• 作成日 : 2021年10月8日

健康診断と確定申告|人間ドックの費用は医療費控除の対象?

健康管理のために、健康診断や人間ドックを自腹で受けている人もいるかと思います。通常、一定額以上の医療費負担があったときは、医療費控除として所得から控除を受けることができますが、健康診断や人間ドックも医療費控除の対象になるのでしょうか。

この記事では、健康診断や人間ドックと医療費控除の関係、医療費控除を認めてもらうために必要な確定申告の手続きまで解説していきます。

健康診断費用は医療費控除の対象外?経費にもならない?

会社員であれば、福利厚生の一環として、健康診断費用を会社が負担してくれるケースも多いかと思います。しかし、個人事業主やフリーランスは、会社員のような福利厚生は基本的にありませんので、自己負担で健康診断を受けなければなりません

働き続けるために健康維持は必要なのだから、医療費控除(※こちらについては次項で詳しく解説します。)の対象に含めたり、経費に計上したりできないかと考えている人も多いかと思います。

結論からいうと、個人事業主の健康診断の費用は、医療費控除の対象に含めることはできず、事業経費としても計上できません。健康診断は治療ではなく、あくまで予防のための費用であるため、医療費には該当しないからです。また、事業主本人だけでなく、従業員として働いている家族が健康診断を受けたときの費用も経費にはできません。例外として経費に算入できるのは、家族以外の従業員が健康診断を受診したときで、福利厚生の一環として事業主が費用を負担したときのみです。

人間ドックや胃カメラなどのオプション費用は?

健康診断の費用は医療費控除に含められないと説明しましたが、同じように人間ドックや、人間ドックのオプションである胃カメラや脳のMRIなども医療費控除に含めることはできません。いずれも予防医療であって、基本的には治療をともなうものではないためです。また、健康診断同様、事業主や家族の人間ドック費用も経費には計上できません。

【例外】健康診断や人間ドックが対象になるケース

健康診断や人間ドックを自己負担で行っても医療費控除の対象には算入できないと説明しましたが、例外も存在します。健康診断や人間ドックによって重大な病気が見つかった場合です。

健康診断や人間ドックで病気が見つかった後、治療を行った場合は、健康診断や人間ドックは先立って行われた診察と捉えることができます。そのため、健康診断などが病気の発見につながり、治療に至った場合に限り、負担した額を医療費控除の対象に含められます。

そもそも医療費控除とは?

ここまで、健康診断費用や人間ドックの費用は基本的に医療費控除の対象にはならないと説明してきましたが、そもそも医療費控除とは何でしょうか。

医療費控除は、各々の事情を鑑み所得から控除することが認められた所得控除の一種です。病院での治療費や処方薬の購入費など、医療費に関連する所得控除で、年間の実質的な負担額(医療保険などから補てんされた額を除く負担額)が一定の額を超えるときに適用できます。

医療費控除の対象や計算方法など、詳細は以下の記事で解説していますので、こちらもご覧ください。

セルフメディケーション税制

医療費控除には、特例として「セルフメディケーション税制」が設けられています。健康増進や疾病予防のために一定の取り組みを行っている人が、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品(スイッチOTC医薬品)を、年間一定額以上購入した場合に適用できます。従来の医療費控除とは選択適用になるため、両方の適用を受けることはできません。

セルフメディケーション税制を受けるために必要なのが、健康診断や人間ドックなどの一定の取り組みです。これらの診断費用は従来の医療費控除と同様、控除額には含められませんが、税制適用の要件となります。税制の適用を受けたい場合は、該当する一定の取り組みや取り組みに関連する必要書類も合わせて確認しておきましょう。

セルフメディケーション税制の詳細は以下の記事で解説していますので、こちらもご覧ください。

確定申告で医療費控除を受ける方法

医療費控除を受けるには、所得税の確定申告を行わなくてはなりません

確定申告時に必要な書類

確定申告に必要なのは以下の書類です。

・確定申告書B(またはA)第一表
・確定申告書B(またはA)第二表

確定申告書Bは、どの所得にも対応している書式です。確定申告書AはBの簡易版で、給与所得のある会社員など、特定の所得しかない場合に使用できます。医療費控除を受ける場合は、確定申告書の第一表の「所得から差し引かれる金額」の欄にある「医療費控除」の部分に控除対象になる金額を記入します。

なお、医療費控除を受ける場合は、確定申告書の提出だけでなく、以下の書類の添付も必要です。

・医療費控除の明細書

医療費控除の明細書は、確定申告書第一表に記載した金額の詳細を記載した書類です。対象年内に利用した病院や薬局などの支払先の名称、医療費の額、補てんされた額などの詳細を明記する必要があります。明細書の用紙は国税庁のホームページなどからダウンロードし、自分で領収書などを参考に記入しなければなりません。

【参考:医療費控除を受ける方へ|国税庁】

病院の領収書は必要?

以前の確定申告では、医療費控除の際に病院の領収書を添付する必要がありました。現在は、処理が簡略化され、領収書の代わりに「医療費控除の明細書」を提出するのみで医療費控除の申告が完了します。

しかし、必要ないからといって病院の領収書を捨てて良いわけではありません。税務署からの確認の際に必要になる可能性もありますので、少なくとも過去5年間の領収書は手元に保管しておきましょう。

確定申告の前に医療費控除が可能か確認しましょう

健康診断や人間ドックの費用は、基本的に医療費控除の対象にはできません。しかし健康診断をきっかけに病気が見つかり治療をはじめた場合は、医療費控除の対象に含められます。ただし、医療費控除は、年間に支払った医療費が一定額を超えないと適用できませんので、年末まで医療費関連の領収書は保管しておき、内容や金額を見た上で、医療費控除が可能かどうかを確認しましょう。

よくある質問

健康診断は医療費控除の対象になる?

基本的に健康診断のような予防医療に関する費用は医療費控除の対象になりませんが、診断により病気が見つかり治療を行った場合に限り医療費控除の対象に含めることができます。 詳しくはこちらをご覧ください。

医療費控除を受けるには?

個人事業主でも会社員でも、医療費控除を受けるには確定申告を行い、決められた書類の提出が必要です。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。