- 更新日 : 2025年7月7日
クラウドPBXは個人事業主の強い味方|仕組み・料金・おすすめサービスを解説
クラウドPBXは、スマートフォンやパソコンを使って固定電話番号を扱える通信サービスで、オフィス用の電話環境をインターネット上で実現できます。個人事業主でも、物理的な電話機や回線工事を必要とせず、手軽に03や06などの番号を取得できるのが魅力です。顧客対応の信頼性を高めたい、自宅でビジネスを行っている、またはプライベート番号を公開せずに済ませたいと考えている方にとって、クラウドPBXは非常に有効な手段です。
本記事では、導入のメリットや選び方に加え、個人事業主に適したクラウドPBXサービスをご紹介します。
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目次
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クラウドPBXの仕組み
クラウドPBXとは、オフィスに設置していたPBX(構内交換機)の機能をインターネット上のクラウドサービスとして提供する電話システムです。従来は事務所内にPBX装置を置き、内線や外線を制御していましたが、クラウドPBXではその制御装置をネットワーク越しに利用します。
つまり物理的な電話回線工事や専用機器が不要で、インターネット環境さえあればどこでもビジネス用の電話応対ができるのが特徴です。
クラウドPBXでは、03や06といった市外局番の固定電話番号を取得してスマートフォンで使うことも可能です。この仕組みにより、個人事業主でも自宅に固定電話を引かなくても「会社の電話番号」を持てます。たとえば東京03番号を取得すれば、仕事用に信頼感のある連絡先として利用でき、自身の携帯番号を直接公開せずに済みます。
また、クラウド上のサービスなので引っ越しや事務所移転があっても電話番号を変更する必要がなく、番号をそのまま使い続けられる利便性もあります。電話の着信はスマホやPCなど複数デバイスで受け取れるため、自宅・外出先を問わずスムーズに顧客対応できるでしょう。
個人事業主がクラウドPBXを導入するメリット
クラウドPBXは小規模事業に適した柔軟な電話システムであり、個人事業主にも多くのメリットをもたらします。通信費の削減や柔軟な働き方の実現など、事業運営に役立つ恩恵を得られます。この章では、クラウドPBXを導入する利点を順に解説します。
初期投資を抑え低コストで利用できる
クラウドPBX最大のメリットの一つは、電話システム導入・運用のコストを大幅に削減できることです。従来型のビジネスフォンは本体機器の購入や回線工事に数十万円の費用がかかりました。これに対し、クラウドPBXはサーバー側で機能を提供するため利用者側の設備負担がなく、初期費用が無料〜数万円程度と格安に設定されています。毎月のランニングコストも基本料+通話料のシンプルな料金体系で安価に抑えられ、多くの場合、通信コストを大幅に削減できます。このようにクラウドPBXなら電話環境にかかるコストを大きく削減でき、限られた予算を他の業務投資に振り向けることができます。
スマホで固定電話番号が使えビジネスの信頼性が向上する
個人事業主の「携帯番号ではなく固定電話番号を持ちたい」というニーズに、クラウドPBXは応えます。スマートフォンやPCに専用アプリを入れれば、自宅でも外出先でも会社名義の固定電話番号で発着信が可能です。お客様にとっては市外局番つきの番号から連絡が来るため、より信頼感を持ってもらいやすくなります。名刺やホームページにも携帯番号ではなく固定電話番号を記載でき、企業イメージの向上につながるでしょう。また、自分の個人携帯番号を公開せずに済むためプライバシー確保の面でも安心です。クラウドPBX導入によって、オフィスに固定電話がなくても「ビジネスの顔」となる番号を気軽に持てることは、個人事業主にとって大きなメリットです。
場所を選ばずに仕事用の電話応対ができる
クラウドPBXがあれば、事業主は場所に縛られずに電話対応できます。自宅を事務所にしている場合でも外出中でも、スマホさえ携帯していればオフィス宛の電話を受けることができます。たとえば外回りや出張中に顧客からの電話があっても、クラウドPBXの転送設定によりスマホで逃さず応対できます。これによりビジネスチャンスの損失を防ぎ、機会ロスを減らせます。また、自宅に固定回線を引かなくても良いため、在宅勤務やノマドワークとも親和性が高いです。インターネット経由で電話を受けられる柔軟性は、移動や出先が多い個人事業主にとって心強い利点と言えるでしょう。
