所得がある人は全員課税されている「復興特別税」って何?

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復興特別税

日本では、2011年3月11日に起きた東日本大震災に対する復興支援を目的とし、2013年より復興特別税の納付が全所得者に義務付けられています。

個人の所得から納税する復興特別所得税は2013年から2037年までが施行期間となっています。一方、法人が対象になっている「復興特別法人税」は2012年から2014年の3年間の予定でしたが、2014年に前倒しで廃止になりました。ここではこの「復興特別税」について説明するとともに、その存在意義について考えていきたいと思います。

復興特別税とは何か

復興特別税の成り立ち

復興特別税は今も各地に大きな爪跡を残す東日本大震災を受けて検討され始めました。震災発生から半年と少し経った11月の末には参議院本会議で「復興財源確保法」「地方財確法」が可決され、成立しています。

これに基づき、2012年の1月には特別法人税に関する政令・省令が公布され、2013年1月1日から、復興特別税の課税が導入されています。

復興特別税の概要

復興特別税は復興特別法人税と復興特別所得税からなります。復興特別法人税は通常の法人税額に10%をかけた金額から、利子などに課された復興特別所得税などの税額控除を引いた数字です。2014年度で廃止されています。廃止の理由としては「代替財源の確保の目途がたった」「消費増税による消費縮小への対応」が挙げられています。

対して復興特別所得税は、通常の所得税額に2.1%を掛けた金額です。会社員など源泉徴収票を貰える立場の人の場合は、源泉徴収税額に最初から算入されています。2037年までこの税金は続く見通しで、今のところ廃止の議論はなされていません。

復興特別税の使途

復興特別税の使途はもちろん東日本大震災からの復興のための財源です。

「東日本大震災復興特別会計歳出暫定予算予定額各目明細書」を見てみると各省庁の管轄で、復興のために必要な経費が計上されています。例えば「金融機能安定確保に必要な経費」や「廃棄物・リサイクル対策の推進に必要な経費」などです。他にも復興庁のサイトを見ると、現在行っている取り組みや制度についての説明が詳細に載っています。

参考:
東日本大震災復興特別会計歳出暫定予算予定額各目明細書
復興庁

復興特別税の対象

復興特別法人税

復興特別法人税は基本的には全ての法人の所得に対して課税されます。

これには設立前の会社や町内会、政党要件を満たさない政治団体やマンションの管理組合といった収益事業を行う人格のない社団なども含まれています。

ただし、赤字の企業は、法人税を免除されています。復興特別法人税はあくまで「法人税×10%」が原則なので、「0×10%」をしても0円ですから、復興特別法人税は課せられないことになります。

復興特別所得税

復興特別所得税は所得税の源泉徴収義務者に対して平等に課税されます。

ただしOECD加盟国間で定められた租税条約に基づいた、所得税法及び租税特別措置法という国税に関する特例を定めた法律により、「限度税率」が適用されている場合は、課税対象からは外されます。

また所得税額が0円の個人も、復興特別法人税の時と同様、かけるべき源泉徴収税額が存在しないため、課税対象外となります。例えば基礎控除+給与所得控除=103万円以内の年収の人です。

住民税

復興特別税は住民税にもわずかですが課税されています。

加算されるのは住民税の均等割額の部分。均等割額というのは所得の多い少ないにかかわらず、当該自治体に住所を置く人が一律に支払わなければならない住民税額で、標準税率において市町村民税3,000円、道府県民税1,000円と定められています。これに対してそれぞれ市町村民税と道府県民税にそれぞれ500円ずつ、計1,000円の復興特別税が課されています。期間は2014年から2023年までの10年間です。

実際の負担額の計算方法

復興特別税の負担額は一体どれくらいなのでしょうか。

住民税に関しては前述の通り一律で500円×2=1,000円の負担がかかってきます。問題は復興特別所得税です。計算式は「源泉徴収税額×2.1%」ではそもそもその源泉徴収税額はどのように計算されるのでしょうか。下表は現在の所得税の税率の一覧です。計算する際には課税所得金額に、税率を掛けます。

課税される所得金額 税率(%) 控除額(円)
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

例えば都内在住の年収500万円(給与所得の金額が346万円)の独身者(男性)の場合を考えてみましょう。
彼の各種控除額はざっと計算して以下の通りです。

基礎控除 38万円
社会保険料控除 70万円
控除額合計 108万円
▼計算式
給与所得の金額控除額課税所得金額課税額
346万円-108万円=238万円

課税所得金額課税額×所得税率(表より)所得税額
238万円×10%-9万7,500円=14万500円

所得税額×復興特別所得税率=復興特別所得税
14万500円×2.1%=2,950円

所得税額の2.1%は2,950円です。これが上記例の場合の復興特別所得税額です。源泉徴収票が手元にある人は、「源泉徴収税額」の金額を1.021で割って、その数字を源泉徴収税額から差し引くと計算できます。

まとめ

復興特別税の使途は復興財源であるべきです。しかし、平成25年度(2013年度)以降の使用用途としては「復興」の概念から外れていると言われる声が度々上がっています。以下の項目への繰入などがその一例です。

・国立国会図書館事務に必要な経費
・沖縄教育振興事業費
・沖縄道路整備事業費社会資本整備事業特別会計

また復興特別法人税は前述の理由で2014年度に廃止されています。その一方で、個人に課せられる復興特別所得税はそのまま残っています。自分たちの払った税金がいったいどこにどのように使われているのか、私たちは国民として常に注意深く見守る必要があります。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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