• 更新日 : 2024年2月22日

インボイス制度にあわせて社内規定を見直そう!ポイントや注意点を解説

インボイス制度にあわせて社内規定を見直そう!ポイントや注意点を解説

インボイス制度が施行されたことで準備が必要なのは経理関連部門だけではありません。社内全体に関わることになるため、全ての社員にどのような制度なのかを周知徹底する必要があります。場合によっては社内規定の見直しをしたいという法人もあるでしょう。

そこで、今回はインボイス制度に合わせて社内規定を見直す際のポイントや注意点をご紹介します。

インボイス制度にあわせて社内規定を見直すべき?

2023年10月1日から施行されたインボイス制度は、請求書の記載項目が増えることや消費税の計算方法の変更などだけではなく、社員が立替えた経費の扱い、受け取る領収書の内容などにも影響があります。各部署がどのような点を押さえておくべきかを確認しておきましょう。

なお、インボイス制度についてはこちらの記事もご覧ください。

仕入関連部門

従来の請求書のままではインボイス制度に対応した会計処理を行えません。仕入税額控除を適切に行うためには、取引先に「適格請求書(インボイス)」を発行してもらう必要があります。

仕入関係部門の担当者は、まず仕入先が適格請求書を発行できる「インボイス登録事業者」なのかを確認しましょう。

あわせて、インボイスに記載が必要な下記の項目を理解しておきましょう。

  • 発行事業者の名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の名称

特に登録番号はインボイス制度施行から必要になった項目ですので注意してください。

営業関連部門

営業担当者も、取引先がインボイス登録事業者なのか確認する必要があります。免税事業者、もしくはインボイス未登録事業者だった場合の対応についても社内で決めておかなければなりません。

また、発行・受領する領収書がインボイス制度に沿ったものなのかを確認するため、記載すべき事項も理解しておきましょう。

営業活動内で立替える経費の中には、交通費など領収書が出ないものもあることが予想されます。これらの扱いについても社内で決めておき、周知するようにしましょう。

社内周知のために社内規定変更の検討も

ご紹介したように、インボイス制度については経理担当者だけでなく、社内全体で理解しておいた方がよいといえます。研修等の社内教育も重要ですが、社内規定自体をインボイス制度に合わせて変更し、きちんと明文化することも検討しましょう。

社内規定の役割や構成についてはこちらの記事もご覧ください。

社員などが立替えた経費の扱い

法人が営業活動等を行うにあたり、接待のように従業員が経費を立替える場面、旅費交通費のように代金を支払っても領収書が受け取れない場面も出てくることが想定されます。

そのようなケースについても、従業員に周知しておくことが必要です。

旅費交通費など3万円未満の立替に関する規定で見直すべきポイント

通常、インボイス制度では受け取る領収書についても記載事項が決められていますが、「営業社員が路線バスに乗って取引先に行く」時のように、領収書が出ないものもあります。

領収書が出ない取引については、「3万円未満」であれば、インボイスの交付義務が免除されており、利用した側(このケースでは取引先に行った営業社員の所属法人)は一定の事項を帳簿に記載してれば仕入税額控除が受けられます。

以下で領収書なしで仕入額控除が認められる交通費立替の例をチェックしましょう。

認められるもの認められないもの(インボイス制度に沿った領収書が必要)
3万円未満の下記料金

  • バス運賃
  • 鉄道運賃
  • 船舶運賃
  • 飛行機
  • タクシー運賃
  • コインパーキングの利用料金
  • 高速道路利用料金

ちなみに「3万円未満」になるかの判断は、1取引あたりで行います。「1ヶ月分」「1年分」ではありませんので注意してください。

接待交際費に関する規定で見直すべきポイント

部署によっては、社外の人と会食をする機会もあるでしょう。接待交際費に関しては1人当たり5,000円以下であれば、損金算入ができます。ただし、インボイス制度施行後は5,000円の判定が少々複雑になるので確認しておきましょう。

自社の消費税経理方式が税込の場合自社の消費税経理方式が税抜の場合
税込価格で判定税抜価格で判定

税抜で処理する場合は、食事をする飲食店などがインボイス登録事業者であるかどうかが重要です。インボイス登録事業者の場合は領収書の「税抜金額」で判定しますが、インボイス登録事業者ではない場合、支払った全額で判定することになります。

ただし、飲食店がインボイス登録事業者ではない場合でも、以下の表のように2029年9月30日までは経過措置があり、一定の割合までならば仕入税額控除の対象になります。仕入税額控除部分については5,000円判定の支払金額から引くことが可能です。

2023年10月1日~2026年9月30日仕入税額控除相当額の80%
2026年10月1日~2029年9月30日仕入税額控除相当額の50%

取引先とのやり取りについて周知すべきポイント

従業員の立替えた経費はもちろんですが、物品を仕入れた場合に受け取る請求書も確認が必要です。適格請求書でない場合、仕入税額控除が受けられません。事前に仕入先がインボイス登録事業者かどうかを必ず確認しましょう。

また、適格請求書に記載されている内容に不備がないかも確認してください。不備があった場合、再発行を依頼することになります。

社内規定を見直す上での注意点

社内規定を見直す際は、経理担当者以外の部門の従業員が混乱しないようにしてください。例えば、細かすぎる規定を作ると、ルールを覚えられず立替の精算の時などに困る可能性があります。

また、取引先がインボイス登録事業者ではない場合、請求書・領収書を受け取っても仕入税額控除が受けられません。請求書・領収書を受け取る部門の担当者にもしっかり理解してもらうために、以下の内容についてルールの明文化、研修等を行うことをおすすめします。

  • 取引先がインボイス登録事業者かの確認
  • 登録事業者ではない場合の対応
  • 請求書・領収書を受け取ったら確認すべき項目
  • 領収書が不要な取引について(交通費など)

社内でインボイス制度を周知してスムーズな導入を

インボイス制度の導入は経理関連部門だけでなく、社内全体に関わることです。特に、仕入や営業に関する部署は取引先と接することも多いため、やり取りする請求書・領収書の内容にも気を付ける、領収書がいる・いらない取引について把握してもらうことも重要になります。

社内規定の変更、社内研修の実施などで、インボイス制度を周知し、日々の経費精算や申告時に慌てないように備えておきましょう。


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