- 更新日 : 2022年3月17日
見積書に有効期限を記載する目的とは

見積書とは
まず、見積書を提出する目的と、見積書に記載すべき事項を確認しましょう。
見積書は、契約に先立って取引の内容や期限、金額を確認するために顧客に提出するものです。取引条件を明確に示すことで、顧客に申し込みを促す役割があります。
顧客の立場では、ときに、複数の相手から見積書を取り寄せて、より有利な条件の取引を選択することがあります。これを一般に「相見積」といいます。
このように、見積書は、取引を始めるにあたって顧客の判断材料になります。体裁を整えるのはもちろんのこと、取引内容を分かりやすく記載することが、受注するためのポイントです。
見積書に記載すべき内容
見積書に記載すべき内容に法的な決まりはありません。しかし、取引内容を確認するために欠かせない項目がいくつかあります。見積書に記載すべき内容で代表的なものは次のとおりです。
①タイトル
「見積書」または「御見積書」と記載するのが一般的です。
②発行日
発行日を記載することで、見積書の取引内容がいつの時点のものであるかを明らかにします。また、⑪の「見積有効期限」を日付でなくて期間で表している場合は、その起算日にもなります。
③発行元の名称
会社の名称のほか、担当者の部署と氏名も記載します。顧客から問い合わせがあることを考慮して、連絡先を記載するとよいでしょう。
④宛先
見積書を提出する顧客の名称を記載します。「株式会社」を(株)と省略したり、部署や役職を間違えたりしないようにしましょう。
⑤見積書番号
管理のために、通し番号をつけることがあります。
⑥添え書き
「下記のとおりお見積もり申し上げます。」などといった内容で一言添えると、より丁寧な印象をもたらします。
⑦見積金額
見積の合計金額を記載します。消費税込みの金額であれば、⑭の「合計」と一致します。消費税込みか、消費税抜きかは必ず明記しましょう。
⑧件名
工事やプロジェクトなどの名称があれば記載します。
⑨納入予定日
具体的な日付を記載する場合もあれば、「受注後○週間以内」と記載する場合もあります。
⑩納入場所
「貴社指定場所」などのように記載するのが一般的ですが、具体的な場所を示すこともあります。
⑪見積有効期限
見積書そのものの有効期限です。「本見積提出後2週間」というように記載します。見積書に有効期限を記載する目的は、後ほど解説します。
⑫見積明細
品目、単価、数量、金額を記載します。数えられる物であって単価がある場合は、単価と数量を記載します。サービスの場合は、単価は書かずに数量は「一式」とするのが一般的です。
軽減税率の対象となる品目には「※」等を記載し、区別できるようにします。
⑬小計・消費税・合計
見積明細の金額の小計、消費税を加算するのであればその金額、最後に合計額を記載します。
内訳には軽減税率の対象とならない品目(10%)と対象となる品目(8%)の小計を分けて記載し、それぞれの消費税額を明らかにします。
⑭備考
補足事項があれば記載します。
有効期限を記載する目的
先ほどご紹介したとおり、見積書には有効期限を記載します。業種にもよりますが、2週間から6か月の間で記載するのが一般的です。有効期限を記載する目的は主に2つあります。
顧客に早めの発注を促す
法的には、見積書を提出することは「申込の誘引」という行為になります。契約は「申込」があってそれを「承諾」することで成立しますが、その「申込」を促すという意味です。「見積書に記載した条件で取引できるのはこの期限まで」という意思表示をすることで、顧客に早めの発注を促すことができます。
ただし、まれに、見積書を提出することが顧客に対する「申込」と解釈されることもあります。このようなケースは民法521条第1項に定める「承諾期間を定めた契約の申込み」にあたり、有効期限までは撤回できません。
価格変動などに備える
見積書の発行から受注までに、長い時間がかかるケースもあります。そのような場合、原材料の価格変動などによって、見積書に記載の金額では赤字受注になる恐れがあります。また、原材料の供給が何らかの事情で途絶えると、予定どおりに納品できない場合もあります。
このような事態に備えて条件変更を容易にするということも、見積書に有効期限を定める目的です。
まとめ
これまでご紹介してきたとおり、見積書に有効期限を記載することには、顧客の発注を促す目的と、価格変動や取引条件の変動に備える目的があります。確実に受注につなげるため、またトラブルを防ぐためにも、適切な期間の有効期限を記載するようにしましょう。
見積書の記載内容に法的な決まりはありませんが、記載するべき内容は商習慣で決まっています。有効期限をはじめ、必要事項は漏れのないように記載したいものです。いまでは、無料で入手できる見積書のテンプレートが数多くあります。それらを活用するのもおすすめです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。