• 更新日 : 2025年7月7日

フリーローンは個人事業主でも使える?審査基準・金利・注意点を解説

個人事業主の方が資金を調達するとき、「フリーローン」という言葉を耳にすることがあります。フリーローンとは、資金の使いみちが自由なローンのことで、事業資金からプライベートの費用まで幅広く利用できる点が特徴です。ただ、個人事業主であるため審査に通るか不安に感じたり、利用時の注意点や税金の扱いについて疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、フリーローンの基本的な仕組みから審査のポイント、金利、利用時の注意点、さらに確定申告での経理処理や金融機関ごとの違いまで解説します。

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フリーローンは個人事業主でも利用できる?

フリーローンは銀行や信用金庫などが提供する使途自由な個人向けローンです。多くの場合は無担保・保証人不要で、一括でまとまった資金を借り入れ、毎月分割で返済していく仕組みです。個人事業主でも条件を満たせば利用可能で、事業資金や生活費など様々な目的に使える柔軟性があります。

個人事業主が利用できるフリーローンの種類

個人事業主の方が利用できるフリーローンには、大きく分けて二つのパターンがあります。一つは通常のフリーローンで、会社員などと同様に個人事業主も申し込める個人向けローンです。例えば三井住友銀行(SMBC)のフリーローンでは、「個人事業主の場合は前年度の所得が200万円以上」といった条件が定められています。もう一つは事業者向けフリーローンと呼ばれる商品で、銀行によっては個人事業主や法人経営者を対象にした専用のフリーローンを用意しています。これらは事業資金にも使えることを前提としており、例えば地方銀行の三十三銀行の「事業者向けフリーローン」では、事業性資金にも生活資金にも利用可能で、事業年数や年収に制限がないのが特徴です。

このように、自営業者でも利用できるフリーローンはいくつかの種類があり、自身の状況に合ったものを選ぶことが大切です。

個人事業主のフリーローンの審査で見られるポイント

フリーローンを申し込む際、個人事業主は会社員とは異なる視点で審査されます。収入の安定性や事業実績、信用履歴などが細かく確認されるため、事前の準備が審査通過の鍵となります。ここでは、審査で金融機関が注目する主な項目を説明します。

収入の安定性と申告内容

個人事業主の審査で最も重視されるのは、安定した収入が継続して得られているかどうかです。会社員であれば給与明細や源泉徴収票で判断できますが、事業主の場合は確定申告書や青色申告決算書などから「所得」を確認されます。ここで見られるのは、売上ではなく経費を引いた後の実質的な利益です。金融機関はこの数値をもとに返済可能額を見積もるため、節税目的で所得を大きく圧縮していると「返済能力が低い」と評価されてしまうこともあります。

事業の継続年数と業種の安定性

開業からの年数も重要な審査項目です。継続して1年以上の実績があることが目安とされ、できれば2~3年以上の事業歴があると、収益基盤があると判断されやすくなります。創業直後で売上実績がない場合は、借入に対して消極的に判断される可能性があります。また、業種そのものが不安定かどうかも評価に影響を与えます。景気の影響を受けにくい業種や、需要が安定している分野であれば、審査上も有利になる傾向があります。

信用情報に問題がないか

フリーローンの審査では、信用情報機関に登録されている情報が必ず確認されます。過去にクレジットカードやローンなどの支払いを遅延・滞納していた場合は、事故情報として記録され、審査に大きなマイナスとなります。携帯電話の端末代金の割賦払い遅れや、公共料金の未払いなども対象になることがあるため、申込前に自身の信用情報を確認しておくのが安心です。

他社からの借入状況

すでに他社から借入がある場合、それが審査に影響します。借入件数が多い、または返済額が収入に比して大きすぎると、「返済負担が重い」と判断される可能性があります。フリーローンの限度額は返済能力に応じて決められるため、既存の借入状況を整理してから申し込むことが、審査通過率を高めるコツになります。

書類の整合性と信頼性

審査では、提出した書類が正確かつ最新の情報に基づいているかも確認されます。たとえば、確定申告書に収入の記載がある一方で、事業の概要が不明確だったり、住所や屋号に不一致があると、金融機関は慎重な対応を取る傾向があります。書類の整合性がとれていないと、不備や虚偽と判断されるリスクがあり、結果として審査が長引いたり否決されることもあります。

