• 更新日 : 2025年7月7日

個人事業主でも住宅ローンは通る?フラット35の審査基準や通過のポイントを解説

個人事業主にとって、住宅ローンの審査は会社員よりも厳しくなりがちですが、フラット35は比較的利用しやすい選択肢の一つです。全期間固定金利による返済計画の立てやすさや、直近の収入だけで評価される柔軟な審査基準が特徴で、多くの自営業者が検討しています。本記事では、審査の流れや必要書類、民間ローンとの違いや注意点などを解説します。

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フラット35とは

フラット35は、民間金融機関と国の住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利型住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と毎月の返済額が確定するため、将来にわたって安定した返済計画を立てやすいのが特徴です。金利が変動して月々の返済額が増減する心配がなく、長期のライフプランを描きやすいメリットがあります。

フラット35は主に新築・中古の住宅購入資金に利用でき、借入金額の上限は住宅の価格(建設費含む)までとなります。通常は物件価格の9割(10%の頭金)以内の借入で利用できますが、頭金が1割未満の場合でも利用は可能です※。ただしその場合は金利がやや高めに設定されます(いわゆる「フルローン」に近い借入では金利が上乗せされる)。また、多くの金融機関で融資事務手数料が借入額の約2.2%(税込)程度かかる点も押さえておきましょう。こうした費用面も含め、フラット35を利用する際は事前に金融機関ごとの金利や手数料を比較することが大切です。

※借入額/(住宅の建設費または購入価額)を融資率と言います。

フラット35の金利水準

2025年5月現在、借入期間21年以上のフラット35金利は年1.82%(融資率9割以下、最頻金利)で提供されています。MUFG(三菱UFJ)の記事によると、変動金利型住宅ローンの下限金利相場は、都市銀行(4社)で0.345%から0.625%となっています。

このように全期間固定型のフラット35は変動型より金利水準が高めですが、将来金利が上昇しても返済額が増えない安心感があります。反対に、超低金利が長期間続けば変動型のほうが総支払額を抑えられる可能性もあります。

フラット35の住宅ローンで個人事業主の審査が通りやすい理由

フラット35は、個人事業主が比較的利用しやすい住宅ローンの一つです。全期間固定金利で将来の返済計画が立てやすいだけでなく、審査基準が民間金融機関に比べて柔軟であることから、自営業者にも適しています。ここでは、フラット35がなぜ個人事業主にとって申込みやすいのか、ポイントを整理して解説します。

返済負担率の基準が明確

フラット35では、返済負担率という年収(=事業所得)に対する年間返済額の割合に上限が設定されています。年収が400万円以上であれば35%以内、400万円未満であれば30%以内となっています。例えば所得が300万円の個人事業主の場合、年間返済額は90万円(月額約7.5万円)までが限度とされます。このように基準が明確に数値化されているため、事前に自身でシミュレーションしやすく、融資計画を立てやすいのが特徴です。

収入合算ができる

フラット35では、配偶者や親との収入合算による申請が認められています。たとえば、自営業の夫と会社員の妻がいる家庭では、夫の事業所得と妻の給与所得を合算して年収とみなすことができます。これにより借入可能額を増やすことができ、審査における収入基準も緩和されやすくなります。さらに、勤務年数が1年に満たない収入合算者でも、みなし年収として評価される制度もあるため、柔軟に対応できます(ただし、勤務先に「転職後の収入を証明する書類」を作成してもらう必要があります)。

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フラット35の住宅ローンの審査の流れと必要書類

フラット35を申し込む際には、通常の住宅ローンと同様、事前審査と本審査の2段階のプロセスがあります。さらに、フラット35では物件に対する技術基準審査が必要となるなど、独自の手順も存在します。スムーズに進めるためには、審査の流れと必要書類を事前に理解しておくことが大切です。

審査の流れは2段階、本審査では物件と信用の両方を確認する

最初に行うのが「事前審査(仮審査)」です。購入を検討している段階で金融機関に申し込み、借入可能額や金利の目安を確認します。事前審査は数日で結果が出ることも多く、申込み時点で信用情報や年収、借入希望額などがチェックされます。また、事前審査は、それぞれの金融機関が実施するため、金融機関によって審査内容が異なります。したがって、必要な書類も異なります。

