- 更新日 : 2025年3月3日
個人事業主が申請できる障がい害者雇用助成金まとめ
個人事業主の中には、従業員として障がい者の雇用を検討している方もいるでしょう。障がい者を雇用した際には、助成金を活用できます。
本記事では、個人事業主が申請できる障がい者雇用助成金について解説します。助成金を受け取った場合の確定申告の有無についても紹介するので、最後までチェックしてください。
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目次
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障がい者雇用助成金とは
障がい者雇用に関してのルールは、障がい者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)によって定められています。企業は定められた雇用率を達成する必要があるほか、職場をバリアフリーな環境に整備したり、適切なサポート体制を整えたりすることが求められています。また、それに対して国も取り組みを支援するために助成金制度を提供しています。
障がい者雇用助成金とは障がい者雇用に特化した助成金のことです。個人事業主も利用できます。代表的な助成金としては、次のようなものが挙げられます。
- キャリアアップ助成金
- トライアル雇用助成金
- 人材開発支援助成金
- 特定求職者雇用開発助成金 など
なお、助成金の受給には要件を満たす必要があります。それぞれの助成金で受給要件が異なるため、あらかじめ詳細について確認しておきましょう。
助成金と補助金の違い
助成金と似た言葉に補助金があります。ともに国や地方自治体が提供しており、返済不要であることが共通しています。
<助成金>
- 国や地方自治体が提供しているもの
- 目的:労働環境の安定
- 主な管轄:厚生労働省
- 財源:雇用保険料
- 受給対象:雇用保険の適用事業主
<補助金>
- 国や地方自治体が提供しているもの
- 目的:新規事業支援や地域振興など
- 主な管轄:経済産業省。各省庁や自治体、民間団体などからも提供されている
- 財源:税金
- 受給対象:個人事業主やフリーランス、中小企業などが多い
助成金の申請から支給までの流れ
助成金の申請から支給までの流れは、おおよそ以下のとおりです。
- 実施計画の申請
- 実施計画の実施
- 助成金の申請
- 助成金の受給
まずは、助成金の受給要件に沿った実施計画を作成し提出します。その後、実施計画に従って実行し、活動終了後に報告書を作成して助成金の申請を行います。
提出書類をもとに審査が行われ、支給が決定されると口座に助成金が入金される流れです。
個人事業主が申請できる障がい者雇用助成金1:キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、正規雇用の促進や雇用条件改善が目的の制度です。支援の対象によって7つのコースが設けられており、障がい者雇用については「障がい者正社員化コース」があります。
個人事業主の場合でも、従業員を正規雇用へ昇格させたり、アルバイトの雇用時間を延長したりする際に活用できます。
要件
労働者の主な要件は、次のとおりです。
<申請事業主に雇用される労働者>
転換を行った日の時点で、次のいずれかに該当する労働者
- 身体障がい者
- 知的障がい者
- 精神障がい者
- 発達障がい者
- 難病患者
- 脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害であると診断された者
就労継続支援A型事業における利用者でないこと
次のいずれかに該当する労働者
- 支給対象事業主に、「賃金の額」または「計算方法」が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を通算6ヶ月以上受けて雇用される有期雇用労働者
- 支給対象事業主に、「賃金の額」または「計算方法」が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を通算6ヶ月以上(昼間学生であった期間を除き、障がい者トライアル雇用等期間以上)受けて雇用される無期雇用労働者
など11項目のすべてに該当する労働者が対象です。
また、主な支給要件は、次のいずれかの措置を継続的に実施することです。
- 有期雇用労働者を、正規雇用労働者(多様な正社員を含む)もしくは無期雇用労働者に転換すること
- 無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること
詳細は、以下のページからご確認ください。
参照:厚生労働省 キャリアアップ助成金(障害者正社員かコース)のご案内
助成内容
障害者正社員化コースの助成額は、支給対象者の種類や措置内容によって異なります。
支給対象者 | 措置内容 | 支給総額 | 支給対象期間 | 支払方法 |
---|---|---|---|---|
| 有期雇用から正規雇用への転換 | 120万円(90万円) | 1年 | 60万円×2期(45万円×2期) |
有期雇用から無期雇用への転換 | 60万円(45万円) | 30万円×2期(22.5万円×2期) | ||
無期雇用から正規雇用への転換 | 60万円(45万円) | 30万円×2期(22.5万円×2期) | ||
| 有期雇用から正規雇用への転換 | 90万円(67.5万円) | 45万円×2期(33.5万+34万円) | |
有期雇用から無期雇用への転換 | 45万円(33万円) | 22.5万円×2期(16.5万円×2期) | ||
無期雇用から正規雇用への転換 | 45万円(33万円) | 22.5万円×2期(16.5万円×2期) |
参照:厚生労働省 キャリアアップ助成金(障害者正社員かコース)のご案内
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個人事業主が申請できる障がい者雇用助成金2:トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは、安定して働き続けられない労働者の雇用促進が目的の制度です。対象となる労働者を一定期間雇用した事業者に支給されます。
雇用する労働者によって6つのコースが利用でき、障がい者雇用については障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコースがあります。
要件
障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコースの各要件について見ていきましょう。
■障害者トライアルコース
<対象労働者>
次の1、2両方に該当する者であること
1:継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解したうえで、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者
2:障害者雇用促進法に規定する障がい者のうち、次のア~エのいずれかに該当する者
ア:紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
イ:紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者
ウ:紹介日前において離職している期間が6ヶ月を超えている者
エ:重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者
<雇入れの条件>
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
- 障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと
■障害者短時間トライアルコース
<対象労働者>
