• 更新日 : 2022年6月8日

請求書の管理方法は?エクセルの課題やおすすめのシステムも解説!

請求書の管理方法は?エクセルの課題やおすすめのシステムも解説!

日々の経理業務で扱うことの多い請求書ですが、上手に管理する方法をご存じでしょうか?法律では、原則として個人で5年間、法人で7年間、請求書を保管することとされており、その間の請求書だけでも膨大な量になります。

この記事では、多くの請求書をまとめるためのファイルのしかたやエクセルで管理する際の注意点など、請求書の上手な管理方法について説明します。また、請求書管理システムの導入によって、どのような効果があるかについても解説します。

請求書には、「得意先に送る請求書」と「仕入先からもらう請求書」の2種類があります。まずは、2つを分けることが重要であるため、この2種類それぞれに適した管理方法を紹介します。

請求書の管理はなぜ必要?

請求書は、個人事業主や法人が備え付けるべきとされる会計書類の1つです。
会計において、帳簿とは、仕訳帳総勘定元帳などのいわゆる会計帳簿のことをいいます。
そして書類とは、会計帳簿を元に作成した貸借対照表損益計算書などの他、取引の証拠となる注文書、注文請書、契約書、請求書、領収書などのことです。そしてそれぞれの法律により保存することが義務付けられています。

例えば、青色申告法人の場合には法人税法第126条に次の規定があります。

第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。

引用:第百二十六条(青色申告法人の帳簿書類)|e-Govポータル

確定申告等により税務署に提出するのは決算書や申告書であり、それらの根拠となる書類はそれぞれの会社で期限まで保存しておく必要があります。なかでも請求書は、頻繁に発生する書類の1つとして重要な位置にあります。

また、請求書について、令和5年10月から開始予定の消費税のインボイス制度とも密接な関係がありますので、受領する請求書の保管だけでなく、発行する請求書の控えについても管理するようにしましょう。

請求書の保存期間は?

個人、法人などの区分によって、それぞれ請求書の保存期間に違いがありますので、注意しましょう。
ここでは請求書の保存期間について、個人・法人の場合に分けて説明します。

【法人の場合】

原則として、事業年度における法人税の確定申告期限の翌日から7年間保存する必要があります。
ただし、平成30年4月以降において青色繰越欠損金が生じた事業年度等では10年間の保管が必要となります。

【個人事業主の場合】

個人の場合には、青色申告・白色申告とも確定申告期限の翌日から5年間保存する必要があります。
この場合、請求書に記載された日付は関係なく、同じ申告分の請求書については同じ保存期限となります。

なお、請求書などの保存期間について詳細は以下の記事を参照ください。

送った請求書の管理方法

得意先に送るための請求書作成後、実際に管理するのは送った請求書の控え(写し)です。ここでは請求書の控えの管理方法を紹介します。
請求書控えで重要な点は、入金済みであるか、入金待ちであるかということです。そのため、入金の状態によって分けるようにしましょう。なお、以下の手順にそって行うと上手に管理できます。

なお、この手順は紙媒体による請求書控えを想定しています。控えを電子データで管理している場合には、後述の請求書管理システムを利用する方法などを参照ください。

「未入金請求書控えファイル」と「入金済み請求書控えファイル」に分類

発行した請求書を入金前後で分けて管理する方法でわかりやすくしましょう。

  1. 請求書を発行したら、請求書控えを「未入金請求書控えファイル」などに入れます。ここでは、入金の確認が行いやすいように、支払い期限の順にファイルしましょう。
  2. 入金が確認できたものには「入金済み」と記入、もしくは印を押します。なお、加えて入金日も記入すると、後に確認する場合に便利です。
  3. 入金済みの請求書を「入金済み請求書控えファイル」に入れます。入金済みのファイルについては、入金日順、請求日順など資金繰り管理等と連動したファイリング方法が効率的です。

「入金済み請求書控えファイル」の分類方法

「入金済み請求書控えファイル」は、月ごとに分ける方法と得意先によって分ける方法があります。

月ごとにファイルする方法

請求書を発行した月ごとにまとめてファイルします。この方法は、請求書発行の証跡が把握しやすい点がメリットです。取引会社が10社程度の場合には、月ごとにファイルする管理方法が適切でしょう。

しかし、請求書を送付する相手方の会社が多数の場合は、後から探すのが大変になるというデメリットがあります。

得意先によってファイルする方法

得意先ごとのファイルを作成し、請求書の発行日順にファイルする方法もあります。1つのファイル内に入るのが1つの得意先のみのため、取引の状況を把握しやすいメリットがあります。
一方、月ごとのファイルではないため、ファイルするのに手間がかかるなどのデメリットもあります。

