- 更新日 : 2025年2月5日
請求書のミスを訂正する際は再発行が基本!お詫びのメール文面も紹介
ビジネスで重要な役割を果たす請求書は、ミスなく作成することが大切です。しかし人間が作るものである以上、必ずミスは起こります。金額など重要な箇所にミスがあった場合には、すぐにでも取り消し、修正しなくてはなりません。
ここでは、請求書のミスを修正する方法とその理由、また取引先に対するお詫び状を、例文も交えて解説します。
目次
請求書でよくあるミス
請求書の作成で特に誤記入が発生しやすいのは日付や請求金額です。取引内容や支払い条件で記載漏れが起きる可能性もあります。ここでは、請求書作成で頻発するミスを具体的に紹介します。
請求日・支払日などの日付
請求日および支払日は「月末締め・翌月末払い」「15日締め・翌25日払い」というように、取引先との取り決めに基づいて記載します。日付を間違えると入金時期が遅れてしまう恐れもあり、特に資金不足の状況なら注意が必要です。
たとえば月末締め・翌月払いの場合、請求日が11月30日なら12月31日に支払われますが、誤って請求日を12月1日にしてしまうと、翌年の1月31日に延びてしまいます。1日違うだけで会計処理や資金繰りに影響を及ぼすため、十分気を付けましょう。
決算期の直前は、請求日の記載において、通常とは異なる処理が求められる場合もあります。3月期決算の会社で3月分の入金を期中に依頼したいときは、請求書の発行日を2月末日に変更する必要があります。決算期のみイレギュラーな対応が求められるため、誤記入が生じやすいタイミングです。
請求金額
請求金額のミスは起こりがちでありながら、信用力に関わるため気を付けたいポイントです。桁数や単価、数量、税額などは特に間違えやすいでしょう。
発注書や注文書の内容を書き写しているならミスは起こりにくいですが、手入力での作成なら注意しましょう。事前に定めた単価に基づき、数量を「1式」と記載するならまだしも、時間や数量によって請求金額が変動する契約だと、毎回入力する数字が増えます。
手入力の必要な項目が多ければ多いほど、誤記入のリスクは高まります。
取引内容や支払い条件
他の請求書を送ってしまったり、相手方に伝えるべき支払い条件の記載が漏れてしまうなども、ありがちなミスです。同じ会社の別取引ならまだしも、別会社の請求書を送付してしまうのは大問題です。取引先からの信用が失墜し、今後の取引に影響が生じるリスクは否定できません。
支払い条件の具体例は振込手数料や支払期限などが該当します。初めての取引や条件変更が必要なときには、特に記載漏れを起こさぬよう注意が必要です。
請求書にミスがあったときの対応
請求書を送付した後でミスに気づいたときは、次の3つのステップを順に対応しましょう。
- 迅速に謝罪する
- 請求書を再発行する
- 再発防止対策を立てる
それぞれのステップで何をすべきか、具体的に解説します。
迅速に謝罪する
請求書にミスがあったときは、気付き次第、迅速に謝罪しましょう。入金額や単価などの取引に大きな影響を及ぼす数字のミスはもちろんのこと、商品名や取引先の名前などもミスに気づいたタイミングですぐに連絡し、謝罪することが不可欠です。
お詫び状を送る
誠実な気持ちを伝えるために、お詫び状を送ります。メールで再発行した請求書を送付する場合は、メールの本文にお詫びの文章を記載しましょう。再発行した請求書を郵送する場合には、お詫び状を作成して同封します。
取引先が請求書のミスに気付いていないときでも、放置してはいけません。気付いたタイミングですぐに連絡してお詫びの気持ちを伝え、請求書を使用しないように注意を喚起する必要があります。
請求書を再発行する
請求書にミスがあったときは、訂正せず、再発行することが原則です。二重線を引いて正しい内容を記載することや、修正テープや修正ペンを使って上書きするなどの行為は、いずれも止めておきましょう。
再発防止対策を立てる
請求書にミスが生じないように再発防止対策を立てましょう。一度のミスで取引先からの信用を失うことはなくても、二度、三度と続けば信用を失い、取引の継続が難しくなるかもしれません。
