- 更新日 : 2025年1月7日
ふるさと納税の計算に関する個人事業主の疑問を解決!控除額や上限額の計算方法を解説
自治体を選んで寄附できるふるさと納税。この制度を活用することで税金の控除を受けることができます。
この記事では個人事業主の方向けにふるさと納税の仕組みや所得税・住民税の控除金額を計算する方法、ふるさと納税を活用するメリット・デメリットについてご紹介します。
目次
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ふるさと納税で税金が控除される仕組み
たとえばA市に住んでいるBさんがC市に対して2万円ふるさと納税をしたとしましょう。本来BさんはA市に住民税を支払うべきなのですが、すでにC市に自己負担分2,000円を差し引いた1万8,000円を納税しているという建て付けになるため、1万8,000円分住民税の控除や所得税の還付が受けられるということになるのです。
なお、ふるさと納税には返礼品を用意している自治体も多いです。普通に住民税を支払ってもお礼はもらえませんが、ふるさと納税を活用すれば住民税・所得税の控除が受けられてかつ返礼品(寄附額の3割まで)を受け取ることができるので、お得な制度といえます。
所得税からの控除金額を計算する方法
個人事業主がふるさと納税をした場合の所得税の控除額は以下の式で計算することができます。
なお、所得税の税率は下表のように対象年度の課税所得金額によって異なります。
課税所得金額 | 税率 |
---|---|
1,000円~194万9,000円 | 5% |
195万円~329万9,000円 | 10% |
330万円~694万9,000円 | 20% |
695万円~899万9,000円 | 23% |
900万円~1,799万9,000円 | 33% |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
引用:所得税の税率|国税庁
たとえば課税所得400万円の個人事業主がふるさと納税で2万円を寄附した場合、以下のようになります。
つまり、3,600円の還付を受けられるということになります。
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住民税からの控除金額を計算する方法
住民税に関しては「基本分」と「特例分」という2段階で計算します。基本分に関しては以下のような計算式で算出します。
特例分の計算式は以下のとおりです。
基本分と特例分を合計した額が住民税から控除されます。課税所得400万円の個人事業主がふるさと納税で2万円を寄附した場合、以下のようになります。
- (20,000円-2,000円)×10%=1,800円
- (20,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=12,600円
- 1,800円+12,600円=14,400円
ちなみに、上記の例の場合、所得税の還付額は3,600円となるため、3,600円+1万4,400円=1万8,000円。2万円から2,000円を引いた1万8,000円分が所得税と住民税から控除されることがわかります。
個人事業主がふるさと納税の上限額を計算するのは難しい?
ふるさと納税はいくらでもできるという性質のものではなく、所得金額によって控除上限が定められています。特に個人事業主の場合は年によって所得が変動しやすいので、生社員や公務員など一般的な給与所得者の方と比較すると正確な上限金額を算出するのは難しいです。「去年は●●円寄附したから今年も」ではなく、都度上限金額を計算しましょう。
ふるさと納税の上限額の目安
ふるさと納税の控除上限額は以下のような式で計算できます。
「課税所得に応じた変数」は以下の表から求めることができます。
課税所得金額 | 課税所得に応じた変数 |
---|---|
~195万円以下 | 23.56% |
195万円超~330万円以下 | 25.07% |
330万円超~695万円以下 | 28.74% |
695万円超~900万円以下 | 30.07% |
900万円超~1,800万円以下 | 35.52% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40.68% |
4,000万円超 | 45.40% |
住民税所得割額に関しては、毎年6月頃に配布される住民税の通知書に記載されている市民税の所得割額と県民税の所得割額を合計することで算出できます。
たとえば課税所得400万円、住民税所得割額が10万円である場合、計算式は以下のようになります。
つまり3万740円までふるさと納税として寄附することができるのです。
なお、上限額は前述のような計算式で求めることができますが、それ以外にも総務省のホームページからダウンロードできる寄附金控除額を計算できるエクセルシートを利用する、民間のふるさと納税ポータルサイトに用意されているシミュレーターを活用することで、簡単に上限額をシミュレーションすることができます。
個人事業主がふるさと納税を申告する流れ
個人事業主は以下のような流れでふるさと納税ができます。
- 寄附できる上限額を調べる
まずはご自身がいくら寄附できるのかを調べましょう。前述のように計算式や総務省のエクセルシート、ポータルサイトのシミュレーターなどで計算できます。 - 寄附する自治体を選ぶ
どの自治体に寄附するかを考えましょう。生まれ故郷、住んでいたことがある地域、旅行で訪れた地域、あるいは返礼品の内容など、どの地域を選ぶかは自由です。 - 申し込み
自治体が決まったらふるさと納税の申し込みを行います。自治体に直接申し込む方法もありますが、ポータルサイト経由で申し込むのが便利です。 - 寄附金の支払い
申し込み後に寄附金を支払います。銀行振込やクレジットカード決済、コンビニ支払いなど、さまざまな支払い方法に対応しています。 - 返礼品・寄附金受領証明書の受け取り
支払い後に返礼品と寄附金受領証明書が自治体より送られてきます。特に寄附金受領証明書は確定申告の際に必要となるので、なくさないよう注意しましょう。 - 確定申告
ふるさと納税をした翌年の3月15日までに確定申告を行います。
所得税の確定申告とあわせて行う
個人事業主の方は毎年確定申告をされているはずですが、ふるさと納税の申告についてもその際に行います。寄附金受領証明書に記載されている寄附金額をもとに確定申告書の寄附金控除欄に記入しましょう。「トータルの所得金額×40%」、もしくは「寄附金額-2,000円」のうち、金額が少ないほうを記載します。
個人事業主がふるさと納税を利用するメリット・デメリット
個人事業主がふるさと納税をする際には以下のようなメリット・デメリットがありますので、両方を考慮して寄附するかどうかを判断しましょう。
メリット
まず個人事業主がふるさと納税をするメリットとして控除額が大きくなることが挙げられます。会社員などの給与所得者の場合は給与所得控除がありますが、個人事業主の場合はそれがないため、どうしても所得金額が大きくなりがちです。そのため、寄附できる上限額も高くなり、それだけ控除額も大きくなるということになります。寄附金額が大きくなれば、充実した返礼品を受け取ることも可能です。
また、個人事業主は毎年確定申告をしています。ふるさと納税をした場合、申告書に寄附金控除額を記載すればいいだけなので、特殊な手続きも必要ありません。
デメリット
個人事業主は前述のとおり給与所得者と比較すると所得金額に変動が出やすいです。仮に寄附した金額が上限を超えてしまった場合、超えた分に関しては控除が受けられず、損をしてしまうことがあります。おおよその年間の所得金額がわかる年末にふるさと納税をされるのがいいかもしれません。
また、ふるさと納税はあくまで寄附した金額が翌年の住民税、所得税から控除されるという仕組みです。税金の額が安くなるというような節税効果はないため、その点には注意しましょう。とはいえ、実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取れるため、お得な制度であることは間違いないといえます。
好きな自治体に寄附できて返礼品がもらえるふるさと納税はいかが
ふるさと納税を行うことで、生まれ故郷や縁がある地域に貢献できる、住民税や所得税の控除を受けられるなどの利点があります。また、返礼品として自己負担2,000円で、その地域の名物・名産品をもらえるのも大きな魅力です。
特に個人事業主の方は上限額が大きくなる可能性がある、特殊な手続きがいらないといったメリットもあるため、ぜひふるさと納税の利用も検討してみましょう。
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青色申告1から簡単ガイド

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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