- 更新日 : 2024年12月25日
インボイス制度の登録番号とは?個人事業主向けに取得方法や調べ方を解説
インボイス制度の登録番号とは、制度に登録した事業者に通知される番号のことをいいます。
個人事業主でも取得可能であり、「e-Taxでの電子申請」と「書面による郵送申請」によって申請できます。
本記事では、個人事業主向け登録番号の申請方法や調べ方、取得しなかった場合のリスクについて解説します。
目次
インボイス制度の適格請求書発行事業者登録番号とは?
適格請求書発行事業者登録番号について、以下のポイントについて解説します。
- 適格請求書発行事業者の登録後に通知される番号のこと
- 個人事業主もインボイス制度の登録番号を取得できる
適格請求書発行事業者の登録後に通知される番号のこと
適格請求書発行事業者登録番号とは、2023年10月から運用が開始されたインボイス制度に登録した事業者に通知される番号です。
登録番号は以下の構成となっています。
- 法人番号を有する課税事業者 T+法人番号13桁
- 上記以外の課税事業者(個人事業者、人格のない社団等) T+数字13桁
登録番号はインボイス制度に登録している証明となるものであり、課税事業者にとって仕入税額控除の適用を受けるために重要な番号です。
個人事業主もインボイス制度の登録番号を取得できる
インボイス制度は登録申請をすれば、個人事業主でも登録番号を取得可能です。
ただし、登録できるのは課税事業者のみとなっているので、免税事業者の場合は登録のタイミングで課税事業者となる必要があります。
個人事業主がインボイス制度の登録番号を取得する方法
個人事業主が、インボイス制度の登録番号を取得する方法は2通りあります。
- e-Taxで電子申請
- 郵送による紙での申請
e-Taxで登録申請をする方法
e-Taxで申請をする場合は、まず以下の2点を準備しておきましょう。はじめてe-Taxを利用する方は、アカウントの作成をして利用者識別番号を取得してください。
- 電子証明書(マイナンバーカードなど)
- 利用者識別番号(e-Taxを使用するために必要な16桁の番号)
準備ができたら、下記の手順で申請手続き画面にアクセスします。
- e-Taxにログイン
- 「申請・納付手続きを行う」をクリック
- 「新規作成>操作に進む」をクリック
- 「適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)(令和5年10月1日~令和12年9月29日)」をクリック
- 留意事項が表示されるので、内容を確認して「OK」をクリック
- 表示されている提出先税務署に誤りがないか確認して「次へ」
- 帳票入力画面の「作成」をクリック
上記までいくと、登録申請に必要な申請者情報の入力画面になり、アカウントに登録されている情報が表示されます。
次に申請内容の入力です。基本的には「はい・いいえ」の問答形式で進めていき、必要に応じてチェックや日付、個人番号や事業内容を入力します。
登録通知データを電子データで受け取るかどうか、希望の確認画面が表示されるので、「希望する」を選択しましょう。電子データで受け取ると、書面より早く登録通知が届き、紛失のリスクも減ります。
申請書の入力が完了したら「作業完了」をクリック。帳票入力画面に戻るので「次へ」をクリックし、作成した帳票の内容を確認後に「次へ」をクリックします。
マイナンバーカードによる本人確認が済んでいない場合は、「電子署名の付与」をクリックし、表示された画面に沿ってマイナンバーカードの読取をおこないます。
本人確認が済んでいる場合は、電子署名の欄が表示されませんので、そのまま「送信」をクリックしてください。
即時通知が表示されるので「受信通知の確認」をクリックし、受信確認画面が表示されればe-Taxでの申請書の作成と送信が完了です。
郵送で登録申請書を提出する方法
郵送での申請は、管轄地域ごとに設置されているインボイス登録センターに書類を郵送します。
郵送での申請に必要な書類は以下です。
- 適格請求書発行事業者の登録申請書(初葉と次葉の2枚)
- 本人確認書類(マイナンバーカードの写し)
マイナンバーカードがない場合、通知カードやマイナンバー記載の住民票など、マイナンバーを確認できる書類と、運転免許証などの身元確認書類の二点を提出します。