事前審査通過後、売買契約を結んだうえで「本審査」に進みます。本審査では住宅金融支援機構の基準に基づいた詳細な審査が行われ、金融機関に提出する申込書類もより具体的なものになります。

フラット35ならではの特徴として、購入する物件が一定の技術基準を満たしているかどうかをチェックする「適合証明審査」があります。この審査に合格しなければフラット35を利用できません。適合証明は、指定機関による設計・施工の検査を経て発行されるもので、本審査と並行して進めるのが一般的です。

物件と信用の双方の審査が完了し、問題がなければ融資実行に進みます。全体の流れとしては、事前審査から融資実行まで1~2か月程度を見込んでおくとよいでしょう。

必要書類の準備と注意点

フラット35の本審査で提出する主な書類は、大きく分けて「収入関係」「本人確認」「物件関係」の3つに分類されます。

個人事業主の場合、収入関係の書類として直近2年分の確定申告書の控え一式が求められます。これには青色申告決算書、所得の内訳書もを含みます。なお、「所得の内訳書」は、確定申告書第二表に書ききれない場合にのみ提出する補足書類であり、必ずしも必要なわけではありません。また、税務署から発行される納税証明書(その1とその2)も必要になることがあります。これらの書類で、所得と納税状況が正しく確認されます。

本人確認書類としては、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの写しを提出します。加えて、借入申込書は金融機関所定の書式での提出が必要です。

物件関係では、不動産売買契約書、重要事項説明書、登記事項証明書、公図、建物の設計図書などが必要です。新築の場合は、工事請負契約書や建築確認済証も求められます。さらに、フラット35専用の適合証明申請に関連して、設計図や現場写真などの追加書類も準備します。

提出書類の内容は取り扱う金融機関によって若干異なるため、申込前にリストを確認して早めに準備しておくことが円滑な審査通過につながります。

個人事業主がフラット35の審査で注意すべきポイント

フラット35は、個人事業主にも比較的審査が通りやすい住宅ローンと言われますが、それでも融資が保証されるわけではありません。ここでは、審査を通過するために注意すべきポイントや、落ちやすいケースについて整理しておきます。

信用情報に傷があると通らない

住宅ローンの審査では、個人信用情報が非常に重視されます。これは、過去や現在のローンやクレジットカードの支払い状況に問題がないかを確認するもので、返済能力と返済実績の信用を判断する材料となります。

たとえば、クレジットカードやスマートフォンの分割払いの支払いを延滞した経験がある場合、個人信用情報機関に記録が残っており、これが審査に影響します。延滞情報は通常5年間保持され、その間は住宅ローンを申し込んでも審査が厳しくなる可能性があります。

また、過去に自己破産や個人再生などの法的債務整理を行っている場合、5〜10年は新規の借入が難しいとされています。フラット35を申し込む前には、自身の信用情報に問題がないかを確認し、現在利用中のローンやクレジットの支払いを遅延なく行うことが不可欠です。信用情報に不安がある方は、まず情報開示請求を行い、現在の状況を把握してから対策を講じることが大切です。

他の借入が多いと返済余力を疑われる

フラット35では、返済負担率(年収に占める年間ローン返済額の割合)が審査基準として設けられており、この計算には他の借入金も含まれます。たとえば、自動車ローン、教育ローン、カードローンの残高が大きい場合、住宅ローンの返済余力が小さく見なされ、審査が通りにくくなります。

また、クレジットカードのリボ払いや分割払いの残高も「借金」としてカウントされます。住宅ローンを申し込む前には、他の借入をできるだけ完済する、もしくは減額しておくことが重要です。とくに、毎月の返済額が既に高額である場合は、返済比率が基準を超えるリスクがあるため、借入希望額の見直しも検討する必要があります。

これらの「見落としがちな借入」も審査でチェックされるため、事前に自身の支出バランスを整理し、ローン申し込み時に不利にならないよう調整しておきましょう。

借入希望額と物件価格のバランスに注意

住宅ローンの審査では、借入希望額そのものが妥当かどうかも判断されます。フラット35には、物件の担保評価額に対する借入額(融資率)の上限が設定されており、これを超えると融資額の減額や審査否決につながる可能性があります。

