- 更新日 : 2025年3月7日
個人事業主のセラピストは保険に加入すべき?リスクや選ぶポイントも解説
セラピストが個人事業主として独立して働く場合、考慮しなければならないのが自宅サロンや業務委託先、出張先でのトラブル対応です。内容によっては、損害賠償を請求されるおそれもあります。個人事業主のセラピスト向けに、考え得るリスクや適切に対処するための損害賠償保険について解説します。
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目次
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個人事業主のセラピストは保険に加入すべき?
個人事業主のセラピストの働き方として、自宅サロンや自宅以外の場所にサロンを開業する方法、業務委託でセラピストとして仕事をする方法があります。それぞれの働き方において、セラピストが損害保険に加入すべきかどうかを解説します。
自宅サロンを開業しているセラピストの場合
自宅サロンで開業するセラピストの場合、仕事の責任はすべてセラピスト個人に降りかかります。自宅サロンで発生したトラブルは、セラピストが責任をもって対処しなければなりません。セラピストである個人事業主に全責任があるため、損害保険に加入した方がよいでしょう。
業務委託で働くセラピストの場合
業務委託によりセラピストとして働く場合、契約先のサロンで施術することになります。トラブルが発生した場合、サロン側に対して責任の追及が行く可能性もありますが、問題を起こしたセラピスト個人をサロン側が守る義務はありません。業務委託契約を締結している以上、個人事業主であるセラピストにも責任があるため、損害保険に加入していた方が対処しやすいでしょう。
個人事業主のセラピストに起こりうるリスク
個人事業主としてセラピストが独立する際に、特に意識しておかなければならないリスクを紹介します。
施術中のミスやトラブル
まず、セラピストによる施術中に起こりやすいトラブルとして、顧客にケガを負わせてしまうことです。直接身体に触れてもみほぐしなどの施術を行う場合、無理に身体を動かすことで捻挫などのケガを負わせる可能性があります。また、美容機器を使用して施術を行う場合、機器の使い方を誤ると、やけどなどを負わせてしまうリスクもあります。
店舗販売の商品によるトラブル
サロンで販売している商品がトラブルの原因になることもあります。例えば、美容関連の製品であれば、顧客の体質に合わず肌荒れなどのトラブルを引き起こす可能性があります。サプリメントなどの健康食品関連にも注意が必要です。成分によってはアレルギー症状を引き起こすこともあります。特に自宅サロンを開業する場合は、注意が必要なリスクです。
預かり品の盗難や紛失
サロンを自分で開業する場合には、盗難リスクにも注意が必要です。誰でも出入りしやすいロッカールームで盗難や紛失のトラブルが発生したり、顧客同士の利用状況で汚損などのトラブルが発生したりする可能性もあります。
火災による設備や機器の破損
エステサロンでは、スチーマーが火元となって火災が発生した事例もあります。サロンで高温になる機器を使用したり、キャンドルなどで火を使用したりする場合には、火災による設備や機器の破損・焼失リスクについても考えておかなければなりません。火災が生じても周辺に燃えやすいものがなければ被害は最小限に抑えられますが、燃えやすいものが近くにあると瞬く間に被害が拡大してしまいます。
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個人事業主のセラピスト向けに保険を提供している団体
個人事業主のセラピストを取り巻くあらゆるリスクを想定して、損害賠償を請求されたときに対処できる損害保険に加入しておくことが必要です。個人事業主のセラピストが加入できる保険を提供している主な団体を紹介します。
手技セラピスト協会
手技セラピスト協会は、タイ古式や足つぼ、リフレクソロジー、リンパマッサージ、アロマテラピーなど、協会の認定する手技行為を行うセラピスト事業者や関係業界関連者が加入できる組織です。
エステサロンでのリスクをカバーする「手技セラピスト補償制度」を会員向けに提供しています。会員になることで自動付帯される補償制度で、施設での事故やリラクゼーション業務中の事故、販売する化粧品に起因する事故、預かり品の事故などをカバーします。免責金額3万円で、対物であれば1事故につき1,000万円、対人であれば1事故1名につき5,000万円を上限に補償される制度です。
参考:手技セラピスト協会
手技治療家協会
国家資格をもたない手技治療家の補償サービスを提供している協会です。以下のように、6つの補償項目が設けられており、多様なリスクをカバーできるようになっています。
概要 | 保障内容 | |
---|---|---|
手技セラピスト 業務補償 | 施術中のケガなどを補償 | 対物最大1,000万円 対人最大5,000万円 免責金額3万円 |
