金」などの公的補助金制度も存在します。補助金は公募制で採択審査がありますが、採択されれば事業にかかる費用の一部をまかなうことができ、自己資金の負担を軽減することが可能です。

参考:小規模事業者持続化補助金について | 中小企業庁事業再構築補助金|中小企業基盤整備機構

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個人事業主の"経費"、うまく活用できていますか?

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個人事業主が融資を受けるための条件と注意点

融資制度の種類や上限額を把握したら、次に大切なのが「どうすれば実際に融資を受けられるか」です。個人事業主がスムーズに融資を受けるには、信用力や収支の証明、資金計画などを適切に整えておく必要があります。ここでは融資申請前の準備や審査時に見られるポイント、融資後の注意点について解説します。

開業届・確定申告の提出と納税状況の整備

まず、開業届(個人事業の開業届出書)は税務署に提出しておきましょう。提出していなくても事業はできますが、金融機関によっては控えの提出が求められる場合があります。また、青色申告を行うためにも開業届は必要です。

次に、確定申告書の提出と納税状況の整備が重要です。金融機関は申請者が適切に所得を申告・納税しているかを重視します。所得が少なくても、無申告では信用されず融資は難しくなります。また、税金の未納があると審査に不利になるため、納税証明書を提出できる状態にしておきましょう。

借入状況と信用情報の整理

他の借入が多い場合、希望通りの融資が受けられないことがあります。借入には住宅ローンや教育ローンなど個人向けのものも含まれ、総合的な債務状況が審査されます。過去に返済遅延などがあると信用情報に傷が残っており、融資審査に悪影響を及ぼします。心当たりがある場合は、事前に信用情報を確認し、専門家と相談するのが安心です。

なお、公共料金や家賃の支払い遅延自体は、信用情報機関に直接登録されることは稀です。しかし、クレジットカード払いの延滞や、保証会社を利用している家賃の滞納は記録が残ります。また、融資審査で通帳を提示した際に支払い遅延の履歴が確認されると、資金管理能力を問われ評価に影響するため、日常的な支払いは重要です。

資金使途・返済計画の明確化と会計処理

融資を受ける際は、資金使途と返済計画を明確にする必要があります。設備投資や仕入れなど、事業と直接関係がある内容でなければ審査に通りにくくなります。また、必要以上の金額を希望すると、融資額が制限されることもあるため、見積書や事業計画書をもとに妥当な金額を設定しましょう。

同時に、毎月の返済に無理がないかどうかも審査されます。売上予測や経費の見積もりを含めた事業計画書を作成し、返済可能な根拠を示すことが大切です。数字に無理があると担当者に見抜かれるため、現実的で客観的な計画が求められます。

なお、融資後の会計処理にも注意が必要です。借入金の返済元金は経費として計上できず、経費にできるのは利息や融資に伴う手数料、印紙税などです。適切な帳簿処理を行い、返済と税務管理を両立させることで、経営の健全性を維持できます。

融資審査における自己資金の役割と割合

個人事業主が融資を受けようとする際、自己資金の有無やその割合は審査に大きな影響を与えます。事業計画の実現性や返済能力を評価するうえで、金融機関は自己資金の水準を重要な指標として見ています。ここでは、自己資金が果たす役割と目安となる割合について整理します。

自己資金が審査に与える印象

自己資金は、融資申請者が自らの資金で事業を始める覚悟や準備の度合いを示すものと捉えられています。たとえば創業時の融資においては、単に資金が必要だから借りるのではなく、「自分の資金でもリスクを背負っている」という姿勢が重要です。金融機関としても、すべてを借入に頼るより、ある程度の資金を自分で用意できている方が返済に対する責任感が強いと評価しやすくなります。

また、自己資金が全くない状態では、計画性に乏しいと判断される恐れがあります。自己資金があることで、突発的な支出にもある程度耐えられる財務体質と見なされ、審査を通過しやすくなります。

自己資金の準備目安

一般的に創業融資においては、必要資金総額のうち「3割以上」を自己資金で用意するのが望ましいとされています。たとえば800万円の資金が必要な場合、自己資金として240万円程度を持っていると、金融機関側の印象は良くなります。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では制度上、自己資金要件は撤廃されていますが、実際においては自己資金が少ない場合には、融資額が制限される傾向もあります。また、前述のとおり資金調達の基本的な考え方として、「創業資金総額 − 自己資金 = 融資希望額」が自然な構成とされているため、自己資金をあらかじめ計画的に準備することが、希望融資額の獲得に直結します。

なお、自己資金として認められるのは、長期的に蓄えてきた預貯金や、親族からの贈与・援助(証明書類が必要な場合あり)などであり、直前に借り入れた金銭などは認められないことがある点にも注意が必要です。

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融資の上限を見極め、実現可能な資金計画を立てよう

個人事業主が受けられる融資額は、制度上の上限と実際の審査結果で大きく異なるため、「いくらまで借りられるか」は一律ではありません。平均的な借入額や自己資金比率の目安、各種制度の融資限度額などを把握したうえで、自分の事業に見合った現実的な金額を見極めることが大切です。無理のない計画と誠実な準備を積み重ねることが、借入成功と事業安定の第一歩となります。

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