電話機器が不要で導入がスピーディー
クラウドPBXは物理的なビジネスフォン機器を設置する必要がないため、導入の手軽さも魅力です。サービス契約後は提供されるアプリをスマホやPCにインストールし、Web上で初期設定を行えばすぐに利用開始できます。一般的なビジネスフォンだと工事や設定に数週間〜1ヶ月程度かかる場合がありますが、クラウドPBXなら最短当日から使い始めることも可能です。また、電話機自体も手元のスマホやヘッドセット付きPCを流用できるため、新たな機器購入の手間もありません。小規模な個人事業主でも短期間でビジネス用電話環境を整えられるスピード感は、俊敏な事業運営に役立ちます。
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クラウドPBXの導入費用と通信費の経費計上
クラウドPBXの導入・維持費用は、個人事業主にとっても比較的手軽な範囲に収まります。導入にどの程度のコストが必要か、またそれをどのように経費処理できるのかを理解しておけば、安心して導入に踏み切れるでしょう。
クラウドPBXの料金体系は月額制が主流で、契約プランや利用人数によって変動します。基本的には「初期費用+月額基本料+通話料」の組み合わせで、初期費用が無料〜数万円、月額基本料は数千円程度というサービスが多く見られます。通話料は外線発信の分だけ従量課金されますが、社内の内線通話は無料です。小規模事業向けプランでは「1ユーザーあたり●円」と明瞭な料金設定がされており、個人事業主が一人で利用する場合でも毎月数千円以下に電話コストを抑えられるでしょう。
通信費の経費計上についても、クラウドPBXならシンプルです。クラウドPBXの初期費用や月額料金は、事業に必要な電話サービスの利用料として全額を経費(通信費)に計上できます。従来型のPBX機器購入とは異なり、資産計上や減価償却の手続きは不要で、毎月の利用料をそのまま経費処理すればよい点は個人事業主にとっても扱いやすいでしょう。また、仕事専用の電話として利用していれば、その通信費は「通信費」勘定で全額を経費算入できます。仮にプライベートと兼用する場合でも、利用割合に応じて按分(家事按分)することで事業分を経費にできます。クラウドPBXを導入して私用と業務の電話を分ければ、経費管理の面でも明確になるというメリットがあります。
個人事業主がクラウドPBXを選ぶポイント
数多くのクラウドPBXサービスが提供されていますが、個人事業主が自分の事業に合ったものを選定するために注目すべきポイントをまとめます。失敗しないサービス選びのために、チェックしたい観点を確認しましょう。
必要な機能が搭載されている
サービスによって搭載されている機能は様々ですが、闇雲に高機能なものを選ぶ必要はありません。自営業で本当に使う機能に絞って選ぶことが大切です。例えば内線通話や留守電、スマホアプリ対応など基本的な機能が揃っていれば十分という場合は、余分なオプションを省いて低価格のプランを選択すると良いでしょう。逆に将来的に従業員を増やす予定があったり、コールセンター的な使い方を視野に入れるなら、録音や自動応答(IVR)機能が役立つかもしれません。必要以上の機能を付けすぎると割高になるため、シンプルなプランから必要に応じて追加していくくらいの姿勢がおすすめです。
コストと料金プランがニーズに合う
クラウドPBXは月額課金ですが、サービスにより料金体系が異なります。ユーザー数あたりの固定料金制か、基本料+通話料従量課金制か、通話定額オプションの有無などを確認しましょう。自身の通話量や利用状況に合ったプランを選ぶことで、最もコストパフォーマンス良く利用できます。また契約期間の縛りや解約金の有無も事前にチェックしておくと安心です。初期費用無料でも月額が高いケース、逆に年契約で割引になるケースなどがあるため、総合的に見て予算内に収まるか検討しましょう。個人事業主向けの小口契約プランを用意しているサービスも増えていますので、「一人でも契約可能か」「最低利用人数やチャネル数の条件はないか」といった点も比較すると良いでしょう。
希望の電話番号の取得・引き継ぎができる
希望する電話番号が手に入るかどうかも、サービス選定時に見逃せないポイントです。クラウドPBXのサービスによっては050から始まるIP電話番号のみ提供のところと、03や0120などの市外局番・フリーダイヤル番号を取得できるところがあります。事業上、地元の市外局番を使いたい場合は対応しているサービスを選ぶ必要があります。また、既に使っている固定電話番号がある場合、その番号をクラウドPBXに移せるか(番号ポータビリティ対応か)も確認しましょう。番号が引き継げないサービスだと、周知や印刷物の変更に手間がかかります。幸い多くのクラウドPBX事業者は番号継続利用に対応していますが、中には新規番号取得のみのところもあるため、事前にチェックしておくことが大切です。