例えば、ミスが生じやすいポイントを複数の人数でチェックする、ミスをしそうになったときは関連する社員で状況を共有するなどの対策を検討できます。
請求書のミスは訂正より再発行が望ましい理由
市町村などの官公庁に提出する書類では、ミスがあれば二重線で消して訂正印を押し、空いたスペースに書き直すことができます。
しかし、請求書は訂正しないことが原則です。ビジネスの文書では二重線と訂正印を用いて訂正することがありますが、請求書は改ざん防止のためにも訂正印による対応はしないことが一般的とされています。取引先に不信感を抱かせないためにも、訂正せず、再発行しましょう。
また、金額に関する明細や合計だけでなく、日付や商品名、単価、数量、日付、但し書きなどの項目にミスがあった際も、再発行することが望ましいです。軽微なミスであっても、訂正せずに再発行するようにすると良いでしょう。
請求書を再発行するときの注意点
請求書を再発行するときは、以下の点に注意が必要です。
再発行した請求書であることを明記する
まず、取引処理上で訂正前の請求書と重複しないよう注意が必要です。
例えば、請求書が紛失したために元とまったく同じ請求書を再度発行すると、もし以前の請求書が後に見つかった場合、同じ請求書が2通存在してしまいます。これにより、取引内容が重複していると勘違いされ、二重に支払われる可能性もあります。
通常、請求書の再発行は、まず先に発行した請求書と交換したり、確実に破棄したことが確認されたりした後に行われます。
請求書のタイトルに「再発行」と記載すると、訂正前の請求書と混同せずに済みます。また、備考欄にも再発行であることや再発行した日付、理由などを記載しておくと、よりわかりやすくなるでしょう。
また、枝番を振ることも有用です。例えば、元々の請求書の固有番号が「N2208」であれば、「N2208-01」のように下位番号をつけましょう。
請求書の有効期限は2年間
請求書には有効期限があり、その期間は2年です。支払い期日が到来しても入金が行われない場合、そのまま放置しておくと2年後に債権が消滅し、請求できなくなってしまいます。未入金の請求は放置せず、できるだけ早く先方に状況を確認し、迅速に対応することが重要です。
長期間処理されない請求には、先方が請求書を紛失している可能性や、請求内容にミスがあるにもかかわらず、こちらが再発行に対応していないなどの事情も考えられます。このような場合は、事情に応じて先方の了解を得て確認するなど、慎重な対応が必要です。
請求書のミスを訂正する場合の対応
請求書の記載ミスに対する対応は、二重線や修正テープでの訂正は改ざんの疑いが生じるため、再発行が一般的な対応方法であることを説明しました。ただし、対応方法は請求書の印刷時に気づいた場合と、送付後に気づいた場合で適切な対応が異なるため、注意が必要です。
ここでは、それぞれのタイミングにおける対応方法と注意点について考えてみましょう。
印刷時に記載ミスに気づいた場合
請求書を作成し、チェックの段階で記載ミスに気付いた場合は、迅速に修正を行い、改めて請求書を印刷し直します。このとき、誤りのある請求書は直ちにシュレッダーなどで破棄し、誤って送付しないように速やかに処理することが必要です。
請求書の記載ミスは、次の3つのポイントでよく発生するといわれています。作成後、チェックする前にこれらの項目は特に確認しておくことが大切です。
- 金額:桁数、単価、税額(1円未満の繰り上げ、繰り下げなど)、数量
- 日付:発行日(自動入力の場合など)、支払い期限(取引条件や〆支払いのタイミングなど)
- 取引内容:製品やサービス名
送付後に記載ミスに気づいた場合
請求書を既に送付してしまった後や、先方からの指摘によって記載ミスに気付いた場合は、迅速に修正済みの請求書を再発行し、先方に届ける必要があります。この場合に重要なのは、正しい手順でしっかりと対応することです。
まずは、先方に対して誠意を持って謝罪することが重要です。電話でのミスの確認と謝罪に加えて、メールや手紙などを通じてもお詫びの気持ちを伝えましょう。その後、速やかに修正済みの請求書を再発行し、できるだけ早く先方に届けるための手配を行います。
