- 更新日 : 2024年12月20日
個人事業主もPayPayを導入できる?メリット・デメリットや導入方法も
近年、チェーン店のような大手事業者を中心に、キャッシュレス決済が普及しています。PayPayをはじめとする決済サービスが広まり、現金を持ち歩かない人もいるほどです。
個人事業主の方の中には、PayPayを導入してキャッシュレス決済ユーザーを呼び込みたいと考える方もいることでしょう。本記事では、個人事業主がPayPayを導入する方法や、メリット・デメリットを解説します。
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目次
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個人事業主もPayPayを導入できる
個人事業主でも、PayPayの導入は可能です。本人確認書類と店舗写真を提出することで、店舗にPayPay決済端末を設置できます。
PayPayの個人利用と個人事業利用の違い
PayPayの個人利用と個人事業利用では、用途・目的が異なります。個人利用の目的は、店舗に商品やサービスの代金を支払ったり、個人間で送金したりすることです。
しかし、個人事業利用は顧客に商品・サービスを提供し、代金を受け取るのが目的になります。PayPay加盟店が、決済時に個人間送金機能を利用することは、規約上禁止です。個人事業利用を行う場合は、加盟店の決済機能を利用しましょう。
個人事業主がPayPayを導入するメリット
個人事業主がPayPayを導入すると、次のようなメリットがあります。
初期費用や振込手数料が無料
PayPayは初期費用なしで導入可能です。インターネット環境とデバイス(パソコン・タブレット・スマホのいずれか)があれば、無料で始められます。周辺機器の導入に約30万円が必要なPOSレジと比べると、導入のハードルは低いでしょう。
また、PayPayからの売上入金の振込手数料も無料です。振込手数料が差し引かれる決済サービスの場合、たとえ一回当たりの手数料は少額であっても、長期間利用すれば負担も大きくなります。PayPayであれば売上がそのまま入金されるため、コスト削減になります。
クレジットカードよりも決済手数料が安い
PayPayは、クレジットカードよりも決済手数料が低くなっています。通常の決済サービスでは、クレジットカード決済の手数料は3〜4%程度です。しかし、PayPayの決済手数料は1.60%と、安く設定されています。
PayPayの決済手数料は、次の通りです。
PayPayマイストア ライトプランの有無 | 決済手数料 |
---|---|
加入している | 1.60% |
加入していない | 1.98% |
PayPayマイストアライトプランに加入することで、決済手数料を下げられます。初期費用・月額利用料ともに2,178円で利用可能です。
QRコード決済が簡単にできる
PayPayなら、QRコード決済が簡単に導入できます。店舗に設置したQRコードを、顧客に読み取ってもらうだけで決済可能です。現金を扱う手間がないため、レジ業務がスムーズになり、顧客の待ち時間を短縮できます。
近年は現金を持たず、PayPayのようなキャッシュレス決済サービスのみを利用する顧客も少なくありません。QRコード決済を導入することで、キャッシュレス決済を主に利用する顧客層の集客も可能です。
PayPayアプリで店舗の宣伝ができる
PayPay加盟店に登録すると、『PayPayマイストア』から店舗のストアページを作成できます。表示される情報は、次の通りです。
- 店舗名
- 店舗写真
- キャンペーン
- 業態や業種
- メニュー
- 営業時間
- 住所
マイストアページから店舗情報を配信することで、集客が可能です。宣伝広告費をかけずに、顧客を呼び込めます。また、マイストアのアクセス数から顧客の行動を予想することで、効果的な施策を打ちやすくなるでしょう。
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個人事業主がPayPayを導入するデメリット
PayPayの導入には、デメリットもあります。導入検討時には、次のポイントを把握しておきましょう。
取引ごとに手数料が発生する
PayPayで決済を行うと、1回につき1.60%(PayPayマイストアライトプラン未加入なら1.98%)の手数料がかかります。現金で代金を受け取った場合よりも利益が減るため、売上が低くなるでしょう。
商品単価が低いビジネスは決済回数が多いため、手数料がかさみやすくなります。単価の低い店舗や、顧客が現金を使ってくれる店舗に、キャッシュレス決済が適さない場合もあるでしょう。
入金サイクルが月1回に決まっている