受け取った請求書の管理方法

次に、受け取った請求書の管理方法について説明します。
受け取った請求書において重要なのは、支払いの前か後かです。支払い漏れや二重払いが起こらないように、下記の手順にしたがって管理しましょう。

  1. 請求書を受け取ったら、速やかに「未確認請求書ファイル」に入れます。このファイルは一時的なファイルであり保管する期間は短いため、ファイルではなく箱などでもよいかもしれません。
  2. 請求書の記載事項を確認し、正しければ、「支払い可能請求書ファイル」に移します。支払承認などが必要な場合には「支払い承認用ファイル」などを設け、支払い締めなどのタイミングで速やかに決裁を受けましょう。
  3. 支払いが終わった請求書は、支払い済みであることを明らかにして「支払い済み請求書ファイル」に移します。このとき、後から確認を容易にするため、支払い済みの請求書に支払決裁済み、振込済みがわかる書類などを連動するよう保管しておきましょう。

なお、「支払い済み請求書ファイル」は、請求書の日付順にファイルすると取引日がわかりやすくなり、会計帳簿を確認する際に簡単です。

また、受け取った請求書についても、月別にファイルする方法、仕入先別にファイルする方法がありますが、請求書控えのファイリング方法と同様に支払先の数によって選択するとよいでしょう。

請求書をエクセルで管理する課題とは?

請求書を管理するにはいろいろな方法がありますが、最初に思いつくのがエクセルを利用する方法でしょう。エクセルはどのパソコンでも手軽に利用でき、大変便利な表計算ソフトですが、いくつか課題もあります。

課題回避のためには、エクセルファイルの表やシート、構成は極力シンプルなものをおすすめします。

次のように、1つのエクセルブックを何年も利用しているか、複雑な利用方法であるために管理が難しくなることがあります。

  • 5年又は7年分のデータを1つのエクセルブックで管理すると、容量が増え、処理速度が落ちる
  • 請求書控えを管理する場合、一度会計システムから出力したものを人が入力すると、入力ミスが起こる可能性がある
  • エクセル内での関数の利用やセルの参照により入力ミスは防げても、罫線や色付けなどによりどうしても容量は大きくなる
  • エクセルにマクロなどを作成すると容量も削減でき効率的であるが、要員異動などによるメンテナンスの継続が難しい

これは請求書管理に特化した課題ではありません。しかし、取引情報として複数の人が参照したいファイルをエクセルで管理するときは注意したいものです。

請求書管理システムを導入するメリットは?

請求書管理システムとは、請求書の発行から発送までを自動化し、請求書管理を支援するシステムです。紙の請求書をいきなり電子データの請求書に変更するには、社内外の調整もあるため一気に進めづらいものです。

しかし、請求書管理システムを導入してシステムを介した請求書としてやりとりすることには、いくつかのメリットがあります。

  • コスト削減:請求書管理要員の残業時間などの削減
  • 業務効率化:請求書管理業務の効率化、人為ミスの低減
  • データの一元管理:社内での情報共有が可能

発行した請求書については「売掛金回収(入金)」、受け取った請求書については「買掛金支払(出金)」と連動します。資金についてのタイムリーな情報把握をすることで資金異動などをスムーズに進められます。

マネーフォワード クラウドなら請求書の管理が簡単!

マネーフォワードクラウドでは、個々の企業の状況に合わせた細やかなシステムをご用意しております。
請求書は「発行するもの」と「受け取るもの」により、社内の取扱いが変わります。それぞれ別に管理して会計と連動することが大切です。

請求書を管理する場合、次の3つに分けて導入を考えるとわかりやすくなります。

  • 請求書作成ソフトである「クラウド請求書」
  • 債権管理システムである「クラウド請求書Plus」
  • 債務管理システムである「クラウド債務支払」

それぞれの操作やしくみは難しくありません。現業務の実態に合わせ、請求書管理において何がネックになっているかをよく検討し、順次導入することも可能です。

請求書管理システムを使って債権請求を効率化しましょう

請求書の管理方法についてまとめました。未払いが発生したり、税務調査が入ったりした場合に困らないようしっかりと管理しましょう。上記の方法を採用することで、簡単にわかりやすく請求書を管理できます。

よくある質問

得意先に送った請求書控えの管理方法は?

請求書控えで重要な点は、入金済みであるか、入金待ちであるかです。そのため、入金の状態によって分けるようにしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

「入金済み請求書控え」の分類方法は?

月ごとにファイルする方法と、得意先によってファイルする方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。

受け取った請求書の管理方法は?

受け取った請求書において重要なのは、支払い前であるか支払い済みかどうかです。支払い漏れが起こらないように、こちらの手順にしたがって管理しましょう。


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