また、今後同様のミスを防ぐための対策を講じると良いでしょう。「なぜミスが発生したのか」について、その経緯を振り返り、チェック体制やチェックすべきポイントの見直しを行うなど、具体的なアクションプランを策定することが必要です。
請求書のミスのお詫びの書き方と例文
自分で作成した請求書に記載ミスがあった場合、「なんとかしなくては」といった焦りや「迷惑をかけて申し訳ない」といった感情が強まり、冷静な判断が難しくなるかもしれません。しかし、重要なのは素早く再発行などの対応を行い、お詫びの気持ちを適切に伝え、同様のミスが二度と起こらないようしっかりと対策することです。
ここでは、請求書の記載ミスによる再発行時に先方に伝えるべき内容や、郵送やメールで送付するお詫び状の例文をご紹介します。
お詫びの連絡で伝えなくてはならない内容
請求書の記載ミスについてのお詫びの連絡で伝えなくてはならないのは、次のような内容です。
- 記載ミスのある請求書はどれか:請求日や請求書通しナンバー、製品名、数量、金額などの項目をそれぞれ示し、先方に照合してもらって確定する(先方から既に指摘があった場合は不要)
- 請求書のどの部分が誤っているか:金額や日付、請求内容、但し書き など
- (再発行した請求書を郵送する場合)正式な請求書がいつ届けられるか:郵送手段によっては業者に確認が必要
- (とくに説明を求められた場合)原因や再発防止のための対策:明確に返答できない場合は、後日あらためて説明できるよう先方の了承を得る など
これらの内容を電話で伝える場合は、それぞれ間違えないよう事前に十分確認する必要があります。
請求金額にミスがあった場合に作成するお詫びの例文
お詫びの気持ちを伝える方法には、再発行した請求書に同封するお詫び状や、メールを使うことが一般的です。これらは多少形式が異なるものの、基本的な書き方や構成はあまり変わりません。
たとえばメールの場合、具体的には次のような文言が一般的です。
■ 件名
【お詫び】請求書の誤記に関するお詫び
■本文
(先方の企業名・部署名・担当者名)
いつもお世話になっております。〇〇株式会社の〇〇でございます。先日送付いたしました〇〇の請求書に、以下の誤りがありました。
(誤)〇〇円
(正)〇〇円
早急に正しい請求書を再発行し、郵送いたします。大変ご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
また、お手数ではございますが、お手元の請求書は破棄いただきますようお願い申し上げます。
今後はチェック体制を強化し、このようなことが起きないよう徹底してまいりますので、この度の件につきましては、どうかご容赦くださいますようお願い申し上げます。
今後も変わらぬお引き立てのほど、お願い申し上げます。
(差出人の企業名・部署名・担当者名)
先方からの指摘で判明した記載ミスの場合は、途中の文言を下記のように調整すると良いでしょう。。
先日、ご指摘いただいた〇〇の請求書の件でご連絡差し上げました。弊社にて調査したところ、ご指摘のとおり以下の誤りのあったことが判明いたしました。
(誤)〇〇円
(正)〇〇円
弊社のミスによりご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
請求書誤記のためのお詫び状のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
請求書のミスが起こる理由
ここで、請求書のミスが起こる理由について説明します。
取引先が多い
取引先が多いと、請求書の発行が増えるのでミスが起こりやすいです。特に、毎月取引が発生しない企業の場合、請求書を発行すること自体を忘れてしまう可能性があるので、請求書発行が必要な企業のリストを作るなどして管理しましょう。
大企業1社に対して様々な部署から請求を行う必要がある
対大企業の取引では、1社に対して複数の部署から請求を行う必要があります。例えば、大手自動車メーカーに対して部品メーカーの各部署から部品を納品しているケースです。複数の部署からの請求書を1つにまとめて大手自動車メーカーに発行する場合、ある部署の計上が遅れることで、計上が遅れた部署の取引分を載せないまま請求書を発行してしまうこともあるでしょう。