金利の特徴と借入可能額

フリーローンの金利は審査結果に応じて数段階の利率が提示されるのが一般的です。例えば横浜銀行のビジネスフリーローンでは審査により年4.8%、9.8%、14.5%のいずれかが適用されます。信用度が高いほど低い金利が適用され、逆に信用ぎりぎりの場合は上限に近い利率となります。借入可能額(限度額)は年収や事業規模によって決まりますが、銀行のフリーローンでは概ね300万~500万円が上限です。総量規制の対象外とはいえ返済能力を超える貸付は行われないため、事業所得の1/3を超える高額の借入は難しいと考えておきましょう。

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個人事業主のフリーローンの金利と借入可能額

個人事業主がフリーローンを利用する場合の金利の仕組みや借入可能額の判断基準について解説します。

フリーローンの金利は審査結果で決まる

フリーローンの金利は、申込者の信用力や収入状況に応じて、複数の金利帯の中から個別に決定されます。多くの金融機関では「年4.5%〜14.5%」といった幅を設定しており、審査結果によって実際に適用される金利が決まります。信用情報や事業実績、返済能力が高いと判断されれば、比較的低い金利で借りられる可能性があり、反対に信用履歴に懸念がある場合は、上限に近い金利が適用されます。なお、固定金利で提供されることが一般的で、契約期間中に金利が変動することはほとんどありません。

借入可能額は年収や返済比率で判断される

借入可能額は、主に申込者の所得と返済能力に基づいて決定されます。一般的に、年収の3分の1〜2分の1を上限とした範囲で審査され、個人事業主の場合は事業所得がベースとなります。例えば年収が300万円の場合、100万〜150万円程度が目安となることが多く、信用力や他社借入の状況も加味されます。さらに、複数のローンがある場合には、返済総額の割合(返済負担率)も重要視され、借入可能額が制限されることがあります。金融機関によっては最大500万円まで借入可能な商品もありますが、実際に希望額が満額通るとは限らず、現実的な希望額を申請することが審査通過のポイントです。

個人事業主がフリーローンを利用する際の注意点

自由に使えるフリーローンは便利な反面、個人事業主が利用する際には注意すべき点もあります。事業資金として使ってよいかどうかの確認、借入後の返済計画、そして他の資金調達手段との比較検討など、事前に押さえておくことでトラブルを防ぎ、安心して活用できます。ここでは、フリーローン利用時の注意事項について説明します。

資金使途と契約条件を確認する

「使いみちは自由」と言われるフリーローンですが、契約上明確に事業性資金への利用を禁止している場合があります。銀行によって方針が異なり、事業目的でも利用可能なフリーローンも存在しますが、申し込み時には資金使途を正直に伝えることが大切です。仮に事業資金に使いたい場合は、事業者向けフリーローンやビジネスローンなど、目的に合った商品を選んだ方が良いでしょう。契約条件を誤解したまま利用すると、最悪の場合契約違反となり一括返済を求められるリスクも考えられます。したがって、申込前に「事業資金に使っても問題ないか」「使途制限はないか」を金融機関に確認しておくことが大切です。

返済計画を立て無理のない借入をする

フリーローンは審査に通りさえすれば比較的まとまった金額を借りられるため、つい必要以上に借りすぎてしまう危険があります。しかし、借りたお金は将来の収入から返済していかなければなりません。個人事業主は月々の収入が変動しやすいので、余裕を持った返済計画を立てて借入額を決めることが肝心です。毎月の返済額が事業や生活を圧迫しない範囲に抑え、景気の変動や売上の季節波動なども考慮しましょう。また、複数の借入がある場合はフリーローンでおまとめを検討するのも一手です。高金利の借入を一本化すれば返済負担が軽減する可能性があります。ただし、その際も新たな借入総額が増えないよう注意が必要です。

他の融資手段と比較検討する

フリーローン以外にも、個人事業主が利用できる融資方法はいくつかあります。事業計画が明確なら、日本政策金融公庫や信用保証協会の融資(制度融資)を検討できるかもしれません。これらは金利が低く返済期間も長めですが、融資実行まで時間がかかり審査も厳しい傾向です。一方、今すぐ資金が必要な場合はフリーローンやカードローンのように即日融資も可能な方法が頼りになります。コロナ禍では政府系の無利子融資制度が期間限定で実施された例もあり、状況によっては活用できる支援策がないか確認してみましょう。自分の資金ニーズの性質(必要額・緊急度・目的)に応じて、最適な借入手段を選ぶようにしましょう。

