- 更新日 : 2024年10月17日
見積書で値引きはどう記載すべき?具体例をもとに解説
自社の商品・サービスの値引きをする際、見積書の書き方で迷う方も多いでしょう。この記事では、見積書で値引きをする際の記載方法を解説します。書き方の注意点や値引きが発生するケースも紹介するので、値引きの書き方を理解するため参考にしてください。
目次
値引きが発生した際は見積書にどう書く?
見積書とは、商品やサービスを販売する際に、相手方に商品や金額などの取引条件を知らせる書類です。値引きをする際は、値引きの理由と値引き額を見積書に記載します。書き方に明確な決まりはなく、パソコンでも手書きでも構いません。
見積書の役割や書き方については、下記記事で詳しく説明しています。
値引きはどの項目に書くべき?
値引きに関する記載は、下図のように対象品の下1行を使って項目を記載します。
日付 | 品目 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|---|
○/○ | 商品A | 10,000 | 1 | 10,1 |
○/○ | 納品調整の ための値引き | ▲500 | 1 | ▲500 |
対象品(上記表の商品A)の真下に値引き内容を記載することで、どの商品に対して値引きしたかが一目でわかるようになります。値引き後の金額だけを書くのではなく、値引き前の金額と値引き額、値引き理由を併記しましょう。
品目・品名には、値引き理由を簡単に記載します。書き方に決まりはありません。納期調整、特別割引、出精値引きのように、理由がすぐわかるように記載しましょう。
値引き金額の書き方
値引き金額の前には、値引きであることがわかる記号をつけます。一般的に使われるのは、黒の三角(▲)かマイナス(-)です。
テキストの色を変えて値引き額を記載する方法は一般的ではなく、トラブルの原因となる可能性があります。特に初めての取引先に発行する見積書では、トラブルを防ぎ認識を統一するために、一般的な「▲」や「-」を使いましょう。
値引きが発生するのはどのような場合?
見積書で値引きが発生するのは、相殺、大量購入、クレーム対応、出精値引きなどのケースです。
個々のケースをより具体的に見ていきましょう。
相殺が発生する場合
過去の取引で返金や値引きが生じていた場合に、次の取引で受け取る代金と相殺して清算することがあります。
この場合、請求金額の全部もしくは一部を相殺するための値引きを見積書で示す必要があります。見積書の品目欄に「別取引の返金額を今回相殺する」ことを明記しましょう。明記しておくことで、後から調べた際に今回の取引で新たに発生した値引きではないことがわかります。
大量購入で割引が発生する場合
商品を大量に購入してもらえる場合は経費削減が図れることから、値引きする場合があります。消費税の計算前に契約金額から値引きします。
大量購入による値引きは、売上割戻、ボリュームディスカウント、リベートとも呼ばれます。売上割戻は、会計の際に使われる勘定科目名です。
クレーム対応の場合
販売した商品の品質やサービスに問題があった場合、クレームが来る場合があります。その対応として、次回取引で値引きを行う場合もあります。
クレームにより値引きする場合でも、値引き額と項目の記載は必要です。値引き理由は単に「値引き」もしくは「割引」と記載します。あえて「クレームのため値引き」などと記載することは控えましょう。
出精値引きをする場合
出精(しゅっせい)値引きとは、企業努力により料金を下げることです。出精値引きの「出精」には、精を出して努めるという意味があり、見積りの際によく使われます。「御社のために努力して値引きした」ことや「これ以上値下げはできません」という意思表示として使われます。
値引きを行う際の注意点
取引先との良好な関係を保つために行う値引きですが、手順を間違えると、かえってトラブルの原因になる場合もあります。ここからは、見積書で値引きを行う際の注意点を解説します。
値引きが不当な要求ではないか確認する
値引きをする際は、その値引きが不当な要求に該当しないかの判断も必要となります。一般的には、商品を販売する側より購入する側の方が、強い立場とされています。その立場を利用して、販売側が必要以上の値引き交渉を持ちかけてくるケースも想定されます。
双方の企業の規模によっては、必要経費を下回るような明らかに合理性に欠けた値引きは、下請法違反となる可能性があります。値引きする際は、不当な要求からの値引きではないか、経費に見合っている額の値引きかどうか、必ず事前に確認しましょう。
下請法の対象となる取引や、その場合の禁止事項については下記記事で解説しています。
値引き後の金額から消費税を計算した方が良い
見積書を発行する際、一般的には値引き後に消費税を計算します。消費税の計算後に値引きをすると、商品金額の値引き後に計算した場合とは異なる請求金額になることがあるからです。
端数が出てしまうと、端数調整のための値引きが必要となる恐れもあります。計算をスムーズにするためにも、消費税は値引き後の金額をベースに計算しましょう。
値引きの理由を明記する
他の書類と同様に、見積書を先方に渡す前に、値引き金額や表記、項目にミスがないか再確認しましょう。特に、三角(▲)やマイナス(-)が漏れていないか、値引き後の金額が間違っていないかなど、金額にはより注意が必要です。
金額だけでなく、取引先の会社名や部署名、担当者名、振込先の記載が間違っていないかも確認しましょう。送付前に社内で二重チェックをすると、より安全です。
金額や表記にミスがないか再確認する
値引き理由を項目に記載することで、値引き理由を双方が把握できます。監査や担当者変更などにより、時間が経ってから値引き理由を確認する場合も想定されます。値引きの際は理由を忘れずに記載しましょう。
お世話になっていることを理由に値引きした場合は「○○様特別値引き」と記載すると、特別に対応したことがわかります。
見積書での値引きでは表記方法と注意点を確認
見積書で値引きする場合は、対象商品の真下に理由と金額を記載します。金額の前には「▲」や「-」をつけ、値引き額であることがわかるようにしましょう。送付前には、金額や値引き理由に間違いがないかどうか、複数回確認しましょう。
同時に、値引きが不当な要求でないか、過度な値引きとなっていないかも確認します。不当な要求や過度な値引きとみなされた場合は下請法違反となるため、注意が必要です。
よくある質問
値引きを行った際、見積書にはどのように記載すべきですか?
値引きする品目の直下に、項目と金額を記載します。後から確認する際にわかるよう、値引き理由も記載しましょう。金額の前には「▲」や「-」をつけ、値引き額であることがわかるようにします。詳しくはこちらをご覧ください。
見積書に値引きを記載する際の注意点はありますか?
消費税計算の前に値引き、値引き理由の明記、値引き後記載内容の再確認などに注意しましょう。さらに、企業規模によっては不当な値引き要求があると下請法違反になる可能性があることにも注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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