取引明細の記載漏れを防止するためには、請求書を取り仕切る代表者がすべての部署が計上を終えているかをよく確認する体制作りが大切です。
確認漏れなどのヒューマンエラー
請求業務のミスは、確認漏れのヒューマンエラーによって引き起こされることがほとんどです。例えば、メールで請求書を送付する際に宛先を間違えると、情報流出問題となります。このような事態が発生しないように、メールを送る際には宛先のダブルチェックが必要です。メールを送る際には、複数人の目で宛先を確認してもらうようにすれば、宛先のミスは減らせるでしょう。
請求書のミスやトラブルを防ぐ対策
本来、請求書にミスがあってはなりません。原因を明確にして、行動に落とし込めるほど具体的に対策することが大切です。
ここではこれから請求書のミスやトラブルを防ぐための対策として、2つの方法を解説します。
社内にダブルチェックできる体制を確立する
請求書を含む書類のミスを防ぐためには、作成者自身のチェックに加えて、社内でのダブルチェック体制を確立する方法もあります。実際に内容が正確かどうかを客観的に確認することが重要です。
可能であれば経験豊富な人や上司など、業務内容に精通した人によるチェックが行われれば、より高い精度が得られます。
請求書のミスは、企業としての信頼を大きく損なうリスクを伴います。手間や時間がかかるかもしれませんが、常にミスのない請求書を発行できる体制を整えることが重要です。
請求書発行システムを利用する
請求書の作成は経理業務の一環であり、業務量は多いもののミスが許されない作業です。そのため関係するスタッフは負担を感じやすく、業務の抜本的な改善が必要な場合もあります。
近年、多くの企業が導入しているのは、請求書の発行と管理を自動化する請求書発行システムでしょう。既存の販売システムや在庫管理システムなどと連携できるものもあり、販売実績に基づいて自動的に請求書を発行します。
請求書発行システムを使用すると、販売実績の参照や集計、請求書の作成にかかる手間を省くことが可能です。その結果、他の経理業務にリソースを割けるようになるメリットがあります。
もし現在の請求書発行業務に解決の難しい課題がある場合は、効率化やミスの削減が期待できる請求書発行システムの導入をおすすめします。
請求代行サービスを利用する
請求代行サービスの利用もおすすめです。請求代行サービスを導入することにより、経理部による請求書の作成・送付が不要になります。取引先が多かったり、取引量が多かったりして請求業務が複雑になっている場合には、請求代行を導入することで一気に業務が効率化するでしょう。
また未回収時には、請求代行会社が催促も対応してくれます。催促業務はストレスがかかりやすいです。それを代行してもらえることで、経理担当者のストレス軽減に繋がります。
入金保証サービスのある請求代行を利用すると、売掛金が未回収の場合でも支払期日に入金を受けられます。売掛金が回収できないと資金繰りが悪化するので、このような保証があるのは安心です。
請求書のミスは再発行で迅速に対応しよう
請求書はビジネスにおいて重要な書類です。そのため、一般的には二重線や修正液、修正テープによる訂正は避けるべきとされています(法的には問題ありません)。ミスが生じた場合は訂正ではなく、再発行での対応が求められます。
ただし再発行には重複支払いや二重請求、改ざんのリスクがあるため、再発行した請求書であることを明確に記載することが重要です。
また請求書のミスが判明した場合は、速やかに対応する必要があります。誠実に先方に対応し、お詫びの意を示すとともに適切に対処しなければなりません。
ただし、人手による作業のエラーは避けられないものです。請求書発行業務をよりスムーズかつミスのないものにするためには、請求書発行システムの導入も検討すると良いでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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