• 更新日 : 2023年8月29日

独立や起業前に!フリーランスの所得税計算方法ポイント3つ

Pointフリーランスの所得税計算方法は?

フリーランスの所得税は、収入から経費・各種控除を差し引いた課税所得に累進税率を掛けて算出します。

  • 収入と所得は明確に区別
  • 税率は5〜45%の7段階累進課税
  • 青色申告で最大65万円を控除(令和9年分以後は最大75万円)

(収入-経費-所得控除)×税率-税額控除で納付税額が決まります。課税所得ごとに税率が段階的に上がる仕組みです。

人脈、信用、能力、経験……フリーランスに必要なものはたくさんありますが、所得税の計算方法を知っておくことも同じくらい大切です。

独立や起業を考えはじめたら、「所得税」とうまく付き合う方法を考えないといけません。

今回は、経営者の中でも初心者さんに向けて「知っておきたい所得税の計算方法」を紹介します。

※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。

所得税とは?

所得税の基本

所得税は国税のひとつで、所得に対して課税される税金です。所得にはいくつか種類がありますが、個人が得た所得は基本的に課税対象だと思っていて間違いありません。

つまり、一定以上の所得を得ているすべての個人に納税義務があるということです。

税額は毎年1月1日から12月31日までの所得金額を基に算出され、原則として翌年3月15日(休日の場合は翌営業日)までに確定申告および納税することになっています。

会社員であれば毎月の給料からの天引きと年末調整によって実質的な納税手続きは完了できます。しかし、フリーランスとなるとそうはいきません。税額の計算から申告、納付までをすべて自分で行う必要があります。

所得の種類

一口に「所得」といいますが、所得税法上の所得区分は全部で10種類に分類することができます。

所得の種類 説明
利子所得 預貯金の利子や公社債の分配金などによるもの
配当所得 株式の配当や投資信託の分配金などによるもの
不動産所得 賃貸業など不動産の貸付けによるもの
事業所得 小売業・卸売業・サービス業といった事業によるもの
給与所得 給与・俸給・賞与など雇用契約によるもの
退職所得 退職金や退職金共済制度などによるもの
譲渡所得 固定資産や車両などの譲渡によるもの
山林所得 山林に関連するもの
一時所得 懸賞金・公営競技の払戻金・保険の満期返戻金など臨時のもの
雑所得 ほかの9種類に属さないもの

このうち、フリーランスの労働による所得は、一般的に事業所得(一部は雑所得)に該当します。

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所得税の計算方法

1:「収入」と「所得」を明確に区別

会社員ではあまり意識していない人も多いかもしれませんが、フリーランスの場合は「収入」と「所得」を明確に区別する必要があり、意味合いも異なってきます。

また、所得のすべてに税金がかかるわけではありません。所得税額を算出する際には、次の計算を順番に行うことになります。

  • 収入-経費=所得
  • 所得-各種所得控除=課税所得
  • 課税所得×税率=所得税
  • 所得税-各種税額控除=納付税額

なお、所得税の税率は消費税のような一律ではなく、累進課税方式がとられています。

ただし、課税所得全体にその税率が適用されるわけではない点に注意しましょう。課税所得が100万円の人も1億円の人も、195万円以下の部分については同じく5%しか課税されません。

フリーランスの方は、給与所得のみの方には適用できない青色申告という制度があります。青色申告の主な特典として、青色申告特別控除が挙げられます。複式簿記により記帳を行い、貸借対照表損益計算書を作成したうえで、e-Tax(電子申告)または電子帳簿保存を行っている場合は、課税所得から最大65万円の控除を受けることができます。

同じく複式簿記で記帳していても書面で申告する場合の控除額は55万円、複式簿記以外の簡易な記帳を行う青色申告者は10万円の控除となります。

青色申告を適用したい場合は、事前に申請を行い、税務署長からの承認を受ける必要があります。きちんと記帳を行い、申告書を提出期限までに提出することで、経費として認められる金額が増え、節税につながります。

なお、令和8年度税制改正により、令和9年分以後の青色申告特別控除は次のように見直されます。

申告方法 改正前 改正後(令和9年分〜)
複式簿記+e-Tax提出 65万円 65万円(据え置き)
複式簿記+e-Tax提出+優良な電子帳簿保存または電子取引データ保存 75万円(増額・新設)
複式簿記+書面提出 55万円 10万円(大幅減額)
簡易簿記(前々年の収入1,000万円超の場合) 10万円 0円(適用除外)