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フリーローン利用と確定申告・経理処理のポイント

個人事業主がフリーローンを利用した場合、借入金や返済に関する事項をどのように経理処理し、確定申告で扱うかも押さえておきたいポイントです。事業用途で借りたお金なのか、純粋に個人用途なのかで税務上の扱いが変わります。ここでは、借入金の会計処理と確定申告時の注意点について解説します。

借入金の経費計上

事業のために借りたフリーローンの利息は事業経費として計上できますが、元本返済部分は経費になりません。設備投資や運転資金として借り入れた場合は、支払利息を「支払利息」勘定で必要経費に含め、借入金返済の仕訳では利息と元本を分けて処理します。一方、生活費などプライベートに使った借入金の返済・利息は事業経費にできません。事業用と私用が混在する場合は、使途に応じて利息を按分し、事業分のみ必要経費に計上します。借入金の使途は明確に記録し、税務上も説明できるようにしておきましょう。

借入金の帳簿付けと管理

フリーローンで資金を借りたら、帳簿上で借入金を適切に管理しましょう。青色申告(複式簿記)の場合、借入時に負債科目として借入金を計上し、返済時は元金返済分を借入金から減らし、利息分は経費(支払利息)として処理します。白色申告(簡易帳簿)の場合も、借入額・返済額・利息を必ず記録し、できれば事業用と個人用で銀行口座を分けて管理すると資金の流れが明確になります。借入残高や返済予定も常に把握し、余裕があるときは繰上返済で利息負担を減らすことも検討しましょう。

金融機関ごとのフリーローンの違い

ひと口にフリーローンと言っても、提供する金融機関ごとに条件やサービス内容には違いがあります。個人事業主向けのフリーローンは、銀行系からノンバンク系まで多種多様です。ここではカテゴリ別に、金融機関ごとの特徴を比較してみます。

メガバンク・大手銀行のフリーローン

メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほなど)を含む大手銀行のフリーローンは、金利が比較的低めな代わりに審査ハードルが高い傾向があります。例えば三井住友銀行では前年所得200万円以上といった基準があり、満たさないと申し込めません。融資実行まで時間を要するケースもありますが、上限金利は年13~14%程度と低く、信用度次第では年5~10%台の利率で借りられる可能性があります。多くの大手銀行は保証会社を利用した審査を行い、申し込みはインターネットで完結します。個人事業主の場合、確定申告書など事業の証拠書類の提出を求められる場合がありますが、信用が認められれば好条件で借入できるでしょう。

地方銀行や信用金庫の事業者向けフリーローン

地方銀行や信用金庫の中には、地域の事業者支援として個人事業主専用フリーローンを提供しているところもあります。例えば横浜銀行の「ビジネスフリーローン」は神奈川県内限定で最大500万円まで借入可能、事業資金にも利用できます。また、三十三銀行や大垣共立銀行のように事業年数不問・所得証明不要(一定額まで)といった緩和条件を掲げる例もあります。地方銀行は地域密着型のため、地元で長年事業を営む信用が評価されやすい反面、営業エリア外の方は利用できないなどの制約があります。

ネット銀行・消費者金融系のローン

ネット銀行や消費者金融(ノンバンク)でも、個人事業主向け融資が積極的に行われています。例えば、PayPay銀行は開業1年目から申し込めるビジネスローンを提供しており、Web完結で最短即日融資も可能です。金利は年1.8%~13.8%(変動金利)ですが、下限は優良顧客向けの目安で実際は10%前後になるケースが多いようです。消費者金融大手(アコム、プロミスなど)も個人事業主向けローンを用意しており、事業資金用途なら総量規制の例外として年収の1/3超の借入も可能です。ただし金利は年15~18%程度と銀行より高めです。審査スピードは速いものの金利負担も大きいため、利便性とコストを踏まえ、短期返済を心掛けましょう。

フリーローンの正しい理解と計画的な利用が事業の安定につながる

フリーローンは個人事業主にとって、事業資金や生活資金を柔軟に調達できる便利な手段です。基本的な仕組みを理解し、自分に合った商品を選べば、ビジネスチャンスの拡大や一時的な資金難の解消に役立つでしょう。一方で、その自由度ゆえに借入金の用途管理や返済計画、税務処理に至るまで注意が必要です。信頼できる金融機関の担当者に相談しながら計画的に活用すれば、事業の発展と安定した生活の両立にきっと役立つはずです。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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