PayPayの入金サイクルは、月1回固定です。入金サイクルを次にまとめました。
金融機関 | 入金サイクル |
---|---|
PayPay銀行 | 当月末締め・翌日入金 |
その他金融機関 | 当月末締め・翌々営業日入金 ※ゆうちょ銀行の場合、4営業日後振込 |
決済事業者によっては、月に複数回入金することも可能です。しかし、PayPayは原則として月末締め・月初入金なので、出費が多い店舗には向かないでしょう。仕入の回数や、経費精算の頻度が多いと、資金不足になる恐れもあります。また、急な出費へ対応できないのも難点です。
カード決済や電子マネーに対応していない
PayPay加盟店になっただけでは、クレジットカード決済や電子マネーに対応できません。
顧客側でPayPayにカード情報を紐づけてもらい、PayPayで決済してもらう必要があります。
POSレジや決済サービスの普及によって、キャッシュレス決済を含めた様々な支払い方法に対応している店舗が増えました。
PayPayのみに対応した店舗に、他の決済手段を使いたい顧客が困るケースが考えられます。
領収書の発行に対応していない
PayPay決済ではレシートを発行できません。自店舗で購入した商品・サービスを、経費精算したい顧客の要望に対応できなくなります。購入証明となるレシートを出せない場合は、顧客とトラブルになるリスクもあるでしょう。
また、レシートを利用した施策が打てないのも難点です。クーポンや割引券を印刷して、2回目以降の利用を促せません。
レシートを発行したい場合は、PayPayと連携した決済サービス「PayCAS Mobile」を利用しましょう。クレジットカード決済や電子マネーにも対応できるため、顧客ニーズに対応しやすくなります。
個人事業主がPayPayを導入するときに必要な書類
個人事業主がPayPayを導入する際には、下記の書類が必要です。
必要書類 | 内容 |
---|---|
本人確認書類 | 以下いずれか1点
※住所確認書類はいずれか1点を提出
|
店舗写真 | 外観・内観の写真を各1点ずつ |
業種ごとに必要な書類 |
|
店舗写真が求められる理由は、実店舗の存在を確認することです。外観・内観を1枚ずつ撮影する必要があります。撮影の際は、提供サービスの内容がわかるようにしましょう。
上記の書類と合わせて、入金口座の金融機関名と、口座番号を提出してください。
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個人事業主がPayPayを導入する方法
PayPayの導入は、次の4ステップで完了します。
申込みフォームから仮登録する
PayPayを導入するには、公式サイト内の申込みフォームから仮登録を行う必要があります。申込みフォームに、次の情報を入力しましょう。
- 事業形態
- 業種
- 申込み者氏名
- 連絡先メールアドレス
- 連絡先電話番号
- キャンペーンコード(任意)
個人事業主がPayPayに申込む際は、事業形態の欄で「個人事業主」を選択します。また、すでにPayPay加盟店となっている店舗から「紹介コード」をもらえば、1,000円がもらえるキャンペーンも実施中です。
入力が終わったら、「申込む」から次に進みましょう。
申込み案内メールを受信する
仮登録が完了すると、入力したメールアドレスに「〇〇様 【申込みが完了していません】登録の続きはこちら」というタイトルのメールが届きます。メールを開き、記載されたリンクから、審査情報の入力に進みましょう。
メールの送信元は「@paypay-corp.co.jp」です。受信拒否設定をしている場合は、事前に受信を許可しましょう。
審査情報を入力する
メール内のリンクから、審査情報の入力ページに移動します。求められた審査情報を入力し、必要な書類をアップロードしましょう。
個人事業主の場合、次のうちいずれか一点の提出が必要です。
- 運転免許証
- 個人番号カード
- 日本国パスポート+住所確認書類
- 各種健康保険証+住所確認書類
- 在留カード・特別永住者証明書
上記の書類に加えて、必要書類が追加されるケースもあります。たとえば、日本国パスポートや各種健康保険証で審査に進む場合は、以下いずれか1点の住所確認書類が必要です。
- 公共料金領収書(電気・ガス・水道など)
- 住民票記載事項証明書
- 住民票写し
入力が終わったら、審査結果を待ちましょう。加盟店の審査には、通常1〜2週間かかります。
審査完了後、初期設定を行う
審査に通過すると、登録した住所にスタートガイドとキットが届きます。審査申込みから書類の到着までは、通常約1週間です。スタートガイドの指示に従って設定を行えば、店舗でPayPay決済を使えるようになります。
PayPay銀行の個人事業主口座の開設は必要?
