春風亭昇太さんも!落語家の結婚、昇進、襲名…ご祝儀は課税対象になる?

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春風亭昇太さんがご結婚されました。お相手は、14年前に知り合った40歳の一般の方だそうです。めでたいですね。

結婚といえば、ご祝儀が気になります。個人からお金やモノをもらうと、贈与税の対象となります。控除が年間110万円あるので、それを超えて財産をもらった人は贈与税の確定申告が必要です。所得税の確定申告の時期に贈与税の申告を行います。

では、結婚のご祝儀を110万円超もらうと、贈与税の確定申告をしなければならないのでしょうか?(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)

贈与税のかからない財産

実は、すべての財産贈与に贈与税がかかるわけではありません。国税庁のホームページには、次のとおり贈与税がかからない財産が掲げられています。

個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

つまり、結婚のお祝いで社会通念上相当な金額であれば、贈与税がかかりません。ただ、法人からもらった場合は、贈与ではなく一時所得として扱われますので注意が必要です。

社会通念上相当な金額とはいくらなのか。これは永遠の課題です。一概に○○円とはいえません。時代背景、社会的地位、慣習などを総合的に鑑みて判断されることとなります。

昇進や襲名に伴うご祝儀

また、春風亭昇太さんのように落語家の方であれば、昇進や襲名に際してもご祝儀をもらうことがあります。ぼくはお笑い芸人なので、そのようなご祝儀とは無縁ですが、伝統的な芸事では、そのような慣習は一般的でしょう。

これに関する税金の取扱いには留意しなければいけません。昔、襲名披露でいただいたご祝儀を申告せず、税務調査で申告漏れを指摘された落語家の方がいました。自宅の地下に、空になった祝儀袋が保管してあり、そこに金額が記載されていたため、容易に所得を把握されたようです。すぐに修正申告に応じ、納税は済ませ、調査は終了しました。

誤解しないでいただきたいのは、これはいわゆる「脱税」ではありません。脱税というのは、国税局査察部の調査があり、告発されて認定されます。一般的な税務調査で見つかったミスや売上除外は、脱税には当たりません。あくまで「申告漏れ」となります。

日常生活で、税金を納めないことを「脱税」というのは問題ありませんが、報道ではそのように言われることはありません。ただ、ネットニュースやテレビのコメンテーターの発言では安易な「脱税」が散見されます。可能であれば、正しい認識を持って、発言していただきたいですね。

お祝いごとに伴う支払いは経費となるか

さて、昇進や襲名に伴うお祝いは、結婚のお祝いとは考え方が異なります。仕事に関する収入なので、扱いとしては売上に近い。落語家の方が個人事業者であれば事業所得、法人であれば法人の所得となると考えられます。

また、昇進や襲名披露では、三点セット「挨拶文、扇子、手ぬぐい」を配るとされています。お仕事に関するものですので、これらにかかった費用は、経費として損金算入します。仮に、お祝いごとに際して配る三点セットは経費にしているのに、そのお祝いでもらったお金は収入として計上しないのでは筋が通りません。どちらも計上するのが、正しい処理といえます。

これらは、落語家の方に限った話ではありません。歌舞伎役者の方や華道、茶道といった伝統的な技術に関する職業の方も、そのような慣習があれば、同様の処理をすることとなります。昇進や襲名に当たっては、パーティーを開くこともあるそうです。パーティーを自分で開いて参加費を徴収すれば、それはやはりお仕事に関することなので、事業所得や法人の所得となります。

それにかかった費用も、やはり経費となります。会場の利用料や飲食代、飾り付けの費用、スタッフの人件費などの支払いがあれば、証拠書類を保存して、申告に備えます。

最後に

「ご祝儀」と一口にいっても、内容によって取扱いは大きくことなります。もし、あなたがご祝儀をもらったら、それはどのような地位にもとづいて、どのような行事に際して、誰からもらったものなのかを考え、判断することとなります。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:さんきゅう倉田(元国税職員/芸人)

大学卒業後、東京国税局を経て、よしもとクリエイティブ・エージェンシーで芸人に転身。将来の夢「天下り」、好きな領収証「コクヨ」、無人島に一つ持っていくとしたら「振替伝票」。著書に『読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『笑う数学』(KADOKAWA)がある。
Twitter:https://twitter.com/thankyoukurata
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