とくに、自己資金が少なく頭金ゼロで申し込みを行う場合、諸費用まで含めたフルローンは金融機関側のリスクが高く見なされやすくなります。このようなケースでは、融資希望額が多すぎると判断され、借入額の引き下げや再審査が必要になることもあります。

審査を通過するためには、自己資金(頭金)を一定額用意し、借入比率を下げておくことが効果的です。どうしても自己資金が不足している場合には、親からの贈与や配偶者との収入合算、物件の見直しなど複数の選択肢を検討しましょう。

確定申告の実績がないと申し込みできない

フラット35は、一般の住宅ローンよりも個人事業主にとって申込みやすいとされていますが、それでも最低限の要件として「確定申告2期分の提出実績」が求められます。つまり、開業したばかりでまだ2期分の確定申告を行っていない方は、フラット35の審査対象外となります。

たとえば、開業初年度に住宅購入を急ぎたいと思っても、申告を終えるまでは申し込みができません。これは、フラット35の審査にあたって事業所得を基に返済能力を判断するためです。審査には、確定申告書とその添付書類(青色申告決算書など)を用いて所得の裏付けを取る必要があるため、未申告の状態では信用評価ができないのです。

開業して1年未満でマイホームを検討している方は、まずは事業基盤を整え、初回の申告をきちんと済ませてからローン審査に臨むのが現実的です。逆に言えば、1期分の黒字申告があり、事業が継続していれば、他のローンに比べて申し込みのハードルは低めであるともいえます。

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フラット35と他の住宅ローンの違い

住宅ローンには複数の種類があり、それぞれに特徴があります。ここでは、変動金利型・固定期間選択型と比較しながら、違いと選び方のポイントを解説します。

金利の仕組みと返済額の安定性

フラット35は借入から完済まで金利が一定の「全期間固定型」です。返済額が変わらず、長期的な資金計画を立てやすいのが特徴です。たとえ市中金利が上がっても、借入時の金利がそのまま適用されます。

一方、変動金利型は金利が低く、当初の返済額を抑えられますが、将来の金利上昇に伴う返済額増のリスクがあります。固定期間選択型は当初数年の金利は固定されますが、その後は変動するため、将来的な負担が読みづらくなります。

固定で安心したい方にはフラット35、短期完済や金利低下を前提にした戦略を取る方には変動型が向いています。

審査基準

フラット35は、住宅金融支援機構が信用リスクの一部を負担しており、収入の安定性に不安がある個人事業主でも比較的通りやすいのが特徴です。収入合算や過去2期の確定申告だけでも審査対象になることもあります。

一方、変動金利型は貸す側のリスクが高いため、審査が厳格です。高年収・長期勤務といった「属性」が重視され、個人事業主やフリーランスは不利になりがちです。

自身の収入形態や事業の安定性を踏まえ、どちらが現実的かを考えて選ぶと良いでしょう。

融資条件やサービス面

フラット35を利用するには、物件が一定の技術基準を満たす必要があり、古い中古住宅などでは対象外となることもあります。

民間ローンはリフォーム費用を含めた融資や、保証料・手数料の優遇などサービスの選択肢が豊富です。団体信用生命保険についても、フラット35は加入が任意ですが、民間では多くの保障が無料で付帯されることがあります。

繰上返済手数料はフラット35では無料ですが、民間でもネット経由であれば無料が主流です。総じて、フラット35は「シンプルで安心」、民間ローンは「柔軟で自由度が高い」と言えるでしょう。

住宅ローン選びは自分に合ったタイプを見極めることが大切

フラット35は、全期間固定金利と比較的通りやすい審査が特徴で、個人事業主にも利用しやすい住宅ローンです。一方、変動金利型や固定期間選択型は低金利や柔軟な選択肢が魅力ですが、審査や金利変動への対策が必要です。収入の安定性や将来の資金計画を考慮し、自分に最も合うローンタイプを見極めることが、無理のない住宅購入への第一歩となります。

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