- 更新日 : 2025年7月7日
個人事業主がマイカーローンを組むには?審査・書類・経費処理まで解説
マイカーローンは、自動車を購入する際の資金を分割で支払える便利な手段ですが、個人事業主の場合、審査や必要書類、経費処理などで疑問を持つ方も少なくありません。自家用車として使う場合だけでなく、事業用車両の購入にも利用できるため、事業と生活の両面で活用されています。ただし、収入の安定性や事業歴が審査に影響しやすく、会社員とは異なる視点で準備を進めることが求められます。
この記事では、個人事業主がマイカーローンを利用する際のポイントや注意点、さらに確定申告との関わりについて解説します。
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目次
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個人事業主はマイカーローンを利用できる?
個人事業主でもマイカーローン(自動車ローン)を利用することは可能です。まずマイカーローンの仕組みと、会社員の場合との違いなど基本的なポイントを見ておきましょう。自営業の方が車の購入資金を借り入れる際に知っておきたい前提知識を解説します。
マイカーローンとは
マイカーローンとは、自動車の購入資金に充てる目的で銀行や信販会社などから借り入れるローン商品です。自家用車だけでなく事業用の車両購入にも利用できます。多くの場合は無担保ローンであり、購入する車を担保に入れる必要はありません。ただしディーラー系のローンでは、完済まで車の所有権がローン提供側に留保されるケースがあります(いわゆる所有権留保)。ローンの利用によって一括購入が難しい高額な車でも、毎月の分割払いで負担を平準化して購入できるメリットがあります。
マイカーローンは個人事業主も申し込み可能
個人事業主(自営業者)であってもマイカーローンの申し込みは可能です。金融機関の提示する申込条件(年齢や収入など)を満たし、必要書類を提出できれば審査の土俵に立てます。ただし、収入の安定性などの面で会社員に比べて不利と見なされやすく、審査基準はやや厳しくなりがちです。そのため、自営業者向けのローン商品や対策を検討することが重要になります。
個人事業主のマイカーローン審査が厳しいと言われる理由
一般に、個人事業主はマイカーローンの審査で不利になりやすいと言われます。背景には、収入面での不安定さや事業歴の短さなど、自営業ならではの要因があります。ここでは自営業者がローン審査で厳しく見られる主な理由を解説します。
収入が不安定で年収基準を満たしにくい
個人事業主の場合、月々の収入が案件状況や季節によって変動しやすく、会社員に比べ「安定収入」があると判断されにくい傾向があります。そのため金融機関は返済能力に不安を感じやすく、審査が慎重になります。ローン審査では一般に年収200万円以上が求められることが多く、自営業者にとってこのハードルを満たすのが難しいケースもあります。安定した収入と十分な年収を証明できるかが審査結果を左右するでしょう。
事業の継続年数が短い
開業から間もないなど事業歴が浅い場合も審査で不利になります。前年の確定申告書がなく収入を証明できないため、ローン審査に通るのは難しいでしょう。事業の継続年数が短いと将来の売上が安定して継続するか判断しづらいため、金融機関は融資に慎重な姿勢をとります。
他の借入や信用情報が影響する
既に多額の事業資金の借入があると、新たなローンの返済余力が乏しいと判断されてしまいます。返済負担が大きければ、車のローンを追加で組むのは難しくなるでしょう。また、クレジットやローン支払いの滞納・事故情報がある場合も審査は一層厳しくなります。
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個人事業主が利用できるマイカーローンの種類
一口にマイカーローンと言っても、提供元や契約形態によっていくつか種類があります。個人事業主の方が車を購入する際に利用できる代表的なローンの種類と、それぞれの特徴を確認しましょう。
銀行系マイカーローン
