震災特例法のポイント

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平成23年3月11日、我が国は震災により甚大な被害がもたらされました。あまりにも悲劇的な東日本大震災の実情に対し、同年4月27日に東日本大震災の被災者等による負担の軽減を図るため、急遽、所得税法その他の国税関係法律の特例を定めた「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」が制定され、公布・施行されました。これを「震災特例法」と呼びます。

なお、「東日本大震災」とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震およびこれに伴う原子力発電所の事故による災害を指します。

今回は、震災特例法のポイントについて解説します。

所得税の控除について

震災特例法により、震災の被害を受けた場合、所得税の控除に特例が認められます。

雑損控除の特例及び災害減免法による所得税減免の特例

大震災により住宅や家財などに損害を受けた方は、(1)損害金額に基づき計算した金額を所得から控除する方法(雑損控除)、(2)「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法で、所得税の軽減又は免除を受けることができます。
適用する年は、平成22年分又は平成23年分のいずれか有利な年分を選択することができます。

純損失の繰越控除の特例

事業用資産の震災損失を有する方の平成23年において生じた純損失の金額のうち、一定の要件を満たした場合は、5年間繰り越すことができます。

住宅借入金等特別控除の特例

大震災で住宅が倒壊したり、所在がわからなくなったりして、住めなくなった場合でも、残りの適用期間は引き続き、住宅借入金等特別控除を受けることができます。

そのほか所得税に関する措置

震災特例法により、申告や納付の期限、源泉所得税の猶予や還付を受けることができます。

申告・納付等期限延長

所得税関係について、申告・納付等を期限までにできない方は、地域指定によって、もしくは個別に申請を行うことで期限が延長されます。延長される地域として指定されているのは青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県です。

源泉所得税の徴収猶予・還付

大震災によって住宅もしくは家財などに被害が及び、「雑損控除の特例」の適用を受けようとする方、または住宅や家財の50%以上が被害を受けて、かつ平成 23 年分の所得金額が 1,000 万円以下の方は、申請により、平成 23 年中に受ける給与や年金について、源泉所得税の徴収猶予や既に徴収された分の還付を受けることができます。

ただし、平成 22 年分の雑損控除の適用を受けた方で翌年以降に繰り越される雑損失がない場合、または平成 22 年分の災害減免法によって所得税の軽減措置を受けた場合は、源泉所得税の徴収猶予や還付は受けられません。

自動車重量税について

震災特例法により、東日本大震災によって、滅失したり、壊れたりし、廃車にした車については、すでに納付している自動車重量税のうち、車検残存期間に応じた金額が所有者に還付されます。

財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等の非課税

震災特例法により、大震災での被害によって、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に勤労者財産形成住宅貯蓄または勤労者財産形成年金貯蓄の払出しを受ける方は、これらの貯蓄の利子等については課税されません。

ただし、税務署への申請が必要です。また、この措置が始まる前に払出しを行った場合でも、徴収された所得税の還付を受けることができます。これも還付請求が必要です。なお、使用目的は住宅取得以外でもかまいません。

納税の猶予

震災特例法により、大震災によって、財産に多大な損失を受けた方や国税の納付が困難な方については、納税の猶予が可能です。猶予を希望する場合は、税務署に「納税の猶予申請書」を提出して承認を受けなければなりません。

この納税の猶予期間は、損失を受けた日に納期限がきていない場合、損失を受けた日以降1年以内に納税すべき分については、納期限より1年以内の猶予期間があります。すでに納期限が過ぎている場合は、原則として1年以内です。

予定納税額の減額

震災特例法により、予定納税額を通知された方で、大震災によって事業用資産や住宅家財などに損害を受け、平成23年6月30日の現況で計算した申告納税見積額が、予定納税基準額に満たないと見込まれる場合は、予定納税額の減額を申請できます。

まとめ

平成23年3月11日の東日本を襲った大震災とそれに伴った原子力発電所の事故により、甚大な被害が生じました。多くの人びとの生活基盤を破壊したばかりでなく、地域活動を揺るがす事態となりました。

こうした中、被害に遭われた方々の生活を少しでも安定させるために施行されたのが「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」いわゆる震災特例法です。所得税控除のほか、さまざまな税控除の処置がとられています。手続き、申請が必要なものもありますので、税務署、自治体などで確認をし、手続きをしましょう。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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