• 更新日 : 2022年10月14日

個人事業主(フリーランス)の見積書の書き方

個人事業主(フリーランス)になると、見積書を発行する機会が増えます。見積書の発行・提出は、仕事を受注するための重要なプロセスです。見積書の書き方ひとつで、取引先の信頼を得られるかどうかが決まってしまうこともあります。ここでは、見積書の基本的な書き方、そのときに必要なコミュニケーションについて解説します。

個人事業主(フリーランス)が仕事をするときには、以下のような流れとなります。

1.「見積書」発行
2.「注文書」発行
3.取引先が注文書を返送
4.納品
5.「納品書」および「請求書」を発行

ただし、実際のビジネスの現場では、注文書や納品書は省略されることもよくあります。

見積書が担っている役割

このような流れにおいて、見積書は以下のような役割を担っています。

認識のズレによるトラブルを未然に防ぐ

見積書には、費用やその明細、支払条件などを明記します。個人事業主(フリーランス)は、仕事を受注する前に見積書によって「取引先が求めている仕事の内容」を互いに確認し、認識のズレがないようにしておきます。

情報を共有する

見積書を提出することで、個人事業主(フリーランス)が、担当者だけでなく取引先や仕入先など取引を行う関係者たちと情報を共有し、その内容の確認を行うことができます。

取引先の発注を促す

取引先は見積書によって正式な金額を把握し、受注するかどうかの意思決定を行う傾向にあります。つまり、見積書は実質上、取引先の発注を促す役割を果たしています。

見積書の基本的な書き方

それでは、見積書のベーシックな書き方の解説に入りましょう。見積書には、以下のような項目が必要です。

見積書タイトル(例えば、「御見積書」「お見積書」「見積書」などが一般的です。)
あて名(見積書の提出先には、会社あて、社長あて、担当者あてなどがあります。)
提出者または作成者(提出者または作成者の住所および電話番号を記載します。会社の場合は社印、担当者の場合は担当者印を押します。)
通番(見積書を管理するために通番を入れておきます。取引先から問い合わせがあったときにも、通し番号があると便利です。)
発行日(見積書の有効期限がある場合には、その決定のために必要です。)
見積金額(もっとも目立つように、大きめに記載します。)
明細(商品名やサービス内容、単価、数量、単位、金額などを記載します。軽減税率の対象となる品目には、ならない品目と区別ができるように「※」などを記載しましょう。
内訳では軽減税率の対象とならない品目(10%)と対象となる品目(8%)の小計を分けて記載し、それぞれの消費税額を明らかにします。)
備考(納期、納品場所、支払条件などの注意書きを記載します。)

個人事業主(フリーランス)の見積書

個人事業主の場合、見積書の書き方ひとつで信頼を得られるかどうかが決まってしまうこともあります。取引先との相談内容をきちんと反映させて、あて先や数字などに間違いがないように気を付けましょう。

見積書を書くときの注意点

それでは、見積書の基本的な書き方を踏まえて、実際のビジネスの現場で見積書を提出するときに注意すべき点を解説します。

相見積りの条件を反映させる

取引先から見積書を提出するように依頼があった場合、他の会社や個人事業主(フリーランス)と相見積りを取っている可能性があります。そのようなときには、なるべく相見積りの条件を聞き出して、明細や金額に反映させましょう。

価格・支払時期・支払サイトの交渉をする

見積書を出す前の打ち合わせや見積書を出した後で取引先が値引きを求めてきたときは、こちらも交渉をするチャンスです。個人事業主(フリーランス)にとって、収入を安定させるためには高価格で受注するだけでなく、なるべく早く支払ってもらうことも重要だからです。例えば、10%割引にする場合、「翌月払いにしていただけませんか」「着手金として契約時に50%支払っていただけませんか」などの交渉を行ってみましょう。

安易な納期設定をしない

個人事業主(フリーランス)が仕事をするとき、よく起こるトラブルに納期の問題があります。見積書の提出のときに記載した納期設定は、取引先は当然守られるものと思っていますので、安易に納期設定をしないように注意しましょう。

見積書の提出期限を守る

見積書の提出が遅いと、取引先が発注のタイミングを逃してしまいます。トラブルが起きないように慎重になることも大切ですが、早く見積書を作成、提出できる体制を整えておく必要があります。

見積書の送付方法

ビジネスマナーでは、見積書を渡すときには、できるだけ先方まで足を運び、手渡しする方が良いとされています。礼儀にかなっているだけでなく、見積書について説明をして相手の反応を直接見ることができますから、受注にも結びつきやすくなります。

ただ、取引先が遠方である場合や急いで発行する場合、小額の案件の場合などは、メールやFAXを利用して送付しても失礼ではありません。送付の方法については、持参した方が良いか先方に確認しましょう。

このように、個人事業主(フリーランス)が仕事をする上で見積書はとても重要なものです。書き方の基本を抑えた上で、状況に応じてしかるべき交渉を行えるようになりましょう。書き方次第では、見積書は個人事業主(フリーランス)の武器というべき営業ツールになります。


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