登録申請書以外にも変更届や登録取り消しになど、インボイス制度に関する書類の郵送は、すべてインボイス登録センターに送付が必要です。
個人事業主のインボイス制度の登録申請書の書き方
登録申請書は初葉と次葉の2つに分かれているので、それぞれの記載方法を見ていきましょう。申請書は、国税庁のHPからダウンロードが可能です。
初葉(1枚目)には、申請者の情報や事業者区分について記載していきます。
参考:「適格請求書発行事業者の登録申請書」(初葉)の記載例【個人事業者用】
- 作成年月日
- 管轄の税務署名
- 住所または居所
- 氏名(屋号の記載はなし)
- 事業者区分
【次葉(2枚目)】は、次の3つの欄に分かれています。
- 初葉の事業区分によって記載内容が異なる「A.免税事業者の確認」
- 申請者が全員記載しなければいけない「B.登録要件の確認」
- 対象者だけが記載する「C.相続による事業承継の確認」
参考:「適格請求書発行事業者の登録申請書」(初葉)の記載例【個人事業者用】
初葉の「事業区分欄」と、次葉の「A.免税事業者の確認」は、「登録申請書の書き方フローチャート」を参考にすると、申請者の状況に応じて記載すべき箇所がわかりやすくなっており、大きくわけて5つのケースがあります。
事業を開始した課税期間の初日からインボイス制度の登録を受けたい場合は、「新規開業等した事業者>事業者」欄をチェックして、課税期間の初日(開業した年の1月1日)を記載しましょう。
次葉の「A.免税事業者の確認」への記載は不要です。
登録申請書の提出時には免税事業者ですが、翌課税期間の初日から課税事業者となりインボイス制度の登録を受ける場合は、「免税事業者」の欄をチェック。
翌課税期間の初日から起算して、提出日が15日前の日か後の日かによって、「b」「c」どちらかを選びます。それ以外は「a」にチェックをいれて、希望日を記載。
また登録申請書を提出する時点では課税事業者ですが、翌課税期間が免税事業者であり、かつその期間の途中でインボイス制度の登録を受ける人は、「免税事業者」欄を選んでください。
課税期間の途中で登録するため、次葉は「a」にチェックをして、登録希望を記載しましょう。
登録申請書を提出するときに、すでに課税事業者である場合は「課税事業者」欄を選択します。
次葉の「A.免税事業者の確認」への記載は不要になります。
事業を開始した課税期間中の初日ではなく、登録申請書を提出後の登録年月日からインボイス制度の登録を受ける場合は、「新規開業等した事業者>事業を開始した課税期間の初日から登録を受けない課税事業者」にチェックしましょう。
次葉「A.免税事業者の確認」への記載は不要です。
新しく事業を開始した課税期間中に登録申請書を提出する免税事業者で、課税期間初日以外で登録を受ける場合は、「新規開業等した事業者>事業を開始した課税期間の初日から登録を受けない免税事業者」をチェックしましょう。
次葉は、課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて申請する際は「c」を、それ以外の場合は「a」にチェックをし、登録希望日を記入します。
次葉の「B.登録要件の確認」は、登録申請書を提出する個人事業主は記入必須です。
①課税事業者かどうかの確認欄は、申請書を提出するときに免税事業者であっても、インボイス制度の登録を受けるときには課税事業者となるので、必ず「はい」にチェックします。
②納税管理人を定めるかどうかの確認欄は、国内に住所および居所がある場合は「はい」を選びましょう。
③の消費税法違反の有無は、過去に罰金以上の刑に処されたかどうかを確認する欄です。刑が処されて、刑の執行が終了した日から2年未満の場合は、インボイス制度に登録できません。
個人事業主がインボイス制度の登録番号を取得するまでの期間
2024年5月時点でのインボイス制度の登録番号を取得するまでの期間は以下になります。
e-Taxによる申請 | 約1ヶ月 |
---|---|
郵送による申請 | 約1.5ヶ月 |
提出前に間違いやチェック漏れがないか、もう一度確認してから申請するようにしましょう。
目安の時期を経過しても登録通知がされない場合は、管轄のインボイス登録センターに問い合わせてみてください。
個人事業主がインボイス制度の登録番号を取得しない場合どうなる?