PayPay加盟店の申請は、PayPay銀行の口座がなくても可能です。しかし、PayPay銀行の口座があれば、売上の入金タイミングが早くなります。
PayPayの売上は毎月末締めです。PayPay銀行以外の口座を登録すると、入金タイミングは締め日の翌々営業日になります。一方、PayPay銀行の口座を登録した場合、入金は締め日の翌日です。
売上がスピーディーに入金されるので、仕入や店舗家賃の支払いに遅れるようなリスクがなくなります。また、土日祝日に売上が受け取れるのも、PayPay銀行の利点です。
入金タイミング以外に、PayPay銀行には次のようなメリットがあります。
- 24時間365日振込・振込入金に対応
- 来店・担保・保証人不要でビジネスローンを組める
- VISA・デビット一体型のキャッシュカード
PayPay銀行は振込手数料が安価なうえ、24時間365日の振込が可能です。口座開設したばかりでも、最大1,000万円のビジネスローンが組めるため、融資先としても使えます。さらに、キャッシュカードはクレジットカード・デビットカード機能付きです。
店舗なしでもPayPayの審査に通過できる?
店舗がない場合も、PayPayの審査は通過できます。自宅でサービスを提供する場合や、イベントに出店する場合でも、PayPay決済は利用可能です。
PayPay加盟店に申請する際は、店舗の外観・内観の写真を撮影する必要があります。自宅・イベントでPayPay決済を利用する際は、次の対応をとりましょう。
営業場所 | 外観の撮影方法 |
---|---|
自宅 | 店舗名の書かれた看板等を用意し、玄関と一緒に撮影 |
イベント出店 | 店舗名の書かれた看板等を用意し、店舗全体を撮影 |
内観は、サービス業であれば、サービス内容がわかるように全景を撮影し、小売業であれば取り扱い商品がわかるように全景を撮影します。
開業届なしでもPayPayの審査に通過できる?
開業届がない状態でも、審査に通過できる可能性はあります。
店舗が開業前の状態など、特別な事情がある場合は、開業届なしでの申請も可能です。ただし、開店予定日が3ヶ月以上先の場合は、申請できません。
PayPayの加盟店申請フォーム内では、開業届の提出は求められませんでした。一方、事業を行っていることがわかる店舗外観・内観の写真提出は必須です。次の条件を満たすように、写真を撮影しましょう。
- 看板のような店舗名がわかるものを入れて、外観を撮影する
- 提供する商材・サービスの内容がわかるように内観を撮影する
- 事業内容の欄に、開業届を出していないことと説明を明記する
店舗外観の写真には、店舗名がわかるものと、入り口が映るようにしましょう。内観は、提供サービスの内容がわかるような写真が必要です。たとえば、飲食業ならテーブルとイス、美容院なら施術場所と受付が映るよう撮影してください。
また、申請の際は、開業届がない旨の申告が必要です。申請フォーム内から、「開業・営業有無」の項目にチェックを入れると、専用の情報入力欄が現れます。
確定申告の控えなしでもPayPayの審査に通過できる?
PayPay加盟店の申込みに、確定申告の控えは必要ありません。住宅ローンや自動車ローンのような申請を行う際は、収入証明として確定申告の控えを求められるケースがあります。しかし、PayPay加盟店の申込みは、確定申告の控えなしでも可能です。
PayPayを導入して顧客の決済ニーズに対応しよう
PayPay決済サービスは、個人事業主の店舗でも導入が可能です。キャッシュレス決済が普及した現在、店舗でPayPayを使えることは、集客の上で重要になります。他店に顧客が流れていくのを防ぎ、自店舗の魅力を伝える一助になるでしょう。
PayPayの導入に、初期費用はかかりません。必要な書類と店舗情報、店舗の写真を提出するだけで申込めます。また、PayPayマイストア機能により、広告費なしで店舗の宣伝も可能です。個人事業主の方は、ぜひ活用を検討してみましょう。
PayPayの取引の確定申告については以下の記事で解説しておりますので、あわせて確認してみてください。

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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