銀行や信用金庫など金融機関が提供する自動車ローンです。金利はおおむね年1〜4%台と低く、月々の返済負担を抑えられるのが魅力です。その反面、審査基準は厳しめで手続きに時間がかかる傾向があります。高い安定収入や長めの事業経歴を示せる個人事業主であれば、銀行ローンを利用することで総支払額を抑えられるメリットがあります。日頃からメインバンクとして取引のある銀行があれば、これまでの信用蓄積が審査で有利に働く可能性があります。
ディーラーローン(信販会社系ローン)
ディーラーや中古車販売店で車を購入する際、その場で契約できる提携ローンです。ディーラーが信販会社(オリコ、アプラスなど)を介して提供するもので、銀行ローンに比べると審査が通りやすい場合が多いです。販売店で購入手続きと同時にローン契約まで完結できる手軽さも利点でしょう。ただし金利は年4〜5%前後が一般的で、銀行ローンより割高です。返済期間が短めに設定されることも多いため、毎月の返済額が大きくなりがちである点にも注意が必要です。さらに、このタイプのローンでは完済まで車の所有権がディーラー側に留保されます。そのため、万一返済期間中に事故等で車が大破・廃車になった場合、残債を一括返済しなければならないリスクがあります。
自社ローン(販売店独自のローン)
中古車販売店の中には、信販会社を通さず自社で分割払いを提供する「自社ローン」を扱うところもあります。金融商品ではないため金利が掛からず、販売店との直接契約で手続きもシンプルなのが特徴です。一般的なローン審査に通りにくい人でも利用しやすい反面、販売店ごとに独自の審査基準があり、収入証明書や住居に関する書類の提出を求められることがあります。自社ローンは主に中古車購入時の選択肢であり、新車ディーラーでは基本的に利用できません。契約前に必要書類や条件を販売店に確認しておくことが大切です。
ビジネスローン(事業用ローン)
自営業者や小規模事業者向けの事業資金用ローンを車の購入資金に充てる方法もあります。銀行系・消費者金融系など様々な機関がビジネスローンを提供しており、事業計画や将来性を重視する分、事業実績が浅くても利用しやすい場合があります。総量規制(年収の1/3までという貸付制限)の対象外で、無担保・保証人なしで借りられる商品が多い点も特徴です。ただし金利は年10%前後と高めで、返済額は大きくなります。なお、日本政策金融公庫など公的機関の低金利融資を活用する選択肢もありますが、申込から融資実行まで時間がかかる場合があるため、資金を急ぐ際には不向きです。
個人事業主がマイカーローン審査に通るためのポイント
自営業者がマイカーローンの審査を突破するために、事前にできる対策や工夫があります。審査基準を踏まえて適切に準備すれば、個人事業主でもローン審査に通過する可能性を高めることができます。ここでは審査通過のために押さえておきたいポイントを紹介します。
頭金を用意し借入額を抑える
ローン審査では、借入希望額が大きいほど返済負担も増すため審査通過が難しくなる傾向があります。可能であれば車両代金の2〜3割程度の頭金を用意し、ローン借入額を減らすと良いでしょう。自己資金を投入することで金融機関にとってのリスクが下がり、審査を有利に進められる場合があります。
連帯保証人を活用する
申込者本人の属性だけでは審査が不安なケースでは、金融機関から連帯保証人の提出を求められることがあります。親や配偶者など安定収入のある親族に連帯保証人になってもらえれば、返済保証の裏付けが強化され審査通過の可能性が高まります。連帯保証人は債務者と同等の返済義務を負うため、依頼する側・受ける側とも慎重な判断が必要ですが、どうしても単独では審査が厳しい場合の有効な対策となります。
審査の柔軟なローン商品を選ぶ
ローン商品によって審査の厳しさには差があります。例えば、「審査の通りやすさ」を重視するなら銀行系よりディーラーローンや自社ローンを選択するといった工夫が考えられます。また、事業用の車購入であれば総量規制の対象とならないビジネスローンを利用する方法もあります。各ローンの特徴を踏まえて、自分の状況で通りやすい商品を選ぶことも審査対策の一つです。金利の安さだけで銀行ローンにこだわると、審査落ちで時間を浪費してしまう恐れもありますので注意しましょう。
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個人事業主がマイカーローン申込時に用意すべき書類
