「悪い個人事業主」に告ぐ、こんな確定申告は税務調査を覚悟せよ!

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確定申告の時期になると、楽屋やツイッター上でみなさんの申告状況を知ることができます。直接聞くと税務相談を持ちかけられそうですし、税理士以外の税務相談は税理士法で禁止されていますので、基本は盗み聞きです。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)

いい加減な申告は税務調査の的に

毎年盗み聞きしていますが、一部のタレントチームのいい加減さには辟易しています。彼らの税のリテラシーは、死海の海抜より低いです。タレントチームの中でも、売れていない、稼いでいない、やる気のない人たちはさらに適当な申告をしている傾向にあります。これはタレントだけに限りません。役者、バンドマン、アイドル、モデルでも同じことが言えます。

最近では、芸人チームの申告内容は改善されている傾向にありそうです。それは、芸人チームが特に「お金に敏感」であることと、ぼくがツイッターで多くの税金の情報を流していることに由来しています(悲しいことですが、ぼくの影響が全くない可能性も0ではない)。

ただ、芸人チームのリテラシーが上がっているとはいえ、毎年新しい芸人さんがデビューしていますし、ぼくの情報が届かない芸人さんもいますし、情報を手に入れることを放棄している芸人さんもいます。

税理士さんに相談できなかったり、知識のある人から情報をもらえなかったりすると、一人での申告はなかなか過酷になるでしょう。でも、「税金が還付になるらしいよ」などと曖昧模糊な情報だけは入ってくるので、いい加減な申告をして、3週間後には還付金を受け取ることができる。それは計画的な場合もありますし、よく知らずに良くない申告になっている場合もあるでしょう。どちらの場合も、税務調査の危険をはらんでいます。

あなたは大丈夫? 「悪い個人事業者」の申告例

納税額を減らすために申告内容をちょろまかそうとしている人は、周囲の個人事業者に聞いて、「これくらいの収入なら、これくらい納税しとけばいいだろう」と高を括って、適当に申告していることがあります。一部の個人事業者は、ぼくが元国税局職員だと知ると「大丈夫だよね?」などと平気で聞いてきます。

もちろん、何も答えませんし、たとえぼくが税理士だったとしても答えませんし、そもそも大丈夫かどうかなんて知りません。初対面のぼくに、自分の不正を平然と言ってのける思考には、恐怖すら感じます。

そういう人がどんな申告をしているのかは、容易に想像できます。おそらく、日々の支払いの領収証は保管しているのでしょう。ただ、それだけだと売上に比して、経費が20%から30%くらいになる。

こりゃいかんということで、まずは仕事に関係ない支払いも経費にしてしまう。友達と飲んだときの支払いとか旅行の代金とか、そんなところでしょう。

それでも足りなかったので、自宅で仕事をすることはないけれど、家賃の何割かを経費にしてしまう。しかし、それでも納税額が大きい。

どうしよう。ええい、どうせバレまい。領収証があることにして、経費を増やしてしまおう

こんな風に考えて実行するのではないでしょうか。それは節税とは言いません。れっきとした「不正」です。3月15日までなら、後から行った確定申告が問題なく有効となりますので、いまからでも遅くありません。自分も同じだ、と思った方は改めて申告しましょう。

その無申告もバレているかも

また、会社員の方で、「インターネットを使ったなんらかの取引をしているのに、確定申告をしていない」という話もよく聞きます。やはり「どうせバレないだろう」と考えているのでしょうか。知り合いの税理士さんは「むしろインターネット取引は簡単にバレる」と言っていました。

インターネット取引なら、税務署職員がわざわざ調査に出向かなくとも、スマホで簡単に情報を得ることができます。どこに照会すればいいかも明確です。本名や住所を手に入れるのも容易です。

税務署職員が情報照会したときに、売上も分かるかもしれません。すると、実際に調査をしたときにどのくらい増減差額が出るかも推定できます。税務署職員にとって大きな“増差”を見つけることは手柄ですから、こんな楽なことはありません。無申告であれば、積極的に調査にやってくるのではないでしょうか。

個人事業主の場合、税務調査に遭う確率は決して高くありません。だから、正しくない申告であると分かれば、その確率は大きく上がることになります。

不正にはリスクがあるのです。犯罪者でもないのに、脅えて暮らすなんてバカバカしくないですか。良心に則って申告することをお勧めします。

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■2019年2月6日掲載:
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■2019年1月16日掲載:
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■2019年1月10日掲載:
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■2018年11月19日掲載:
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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:さんきゅう倉田(元国税職員/芸人)

大学卒業後、東京国税局を経て、よしもとクリエイティブ・エージェンシーで芸人に転身。将来の夢「天下り」、好きな領収証「コクヨ」、無人島に一つ持っていくとしたら「振替伝票」。著書に『読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『笑う数学』(KADOKAWA)がある。
Twitter:https://twitter.com/thankyoukurata
HP  :http://www.thankyoukurata.com/



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