継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解したうえで、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障がい者または発達障がい者
<雇入れの条件>
対象労働者を次の条件で雇い入れること
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
- 3ヶ月から12ヶ月間の短時間トライアル雇用をすること
参照:厚生労働省 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
助成内容
それぞれの助成内容についても見ていきましょう。
■障害者トライアルコース
<受給額(支給対象者1人につき)>
- 精神障がい者の場合:月額最大8万円を3ヶ月、月額最大4万円を3ヶ月(最長6ヶ月間)
- 上記以外の場合、月額最大4万円(最長3ヶ月間)
■障害者短時間トライアルコース
支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12ヶ月間)
参照:厚生労働省 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
個人事業主が申請できる障がい害者雇用助成金3:人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、従業員のキャリアアップを目的とした制度です。専門知識やスキル習得を計画的に実施した事業者が受給対象となります。
人材開発支援助成金には8つのコースが設けられており、障がい者雇用については障害者職業能力開発コースがあります。
要件
障害者職業能力開発コースの受給要件は次のとおりです。
訓練対象障がい者が障害者職業能力開発訓練事業の実施のために、訓練施設または設備の設置・整備または更新をする場合や、障害者職業能力開発訓練事業を実施する場合に受給できます。
訓練対象障がい者は、1と2に該当する者です。
[1]次ののいずれかに該当する者
- 身体障がい者
- 知的障がい者
- 精神障がい者
- 発達障がい者
- 高次脳機能障害のある者
- 難治性疾患を有する者
[2]ハローワークに求職の申込みを行っていて、障害特性や能力などを踏まえ、職業訓練が必要であると認められ、職業訓練受講通知書により通知された者
障害者職業能力開発訓練事業とは、障がい者の職業に必要な能力を開発および向上させるための教育訓練のことです。教育訓練としては、次の10個の要件をすべて満たす必要があります。
- 運営管理者
- 訓練期間
- 訓練時間
- 訓練科目
- 訓練施設以外の実習
- 訓練人員
- 訓練担当者
- 訓練施設等
- 安全衛生
- 費用
また、訓練施設または施設の設置・整備または更新においては、次の条件をすべて満たす必要があります。
1.次のいずれかに該当する者
- 能力開発施設
- 管理施設
- 福祉施設
- 能力開発訓練施設用設備
2.訓練施設および設備が事業主等自らが所有するものであること
3.訓練の施設または設備の設置・整備または更新が、受給資格認定日の翌日から1年以内に完了するものであること
参照:厚生労働省 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)
助成内容
支給額は、施設または設備の設置・整備または更新、運営費でそれぞれ異なります。ここでは、施設または設備の設置・整備または更新について紹介します。
助成額は、かかった費用に4分の3を乗じた額です。初めて助成金の対象となる場合は、5,000万円が上限になります。
また、訓練科目ごとの施設または設備の更新の場合については、1,000万円が上限となるため注意しましょう。
参照:厚生労働省 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)
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個人事業主が申請できる障がい者雇用助成金4:特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金とは、特定の理由で就職が難しい人に対する就職支援が目的の制度です。ハローワーク等から紹介を受け、労働者の継続雇用を前提として雇い入れる事業主が対象となります。
特定求職者雇用開発助成金は7つのコースに分かれており、障がい者雇用については「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」があります。
要件
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの要件として、次のすべてを満たす必要があります。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
- 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(※)が確実であると認められること
※対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であること
参照:厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
助成内容
助成内容は、次の表のとおりです。
対象労働者 | 企業規模 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 |
---|---|---|---|---|
短時間労働者以外の者 | 中小企業以外 | 50万円 | 1年間 | 第1期 25万円 第2期 25万円 |
短時間労働者 ※1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者 | 中小企業以外 | 30万円 | 1年間 | 第1期 15万円 第2期 15万円 |
参照:厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
個人事業主が障がい者雇用助成金を活用する際の注意点
障がい者助成金を活用する前の注意点を解説します。まずは、募集要件をしっかり確認するようにしましょう。前述したように、要件や助成の対象内容はそれぞれ異なります。
また、法人しか利用できない助成金もあるため注意が必要です。個人事業主が申請できるものかの確認も、あわせて行いましょう。
助成金が支給されたら確定申告の対象になる?
助成金も課税対象となるため、注意が必要です。助成金すべてをそのままもらえるわけではなく、税として一部をあとから払わなくてはなりません。
助成金の目的は、経費や売上減少に対する補填にあります。助成金をもらった分だけコストが減少するため、助成金を収入として計上しなければなりません。会計記帳の段階で収入金額として計上しておけば、確定申告書の際にもそのまま収入金額として活用できます。
確定申告の詳しい方法については、以下を参考にしてください。
個人事業主でも障がい者雇用助成金を活用できる
個人事業主でも障がい者を雇用する場合には、さまざまな助成金を活用できます。助成金ごとに要件が異なるため、申請する場合にはしっかりと要件を確認することが大切です。
また、助成金はすべてもらえるわけではありません。税として一部をあとから支払う必要があるため確定申告の対象です。
本記事で紹介した助成金を参考に、自社で活用できる制度がないか検討してみましょう。

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データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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