新社会人の疑問「東京都の住民税額は区によって違う?」「新卒1年目は住民税ない?」

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新年度が近づいてきました。この春から新社会人になる方は期待半分、不安半分といったところでしょうか。これからは自分でお金を稼ぎ、資産管理をしなければなりませんが、金融や税金の知識がなくて不安という方も多いことでしょう。

4月から都内のIT企業で働きはじめるAさんはお金の疑問が尽きないそう。とくに気になっているのは住民税についてです。「住民税の額は区によって違うのかどうかわからず、どこに引っ越すべきか悩んでいる」と言います。東京都の住民税はエリアによって税率や税額が変わるのでしょうか?

住民税額は区によって違うの?

<相談者プロフィール>
・女性
・春から新社会人
・都内23区在住
・大学4年生の4月からカフェでアルバイト(月給10万円ほど)

<相談内容>
4月から港区のIT企業で働きはじめます。引っ越しも考えていますが、どのエリアに住むべきか悩んでいます。以前、誰かから「企業が多いエリアは法人税が潤沢だから、その分、住民税が安い」と聞いたことがあります。それは本当なのでしょうか?

勤務先の会社は港区にありますし、企業が多いエリアなので、もし住民税が安いのであれば引っ越し先として良いなぁと思っています。

住民税は「道府県民税」「市町村民税」の2種類

各個人が納めなければならない「個人住民税」は2種類あります。

1つが「道府県民税/都民税(東京都のみ)」で、都道府県が徴収します。もう1つが「市町村民税/特別区民税(東京都23区のみ)」で、市町村が徴収します。どちらもあわせて徴収されますが、納税先は都道府県と市町村で分かれています。

今回の相談者は都内23区に住んでいるため、「都民税」「特別区民税」として徴収されることになります。

<個人住民税の種類>
・道府県民税/都民税(東京都のみ):都道府県が徴収

・市町村民税/特別区民税(東京都23区のみ):市町村が徴収

住民税の税率は「所得割」「均等割」の2種類

住民税の税率も、前年の所得額に応じて課される「所得割」、所得額には関係なく定額で課される「均等割」の2種類があります。

それぞれの税率、税額は次のとおりです。

<住民税の税率>
【所得割】前年(1月1日~12月31日)の所得額に応じて課される
 都民税:4%
 特別区民税:6%

【均等割】所得額には関係なく定額で課される
 都民税:1,500円
 特別区民税:3,500円

ここからわかるとおり、東京都内はエリアによって住民税の税率が変わることはありません。ただし、税率は同じでも、高所得者が住むエリアとして知られる港区などでは、1人当たりの所得額が大きいので1人当たりの納税額も増えますね。

Q:企業が多いエリアは法人税が潤沢だから、その分、住民税が安い?
A:誤り。東京都内はどのエリアも住民税の税率は同じ。

「住民税は新卒2年目から」って本当?

「住民税は新卒2年目から課される」と聞いたことがある会社員の方は多いのではないでしょうか。

新卒1年目は住民税が課されず、2年目から課されるとは本当なのでしょうか。もし大学時代にアルバイトで高額を稼いでいた方はそうとも言えないかもしれません。

住民税が課税される人

住民税は、1月1日時点で市区町村内に住んでいて、前年所得のあった人に課税されます。また、1月1日時点で市区町村内に住所がなくても、事務所・事業所・家屋敷のある人は、住民税のうち「均等割」のみが課税されます。

住民税が課税されない人

次に当てはまる人は、住民税の「所得割」と「均等割」の両方が非課税になります。

<住民税の「所得割と均等割が非課税になる人>
◆生活保護を受けている
◆障害者・未成年者・寡婦または寡夫で、前年の合計所得額が125万円以下(給与所得者の場合は年収204万4千円未満)
◆前年の合計所得額が、区市町村が定める額以下
【東京23区内の場合】
・控除対象配偶者または扶養親族がいる
 35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円以下

・控除対象配偶者および扶養親族がいない
 35万円以下

また、次に当てはまる人は住民税のうち「所得割」のみ非課税になります。

<住民税のうち「所得割」が非課税になる人>
◆前年の総所得額等が、区市町村が定める額以下
【東京23区内の場合】
・控除対象配偶者または扶養親族がいる
 35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円以下

参考|個人住民税の非課税(東京都主税局)

配偶者や扶養親族がいない人は年収100万円以下で非課税

相談者Aさんはカフェでアルバイトをして月給10万円ほど稼いでいます。前年の所得額をもとに計算する住民税。学生時代にも所得があったAさんは、新卒1年目の住民税はかからないのでしょうか?

Aさんは前年4月からカフェのアルバイトで月10万円を稼いでいるので、前年1年間の年収は90万円です。

<相談者Aさんの2018年の収入>
カフェのアルバイト(4月~12月):合計90万円

Aさんには控除対象配偶者も扶養親族もいません。この場合、東京23区では「前年の合計所得額が35万円以下」なら住民税が非課税になりましたね。

ここで気になるのは所得額と年収の違いです。所得額とは、ざっくりいうと収入から経費を引いた金額です。

<所得額>
収入-経費=所得

この所得額35万円を給与所得者の年収に換算すると、給与所得控除額65万円を足して、年収100万円になります。

ちなみに給与所得控除額は収入によって変動するので、常に65万円というわけではありません。所得が65万円に満たない場合は、控除額は最大の65万円になります。

<所得額35万円を年収でいうと……>
所得額35万円+給与所得控除額65万円=年収100万円

Aさんは年収90万円しか稼いでいないので、新卒1年目は住民税の「所得割」も「均等割」も非課税になることがわかりました。

逆に、前年にアルバイトで年収100万円以上を稼ぎ、生命保険料控除などの所得控除がない場合は、新卒1年目でも住民税がかかります。稼いだら稼ぎっぱなしにするのではなく、納税についても意識を持ちたいですね。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

取材協力:深堀 宗敏(公認会計士 / 税理士)

公認会計士・税理士/深堀宗敏税理士事務所
PwC税理士法人にて申告書作成業務、M&A、オーナー企業の事業承継対策等に関する会計・税務コンサルティング業務に従事。深堀宗敏税理士事務所を開業。現在、税務実務経験とシステム開発の経験を生かし、クラウドサービスについてのアドバイスを会社のみならず、会計事務所に対して多数行なっている。
@FukahoriTaxnote@fukahori_tax



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