マイカーローンの申込には、本人確認や収入証明に関する各種書類の提出が求められます。自営業者の場合、会社員とは異なる書類が必要になることもあるため、事前にしっかり準備しておきましょう。ここでは主な必要書類と内容を解説します。
本人確認書類
契約者本人であることを証明する書類です。運転免許証が一般的ですが、免許を持っていない場合はマイナンバーカードやパスポートなど写真付きの公的身分証明書が利用できます。金融機関によっては健康保険証+住民票など複数の書類で確認する場合もあります。住所や氏名が最新の情報に更新されているものを用意しましょう。
収入証明書類
安定した収入があることを証明する書類です。会社員であれば源泉徴収票や住民税の課税証明書などが該当しますが、個人事業主の場合は直近の確定申告書(控)または納税証明書の提出を求められるケースが一般的です。税務署の受付印(または電子申告の受信通知)のある申告書控えを準備しましょう。過去数年分の提出を求められることもあります。
資金使途証明(見積書など)
ローン資金の使いみちを示す書類です。新車・中古車を問わず、通常は購入予定車の見積書や注文書を提出します。見積書には車種名や購入金額、販売店情報などが記載されています。また、現在の自動車ローンから借換えする場合には、現在の車検証や返済予定表、直近6ヶ月分の返済実績(通帳の写し等)の提出も必要です。
マイカーローン利用と確定申告
個人事業主が事業用途で車を購入した場合、ローン返済や車にかかる費用をどのように経費処理できるのでしょうか。ここでは、マイカーローンで購入した車に関する経費計上や減価償却の基本ルールを解説します。確定申告の際に適切に処理し、節税につなげましょう。
ローン返済額のうち経費にできるのは利息部分のみ
マイカーローンで車を購入した場合、毎月の返済額すべてが経費になるわけではありません。ローンの元本返済分は経費にならず、利息部分のみ事業経費として計上できます。これは借入金の元本は将来返済する負債であり費用ではないとみなされるためです。例えば月々5万円の返済中で利息が5千円含まれている場合、その5千円だけが損金算入可能となります。ただしこの取扱いは事業用として使用する車に限られ、プライベート利用分については経費とできません。仕事と私用で兼用している車の場合、走行距離や日数等で按分計算し、事業利用割合に応じた利息分だけ経費計上する(家事按分)必要があります。
車関連の費用も経費算入できる
事業に使う車であれば、ローン利息以外にも関連するさまざまな費用を経費にできます。税金(自動車税・重量税)や損害保険料、燃料代、メンテナンス費用、駐車場代、高速料金などは事業の遂行上必要な費用として計上可能です。もちろん事業専用で使う場合は全額、仕事と私用を兼ねる場合は利用割合に応じて一部のみ経費に算入できます。
車両購入代金は減価償却で計上する
購入した車の本体代金は高価な資産となるため、一度に全額を経費計上することはできません。代わりに、車両は事業用の固定資産として耐用年数にわたり減価償却費という形で少しずつ経費化します。新車の普通自動車であれば税法上の耐用年数は6年で、軽自動車は4年です。中古車は経過年数に応じて耐用年数が短縮されます。算出された耐用年数に基づき、毎年所定の償却費を計上していきます。なお、減価償却の方法には定額法(毎年同額を償却)と定率法(初年度に多めに償却)がありますが、個人事業主が定率法を適用するには事前に税務署へ届出を行う必要となります。
個人事業主は準備と工夫でマイカーローンを活用できる
個人事業主だからといってマイカーローンの利用を諦める必要はありません。確かに審査では安定収入や事業実績が重視されるためハードルはありますが、今回ご紹介したように事前の対策やローン選びの工夫で十分乗り越えられます。頭金の準備や適切な書類提出によって金融機関からの信用を得て、マイカーローンを上手に活用しましょう。さらに、購入後は経費処理や減価償却を正しく行い、税務面でもメリットを最大化することが大切です。計画的な資金繰りと確実な返済を心がけ、あなたの事業や生活に合ったマイカーローンを役立ててください。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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