セキュリティとサポート体制が充実している
クラウドPBXはインターネットを介して利用するため、サービス提供者のセキュリティ対策やサポート体制も欠かせない要素です。大手通信企業が提供するサービスや実績豊富なベンダーは、システムの信頼性やセキュリティポリシーがしっかりしている傾向があります。選定に迷ったら、利用者の評判や導入実績も参考にしましょう。万一のトラブルに迅速に対応してもらえるサポート体制が整っているサービスなら安心です。セキュリティ面では、通信の暗号化や不正アクセス防止策が講じられているかを確認し、自衛策としては管理画面のパスワードを強固に設定する、端末にウイルス対策ソフトを入れる等の対策を取りましょう。なお、BYOD(私物端末の業務利用)を行っている場合には、端末側のセキュリティ確保にも十分に留意する必要があります。
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個人事業主におすすめのクラウドPBX3選
クラウドPBXは、初期投資を抑えてビジネス用の固定電話番号を持てる便利な通信手段です。ここでは、個人事業主でも無理なく導入できるクラウドPBXを3つ厳選し、それぞれの特徴や料金体系をご紹介します。
MOT/TEL
MOT/TEL(モッテル)は、スマートフォンやパソコンを利用して、03や06などの市外局番つきの固定電話番号で通話ができるクラウドPBXです。1人から利用でき、留守番電話、通話録音、IVR(自動音声応答)、転送機能など、ビジネスに必要な通話機能を一通り備えています。スマホに専用アプリをインストールするだけで、物理的な電話機器や工事は不要です。初期費用は11,000円(税込)から、月額基本料金は3,300円(税込)から利用でき、追加オプションで機能を拡張できます。事業拡大に応じて柔軟に内線数や機能を増やせる点が特徴で、将来的な人員追加を想定している個人事業主にも適しています。
03plus(ゼロサンプラス)
03plus(ゼロサンプラス)は、東京03番号などの固定番号をスマホで発着信できるサービスで、個人事業主や副業者など小規模事業者向けに設計されています。面倒な機器設置や回線工事は不要で、スマートフォンに専用アプリを入れて設定するだけで、即日から利用を開始できます。初期費用は1,100円(税込)と手頃で、月額料金も1,078円(税込)からと導入のハードルが非常に低いのが特徴です。通話料は固定電話への発信が3分あたり8.8円、携帯電話へは1分あたり17.6円と明朗な価格設定で、少ない通話量でも無駄なコストが発生しにくくなっています。信頼性のある固定番号を名刺やWebサイトに記載したいというニーズにぴったりの選択肢です。
Hamic LINK(はみっくリンク)
Hamic LINKは、クラウドPBXサービスの中でも初期費用が完全無料、月額980円(税込)からと圧倒的に低コストで始められるのが最大の魅力です。スマートフォンにアプリを入れるだけで03や06番号を取得し、すぐにビジネス用の電話として使える環境が整います。最小構成でも留守番電話や発着信履歴の管理、簡単な転送設定が可能で、必要に応じてIVRや録音機能などもオプションで追加できます。利用は1人から可能で、業種や業態に縛られず汎用性が高いことから、開業直後のフリーランスや副業者にとって非常に扱いやすいサービスです。メールでのサポート体制もあり、初めてPBXを導入する個人事業主にも安心して利用できる設計になっています。
クラウドPBXは個人事業主にとって柔軟で効率的な通信手段
クラウドPBXは、設備投資を最小限に抑えながら、ビジネス用の電話番号をスマートに運用できる仕組みとして、個人事業主に広く活用されています。事業の信頼性を高めつつ、プライベートと仕事を明確に分けた電話対応を実現できる点は大きなメリットです。通信費を明確に経費計上できる点でも、確定申告時の処理がしやすくなります。サービスごとの機能や価格を比較し、自身の事業規模や働き方に合ったものを選ぶことで、日々の業務をより快適に進めることができるでしょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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