- 更新日 : 2025年7月7日
個人事業主でも職務経歴書が必要?使いどころや書き方を解説
個人事業主として働いていると、普段は職務経歴書にあまり関わらないかもしれません。しかし業務委託契約や転職活動、副業先への応募など、さまざまな場面で職務経歴書の提出を求められることがあります。
本記事では、個人事業主の職務経歴書について、基本的な考え方から書き方のポイント、注意点を解説します。
目次
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個人事業主と職務経歴書の基本
職務経歴書は、これまでに経験してきた仕事の内容や実績、身につけたスキルを自由な形式でまとめた書類です。転職活動の際、履歴書とあわせて提出されるのが一般的で、履歴書が基本情報を伝えるのに対し、職務経歴書は職歴の詳細を伝える役割を担います。
個人事業主としての経歴も、会社勤務と同じように職歴として扱われます。そのため、企業との業務委託契約や就職活動などの場面では、職務経歴書を使って自分のキャリアを説明することが求められます。なお、書類上では事業の形態等を勘案して正しく記載するのが一般的です。フリーランスは働き方を指し、個人事業主は税務上の区分であるため、職務経歴書では後者が使われる傾向があります。
フリーランスの場合、日頃は職務経歴書を作成する機会が少ないかもしれませんが、取引先や雇用先から提出を求められることもあります。そのような状況に備え、内容を整理しておくことが大切です。
個人事業主が職務経歴書を求められるケース
個人事業主として活動していると、職務経歴書を提出するよう求められるケースがいくつかあります。ここでは個人事業主を含めフリーランス経験者がどのような場面で職務経歴書が必要になるかを確認しましょう。
取引先から提出を求められる
フリーランスとして業務を行う中で、クライアント(取引先)から職務経歴書の提出を求められることがあります。特に相手が大企業や官公庁などの場合、発注側の社内手続きとして職務経歴書や履歴書の提出が必要になるケースがあります。中長期のプロジェクト契約では正社員の採用時と同様に、経歴書類の提出を求められることが少なくありません。企業によっては特定のフォーマットを指定される場合もあります。こうした場面に備えて、フリーランスであっても自分の職歴をまとめた職務経歴書を用意しておくと安心です。
フリーランスから就職・転職する
フリーランスを辞めて企業に就職・転職する場合(正社員や契約社員、アルバイトなど形態を問わず)、応募書類として職務経歴書が必要になります。自営業で培った経験をアピールしつつ、組織に雇用される立場への転身理由も問われる場面です。特に長年フリーランスだった方が再就職を目指す際には、後述するように職務経歴書の作り込みが選考通過のポイントになります。フリーランス経験を強みとして伝えられるよう、職務経歴書を整えておきましょう。
副業として会社勤めをする場合
フリーランスとしての仕事を続けながら、副業で会社勤め(雇用)をする場合にも職務経歴書が必要となることがあります。例えば、フリーのカメラマンが空いた時間にスタジオ勤務の仕事(雇用契約)を始める場合などが該当します。このように主業が個人事業でも、副業先から履歴書・職務経歴書の提出を求められるケースがあるため、状況に応じて準備しておくと良いでしょう。
個人事業主の職務経歴書の書き方
個人事業主としての経歴を職務経歴書にまとめる際は、会社員の場合とは異なる記載の工夫が必要です。ここでは自営業の職歴を書くときのポイントを解説します。
開業から廃業までの基本的な書き方
まず、フリーランスとして活動を始めた時期や終了した時期の書き方です。開業届を提出して正式に個人事業主となった場合は、その開業日を職務経歴書の職歴欄に明記します。例えば「平成○年○月 ○○(屋号)を開業、個人事業主として活動開始」といった具合です。記入例として、「平成29年5月 ○○(屋号:記載不要なら省略) 個人事業主として開業」のように書くことができます。また廃業した場合は、その日付とともに「廃業」と記載します。例として「令和○年○月 一身上の都合により廃業」といった書き方です。