令和8年分までは従来どおり最大65万円の控除が受けられますが、令和9年分以後は、書面提出者の大幅な減額と優良な電子帳簿保存等を行う事業者への増額という、デジタル対応を促す内容となっています。該当する方は、令和9年分の申告に向けて電子帳簿保存等の準備を進めておくと安心です。

参考:令和8年度税制改正の大綱|財務省

2:課税所得の計算例

ここで、具体例を挙げて計算してみましょう。

「所得600万円、配偶者なし、社会保険料70万円、生命保険料12万円」の人が青色申告をした場合を考えると、次のような計算方法となります。

所得600万円-青色申告特別控除65万円-(基礎控除67万円+社会保険料控除70万円+生命保険料控除5万円(旧契約の場合))
=393万円

3:所得税額の計算例

・195万円以下の部分
195万円 × 5% = 9万7500円

・195万円超 330万円以下の部分
(330万円 - 195万円) × 10% = 13万5000円

・330万円超 695万円以下の部分
(393万円 - 330万円) × 20% = 12万6000円

・合計
9万7500円 + 13万5000円 + 12万6000円 =35万8500円

結果、35万8500円 を納税することになります。 ※
※厳密には、358,500円に2.1%の復興特別所得税が加算された366,000円を納税することになります。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

累進課税方式の考え方に基づくと、上のような計算になりますが、実務的には、上記の速算表を用いて計算すると、すぐに納税額が求められます。

計算例
3,930,000 × 20% – 427,500 = 35万8500円

「所得税」における会社員とフリーランスの違いは?

特有の控除

それでは、会社員とフリーランスとではどちらが所得税がお得なのでしょうか?

この疑問を解くカギは、それぞれに特有の控除があるという点です。

会社員には、「給与所得控除」というものが存在します。これは給与収入額によって74万円(令和8・9年分の時限特例。令和10年分以後は69万円)から195万円までの控除を受けられるもの(たとえば、年収600万円の場合では164万円の控除)で、フリーランスには存在しないものです。

一方で、給与所得のみの方は、青色申告控除は受けられません。

この点をふまえて、上の計算と同じ条件の人で考えてみましょう。

給与所得

収入600万円 – 給与所得控除164万円
= 436万円

課税所得

給与所得436万円 - (基礎控除104万円 + 社会保険料控除70万円 + 生命保険料控除5万円) = 257万円

所得税額

・195万円以下の部分
195万円 × 5% = 9万7500円

・195万円超 330万円以下の部分
(257万円 - 195万円 ) × 10% = 6万2000円

・合計
9万7500円 +6万2000円 = 15万9500円

なんと、フリーランスよりも約19万9000円(※35万8500円-15万9500円)も所得税額が少なくなりました。

この例では会社員の方が所得税額は少なくなりますが、フリーランスは青色申告者になることや事業に関連する経費を計上出来るため、実際の税負担は事業内容や経費の状況によって大きく異なります。

マネーフォワード クラウド確定申告であれば、記帳の手間を軽減できます。

所得税の仕組みを理解して計画的に納税しよう

所得税の計算は基本さえ押さえれば、難しいものではありません。

特にフリーランスにとって重要なのは、「収入」と「所得」の違いを明確に理解しておくことと、課税所得金額によって税率が変わってくるという点です。

また、独立したてのころはうっかり忘れがちですが、天引きされないということは毎年3月になると所得税の支払いがやってくるという点も大事です(振替納税を選択すると、翌月4月の支払いになります)。

お金を準備しておらず「大慌てしてしまった!」ということのないようにしましょう。

※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。

よくある質問

所得税とは?

国税のひとつで、所得に対して課税される税金です。詳しくはこちらをご覧ください。

所得税の計算方法は?

所得税を算出する際には、次の3つの計算を順番に行うことになります。詳しくはこちらをご覧ください。

所得税における会社員とフリーランスの違いは?

会社員は給与所得控除が受けられるのに対して、フリーランスは青色申告控除が受けられます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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