インボイス制度では、適格請求書発行事業者でなければ適格請求書の発行ができません。
これまで免税事業者であった場合、適格請求書を発行するには登録手続きをおこない「登録番号」の交付を受ける必要があります。
また、課税事業者はインボイス制度の導入によって、登録番号および必要事項が記載された適格請求書を保存していなければ、「仕入税額控除」の適用が受けられません。
納付する消費税額は、売上にかかる消費税額から仕入れ等にかかる消費税を引いた額で計算されており、仕入れ等に係る消費税額を控除できる仕組みを「仕入税額控除」といいます。
インボイス制度導入前は、仕入先からの請求書等を保管していれば、仕入税額控除の適用を受けられましたが、インボイス導入によって適格請求書の保管が必須になったのです。
買い手からの視点に立つと、取引先がインボイス制度に登録していない免税事業者であった場合、仕入税額控除の適用を受けられずに、納税の負担が増えてしまいます。
取引先に課税事業者が多い場合、適格請求書の発行ができないと、税負担の増加を理由に取引内容や価格の見直し、取引が無くなるリスクは高まる可能性があります。
ただし免税事業者が登録番号を取得するには、登録の段階で課税事業者にならなければいけません。
課税事業者は確定申告のほかに消費税の申告が必要になるため、納税の負担が増えることを考えると、取引先の状況を確認した上で適格請求書発行事業者になるかどうか検討が必要になります。
個人事業主がインボイス制度の登録番号を検索する方法
登録通知番号を確認する方法は、2つあります。
- 登録通知書
- 適格請求書発行事業者公表サイト
登録通知書で確認する方法
登録時に交付された登録通知書から登録番号を確認できます。
参考:<インボイス制度>登録に係る登録通知データ確認マニュアル
e-Taxで申請した際に登録通知を電子データでの受け取りを希望すると、電子データで交付され、メッセージボックスに格納されます。
手順は以下になります。パソコンやスマートフォン、タブレットの場合も同様です。
- e-Taxにログイン
- メッセージボックス>通知書等をクリック
- 通知書等一覧の詳細が表示されたら「選択してください」をクリック
- 「適格請求書発行事業者通知書」を選択して、「完了」を選択
- 登録通知書を選んで「確認」をクリック
郵送による申請の場合は、書面で登録通知書が送られます。
書面発行の登録通知書は、紛失すると再発行ができないので適切に保管しておきましょう。
適格請求書発行事業者公表サイトで確認する方法
インボイス制度に登録されると、適格請求書発行事業者公表サイトに登録情報が公開されます。
個人事業主は自分の登録番号を検索することはできませんが、下記のような場面で活用すると便利です。
- 対法人の場合、取引先がインボイス登録しているか確認
- 受領した請求書や領収書に記載のある登録番号に誤りがないか確認
サイトでの検索方法は以下の手順です。
- 適格請求書発行事業者公表サイトにアクセス
- 「T」を除く13桁の登録番号を入力して「検索」をクリック
まとめて数件の登録番号を検索したい場合は、「登録番号でまとめて検索する」をクリックすることで、最大10件まで検索可能です。
適格請求書発行事業者公表サイトでは、登録番号13桁がわからないと検索できませんが、法人番号公表サイトであれば商号や所在地から検索できます。
個人事業主がインボイス制度に登録後は消費税申告が必要
インボイス制度に登録すると、課税事業者となるため納税の義務が発生します。登録日以降の課税売上に対して消費税の確定申告が必要です。
消費税の計算方法は下記の3つがあります。
- 原則的な一般課税
- 簡易課税
- 2割特例(2023年10月から2026年9月まで)
納付すべき消費税は次の計算式によって求められます。
簡易課税では、以下の計算方法を用います。
みなし仕入れ率は事業によって異なり、一般課税に比べて簡易的な計算方法で仕入税額控除の額を計算できます。
インボイス制度に登録した時点で、免税事業者から課税事業者になった場合は経過措置として2割特例が設けられます。計算方法は以下のとおりです。
条件に該当する事業者は、消費税の計算方法を上記の3つから選択が可能です。
消費税の確定申告については、消費税申告とは?やり方・計算を個人事業主向けに解説!をご覧ください。
事業者登録番号の取得方法は「e-Taxと郵送」の2通り
個人事業主も事業者登録番号の取得は可能であり、登録手続きの方法はe-Taxと郵送の2つです。
e-Taxからの申請であれば、登録通知される期間が郵送での申請より約1ヶ月と早く、登録番号通知を電子データで受け取れるため紛失のリスクも低減できます。
ただしインボイス制度に登録すると、課税事業者となるため消費税の納税義務が発生し、税負担が増加するため慎重に検討しましょう。
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