一方、開業届を提出せずに個人事業主の活動をした場合は、「開業」「廃業」という言葉は使わず「活動を開始」「活動を停止」といった表現を用いるのが一般的です。例えば「平成○年○月 個人事業主として活動を開始」「令和○年○月 一身上の都合により活動を停止」と記載します。いずれの場合も、履歴書の職歴欄には簡潔にこれらを記載し、詳細は職務経歴書に記述する流れになります。
記載内容とポイント
職務経歴書本体には、個人事業主としてどのような事業内容・実績があるのかを具体的に記載します。まず、開業時に設定した屋号(ビジネスネーム)があればそれも書き添え、事業の概要(業種や提供サービス)を説明しましょう。次に、主要なプロジェクトや取引先、担当業務と成果を年代順または項目別に整理して記載します。例えば「○年○月〜○年○月 ◯◯株式会社から○○業務を受託(請負)し、◯◯の業務に従事」など、関与した案件ごとに役割と成果を書き出します。可能であれば取引先企業名や業界名、案件の規模も示すと、採用担当者に経歴のイメージが伝わりやすくなります。
実績・成果については、できるだけ具体的な数字を用いて定量的に伝えることが重要です。単に「売上を伸ばした」ではなく「売上を○%向上させた」「顧客を△社獲得した」といったように数値で示すと、あなたの成果が裏付けをもって伝わります。このように業務内容・成果・スキルを具体的に盛り込み、自営業で得た経験を余すところなくアピールしましょう。もし職歴の中で携わった分野が多岐にわたる場合は、「職務要約」を冒頭に設けて全体像をまとめ、その後に詳細な職務経歴を記載する形式にすると読みやすくなります。デザイナーやエンジニアなど専門職の場合、職務経歴書と合わせてポートフォリオ(制作物や成果物の事例集)を用意し、実績の裏付け資料として提示すると効果的です。
なお、自営業期間中に空白の期間(案件が無かった期間)があった場合でも、職歴詐称を避けるために活動期間は正直に記載しましょう。例えば「〇〇年〇月〜〇〇年〇月 プロジェクト準備期間」などと補足しつつ記載すれば不自然さは和らぎます。また、家族の事業を手伝っていたケースなども「家業手伝い(◯◯業に従事)」といった形で職歴に含めることができます。重要なのは、自身のキャリアの一貫性とアピールポイントを示しつつ、虚偽なく経歴を書くことです。
採用担当者が見る個人事業主の職務経歴書のポイント
企業の採用担当者が個人事業主出身の応募者の職務経歴書を見る際、注目するポイントがあります。ここでは自営業経験者が経歴書でアピールすべき点と、採用側が懸念しがちな点への対策を解説します。
即戦力になるスキルを備えているか
まず重視されるのは、その人が即戦力になり得るかどうかです。フリーランスとして培った専門スキルや知識、実績は、企業側にとっては「どれだけ自社業務に貢献できる人材か」を測る材料になります。職務経歴書では、これまで手掛けたプロジェクトの成果や具体的な業務内容をしっかり書き、応募先企業の求めるスキルにマッチする部分を強調しましょう。たとえば「●●の開発プロジェクトをリーダーとして完遂し、納期短縮を実現」「年間△△万円の売上を自身の営業活動で達成」など、具体例と実績数字を交えて自己PRすることが効果的です。経営者視点や問題解決能力、営業力など、個人事業主として働く中で身につけたスキルも十分にアピールポイントになります。
組織で活躍できる協調性があるか
次に、協調性やコミュニケーション能力も採用担当者が注目するポイントです。フリーランスは「一匹狼」のイメージを持たれがちで、組織で働く際に報告・連絡・相談(ホウレンソウ)ができるのか、チームに馴染めるのかと不安視される場合があります。そこで職務経歴書では、チームで協働した経験やクライアント・協力会社との連携経験などがあれば積極的に記載しましょう。例えば「〇〇開発プロジェクトにチーム○人で参画し、自身は△△を担当」「複数のステークホルダーと調整しプロジェクトを推進」といった実体験です。個人事業主としての自己管理能力に加え、他者と協働して成果を出した経験を示すことで、組織人としての適応力もアピールできます。また、確定申告や帳簿管理などフリーランスならではの自己完結的な業務経験は、裏を返せば真面目さや責任感の証明にもなります。それらを経歴書上で触れておくのも良いでしょう。