施設所有者賠償 | サロンの建物に起因する漏水などのトラブルによる賠償を補償 | 対物最大1,000万円 対人最大5,000万円 免責金額3万円 |
人格権侵害補償 | 名誉棄損やプライバシー侵害での損害を補償 | 対人50万円 (1保険期間中の限度額1,000万円) 免責金額3万円 |
施設治療費用補償 | 過失に関わらず施設内でケガをした顧客に対する補償 | 対人1事故あたり300万円・1人あたり30万円 免責金額3万円 |
生産物賠償 | サロンで販売する商品に起因するトラブルを補償 | 対物最大1,000万円 対人最大5,000万円 免責金額3万円 |
受託者賠償 | 預かり品に関する事故を補償 | 対物最大100万円 免責金額3万円 |
参考:手技治療家協会のご案内
日本治療協会
日本治療協会は、接骨院・針灸院、あん摩マッサージ指圧師による訪問医療マッサージ、リラクゼーション・エステ、カイロプラクティックを提供する施術家向けの組織です。賠償責任補償とクレーム対応相談の支援を行っています。
賠償責任保険に加入できるのは日本国内で施術を行う国家資格者または民間資格者の個人です。手技に関する損害賠償と施設に関する損害賠償に対応しており、会員の種別により賠償金額の上限が異なります。
会員種別 | 保障内容 | |
---|---|---|
手技に起因する賠償 | 正会員 | 対人最大1億円 対物最大500万円 免責金額1万円(正会員Bは3万円) |
準会員 | 対人最大2,000万円 対物最大100万円 免責金額1万円 | |
施設に起因する賠償 | 正会員 | 対人最大1億円 対物最大1,000万円 免責金額1万円(正会員Bは3万円) |
準会員 | 対人最大2,000万円 対物最大200万円 免責金額1万円 |
日本アロマ環境協会
AEAJ(日本アロマ環境協会)は、アロマテラピーに関心のある個人や法人であれば誰でも入会できる団体です。会員特典として、施設や書籍の割引や会員限定イベントへの参加、認定スクール制度などが設けられています。賠償責任保険である「アロマテラピー保険」も個人正会員限定で利用できる会員特典のひとつです。
施設の賠償責任、施術に関する賠償責任、預かり品の賠償責任、店舗で販売する商品の賠償責任、人格権侵害の賠償責任について対応しています。サロンでアロマを取り扱うセラピスト向けの賠償責任保険です。
個人事業主のセラピストが保険を選ぶときのポイント
個人事業主のセラピストが加入する賠償責任保険を選定する際に、見ておきたいポイントを紹介します。
働き方や業態に合った補償内容か
個人事業主のセラピストが賠償責任保険の加入を検討する際は、補償内容を十分に確認しましょう。例えば、業務委託のセラピストの場合、施設についての責任は基本的に負わないため、施設に起因する損害賠償が必要ない補償となります。働き方などに照らし合わせて必要な補償が含まれているかを確認しましょう。
出張での施術も補償対象になるか
個人事業主のセラピストは、特定の施設以外で施術を行うこともあります。賠償責任保険を選ぶ際は、業務中の対象となる範囲も確認しておきましょう。例えば、日本国内であれば補償対象になるなど、出張にも対応している保険だと安心です。
口コミ・評判は問題ないか
個人事業主のセラピスト向けの賠償責任保険には、類似する補償内容のものもあります。選定する際は、口コミや評判なども確認しておくとよいでしょう。これまでの支給実績が確認できる場合は、どのようなケースでどのくらいの支払いがあったかを参考にできます。
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個人事業主のセラピストは保険料を経費に計上できる
個人事業主のセラピストが、施術のリスクや施設に起因するリスクなどに備えて加入する損害保険は、事業を行うために必要なものと考えられます。したがって、対象となる保険について保険料を支払った場合、経費計上できます。
保険金を受け取ったときの確定申告はどうなる?
損害賠償保険の保険金については、個人事業主のセラピストの事業に関係するものであれば、事業所得の対象になります。そのため、損害賠償保険で受け取った保険金については「雑収入」として収入に計上し、損害賠償金として支払った金額については「雑損失」として必要経費に計上して確定申告を行います。
確定申告については以下の記事でくわしく解説しています。合わせて参考にしてください。
個人事業主のセラピストはリスク対応が重要
個人事業主のセラピストの働き方として、自分でサロンを経営する方法と業務委託によりサロンで働く方法が考えられます。いずれの方法でもリスクとして考慮しておかなければならないのが、施術中のトラブルや預かり物の盗難・紛失などのトラブルです。個人事業主がトラブルの当事者となったとき、損害賠償責任に対応するものとしてセラピスト向けの損害賠償保険が存在します。リスク対策として加入を検討しましょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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