志望動機が前向きか
さらに重要なのが、なぜフリーランスから雇用される道(再就職)を選ぶのかという志望動機です。採用担当者は職務経歴書や面接を通じて、「この人はどういう目的で当社に入りたいのか」を必ず確認します。ここでネガティブな理由(例えば「収入が不安定で将来が不安になった」等)ばかりが伝わってしまうとマイナス印象となりかねません。そうならないために、前向きで建設的な志望理由を用意しましょう。「更なるスキルアップの場を求めている」「専門分野の幅を広げ、チームで大きな案件に取り組みたい」といったように、ポジティブな動機を職務経歴書の職務要約や別途提出する志望動機書で明確に伝えることが大切です。フリーランスの経験で培ったものを踏まえつつ、新たな環境で貢献したいという熱意を示せれば、採用側の不安を和らげることができます。
個人事業主を取り巻く最新動向と職務経歴書への影響
最後に、個人事業主を取り巻く最新の動向について触れておきます。近年、日本ではフリーランス人口が増加傾向にあります。総務省の令和4年就業構造基本調査によれば、国内のフリーランス人口規模は約209万人にも上り年々増加しています。さらに2023年5月にはフリーランスの働き方を保護するための新しい法律(いわゆるフリーランス新法)が公布されるなど、国もフリーランスという働き方に注目し始めています。こうした背景から、個人事業主としてのキャリアは珍しいものではなくなりつつあると言えるでしょう。
一方で、「フリーランス経験者が増えすぎている」という懸念は現状では当てはまりません。例えばIT業界では人材不足もあって、フリーランス人材に対して企業から積極的にオファーが届く状況です。このように企業側もフリーランスのスキルや即戦力性に期待を寄せており、うまく能力を示せれば十分採用のチャンスがあります。むしろフリーランス経験者ならではの豊富な知見や実績は、大きな強みとなるでしょう。
ただし、転職市場においては個人事業主経験者が自分の強みを伝えきれずに書類選考で苦戦するケースもあります。年齢が上がるほど再就職のハードルも高くなりがちなため(特に30代後半以降)、他の応募者以上に入念に職務経歴書を作り込み、自身の価値を示す必要があるという指摘もあります。幸い、本記事で述べたようにポイントを押さえて準備すれば、職務経歴書で十分に挽回可能と考えられます。最新の動向としてはオンライン上での職務経歴の公開やビジネスSNS(LinkedInなど)で経歴を発信する人も増えています。必要に応じてそうした媒体も活用しつつ、自身のキャリアを多角的にアピールできると良いでしょう。
個人事業主こそ職務経歴書でキャリアを整理しよう
個人事業主としての経験は、経営感覚や専門スキルなど多くの強みを備えています。それを活かすために、職務経歴書では経歴の正確さと具体的なアピールを両立させることが大切です。開業・活動期間や業務内容を正直に示しつつ、成果やスキルを数字や具体例で裏付けて記載しましょう。そうすることで、自身のフリーランス経験が採用担当者にも明確に伝わり、次のステップへの大きな武器になります。
個人事業主からの転職では、応募先に「なぜ雇用される道を選ぶのか」を理解してもらうことも重要です。ポジティブな動機とともに、フリーランス時代の強みを新しい職場でどう活かすかを職務経歴書や面接で語れるよう準備しておきましょう。自分の歩んできた道のりを一つのストーリーとしてまとめる気持ちで取り組めば、職務経歴書があなたのキャリアの説得力ある証明書となります。
社会的にもフリーランス・個人事業主の経験者への理解が進みつつあります。適切に自己PRした職務経歴書は、きっとあなたの強い味方になるはずです。ぜひ本記事のポイントを参考に、納得のいく職務経歴書を作成してみてください。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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